防衛費過去最大 軍拡競争に加わるのか (2021年12月28日 中日新聞)

2021-12-28 14:05:20 | 桜ヶ丘9条の会

防衛費過去最大 軍拡競争に加わるのか

2021年12月28日 中日新聞
 二〇二二年度の防衛費が過去最大の五兆四千五億円(前年度当初比1・1%増)となった。第二次安倍内閣が編成した一三年度予算以降十年連続で増え続けている。
 政府は中国や北朝鮮の軍備拡大で安全保障環境が厳しさを増したことを理由に挙げるが、防衛費の膨張が続けば、逆に緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。米中両国の軍拡競争に加わる愚を犯してはならない。
 二二年度防衛費は、研究開発費を前年度比約八百億円増の二千九百十一億円とし、中国や北朝鮮が開発を進める極超音速兵器への対処や、宇宙・サイバーといった新領域での能力強化を盛り込んだ。
 敵基地攻撃能力保有を巡る議論も見据え、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾を長射程化するため三百九十三億円を計上。中国の海洋進出に対応し、南西諸島の防衛体制強化も盛り込んだ。
 総額は国内総生産(GDP)比0・96%だが、海上保安庁予算などを含める北大西洋条約機構(NATO)基準では、当初予算の目安1%を上回る。防衛費増額の背景には、同盟国に国防費をGDP比2%以上にするよう求める米国への配慮もあるのだろう。
 安全保障環境の変化や軍事技術の進展に対応する必要はあるとしても、増額ありきだったり、米国への過剰な配慮で予算編成をすることがあってはならない。
 米国による中国けん制にあからさまに同調すれば、中国との関係を損なうことにもなりかねない。
 防衛省は、二二年度予算案と二一年度補正予算を合わせて総額六兆一千億円超の「防衛力強化加速パッケージ」に位置付け、通常、当初予算を充てる主要装備品の導入経費を補正予算に計上した。
 国会で十分な審議時間が確保されない補正予算を利用して防衛費を拡大させる手法は妥当性を欠くのではないか。年明け通常国会では、こうした防衛予算編成の在り方も厳しく問われるべきだ。
 政府は来年末をめどに国家安全保障戦略や防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)を改定する方針だが、明記が検討される敵基地攻撃能力の保有について歴代内閣は憲法の趣旨ではない、つまり違憲としてきた。
 防衛費の審議に当たっては、憲法を守り、軍拡競争には加わらないという原点に、いま一度立ち返る必要があるのではないか。
 

 


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1 コメント

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平和憲法を守ることとは? (となりのおとど)
2021-12-29 12:15:04
<岸田首相は防衛費増額をアメリカに約束した>
 2022年度の防衛費が戦後最大の5兆4005億となったと言って驚くには値しません。岸田首相は就任直後にアメリカに防衛費をGDPの2%にすることを約束したらしい。金額に直すとおよそ10兆円にのぼります。おそらく米国の中古兵器購入に充てられるのでしょう。
 なぜこのように日本はアメリカに対して卑屈になるのだろうか。それは戦後軍事的に支配を受けてきたことに関係しています。日本全国におよそ130か所の米軍基地が展開し、独立国などとはとてもいえず現状は立派なアメリカの従属国・属国ということになるわけです。

<平和憲法を守る運動はアメリカの日本支配を助ける>
 仮に、皆さんの運動が実を結び、日本が憲法9条の通り完全非武装になったとします。しかし最低限の軍事力もない国では不安で住めないと、多くの国民は反対すると思います。国民心理のわかっている米国はわざとこの平和条項の入った憲法を作らせたのでしょう。そうすることで、日本国民の多くが安全のために占領軍に頼らざるを得なくなり駐留継続が出来ると。現実はそのようになり、いわば合法的に属国状態に落とし込まれ、軍事的、政治的、経済的、文化的に80年近くアメリカに支配されてきたのです。
 その一端を述べれば、日本国民は自らの意志で政治を運営することができず、総理大臣を決めるのさえ米国の許可が必要になっています。また経済面では毎年数十兆円の米国債購入が義務となっており、日本経済を長期低迷に追い込んだ90年代のバブル崩壊も、米国政府誘導の日本国富収奪作戦だったと言われています。近年のOECD加盟国における日本国民の所得水準の低下も、長期にわたる米国による国富収奪の結果であるといえます。
 また、民主主義の入り口である国政選挙においてもアメリカ主導の不正開票が問題視されています。今回の総選挙では自民が多少減りはしたものの過半数の議席を確保し、補完勢力としての維新が議席を大幅に増やしました。国民無視の悪政を続けてきた自民党に国民の支持がどれほどあるというのでしょう。まして維新など大阪をダメにした元凶ではないのか。どこに議席が増える要素があるでしょう。
このように憲法の平和条項に固執することはアメリカの支配体制を継続させ、国民の苦痛を長引かせることに繋がっているのです。

<日本の最重要課題は米軍の撤退>
 日本にとって現在の最重要課題は、諸悪の根源になっている米軍の駐留を削減・縮小させることです。次の課題が自民党政権が企む改憲の阻止であり、アメリカに支配されている中で武力を認める憲法にしたら自衛隊はアメリカの手駒にされてしまいます。
 米軍が撤退し、日本が本当の独立国になった暁には一定の軍事力を持つことが課題となるでしょう。独立国として全く自衛の軍事力を持たない国はありえないし、もし持たなければ逆に平和を維持することもできないでしょう。皆さん方の中には、こちらが武力をもたなければ相手の国も武力で襲ってこない、などと考えている人もいるかも知れませんが、近隣諸国は武力を梃子にして外交を展開しています。
 前回のコメントでも述べましたが、社会学者でもある小室直樹博士は、「平和主義者が戦争を引き起こす」と喝破しています。これは、第2次大戦後ヒットラー政権が台頭しヨーロッパが戦雲に覆われた時に、時のイギリス首相チェンバレンが、ヒトラーに融和政策(平和主義)で対応したため、ヒトラーの増長を促し欧州全体が戦争に突入したことを例に挙げているのです。

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