高齢者のくらしを守り平和と社会保障の充実を求めます(2018年11月30日第20回あいち高齢者大会決議)

2018-11-30 20:47:38 | 桜ヶ丘9条の会
第20回あいち高齢者大会決議

 高齢者の暮らしを守り平和と社会保障の充実を求めます

臨時国会が開会され、継続中です。アベ首相はお友達、右翼、問題のある閣僚ばかりを並べ、国会冒頭の施政方針演説では 9条 をはじめとする日本国憲法の改悪と消費税の10パーセントへの増税を打ち上げました。戦争法制に基づいて海外へ自衛隊を派遣し、戦争をする国を目指すアベ総理の政策は許せません。
 戦争を体験し、戦後の厳しい時代を生き抜いて来た高齢者はいかなる場合も戦争に反対し、平和憲法を大事にしてきました。若者を再び戦場に送らない、これが私たちの決意です。
 
改憲を許さないアベ改憲 N O!3000万署名が全国で粘り強く進められています。我々もまだの方にお勧めしこの運動を成功させましょう。

 アベ政権は憲法改悪と合わせた社会保障の改悪を推し進めています。消費税の引き上げと共に「全世代型社会保障改革」も打ち上げ、さらなる改悪を図っています。財務省は後期高齢者医療と介護保険の窓口負担原則2割負担を狙います。実に2倍の負担増です。更に給付内容の引き下げです。
 高齢化が一段と進む中で病院、施設から高齢者を締め出し、受け入れ体制が不十分なまま在宅医療に移行し、本人や家族、地域に責任と負担を押し付けることは許されません。
 
  今、貧困や格差の拡大、社会保障改悪などにより多くの高齢者のくらしが破壊され、「老後破産」、「下流老人」などと呼ばれる事態が進行しています。
 
 さらにマクロ経済スライドを改悪し、毎年の支給削減が進められています。私たちは年金削減、生活保護削減に全国で大規模な裁判に訴えています。高齢者の唯一の命綱である年金の削減はこれからの若い世代にとっても大変な事態です。広範な世論に訴え、年金署名を広げ、年金裁判を勝利させましょう。

 原発の再稼働、沖縄辺野古基地など、世論に逆らっての強行は許せません。国会で多数の自公政権ですが、これらにストップをかけるのは戦前、戦後を生き抜いてきた高齢者です。アベ政権に反対するあらゆる人たちと手を結んで市民と野党共闘で運動を広げましょう。
 
                             以上決議します。
             2018年11月30日   第20回あいち高齢者大会

裁判所で「車いす差別」 警備強化で配慮欠く入庁検査(2018年11月29日中日新聞)

2018-11-29 08:31:36 | 桜ヶ丘9条の会
裁判所で「車いす差別」 警備強化で配慮欠く入庁検査 

2018/11/29 中日新聞

 全国の裁判所で入庁者への所持品検査が実施されている。基本、金属探知機付きのゲートをくぐるが、車いす利用者はゲートの幅が足りずに通り抜けられない。そのため、体に触れられたり、荷物を取り出されたりしての検査を受けている例もある。今年一月から検査を始めた大阪高裁・地裁では十五日、車いすの利用者らが、検査が障害者にとって差別的だとして、抗議と改善を書面で申し入れた。

 「男性の警備員が、ボディーチェックで車いすに乗った女性の体をあちこち触っている」。滋賀県長浜市から電動車いすに乗って傍聴に来た頼尊恒信(よりたかつねのぶ)さん(39)は、わが目を疑った。

 明らかにセクハラだと思った頼尊さんにも、警備員から身の安全を損ないかねないことを求められた。ドライバーなど電動車いすを調整・応急修理する付属工具を「武器として使うこともあり得る」として、退庁まで取り上げられた。「さまざまな路面を走る電動車いすはねじなどが緩みやすい。工具を常備し、万一に備えなければ安全にかかわる。自動車に工具が付いているのと同じなのに」

 さらに屈辱的だったのは、手荷物検査だ。警備員に断りもなくかばんを開けられ、入れていた下着があらわになった。「人目の多い玄関です。人間扱いされていないと感じた」。言葉に無念さが響く。

 警備員は頼尊さんの食事道具も、もむようにチェックした。自分の障害に合わせ改良を加えた食事道具を、多くの障害者は持っている。その警備員は、直前に靴を触ったばかりだった。

 警備員は取り出した荷物を元の場所に戻さなかった。動きが制約される障害者は、物が決まった場所にないと、取り出す時にヘルパーらに指示できない。

 警備が強化されることは聞いていた。それを見越して時間をやりくりし、いつもより一時間早く家を出た。それが、こういう対応をされることになるのかと、やりきれない思いで裁判所の建物に入った。

 昨年六月に仙台地裁で判決の宣告を受けていた被告(保釈中)が刃物を振り回し、警察官二人に切り付ける事件が発生したことなどを受け、最高裁は一般来庁者を中心に所持品検査を行うよう全国の地裁と高裁に通知。仙台や東京、大阪などで導入されている。急いで導入したため検査が始まった時期や手法は裁判所によって違いがある。

 しかし、障害がない人は基本、ゲートをくぐるだけなのに対し、綿密にチェックされる車いす利用者の負担は心身ともに軽くない。車いす利用者には、工具や着替えなどたくさんの携行品が入った複数のかばんを車いすに結んでいる人が多い。障害の知識がないと、何らかの道具を紛れさせているようにも見えるし、体に補助器具を取り付けていると、服の中に何かを隠し持っているようにも見える。

 しかし、脳性まひで車いすを利用しており、書面を大阪地裁に手渡した大阪府豊中市の中田泰博さん(46)は言う。「手に持ってかざす使い方の金属探知機もあるのに使わない。警備が必要だというなら、拙劣なやり方はやめてほしい。裁判はすべての国民に開かれており、その国民には私たちも含まれているはず」と強調する。

 これに対し、大阪地裁は「申し入れ書の内容を確認の上、適切に対応したい」としている。

 障害者の人権問題に詳しい大川一夫弁護士(大阪市)は「その人の立場を考えたやり方をとるのが『合理的配慮』というもの。そうでなければ、人格権や名誉を裁判所が傷付けることになる」と話している。

 (三浦耕喜)

消費税10%対策 お金持ちに有利になる(2018年11月28日中日新聞)

2018-11-28 10:35:30 | 桜ヶ丘9条の会
消費税10%対策 お金持ちに有利になる 

2018/11/28 中日新聞
 政府与党が検討する消費税増税時の対策は来年の統一地方選や参院選を意識した単なるバラマキではないのか。増税の意味を消失させ、欠陥である逆進性を増幅し、将来世代まで愚弄(ぐろう)するものだ。

 効果が期待できない対策にまで巨額の税金を投入するなら、何のための増税か。怒りが込み上げる人も少なくないだろう。

 商品券配布やポイント還元といった痛税感の目くらまし策のことだ。さらに防災・減災に名を借りた公共投資の拡大も大いに疑問があるし、この機に乗じてキャッシュレス化やマイナンバーカードの普及促進に税金を投じるのでは「何でもありか」との批判は免れまい。

 日銀の試算では今回の増税による負担増は年五兆六千億円だが、軽減税率や教育無償化などで実質的には二兆二千億円といわれる。

 それに対し、この対策の規模はそれをはるかに上回ろう。増税の本来の意味は、将来世代への負担先送りを減らすためだったが、逆につけ回しを増やすものだ。

 過去の増税時などに繰り返されたプレミアム付き商品券や定額給付金、地域振興券は、単に日々の買い物代の代用にされ、消費を持ち直させる効果は期待外れに終わったことを忘れたのか。

 相変わらず金券やポイントで一時的にでも潤えば、国民は喜んで財布のひもを緩めるとでも思っているのだろうか。国民をばかにするにも程がある。

 今回新たに出てきたポイント還元策は、クレジットカードや電子マネーなど現金以外で買い物をした場合に、金額の5%分をポイントとして消費者に戻すという。つまり今よりも減税になる。

 現金しか使わない人、あるいはさまざまな理由でカード類を持たない人、持てない人が恩恵を受けられないのは不公平だ。カード類を多用するお金持ちに有利になり、格差を拡大させかねない。

 低所得者家庭に発行を限るというプレミアム付き商品券も、慌てて二歳児以下の子がいる家庭を追加したが、利用する人の尊厳を十分考慮したのだろうか。

 現金しか扱わない零細商店にとっても恩恵はなく、あまりに配慮を欠いている。

 増税の影響を抑えるのに躍起になるよりもやるべきことがある。富裕層に有利な金融所得課税の増税にいつまでも手を付けないのはおかしい。六年近くのアベノミクスは格差を拡大させたが、今回の対策はそれを一層強めるだろう。
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「日本で働く理由ない」外国人技能実習、海外で悪評

2018-11-27 11:29:13 | 桜ヶ丘9条の会
「日本で働く理由ない」 外国人技能実習、海外で悪評 

2018/11/27 中日新聞

 外国人労働者を増やすため、政府が早期成立を目指す入管難民法などの改正案。今後五年で最大三十四万五千人を受け入れるとしているが、この土台となる外国人技能実習制度の悪い評判が海外に広がり、日本での就労意欲をそぐ事態になっている。発展途上国支援の名目だが、実態は「出稼ぎ者」に低賃金で働いてもらう制度。労働者の人権侵害に目を背けてきたことのつけが回ってきている。

 「仕事はほぼ立ちっぱなしで、座ればしかられた。五〇度近い高温の中、薬品のにおいが息苦しくて…。逃げ出したいと思った」

 二〇一三年九月から約一年間、技能実習生として岐阜県の工場で働いた范博文(はんはくぶん)さん(29)。過酷な体験を中国内陸部の江西省南昌(なんしょう)市から電話で語ってくれた。

 中国のブローカーから「日本で三年働けば三十万元(現レートで約五百万円)稼げる」と言われ、日本行きを決めた。「生まれ育った町は貧しかった。外に出たかった」。ブローカーに現地の年収分に当たる四万六千元(同約七十七万円)を払って来日した。

 中国の送り出し機関から染色の仕事とは聞いていたが、危険な肉体労働とは知らなかった。午前六時半から遅い時は午後十一時まで化学薬品を運び、冷房が効かない真夏も高温の液体で染料を煮て布を染める作業をした。

 手取りの月収は十一万五千円だったが、実習生を受け入れ、企業を指導する監理団体などに四万~五万円をピンハネされた。「あんなに働いたのにがっかり」。工場では「おめえ、ばかか」「国に帰れ」などと罵倒された。「中国人は怠けると思われ、見下す人もいた。このままいれば体を壊してしまう」と三年の予定を切り上げて帰国した。

 中国経済は好調で、南昌でそのまま仕事をしていても遜色ない収入が得られたのではないかと思う。少なくとも重労働や差別に苦しまずに済んだ。「つらい思いをしてまで、日本に働きに行く理由はなくなる」。今もインターネットで日本のニュースをこまめに読んでおり、外国人労働者の受け入れ拡大の議論も「知っている」と言う。

 「技能実習は日本が途上国の貧しい若者をだまし、安い労働力として使う制度だった。そう分かったからもう自分はやらない」

◆「希望は持つな」

 二十一日に参院議員会館の院内集会で発言した元技能実習生の中国人男性(38)も「想像もつかない残酷な働き方だった」と振り返る。〇五年四月に来日し、栃木県の農園で一日十四~十五時間働いた。住宅費として月六万円が引かれ、手取りは七万五千円ほどだった。

 「日本に来ても良い生活はできないし、好きな物も買えない。これから実習生になりたい人には『大きな希望は持つな』と言いたい」と語った。

 外国人技能実習制度は一九九三年に創設。対象職種は農業、建設、食品製造、介護など八十に上る。法務省によれば、今年六月末時点で日本にいる技能実習生は約二十八万五千人。日本の好景気で、二〇一二年以降増え続けている。

 実習生の送り出し国は以前は中国が最も多かったが、近年はより低賃金の東南アジアが増え、一六年からはベトナムが最多。昨年末現在の割合はベトナム45%、中国28%、フィリピン10%、インドネシア8%となっている。

◆「まるで焼き畑」

 違法な低賃金や長時間労働、暴言、暴力など実習生が日本で受けた人権侵害は送り出し国にも「悪評」として広がっている。

 ベトナムの送り出し機関の関係者は「例えば、介護はドイツなどに比べて賃金が低く、条件が悪すぎる。建設業などに応募する人も減っている。会員制交流サイト(SNS)で『あそこの現場はきつい』とか『怒鳴られる』という話が、あっという間に伝わるらしい」と話す。

 十月十三日、日本への技能実習や留学を希望する学生らを対象としたセミナーがベトナムで開かれた。日本大使館の桃井竜介・一等書記官は「ベトナムと日本の悪徳ブローカー、業者、企業がベトナムの若者を食い物にしている」と認め、イメージ悪化を懸念した。

 ルポライターの安田峰俊氏は「今は、過去の先進国日本の良いイメージを切り売りして人を集めているが、技能実習制度の悪評はアジアや欧州の海外メディアにも広がっている。ブローカーや一部の監理団体が搾取する仕組みを早く健全化するべきだ」と指摘する。

 安田氏が取材した中国人実習生の女性は「自分がいない間に中国の経済発展が進んで、完全に損した。もう二度と来ない」と断言したという。母国の経済成長によって日本との賃金格差が縮まれば、日本に行く理由がなくなるのは当然。送り出し国は中国からベトナム、インドネシア、さらにカンボジアやミャンマーへと移っている。「より低賃金を求め、次々に安い労働力を収奪していく。まるで焼き畑農業のよう」といずれは破綻するとみる。

◆「社会の一員に」

 日本とは対照的に、正面から移民政策をとった国がある。ドイツと韓国だ。

 日本国際交流センターの毛受(めんじゅ)敏浩執行理事は「ドイツは一九七〇年代から三十年間、まともに移民政策に取り組まない空白期間があり、定住した外国人労働者とドイツ人の間に大きな心の壁ができ、社会問題化した。その反省から二〇〇五年以降、移民をドイツ社会の一員ととらえる統合政策に転換した」と話す。

 〇五年に移民法が改正され、ドイツ語能力が不十分な移民は六百時間のドイツ語学習などを柱とした統合コースへの参加義務が課された。「日本がドイツの経験に学ばず、外国人労働者を安価な労働力だという固定観念でとらえていると、送り出し側から選ばれなくなるだろう」と毛受氏は言う。

 昨年、韓国で調査した大阪府箕面市多文化交流センターの岩城あすか館長は「韓国には日本より進んだ政策があり今や人気の移住先になっている」と語る。

 岩城氏によれば、韓国もかつて日本の技能実習制度と同様の制度があり、ブローカーによるピンハネやひどい労働環境が国際労働機関(ILO)などから批判を受けた。だが、〇三年に盧武鉉(ノムヒョン)政権が多文化政策に転換。政府が直接受け入れに関与することで、悪質ブローカーを排除した。「韓国人労働者との均等待遇、外国人処遇基本法、多文化家族支援法などを制定。多くの自治体に支援センターがつくられ、子どもらの手に職をつけてもらうプログラムも豊富だ」

 実習生らを支援するAPFS労働組合(東京)の山口智之執行委員長は「日本の労働環境はひどいから行かない」という外国人が増えることを懸念。「安価な労働力の受け入れだけでは失敗は目に見えている。政府は技能実習制度の間違いを認めた上で、『人』の受け入れ政策、『移民政策』として真正面から取り組むべきだ」と話している。

 (安藤恭子、大村歩)

選挙をハックするもの 週のはじめに考える(2018年11月25日中日新聞)

2018-11-25 08:26:33 | 桜ヶ丘9条の会
選挙をハックするもの 週のはじめに考える 

2018/11/25 中日新聞
 今月は米国で中間選挙がありましたが、選挙といえば、民主主義の土台。でも、そうなっていない場合もあります。選挙がゆがめられているからです。

 そう書いて真っ先に思い出したのは、普通の選挙ではないのですが、イラク戦争数カ月前の二〇〇二年秋にあったサダム・フセイン大統領の信任投票。現地で取材しておりました。大統領に次ぐ権力者のイブラヒム革命指導評議会副議長が世界中から集まったメディアを前に結果を発表します。

 「信任、100%!」

 ジョークか、と思いました。

ロシアの選挙「介入」疑惑


 ゆがめられた、という証拠はありませんが、まあ、その、普通に考えれば…。確か、エジプトの新聞のコラムがこんなふうにからかっていたと記憶します。

 「サダムは、さすがだ。アラー(神)だって、100%はとれない。仏教徒とか無神論者とかもいるんだから」

 最近なら、与党が100%議席を占めたカンボジア国会議員選挙も驚きでした。ロシアのプーチン大統領も今春、76%余の得票率で四選。まあ控えめかもしれませんね、二桁ですから。

 わが国でも、「出陣式で現金入りの餅をまく」みたいな、あられもない手法で選挙がゆがめられた時代が。いや、今でも買収などの摘発は時々ありますね。

 しかし、です。この手の「ゆがめられ方」など、米国の一件と比べれば牧歌的にさえ思えてきます。何せ、二年前の米大統領選に、ロシア政府が「介入」していたというのですから。

 トランプ氏の対立候補だったクリントン氏の陣営にサイバー攻撃をしかけ、不利な情報を流出させたりしたのだといいます。トランプ陣営との共謀が強く疑われ、捜査が進んでいます。

中間選挙と有権者の不信


 そのいわく付き大統領選から二年たって行われたのが、今月の中間選挙です。荒れ狂うトランプ台風の進路に関わるとあって世界が注視しました。結果は、上院で共和党が多数を維持した一方、下院は民主党が多数を奪還しました。その分析は措(お)いて、話を中間選挙直前に戻します。

 今月五日付のニューヨーク・タイムズ紙(国際版)。一面の記事に一瞬ぎょっとしました。

 「中間選挙が迫る中、一つの不穏な疑問が首をもたげる。この選挙はハック(hack)されるのか? 答えは…イエス。この選挙は既にハックされている」

 hackは、コンピューターのハッキングというときのハック。ゆがめられている、不正に干渉・操作されている、といったニュアンスでしょうか。またロシア? いや、記事はこう続きます。「この選挙は既にハックされている…たとえ、ニセ情報の拡散のために新たなルーブル(ロシアの通貨)が使われていなかったとしても」

 どうして、それでも、「既にハックされている」のか? 筆者の大学准教授は「選挙の正統性は、有権者がその選挙は公正だ、と認めているかどうかにかかっているが」と前置きし、最近の世論調査によれば「有権者の46%は投票が公正にカウントされるとは考えておらず、ほぼ三分の一は、他国によって結果が歪曲(わいきょく)されそうだと考えている」と指摘。「この不信は投票意欲をくじく要因。自分の票がまともに扱われないと考える時、どうして投票に行く?」と。

 即(すなわ)ち、問題の核心は人々に植え付けられた不信であり、それによって、民主主義の土台である選挙がハックされている、ゆがめられているというのです。


 幸運にも、わが国の選挙が他国に「ハック」された例は聞きませんが、不信の種なら、故意かと思うほど多くばらまかれています。

 強権的な政権運営、解明されないままの首相がらみの疑惑、事故の教訓をないがしろにする原発政策、エラー続きでも居座る閣僚、一向に対抗軸を打ち出せぬ野党…。これらは有権者の政治不信を育み、投票意欲をくじく。その意味では、わが国でも、政治の現状によって「選挙は既にハックされている」のかもしれません。

「古い悪魔」を眠らせよ


 しかし、それに抗(あらが)うのでなく、投票しても無駄というあきらめや無関心に陥るのはすこぶる危険です。その方がやりやすいと思う権力者がいれば、彼を利するだけでしょう。極端な話、あの記事も言うように「独裁出現の手助けになる」かもしれないのです。

 今、世界を見渡せば、単純化した“解決策”で大衆を誘導するポピュリズムや、それと近縁性の高いナショナリズムの台頭が目につきます。それを「古い悪魔が再び目を覚ましつつある」と表現したのはマクロン仏大統領。あきらめや無関心が広がれば、悪魔に手を貸すことにつながるでしょう。