「共謀罪に反対する声明」(立憲デモクラシーの会)

2017-03-16 17:55:27 | 桜ヶ丘9条の会
共謀罪法案に反対する声明

2017年3月15日
立憲デモクラシーの会

 政府は、広範囲にわたる犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の今国会での成立を図っている。同法案は、対象とする数が当初案より絞られたとはいえ、277もの罪を対象とするもので、刑事罰の謙抑性の原則(人権を制約しかねない刑事罰は必要最小限に留めるという原則)や、犯罪行為が既遂の場合に処罰するという原則など、刑事法の基本原則を揺るがしかねないとして、刑事法研究者からも広く、懸念や批判の声があがっている。

 政府は、国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約(以下「国際的組織犯罪防止条約」という)を批准する上で同法案が不可欠であると説明している。しかし、この条約は、Convention against Transnational Organized Crimeという英語名からも分かる通り、国境を超えるorganized crimeの活動防止を目的とするものである。

 organized crimeとは、マネーロンダリング、違法薬物・銃器の密輸・密売、売春目的での人身取引等の犯罪を、利得を目的として継続的に行う集団を指す(日本で言う「暴力団」、外国で言う「マフィア」)。organized crimeを「組織的犯罪」と訳すこと自体、妥当性に疑念があるが、277もの罪につき、共同で行う目的を持つ人の集まりを包括的に「組織的犯罪集団」とし、その活動を計画段階で処罰対象とする共謀罪法案と、国際的組織犯罪防止条約とでは、そもそもの趣旨・目的が異なる。各国に立法対応の余地を広く認める条約の文言(*)が、条約の本来の趣旨を超えて、異なる目的のために濫用されている疑いがある。同条約の公式「立法ガイド」も、各国の刑事法の諸原則に基づく法整備を求めるのみで、共謀罪の導入を必須とはしていない。

 また、政府は東京オリンピックを控えたテロ対策を、同法案が必要な理由として挙げているが、テロ対策を目的として、爆弾テロ防止条約、人質行為防止条約、航空機不法奪取防止条約等、数多くの条約がすでに締結されており、それらと国際的組織犯罪防止条約とは体系をそもそも異にしている。

 以上で述べた通り、国際的組織犯罪防止条約を批准するために、あるいはテロ対策のために、共謀罪法案の成立が必要であるとの政府の説明はきわめて不十分であり、納得のいくものとは言い難い。刑事罰の謙抑性、既遂処罰の原則等の刑事法の基本原則を揺るがしかねないものである以上、なおさら、立法の合理性・必要性は厳密に立証されるべきである。

 同法案については、法務大臣の指示で法務省が、正式の法案提出を待って国会で議論すべきだ(つまり、それまでは議論すべきでない)との文書をマスコミ各社に配付した後、撤回・謝罪にいたるなど、政府による説明の内容のみならず、審議に向けた政府の姿勢にも疑問がある。立法の合理性・必要性に深い疑念の残る法案を十分な説明もないまま、数の力で無理やり押し通せば、日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なうこととなろう。

* 国際的組織犯罪防止条約は、犯罪集団(organized criminal group)を、3人以上からなる継続的集団で、4年以上の拘禁刑で処罰されるべき犯罪の実行を目的とし、金銭その他の物質的利益を直接または間接に獲得することを目的とするもの、と広く定義している。

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1 コメント

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Unknown (【 おとり捜査:高校生にも? 大学生は無罪判決 】 大宮駅前 居酒屋 客引きアルバイト摘発事案)
2017-04-15 05:16:58
【 おとり捜査:高校生にも? 大学生は無罪判決 】 大宮駅前 居酒屋 客引きアルバイト摘発事案
blog.livedoor.jp/saitamalvdoor/archives/15057711.html

両事案は同時期かつ手法も同様。 高校生の事案も、おとり捜査が疑われる。

世間知らずの埼玉県警、若年層の辛苦も知らず。
#入学積立金 #奨学金返済

【 生活安全部長 】
2014年3月~2015年3月 生活安全部長 警視正 北沢一浩
2015年3月~2016年3月 生活安全部長 任警視長 北沢一浩

【 大宮警察署 】
2015年3月~2017年3月 大宮警察署 署長 警視正 尾前健三
2015年2月~2016年3月 大宮警察署 副署長 警視 塚本英吉

担当課は生活安全課か?
2014年9月(10月1日警視)~2016年3月 大宮警察署 生活安全課長 警部 伊藤好秀
2015年3月(4月1日警視)~2016年3月 大宮警察署 地域課長 警部 岩崎明


【 大学生 】
客引きの大学生 さいたま簡裁、捜査手法を批判
毎日新聞2016年10月18日 03時00分(最終更新 10月18日 03時00分)

執拗(しつよう)な客引き行為をしたとして埼玉県迷惑行為防止条例違反に問われた男子大学生(22)=さいたま市在住=に対し、さいたま簡裁は17日、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。瀬尾豊治裁判官は判決で「つきまとった距離や執拗性に犯罪の証明がない」と述べた。
男子大学生は、2月にさいたま市で居酒屋のアルバイト中、客になりすました男女の警察官に執拗に客引きをしたとして現行犯逮捕された。起訴段階では26.5メートルにわたって客引き行為をしたとされたが、大学生はこの距離などを否認していた。

 判決で瀬尾裁判官は「客引きをした距離は、起訴状の半分以下程度までしか認められない」とした。また、警察官が「(店に行くか)どうしようかな」「おいしそう」などの会話を大学生としていたことについて「むしろ警察官の方から積極的な応対をしていた」と批判した。

 瀬尾裁判官は判決言い渡し後、大学生に「裁判で嫌な思いをしただろう。就職も決まっているようなので、これからの人生に幸多からんことを祈ります」と語った。さいたま地検の葛西敬一・次席検事は「判決内容を精査した上で適切に対処したい」とコメントした。【内田幸一、遠藤大志】

http://mainichi.jp/articles/20161018/k00/00m/040/101000c


客引きの大学生に無罪 簡裁判決 捜査手法を問題視 埼玉
2016.10.19 07:04更新 産経新聞

居酒屋のアルバイトで執拗(しつよう)な客引きをしたとして、県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた男子大学生(22)=さいたま市=の判決公判が17日、さいたま簡裁(瀬尾豊治裁判官)であり、瀬尾裁判官は「つきまとった距離および執拗性についての犯罪の証明がない」として無罪(求刑罰金30万円)を言い渡した。

 判決文によると、学生は2月、さいたま市大宮区の大宮駅近くの繁華街で、客を装っていた警察官の男女2人に、26・5メートルにわたり執拗な客引きをしたとして逮捕された。学生は当初容疑を認めていたが、初公判では客引きをした距離などについて否認に転じていた。

 瀬尾裁判官は、捜査報告書や男子学生が客引きをした際の録音などから、実際に客引きをした距離は「半分以下程度までしか認められなかった」と指摘。執拗性については、警察官の方から積極的な対応をしたことを挙げ、「条例で守るべき市民の平穏という前提が失われていた」と捜査の手法自体に問題があったとの認識を示した。
 さいたま地検の葛西敬一次席検事は「判決内容を精査した上で適切に対処したい」とコメントした。

http://www.sankei.com/region/news/161019/rgn1610190045-n1.html

【 高校生 】

「がっつり安く」高3男子、警官を勧誘 客引きの疑いで逮捕/大宮署
埼玉新聞

居酒屋へ勧誘するため客につきまとったとして、大宮署は25日、県迷惑行為防止条例違反(不当な客引き)の疑いで、 上尾市に住む県内の私立高校3年の男子生徒(18)を現行犯逮捕した。
容疑を認めているという。

逮捕容疑は同日午後7時15分ごろ、さいたま市大宮区仲町1丁目、JR大宮駅東口近くの通称「南銀座通り」で、 警戒中の警察官に「居酒屋お決まりですか」などとしつこく客引きを行った疑い。

同署によると、男子生徒は居酒屋のアルバイトで、私服警察官2人に声を掛けた。
「がっつり安くします。30秒で構いません」などと24メートルにわたり、しつこく勧誘を続けたという。

県迷惑行為防止条例では、風俗店以外の営業行為においても、 公共の場で、手や服、所持品をつかんだり、立ちふさがったり、つきまとうなどしつこく勧誘することを禁止している。

同署によると、客引きの成果に応じて歩合給が加算されるなど、店の姿勢がしつこい勧誘の温床になっているという。
高校生らが繁華街で客引き行為に雇われるケースもあり、注意を呼び掛けている。

埼玉新聞 2016年1月26日(火)
http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/01/27/01.html

埼玉県警 不祥事
https://twitter.com/saitamatwitt

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