健康楽園。

健康に関する情報・提案を主にする。

尾本良三さん。

2006-07-09 | 聴けた!imaging.
心臓血管外科・移植外科・人工臓器を専門とする尾本良三先生のお話を聴きました。
JMS第10回総会の特別講演です。
東京大学医学部を卒業されてマサチューセッツ総合病院・心臓血管外科に留学した経歴の持ち主です。現在、埼玉医科大学病院・名誉病院長を務めます。
演題は「平成18年度医療制度改革と診療報酬改定:病院は生存をかけている。」です。
今年4月には、3,16%という大幅な医療費の引き下げがあったばかりです。引き下げの意味するところ、その影響を語ります。
「今回の医療費改定はすごく大きくて、このまま引き下げが続くと、医療の質低下に繋がりかねません。実際に自分の家族・親戚がかかる時心配になります。
私は心臓外科医だけど、経済大好きです。まず病院も儲けなければなりません。
三井記念病院に在籍していたときは手術ばっかりでした。それに比較すると、現在に埼玉医科大学は、カーム・クワイエットとても静かです。
三井記念病院は三井系26社が出資してできた病院で、将来稼ぐだろう金額分を三井銀行から借りて運営していましたから、ボーナスだって出るかどうかわからない状態でした。
今回は平成17年6月・医療経営実態調査をもとに改定幅を決めたというけれど、データーを故意にリークするところがあるんです。
国立病院は1施設あたり、月233万7000円の赤字だと示しています。
日本医師会は開業医の7-8割か赤字だといっていますが、中医協の調査では、月228万7000円の黒字ということになっています。
小泉さんが主宰する経済財政諮問会議では、医療費は30兆円でシーリングしたいとしています。伸ばさないということです。
確かに今回の改正で、小児救急医療の点数を上げたという良い部分もありますが、病院には小児科医がいなくなってしまっています。
リハビリテーションの点数改定はひどいですよ!患者さんが発病してから180日しか保険がきかないんです。リハビリ開始してからではないです。発病してからですよ。リハビリって時間が掛かります。こりゃー診療制限でしかないと思います。
地域連携クリティカルパス導入も増えてきます。あらゆる疾患で、完治までの一連の治療計画を立ててしまうものです。入院時にパスとして治療計画を契約しちゃいます。
DPC(マルメ・疾患によって医療点数を決めてしまって、その点数以内で治療する)も拡がってきます。
最近、心臓移植で有名な榊原記念病院が府中の不便なところに移ったけれど、ものすごく混んでいます。やっぱり患者さんに優しくて、患者さんが死なない病院は混雑しますよ!!
入院基本料が変わったので民間中小病院の経営は厳しくなるでしょう。
それと、介護療養ベッドを38万床から15万床の減らそうとしています。
数年前までは、看護師を少なくしても良いからと、一般病床から介護療養ベッドへの転換を進めたのに、そして一般病床を60万床も減らしてしまったのに、今回は掛けたハシゴを取り外すのだから厚生労働省はひどいです。
国立病院146ありますが、使用医薬品10401品目から7582品目に削減します。黒字化しないと、統合されて病院が無くなりますから必死ですよ。
みなさんのように、来年もあるっていう世界じゃーないです。
埼玉医科大学病院では600ベッドありますが、660名の看護師さんがいます。7対1をクリアしているので、全体の医療費が下がっても増収しています。
看護師さんがとっても、大切です。私もそうだったかもしれないけど、特に外科の先生は、看護師や麻酔医に対する言葉使いがキツイという傾向にあります。
「そんなことも知らないのか!!」って怒るのも患者さんの命がかかっているからだとも思うけれど、怒らないで指導しなければなりません。
私は若いドクターにこの辺を強く教員しています。
私は経済大好きですから、病院経営も「近江商人の原理」でやっています。
相手に・患者さんに利益をまず与えなければ、繁栄はありえないという気持ちで取り組んでおります。」
感動と改革の勇気を与えてくれたお話しでした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 丸の内ホテル | トップ | もとちゃんの痛い話。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

聴けた!imaging.」カテゴリの最新記事