神の手の提言。

	神の手の提言 ――日本医療に必要な改革 (角川oneテーマ21)
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神の手を駆使するブラックジャックか？
福島孝徳先生の講演会を聴いて、その中で、読んでみてくれ！！！って、勧められた著書です。
デューク大学脳神経外科教授で、カロライナ脳神経センター所長であり、FDAを相手とするコンサルタント会社も運営しているというまさにマルチスーパードクターです。
新高輪プリンスホテルでの講演も刺激的でした。
冒頭から、ストレートパンチの連続！！！直球でバッサバッサと切りまくる先生。
日本での島国根性まる出しの、医学教育、医学会がいやになって、２０年前日本を脱出！！

かっての勤勉な日本人はどこへ行ってしまったのでしょうか？皆さんは週休二日制ですか？何故、土日は休むのですか？私は土日こそ働きます。
バケーションは、人間をダメにします。休むとは無駄にすること、私は１日４、５時間しか寝ていません。
過労死っていわれますが、過労死はありえないです。みんなストレス死です。
今日も、午前中脳腫瘍で起き上がれない３０歳の女性を助けてから、こちらに来ました。私は年間６００例手術します。
ヨーロッパで脳外科のトップ医師の半分は、私の弟子です。

こんな導入部だから、度肝抜かれちゃうんです。

そしてこの推薦本を読みました。
また、なんて刺激的な内容でしょうか！！！！！
日本の医学部医師養成の問題点を具体的に、まさに提言しています。
先日のTPP問題有識者会議での三師会の二番目の意見、混合診療解禁反対とは逆に、「混合診療」は認められるべきだと言っています。
ドイツでは既に、いい医療を受ける為に自費でプライベート医療を組み合わせることが出来る。
決して、医療の質に差をつけるということではない！　高い水準の医療をきちんと支払いをしてもプレミアサービスを受けてもいいという選択肢もあるべきだという意見です。
日本では、厚生労働省が健康保険で認可されていない、優れた効き目の薬を自費で使うとなると、従来の保険治療適用されていた医療費も、まったく保険が効かなくなってしまいます。
これは、やはり患者さんに莫大な負担をかけることに繋がるがら、保険医療はあくまで保険で認めて、あとは寿司でも鰻でも松竹梅があってもいいのではないか？
という意見です。
これは、もっともだと感じます。
TPPと、
からんで、どうなんでしょう？？？？国民的議論を始める時ではないですか！！！！

高木和弘、東博でバッハ。

高木和弘、東博でバッハ。
マイミク、マサコさんの紹介で行ってきました。
東京国立博物館です。
まったく知りませんでしたが、今月１６日から４月８日まで、「東京、春、音楽祭」が、上野の森で開かれてました。西洋美術館では開催中の「ユベール、ロベール」展にあわせて、１８世紀のフランス音楽を集中的に数日網羅するとか、とても上野らしい粋な音楽祭。
これで櫻が満開だったら、なおよかったでしょうに。
いにしえを偲び、尊ぶという趣旨でしょうか、東京国立博物館　法隆寺宝物館でのバッハの連続演奏会。国立博物館の入り口と違う。
左へ歩くと、赤門と並び称される「黒門」があります。なんと、この黒門が入り口で、中が法隆寺宝物館でした。
知らんかった！！！
散歩したとき、あまりに門が綺麗なので、撮っておいた写真。もう、櫻が咲いてます。
この企画で嬉しいのは、休憩時間の宝物館の展示品を見せてくれることです。奈良へ行かなければ、、、、、、正倉院展でしか見ることが出来ないと思っていました。
すばらしい展示です。３０㌢くらいの飛鳥時代を含めての阿弥陀如来とか三蔵法師などなど、仏像が、いずれも重文、１００体くらいあります。
わっとびっくりで、すごかったのは、伎楽面でした。
七世紀くらい、百済から伝わったと記されていました。
仏教の伝来とともに、楽曲を鳴らしながら、路上でこの面で、踊ったり、劇を演じたといいます。なんせクスノキでできた巨大なお面。
悪を除く「金剛」、「酔胡王」「婆羅門」「酔胡従」「力士」「崑崙」「呉王」など、パワフルな面持ち！！！
人種が、アーリア人か、インド系に、彫りが極端に突出したお面でした。
どんな劇で、どんな音楽を奏でていたのか？？？？？？？、おおきく想像力を高めてくれました。

高木和弘さんのライブ、素晴らしかった。
バッハ、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ３番。
　　　　無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ２番。　　　　　　休憩はさんで、
イザイ、無伴奏ヴァイオリンソナタ６番。
バッハ、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ３番。
どの曲も、好きな曲ばっかり。
特に、イザイと、パルティータ２番のシャコンヌが素晴らしかった。大宇宙をさまよいました。
演奏会のあと、高木さんとおしゃべり！！！
「松山からいらっしゃったんですか？？？？」だって。
イザイとシャコンヌ、素晴らしかったです。と、お伝えしたら「うまくいきました。」と、本人も自信のコメントでした。
初春の素晴らしい一夜ありがとう！！！マサコさん！！！　

カフーを待ちわびて。

	カフーを待ちわびて (宝島社文庫)
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	宝島社

沖縄の離島が好きになっちゃう物語。
池上永一さんの「風車祭」（カジマヤー）読んだ印象よりもすごくわかり易く、こなれている沖縄方言もそんなに頻繁に出てこないし。
カフーとは、「幸せ」のこと。
殺処分されそうになったワンちゃんに付けた名前でもある。
「カフー　アラミシソーリ」　しあわせでありますように！！！
という、作者の願いが全編に、いきわたってる小説だと思う。
２００９年に映画化もされていて、玉山鉄二さんとマイコさんがタイトルロールを演じた、日本ラブストーリー大賞を受賞した小説でもある。
映画は、見ていないけど、どんなんだったんだろうなーーーー？？？？
離島の澄んだ海と、キラキラ輝く太陽と、さわやかな風が表現されていたんだろうなーーー！！！

明青（あきお）が、神社に奉納した絵馬に、お嫁さん募集と書いたのが物語の発端。女性幸（さち）からの手紙が、来る。お嫁さんになりに来るというのだ！！！　　　待ちわびる明青。
そして来た、同居してしまう二人。雑貨屋を手伝いながら、もどかしい初々しい生活が始まって、同級生によりリゾート開発計画で揺れ動く村の住民たち。
ここで、自然に結ばれればハッピーだけれど、読者は翻弄されるんだね、、、、、、、。
二転三転、どんでん返し、左右にオモイッキリ振られてしまう！！！！！！
明青は、同級生に幸が、俊一の女でが、仕掛人として送り込まれたのだと告げて、右に振られて、仕掛けを頼んだ女性は５０万円ネコババして、海外に飛んでいたんだと、、、、、左にオモイッキリ振られて、、、。
俊一が、島にいるべき自分の女と、幸が、違う人だと気がつかないことなんかあり得ないと感じるのですが、

振られたことが深み、陰影を濃くしたと判じて、あれこれ考えずに、もどかしい純愛を享受するのがいいんだね。

医療はどうなっていくのでしょうか？

「TPPを考える専門分野会議」では、最初に医師会薬剤師会看護協会の代表が口火を切りました。
我々は、日本の医療と、TPP導入協議に入るにあたって３つの質問要求を政府に出してあるのだけれど、回答がが無いんだ。
それは、
１、日本の公的医療制度をTPP協議から除外して欲しい。
　　これは世界に冠たる医療保険制度を勝手に浸食されるようなことは、国民の安心安全の利益に反することだ。
２、混合診療を解禁しないで欲しい。
　　この点は、私も誤解している部分がありました。混合診療を認めるということは、病気治療行為の中で、保健で認められている治療方法
　ならば、保険が効いて3割の負担で済んで、その上に海外の最新薬で保険に通っていない薬を使うと全額自負負担、保険が効いている部分まで　全額負担になってしまうので、患者さんにとっては混合診療解禁のほうがメリットがあるのではないかと思ってました。
　TPPで混合診療を認めるということは、本来の保険でまかなえる公的医療保険制度そのものを縮小させる方向に進んでしまう恐れがある。
　それを聞くと、安易に混合診療は認めるべきでないと思い直しました。
３、病院など、医療機関の経営に、株式会社の参入を許さないで欲しい。
　この３つです。
それを受けて、最初にオークランド大学教授ケルシー先生が発言しました。
　国、国民の社会的優先順位は、まずは健康であることがナンバーワンであるけれど、TPP導入は、その順位になっていない。ビジネス優先の順位になってます。彼らには公的医療保険制度が、民間サービス導入の障壁と映っている。
公的な制度を維持しつづけることは悪であり、民間サービス事業拡大を制限してはならないことだ。医療に保険制度薬価制度を優先してはならない。　　　つまり医療に営利のモデルを持ち込もうとするのが彼らの目的だ。
日本の薬価を決める交渉の場につかせろ！！そのプロセスに参加したいんだ。日本が決める薬価に異議申し立てをしたい。アメリカの特許を優先させ、巨大な製薬産業が独占権を強く高く維持したい。
TPPでは投資効果が大切で、それをさまたげることは不公平だと主張してくる。何故認めないかの圧力をかけてくる。制度決定への影響力を確実に持ちたい。
ニュージーランドでは病院を一時民間医療だけにまかせたがダメだった。
だが、一方、日本の公的医療保険制度、彼らには規制と映るけれど、その規制が、どのような効果を与えているか具体的な黙らせるレポートも必要だろう。
韓国の弁護士　宗さんは、
韓米FTAが、実効されようとしている中。彼らにとって暗黒と映る国民皆保険制度を攻撃してくる。たとえば薬価を決定するときに、異議申し立てが出来るように要求している。薬価決定の民営化をしろ！！！公的病院と競争する会社を保護しなくてはならない。
韓国では一部医療特区た認められていて、投資家がつくった病院が存在している。
やがて健康保険制度を変えなさいと訴えることができるようになる。
例えば、外科手術のやり方に特許を与えるべきだと主張する。治験データの独占も画策している。
そういっているアメリカが、なんと国民の５０００万人がどこの医療保険にも加入できないでいるんではないか。

日本は、誰でも一定水準の医療を受けることができるすばらしい国。
まさに、国民会保険制度という、世界一価値の高い「制度資本」が機能している。
TPPとは、その世界に冠たる制度資本が、営利によって浸食されてくることである。

医療を、アメリカの営利企業に引き渡してはならないと、強く感じ入った会議でした。　

医療の現状として、、、。

TPPを考える会の内容をお伝えする前に、日本の医療の立ち位置を確認してみます。
新高輪プリンスホテルで、カロライナ脳神経センター、ヂューク大学　福島孝徳先生の講演を聴きました。
神の手を持つ、年間６００以上の手術をこなす、プレミアスーパードクターです。この先生がアメリカに流出していること事態、かなり日本にとってマイナス問題で、専門医、専門病院の貧弱さの連鎖からですが、、、、、、。
先生の話しの後半部分の紹介から始めます。
日本の医療は、みなさんの健康がなにより人生で一番大切だという視点からは、世界一の医療制度を実現していると思います。
対GDP比率ですと、日本は８％強で約３４兆円使っています。
一方、アメリカはGDP比率１６％と、日本の倍の比率で金額では年間２５０兆円を使っています。
金額では７倍以上でしよう。
あの渋いイギリスでさえGDP比率１４％使っています。日本は先進２２ヶ国中最下位の比率で、世界一長寿国を実現しています。
しかし、課題もあって、教育が遅れていて古い！！！そして諸悪が医局講座制にもあります。
日本は、ドクターチャージ支払い制度が無いです。自由診療、混合診療無視。
初診料を比較すると、なんとアメリカでは、５００ドルとられるが、日本はたった２７ドル。
１日入院すると、アメリカでは平均１０００ドルかかるのに、日本ではビジネスホテル並み１５０００円です。
１００ベッドあたりの医師数、アメリカ７２人、日本１０人です。
盲腸の手術をすると、アメリカでは約２４４万円かかりますが、日本では３８万円ですみます。
日本の医療保険制度のおかげ、皆で助け合う相互扶助の保険料と、公費税金でまかなわれている医療で、保険に入っていると、だいたい総医療費の３０％の自己負担で医療を受けることができます。
まさに、氷山の一角、海水の下に隠れている氷山は、７割もあるのを実感としててもっていますか？？

アメリカは、この、高額な医療費を民間営利会社の保険料で支払われています。民間保険に加入するにはお金がかなり必要です。
だから、アメリカではメディケア、メディケイドのような公的保険制度もありますが、まったくなんの保険にも加入していない保険料を支払えない支払うことのできない方々が約５０００万人もいるのです。
高度専門医療施設は、アメリカのほうがいいところもあって、福島先生もアメリカ在住ですが、、、、、。
あまり格差　差別無しに、みんなが健康でいられますように！！！という願いを込めた制度は日本が優れている。

だけど、何故、もっと医療にお金をかけないのか！！！！！怒りを感じる福島先生。
話しは、発展します。
日本の国家公務員は約１００万人、地方公務員は約２００万人、外郭団体独立行政法人公もどきの人数５００万人に膨れ上がっている。
アメリカは、全州あわせても２００万人にしいません。
アメリカ上院議員１００人。
日本は、衆議院議員４８０人、参議院議員２４２人、都県議員２７００人、市町村議員２５０００人。
黒塗りの公用車６０００台。
厚生労働省だけで外郭団体９００。タクシーチケット５億円。

何故、もっと医療費を充実させないんだと、叫ぶ福島医師。


tppを考える会に参加したニュージーランドは、この公務員を構造改革でばっさり半分にした規制緩和先進国です。この議員さんが貿易協定締結、その後について、述べています。
ここから、医療に関するTPP問題に議論は進んでいきます。

TPPについて考える。

TPP協定に関する議論があ始まりました。日本もアメリカなどとTPPについて協議を開始していくことに同意しました。
いままで、日本の農業に関する、市場開放がTPPかと思っていましたが、あらゆる分野での市場開放の要求が来ていることを知りませんえした。

医療の分野にもTPP協定が関連するとは、、、、、、。勉強不足でした。
医師会、歯科医師会、薬剤師会三師会代表の一人としてTPPを考える会に出席してきました。
衆議院の議員会館に、はじめて入りました。
メンバーは、市場開放の速度が早いニュージーランドのノーマン議員、オークランド大学法学部ケルシー教授。米国パブリックシティズン貿易担当ワラック氏、医薬品担当メバードック氏。韓国国会議員権永吉氏。日本の衆議院議員さんたち。弁護士連合会市毛事務次長。
などなどでした。

日本の保健医療制度についての、規制緩和、制度改革の要求しているようですが、具体的な内容は、まだ公開されていません。
その議論は、のちに述べるとして、、、、。何故？世界一の医療保険制度が５０００万人近い人が健康保険でカヴァーされていないアメリカに改善を指摘されなければならないか？？　　　は、思います。

単純に農業関係者に、感じていることを述べてみたい。
日本の農業改革、国際競争力をつけるためのTPP導入と、言われていて、しかし、導入すると日本の農業は崩壊してしまうというのが、農業関連団体属議員の主張です。
しかし、ある分野では、既に日本の農業は崩壊している、すでにレイムダックではないかという疑問があります。
税金って消費税にみるように、数十パーセントがマーーーー常識範囲だと思っていました。しかしどっこい、日本の輸入関税はコンニャクイモに関しては１７０６％、エンドウ豆１０８５％、コメは、７７８％、小豆４０３％です。
輸入価格本体にこの税率を課して、その税金は、われわれから出ています。コメは、なんと７、７８倍の税金がかかって日本国内に入ってくる。
そして生産者米価があって、コスト含めた生産者の原価から、何倍か高く買っていて、（これも税金）。消費者米価といって、安く値段を引いて市場に出している。値引き、これも国民負担です。
でも、レイムダックではないんですね！！！！！国が税金で補填していますから、、、、、、、、。補助だけで生きてます。
コンニャクイモなんて酷いと感じます。ここまでして、国内コンニャクイモを守る必要性はどこにあるのか教えて欲しいです。

この上で、まだ、個別農家への補償金を継続して受け取ることと、農家の納税の現状はどうなっているのか？トーゴーサンの納税実態にどう答えるのか？？
農業関係者に質問したいです。

この農産物輸入課税の実態、新聞に掲載されたでしょうか？

ちなみに農産物輸入関税、全体では、シンガポール０、２％、ブルネイ０、１％、ニュージーランド１、６％です。
日本は、２１％。

ほとんどの大衆蕎麦屋で天麩羅蕎麦食べると、国産品はキザミネギだけだといいます。

小豆にしてもコメにしても、将来どういう競争力をつけていくのか、将来ビジョンゼロではないですか。
優れた農産物をつくり、輸入関税を、どこまで下げて、いって、農業をどうするのか？
その戦略、ほんとうの構造改革の青写真をまず、提示することからはじめないと、、、、、、、。
農業は、TPPどころではない。
農業は、大きな国内国家問題です。

砧。

３、１１追悼イベント。
能では、国立能楽堂「砧」でした。
開演に先立って、大阪大学名誉教授、臨床哲学者　鷲田清一さんの「語りきれないこと」災害からの復興と文化の力、お話がありました。
冒頭、昨日亡くなった、師と仰ぐ　吉本隆明さんへの想いが述べられました。
「哲学者、思想にかかわる者として、どんな事態、どんな問題に遭遇しても　自分の考えを表明する用意をしていなくてはならない。その責任がある。」と、常々おっしゃっていたこと、鷲田さんにとって、自分自身をかたちつくる大きな人格であったり、吉本さんとの考えの中で原点定点であるような人だったと、無念の思いを語りました。
自ら東北被災地に入った鷲田さん。
長い時間にケアが必要で、特に福島は、言葉をかけることのできない、憮然とした表情の被災者ばかりだと、、、。
自分の骨格自体を変えなければならない。失ったものの大きさがボディーブローとなり次第に打ちのめされていく、、、。どうして子供達を疎開させてくれなかったの！！！の、叫び。
細くても長く支援しつづけることの大切さ！
結びに、フランクル著「夜と霧」を引用されました。著者はアウシュビッツを体験された方だそうです。
あのおぞましい大量虐殺のなかで、生き残った人たち。ただ帰りたいなにか食べたいと、希望に身を預けた人ではなかったそうです。何かを期待して待つをあまりにも続けて絶望を繰り返すと、どんどん人を視野狭窄に陥らせて、神経が磨り減ってきて、とうとう待てなくなってくる。
アウシュビッツから生還した人たち。
待っている人がいる人が最後まで生き残り、生還を果たしたのでした。

この、世阿弥　晩年の傑作「砧」は、まさに待つということがテーマです。
前段、うつつの場面。訴訟のため九州から上京した夫を待つ妻。そこに夫の手紙を夕霧が届け今年の暮れには帰ると。そこで砧を夕霧と打ってちぎりを思うのです。
砧とは、ともに暮らした生活の音空気そのものでしょうか。「憂きを知らする　夕べかな。思いを述ぶる　夜もすがら。」地謡がこころに染み入ります。「軒端の松も心せよ、おのが枝々に嵐の音を残すなよ、今の砧の声添えて　君がそなたに吹けや風。、、、、我が心通いて人に見ゆならば、その夢を破るな、、、この衣誰が来ても訪ふべき、、、夏衣薄き契りは忌はしや、、、いざ衣打とうよ、　ひと夜ばかりの狩衣、、、逢瀬かひなき浮船の、ふたつの袖や萎るらん。」
なんと素晴らしい思いの世阿弥の謡か。
しかし暮れも帰らぬという都の便りに、病のために死んでしまう、
後段の夢、夢幻の世界では。
やせ衰えた妻の亡霊があらわれます。恋慕の妄執の苦しみを切々と訴えます。そして「契りの深き志　浅からざりし故ぞかし、君いかなれば旅枕夜寒の衣うつつとも、、、、、、、打ちし砧の声の中、開くる法の花心、菩提の種となりにけり。」
と、結びます。
世阿弥の砧、源氏物語「葵上」の古作を改作した作品だといわれています。
源氏物語「夕顔」に、「白妙の　衣打つ砧の音も、かすかに、、、、、忍びがたきこと多かり。」源氏が五条の夕顔の宿で一夜を明かしたおりの描写です。そこにまた語られないまま苦悩する六条御息所も登場する。御息所は栄華をきわめるが源氏との愛に破れ都を去ります。
六条御息所は、決して成仏することなく、死霊としてさまよい続けている。その救われない姿も、思いがただよいつづけ真実として美しい。
だが、「砧」では、
さんざん夫にたいする怨み述べた妻の霊は、右手の扇で床を打って、左手を夫に向って差し伸べる。
怨霊が個我を超越し脱し、ゆるしの瞬間、、、、、妻は救われ　夫も　見ているわたしたちも救われる。
源氏物語から、世阿弥は、わたしたちに救いをもたらしてくれる道を選んでくれた。

一日も早い復興を願うのみです。

信長の棺。

	信長の棺
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	日本経済新聞社

以前日本経済新聞朝刊に連載されていた小説です。
戦国武将の中で織田信長の人気は群を抜いています。楽市楽座の創設など、既成概念にとらわれない改革の意欲が一番感じられるのではないでしょうか。
天下統一直前に、光秀に殺されたのにも謎が残っていますし、あの狭い本能寺から遺体が発見されていないというのも、なにかおかしいと思います。
その謎に挑戦したのが本書。
信長広記を書いた信長にぞっこん惚れ込んでいる太田牛一の眼を通して、本能寺の変続編が始まります。
うーーーーん、なるほど、びっくりの最終章へなだれ込んでいきます。
雑学も豊富で、信長は海外からの知識を重んじたのも、暦の改革をしようとしたという視点から紹介も興味深い。遣唐使派遣以来７００年、大宮暦、三島暦、京暦、南都暦、伊勢暦などに分かれていて、季節感との大幅なズレがあり稲作などに大きい悪影響をもたらしていたのを、すでにユリウス暦からグレゴリオ暦を使用していた西洋の暦を使用し、田植えの時期を正確にして生産性を上げようとしていた信長。
そして、突然のキリスト教弾圧。
色小袖をまとい　胸に大きな十字架をかけたただひとり経帷子に身をつつんでいない若い信者が処刑されるエグイ場面も描かれている。

父が、よく、「時にハンレイなきにしもあらず。」だね、と、言っていた意味が、この本でわかりました。
私は、童謡こわいかに？を怖い蟹と誤解していたように、ハンレイは、裁判の判例かと思っていました。しかしこのハンレイは、中国春秋時代越の時代の好臣「笵蠡」という人物の名前だったのです。
霧が晴れた気分です。
後醍醐帝が北條氏に追われ壱岐に流されたとき、帝がおわしました院の荘の御館に忍び入り庭の櫻の幹を削り「天勾銭コウセンを空しうするなかれ　時に笵蠡なきにしもあらず。」
の詩文を残して落剥の帝を慰め申し上げたというエピソードが由来であると！！！

勇気づけ、力付け、希望をもたらす言葉だったとは、、、、、、、、、本は読むべしですね。

シンデレラ。

シンデレラ。
あの忌まわしい大震災津波原発事故から１年。追悼イベントが開かれました。
上野東京文化会館へ。
モナコ公国　モンテカルロバレエ団による「シンデレラ」のチャリティ公演でした。
二時半開演、まずは、バレエ団のエトワール　小池ミモザさんとモルロッティさんの創作バレエ「ラビーヌ」です。
モルロッティさんは上半身裸のチベットの僧侶を表現して、小池ミモザさんは悲しみにくれながら未来を切り開く人間をダイナミックに踊ります。モルロッティさんは、合間にチベットの鎮魂の鐘をかすかに響かせ、静かにしめくくりました。
団長の Jマイヨーが舞台にあがり挨拶がありました。フランス語です。
「本日、決して忘れることの出来ない特別の日に、日本の皆様に敬意と愛をこめて踊ります。モンテカルロバレエ団は５大陸２５ヶ国の団員からなっています。まさに世界中から日本への思いを踊りとしてお伝えしているといえるかもしれません。この厳粛なる追悼のときに、復活と創造のバレエ（シンデレラ）をお届けできるのは大きな喜びであります。」
メモで正確ではないけれど、このような内容でした。
モナコ公国総領事からは、モナコ公国君主アルベール２世からのメッセージが読み上げられました。
「一年前の本日　決して忘れてはなりません。人間が自然を支配できるという奢りを謙虚に見直す必要があるという警告でもあったと思います。
大震災にあたっての日本人の模範的勇気は決して忘れません。威厳と冷静をもって復興を目指す心と、人たちの組織力はきっと試練を乗り越えていけると信じております。そして日本の未来に大きく期待するものでございます。」
このようなセレモニーのあと、１分間の黙祷。
シンデレラの幕は、開きました。
プロコフィエフの名曲を大胆に解釈　演出し　振り付けしたマイヨー。単なる受け身で王子様に見初められるシンデレラ物語でなく、自分自ら境遇の不幸さを知りつくし、自分の姿を見て　幸福を得る術があることを確信して、舞踏会に乗り込んで行く。
全く新しい解釈。
継母と二人の連れ子姉に徹底的にいじめられ、仙女に導かれ淡い期待をもって王子に対するのではない。幸せを得る確信を持って運命を切り開いて行く新しい現代のシンデレラ像を描き出した。
何故、この「シンデレラ」を、３月１１日の演目に選定したか、明確に伝わって来た。

ロビーは、チャリティオークションの品々もたくさん展示してあった。二人の看板エトワール、コピエテルス、小池ミモザのバレエ靴、モナコホテルの宿泊券などなど。
ジュリエットの舞踏会での衣装と、バルコニーでの衣装も展示してあって華やか！！！

カーテンコールでは、舞台の背面が黒のビロードの幕が前面垂れ下がり、無数の蝋燭の火が輝き、また会いましょうのメッセージが表示された。
スタンディングオベーション！！！！！

厳粛で、未来への希望が感じられる午後でした。

メランコリア。

メランコリア。
地震はかなりの確立でやってくるけれど、、、、、、。惑星が地球に衝突するって、どのくらいの確立で起こりうることだろうか？
メランコリアとは、憂鬱の意味だと思っていましたが、映画の題名になっちゃいました。
一部、二部からなる構成。
一部は、既に衝突を知っていたというか地球の終わりを予感していているジャスティンが描かれてる。
第二部は、まったく知らなかった姉クレアが主体に描かれて、物語は一部からしっかりと繋がっている。
冒頭のフラッシュバック。
ワーグナーのトリスタンとイゾルデの前奏曲「愛と死」が荘厳に流れていて、映像が重なって、、、、、。
予感に満ちた始まりから、ヒロインジャスティンの結婚披露宴の場面へ。
幸せの絶頂にある彼女、しかし突然メランコリアがジャスティンを襲う。披露宴を中座してゴルフ場の芝生に放尿するジャスティン。バンカーの中で、初対面の部下となるべき男とセックス。
新郎の愛を受け入れられないジャスティン。シャーロットランプリングの反祝辞も痛烈だが、、、、、。
披露宴離婚となる。
「エターナルサンシャイン」で、パンティ姿でベッドで飛び跳ねていたキルスティン　ダンストは、可愛らしいだけだったが、、、、。
成長したなーーーーー。

そして接近する惑星メランコリア。姉クレア役のゲンズブールもすごい。
その夫は、男のひ弱さを表現しているのか、衝突を前に自殺。

驚愕の結末がやってくる。
なかなか受け入れられない終わり方だった。
判断し難い映画だなーーー。

ワーグナーの愛の死をバックに、失踪する姉妹の馬。俯瞰する緑との調和が素晴らしい！！！
これは映画の楽劇ではないかと感じました。