OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

ふりかえる

2012年12月31日 | 書道・筆文字
Cバンクのカレンダーが送られてきた。
外資なのに日本の古典的なかな。
このギャップがいい。

これみよがしの作品やらに辟易している身にとっては、とても新鮮にうつる。
月めくり3月の2枚目冒頭の「希婦」にまず引きつけられた。

いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな

と、歌の読み下し、変体がな解説、現代語の解説なども丁寧にあって、
ゆっくり一日と向き合うことを教えてくれる。

もっともここで働いている方々は、ワールドワイドに活躍されている方だろう。
忙しい方ほど時間が豊富にある。

忙しい、といって、心をないがしろにすることはやめよう、と思う。
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一本の道

2012年12月30日 | 日記
祖母の一番下の妹は、おっとりとして品のある美人だった。
だれがいったか「松山小町」。
こういうのはだいたいあてにならないものであるが。

いまは八十も半ばであるが、その俤はある。
もっとも私が知るその人の若かりしときは、30代後半から40代前半、こども4人の母親であるが。

その長年連れ添ったおじさんが亡くなって、お通夜にいったのである。91歳で大往生である。
おじさんは、がんこおやじであったが、親戚思いの人情の厚い人で、私もこどものように接していただいた。
その子どもたちは、父の従兄弟にあたるが、年齢は私との方が近かったので、私の従兄弟のような感覚である。

その祖母の兄弟の子どもで、私の従兄弟のような家がもう一件あり、その長男は書家である。
親戚の集まりでは決まって「まともな書家とまともじゃない書家」という私である。

亡くなったおじさんの孫娘は、松山小町の系列に入る。
3年前に結婚したが、彼が結婚を申し込みする際その家に来て、床の間の書をみて緊張した、という供養の席での話しになった。

孫娘も、二人のどちらが書いたか知らないらしく、夫婦でその時のことを思い出しながら、横に並んだ私たちに「どちらが…」と訊く。

もちろん、まともな方である。わたしは新築されたその家にさえいっていない。
まともな方は、最近までハーレーまで趣味で保有していて、余裕である。
お弟子さんも多いし、会の中心にいる。

教えていても、辞める人は少ないという。
どうして、ときくと、いっしょうけんめい教えているからだという。
まじめに長年取り組んできた成果である。

私もまじめに取り組んできたつもりだが、その取り組みは、まともじゃない一本の道につながる。
今のところ、軌道修正をするつもりはない。
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素人でいい

2012年12月27日 | 書道・筆文字
素人でいい。素人がいい。
そんな書展がまたやってきました。

「新選組のふるさと歴史館」で検索すればでてきますが、案内が分かりにくいかもしれませんが、
12月7日のトピックスに「新選組書展」のことがでています。

今年は、半紙に、

近藤天狗ニ成候
壬生
のいずれか一点を書く筆文字コンテストです。
1月20日締め切りです。

昨年の大賞は、書道にいっしょうけんめい取り組んでいると思われる女子高生でした。
木簡調のすばらしい作品でした。
ですが、そういう作品ばかりでなく、素人は素人の善さがある。
それを観ようとする意識があるコンテストです。

子どもから大人まで、どんなふうに書くかは、自由です。

書き初めは、3つの課題のいずれかを書いて、送ってください。

入選は20数点。ほとんど選外。でも、展示は、みんな飾る。
そこには、書の魅力がいっぱいある。


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ある先輩、ある師匠

2012年12月26日 | 日記
1月3日夜9時、BS朝日、タイトルは忘れた。
堀越さんのスペイン番組である。

堀越さんもスペインでは知らぬが、日本に居る時は片付けが苦手な方である。
絵も混沌としたなかに鮮烈なものがある。

以前、練馬に住んでいた頃、近くにお世話になった中国学の先生がいることを知り、訪ねたら、
居間はもちろん、玄関まで入れないほどに陶器がいっぱい。これも片付けられない紳士である。

私の片付けられない原風景は、むかしむかしTVで拝見した書斎の風景である。
師匠は金田一春彦先生である。

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はひふほ理屈

2012年12月24日 | 日記
私は、片付けるのが苦手なのだが、
年末ということもあって、少し部屋の掃除をした。

気になるものは、とりあえず、取っておく。
重ねる。また、重ねる。
みだれる。

ダンシャリだとかチョウセイリジュツとか、
私には縁がない。

前は、それでもどこにあるか覚えていたが、
最近は、最後には、記憶もなくなっている。

だから、掃除をすると、発見がある。

書いたものもすぐ捨てない。
書きなぐりであろうとも。

その日その時にしかないものがある。
それはあとでみると、原石のようにうつる。

明日もまた、居間にまで占領している本周りの掃除だ。
もう一か所の仕事場は田舎なので広い。
こっちも今週大掃除だ。

そうした影響をうけて、子どもまで、片付けられない人間になっているが、
「もう少しきれいにしろ!」とはいえない。

部屋の様子は、その人の頭のなかと同じだという。
そう、ぐちゃぐちゃである。

でも、そのつながる回路は面白い時がある。




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菊の香り

2012年12月22日 | 書道・筆文字
ご縁あって、掛軸が読めないから読んでほしいという依頼があった。
知人宛てに、アメリカから写真添付で送られてきたものの転送である。

薄暗い部屋に大きめの掛軸で、太めで気の強そうな行草作品である。
その前には、菊が四五輪活けてあって素敵なのである。
日本通のアメリカ人はそれを「和菊○堂」と読んだ。

○が知りたいわけだが、よくみると「和気満堂」であった。
和やかな気が部屋中に満ちている、というわけだが。

気は旧字の「氣」で書かれていて、菊にも見える。
いっそのこと「和菊満堂」でもいいじゃないかと思うほど、
その部屋の菊の香が部屋中に満ちている感じだった。



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選挙

2012年12月16日 | 日記
消去法で選ぶ選挙が終わった。
政治なんて関係ない、といっていられない時代になってきた。

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ほぼ素人句会

2012年12月08日 | 文化・芸術
枝(し)折り戸を開けて踏み入る冬の庭  胡蝶

おおきな栗の木の下を歩いて、空を仰ぐと柿の実がまだついていて、めじろが熟れた実をついばんでいた。
その向こうには、真っ青な空。飛行機が2機、めだかのような大きさで泳いでいた。 
世田谷の柳澤邸には、大きなくすの木や栗の木、柿の木から、柚子、金柑、山茶花、萬両まで多くの草木が茂る。

民芸調の住宅は、有形登録文化財となり、主なき部屋には冬のあたたかい日差しが差し込んでいた。

冬障子ひとますごとに陽を留めて 塩梅
咳ひとつ十字の梁の黒々と    日々軌(にちにちき)

ここの亡き主は、君江ということで、「君」の字を入れる句も求める。
句の出来より思いの強さが美しい。

君が逝き静けさ深し枯木立  時不知
冬日和君遺す地で句会あり  深井
小春日の君亡き跡の庭枯れて 太尾

街々では選挙戦が気ぜわしい。君は君でも、

似非君子連呼の声に舞う落ち葉  舞台袖

飛び入りで

オレンジに染まるは土手のどうだんか  くろさわさん

筆にしたためて句がいきる場合があるが、これも「オレンジ」がオレンジだったんだな。

ほぼ素人句会は、古舘曹人先生の句会精神を宗とした、つもり。
素人主宰2句目は、

主なくも枯葉あつめし風のあり

みんな3句、プロの句のようなすごさはなかったけれど。あったかい句でした。
何事もプロばかりがいいとは限らない。









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たっぺ

2012年12月04日 | 文化・芸術
「今日は寒いね~」
「昨日はもっと寒かったけどな~、耕地へでたら、たっぺが…」
「ん? たっぺ?」

実家での隣り近所が寄りあった時の会話の一こまである。

埼玉はほぼ中央、比企郡の東はずれ。
「べえ、だんべ」言葉がよく知られている。

「いくべえ」
「そうだんべ」
方言といっても、京の雅はなく、東北の温かさはなく…。

そこにいた40歳から60歳くらいでは、聞いても「たっぺ」はわからず。
80歳にして成立?

教育というよりは、ラジオの田舎への普及、特に、戦後以降のテレビなどの影響が大きいか、急速に標準語がでかい顔をしてきたのだろう。

たっぺを使ったおじいさん曰く「辞書にも載ってねえだろうな」

今の時代である。ネットで東京は多摩地方方言として、「たっぺ=霜柱」と載る。

武蔵野つながりか。


ふるさとの訛り懐かし停車場の人ごみのなかにそを聴きにゆく 啄木

ほんの一握り。
絶滅危機方言のひとつに「たっぺ」を認定する。


たっぺ踏む老人麦を踏むごとく  




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