紀州鉄道は、紀勢本線の御坊駅と西御坊駅とを結ぶ全長2.7kmのローカル私鉄です。
1928(昭和3)年12月13日に設立された御坊臨港鉄道株式会社が、街外れにある国鉄御坊駅と御坊市街地とを結ぶ目的で敷設工事を始め、1934(昭和9)年8月10日に御坊~日高川間が全通しました。
太平洋戦争を経て、利用者は徐々に増加し、1965(昭和40)年には100万人を超えていましたが、それ以降、利用者は減少に転じ、さらに貨物輸送も減少していきます。
そして御坊臨港鉄道の経営が困難となっていた時、東京の不動産会社が鉄道事業を約1億円で買収し、1973(昭和48)年1月1日に紀州鉄道株式会社となりました。
その紀州鉄道の末端区間の西御坊~日高川間(0.7km)は、1989(平成元)年4月1日に廃止されました。
日高川駅は日高港近くの天田橋近くに位置し、1980(昭和55)年頃まではチップを生産する製材会社からの貨物輸送で賑わっていました。 ただ、この末端区間の旅客輸送は以前から少なく、昭和50年代は1日10往復の旅客列車が走っていましたが、昭和60年代に入ると1日2往復にまで減少しており、利用者も1日に平均5人程度で、紀州鉄道がこの区間の廃止計画を発表しても反対運動すら起こらなかったそうです。
日高川駅にはホームが2面あり、片方は貨物用でした。 また、木材チップ積込みホッパーが2本の側線をまたいでいました。
(西御坊~日高川間の廃線跡)
(西御坊~日高川間の廃線跡)
(西御坊~日高川間の廃線跡)
(西御坊~日高川間の廃線跡)
(この先に日高川駅がありました)
(日高川駅跡。ホームの左手に駅舎がありました)
撮影年月日:2000(平成12)年8月19日
その時は西御坊~日高川間の乗客は私1人だけでした。