母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

高村光太郎の冬の詩

2023年12月18日 | 季節
 
    冬 が 来 た

        
                高村光太郎


きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
いちょうの木も箒になった
きりきりともみこむような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬がきた
       
冬よ 
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た

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