母さんのふるさと
白壁の家
ふじ色の明るいパラソルをさし
蝉なく深い森をくぐり
木の葉丸めて掬い呑む
甘い湧水の山の道を辿り
天井の高い大きな家でいく日か
夏の日を過ごし
ボーイスカウトの歌声に
夕暮れれば蜩も歌っていた
私の六歳
白い木綿の帽子に
赤とんぼが戯れ止まったのを
思い出しているけれどもう
かあさんはいつの間にか
小さく小さくなってあの長い
ふるさとへの山道を
パラソルをさして軽やかに
歩いてゆくことはありません
白壁の家
ふじ色の明るいパラソルをさし
蝉なく深い森をくぐり
木の葉丸めて掬い呑む
甘い湧水の山の道を辿り
天井の高い大きな家でいく日か
夏の日を過ごし
ボーイスカウトの歌声に
夕暮れれば蜩も歌っていた
私の六歳
白い木綿の帽子に
赤とんぼが戯れ止まったのを
思い出しているけれどもう
かあさんはいつの間にか
小さく小さくなってあの長い
ふるさとへの山道を
パラソルをさして軽やかに
歩いてゆくことはありません