A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【セットリスト公開】ディープリスニング覚醒DJイベント『盤魔殿スピリチュアルラウンジ』@2021.5.28 fri 四谷三丁目 CON TON TON VIVO

2021年05月31日 01時05分30秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿スピリチュアルラウンジ 
DISQUE DAEMONIUM SPIRITUAL LOUNGE


2021.5.28 fri
18:00 open/start (20:00終演)
CON TON TON VIVO(四谷三丁目)



"まったりと瞑想しながら意識を変革しチャクラを開くディープリスニング覚醒イベント"と銘打って開催された盤魔殿スピリチュアルラウンジ第1回。緊急事態宣言時短要請に従って平日の18時開演、20時終演という早い時間の開催だったので、無観客イベントになることも覚悟していたのだが、蓋を開ければお客さん10人超えの大盛況。CON TON TON VIVOは今年5月にオープンしたばかりの新しいライブハウス。内装はお洒落で音響はバッチリ、そのうえメキシコ料理も楽しめる。じっくり音楽を味わうDJイベントにぴったりの会場だった。四人のDJのそれぞれ個性たっぷりの選曲で四谷三丁目の夜を不思議なカラーで染め上げた。


【Set List】
●DJ Necronomicon a.k.a.剛田武


1. ウイルヘルム・ケンプ(p) / ベートーヴェン:ピアノ奏鳴曲 第十四番 嬰ハ短, 作品17の2「月光」
2. Laszlo Sary / Flowers Of Heaven
3. The Residents / Numb Erone - Guylum Bardot
4. 松本清治 / ピアノ曲 op.203
5. John Cage / Sonatas II for prepared piano
6. 吉村弘 / Clounds
7. 上野耕路 / Anemic Cinema
8. 松本清治 / 別れ op.61
9. フリッツ・クライスラー(vn), フランツ・ルップ(p) / ロンドンデリー・エアー
10. フランク・ミルズ / 愛のオルゴール



●DJ SubRosa a.k.a.由良瓏砂


1. ヰタ・スピリチュアリス "King Solomon"
2. ENIGMA "Mea Culpa"
3. Dead can dance "Xavier"
4. Jan Jirásek "Missa Propria Credo.Agnus Dei"
5. Talk Talk "The Rainbow"
6. 靜香 "Amanorata"
7. 桃山晴衣 "仏は常に居ませども"
8. 古舘徹夫 "死の判決"
9. 森川誠一郎 "現身"
10. LIBIDO "低く飛んでゆく"




●DJ Aura Noir a.k.a.黒い瞳


1. Semiramis / La Bottega Del Rigattiere
2. Lena Platonos / Sabotage(remix)
3. Pascal Diatta & Sona Mané / Dioudiou Coumbouta
4. 成田雲竹 / 津軽山唄
5. Audio Bullys / Shot You Down (feat.Nancy Sinatra)
6. Jestofunk / Stella Funk Lazzaro Shoes
7. Alfio Antico / Luna Lunedda (Pizzica)
8. Lupercalia / Stil Compsito
9. Irfan / Retuen to Eden




●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫


1. J・A・シーザー / 草の迷宮三千里1
2. J・A・シーザー / 草の迷宮三千里2
3. J・A・シーザー / フリーダム
4. J・A・シーザー / 健さん愛してる
5. 三上寛 / おまわりさん
6. 黒百合姉妹 / 水のマリア Ave Maria -water-
7. 森田童子 / 春爛漫
8. 水族館劇場 / NADJA 夜と骰子とドグラマグラ メインテーマ
9. 黒百合姉妹 / 冬のはじまり / Words Juri, Music Honey
10. 曲馬舘 / 狂騒~別離(日本乞食オペラ)
11. 月蝕歌劇団 / ワルキューレ
12. 山谷初男 / 毛皮のマリー
13. J・A・シーザー / すべての人が死んで行く時に
14. 曲馬舘 / 狂騒~サーカスの唄’77(道化と鞦韆)
15. 李麗仙 / 風の又三郎
16. 曲馬舘 / 夢魔~李よさようなら(道化と鞦韆)
17. J・A・シーザー/東郷健 / 君は答えよ
18. J・A・シーザー / 1970年8月




▼フル音源公開!


▼次回もよろしくお願いします!


時に迷走
時に瞑想
いつも不可思議
盤魔殿

▼Gothic Bar Placeboの天探大介改めむちゅくれさん&由良瓏砂の音楽ユニット「ヰタ・スピリチュアリス」の楽曲「King Solomon」
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【開催中・アーカイブ有】オンラインイベント『セレブレイティング・トニー・コンラッド』~出演:灰野敬二/シャルルマーニュ・パレスタイン/ジム・オルーク/J.H.ペロン(ファウスト)他

2021年05月28日 23時09分38秒 | 素晴らしき変態音楽


アメリカを代表するミニマリストであり実験音楽家であり前衛映画作家であったトニー・コンラッドが2016年4月9日に亡くなってから5年。それを記念してネブラスカ州オマハを本拠地とする現代アート組織べミス・センター(Bemis Center for Contemporary Arts)と、トニー・コンラッドをはじめFaustや灰野敬二のNazoranai、The Necksなどのエージェントであるフロント・ポーチ・プロダクション(Front Porch Productions)により、故トニー・コンラッドに敬意を表し、世界中のミュージシャンやパフォーマーとのコラボレーションを紹介する2日間のオンライン・ストリーミング・フェスティバル『Celebrating Tony Conrad』が開催されている。

公式サイト:Virtual @ LOW END | Celebrating Tony Conrad

(以下は公式サイトのインフォメーションより)
トニー・コンラッドが亡くなってから5年の間に、2016年にタイラー・ハビーによるドキュメンタリー『Tony Conrad: Completely in the Present』が公開されたり、2018年にバッファローのAlbright-Knox Art GalleryとUB Art Galleriesで回顧展『Introducing Tony Conrad: A Retrospective』が開催されるなど、彼の作品は広く紹介されてきた。ドローン音楽と構造的映画の先駆者であるコンラッドは、サウンドアートと実験音楽に於ける最も重要なアーティストの一人であることは間違いありません。

Bemis CenterとFront Porch Productionsは、様々なアーティストを招いて、コンラッドとその作品、そして生前の共同作業へのトリビュートとして、映像制作を依頼しました。このバーチャル・ストリーミング・フェスティバルは、コンラッドの遺産が今なお生きていることを明らかにするとともに、コンラッドをミュージシャンとして世界に紹介したアーティストや、彼とコラボレーションしたアーティスト、生前に彼から影響を受けた友人たちを紹介することを目的としています。

『Celebrating Tony Conrad』の出演者はアメリカ、日本、ヨーロッパ各地から集まった出演者は以下の通り:トニー・ビローニ(Tony Billoni), MVカーボン(MV Carbon), アンガラッド・デイヴィス(Angharad Davies), アーノルド・ドレイブラット(Arnold Dreyblatt), デヴィッド・グラブス(David Grubbs), 灰野敬二withテッド・コンラッド(Keiji Haino with Ted Conrad’s visuals), ラリー・セヴン(Lary 7), ジム・オルーク(Jim O’Rourke), シャルルマーニュ・パレスタイン(Charlemagne Palestine), ジャン・エルヴェ・ペロン(Jean-Hervé Péron of Faust), ジェニファー・ウォルシュ(Jennifer Walshe), C.スペンサー・イェ(C. Spencer Yeh)。プログラムの紹介は『Introducing Tony Conrad: A Retrospective』を共同で企画したBemis Centerのチーフキュレーター兼プログラムディレクターのレイチェル・アダムスが行っています。

プログラム
DAY 1
日本時間 5月28日(金)*初回配信終了後、72時間(3日間)アーカイブ視聴が可能。
6:00 AM Jean-Hervé Péron of Faust
6:20 AM Jennifer Walshe
6:35 AM Lary 7
6:55 AM Keiji Haino + Ted Conrad
7:25 AM MV Carbon
7:35 AM Charlemagne Palestine + Tony Conrad

*灰野敬二は2016年11月20日六本木SuperDeluxeでの「フリッカー with 灰野敬二」(16mmフィルム上映に合わせたライブ)のハーディガーディ演奏と、トニー・コンラッドの息子で映像作家のテッド・コンラッド制作映像とのコラボレーションで参加。
*ジャン・エルヴェ・ペロンの映像の中に1994年4月ニューヨーク・ニッティングファクトリーに於けるトニー・コンラッドwithファウストのコンサートのアンコールで灰野敬二が加わったライヴ映像が見られる。

Virtual @ LOW END | Celebrating Tony Conrad:DAY 1



DAY 2
日本時間 5月29日(土)*初回配信終了後、72時間(3日間)アーカイブ視聴が可能。
6:00 AM Arnold Dreyblatt
6:30 AM Angharad Davies
6:50 AM Tony Billoni
7:00 AM David Grubbs
7:20 AM C. Spencer Yeh
7:35 AM Jim O’Rourke + Tony Conrad

Virtual @ LOW END | Celebrating Tony Conrad:DAY 2


永久に
鳴り続ける
ドローンの明滅

The Flicker (Tony Conrad, 1966)

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【イベント情報】6月11日(金)『Sound of BURST DAYS』@千駄木Bar Isshee~出演:ピスケン(曽根賢)+ ケロッピー前田 + DJ TKD / ゲスト:釣崎清隆、剛田武

2021年05月27日 00時57分02秒 | ネコ動画


2021年6月11日 (金)
東京・千駄木Bar Isshee
open 19:30 / start 20:00
投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)

【Sound of BURST DAYS】
ピスケンこと曽根賢(伝説の雑誌『BURST』元編集長)が、盟友・ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)と釣崎清隆(死体写真家)とともに千駄木登場。渋谷Bar Isshee時代から縁のあるTKD武田を交えてピスケン朗読ライブ、地下音楽家・盤魔殿主宰の剛田武&ケロッピーの即興デュオ、さらに釣崎清隆とのBURSTセッションも!!

ピスケン(曽根賢)+ ケロッピー前田 + DJ TKD
ゲスト:釣崎清隆、剛田武

【要予約】(Live & Talk)
予約受付メールアドレス:barisshee@keh.biglobe.ne.jp

【出演者プロフィール】
ピスケン/曽根賢:ポエトリーリーディング
1964年、宮城県生まれ。平和出版勤務を経て、1995年、白夜書房/コアマガジンに持ち込み企画で雑誌『BURST』を創刊。若者から支持をあつめ、『TATTOO BURST』『BURST HIGH』など複数の雑誌が派生し編集長をする。2000年、短編小説集『バーストデイズ』(河出書房新社)を上梓。野間文芸新人賞候補作となる。2005年、『BURST』休刊。コアマガジン退社後は小説の執筆を続け現在に至る。
曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

ケロッピー前田:ディジュリドゥ パーカッション 電子音 他
1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!
公式twitter:@keroppymaeda

DJ TKD:サウンドマニピュレーション
DJ、音楽ライター、漫画原作者。80年代後半より下北沢ZOO、恵比寿MILKなどでレギュラーDJとして活躍。2000年からコミックビームを中心に漫画原作者として『LAZREZ』などを上梓。得意ジャンルはロックとノイズなど。

釣崎清隆:ベース
死体写真家・映像作家・文筆家。ヒトの死体を被写体にタイ、コロンビア、ロシア、パレスチナなど世界各国の無法地帯や紛争地域を取材し、これまでに撮影した死体は千体以上。

剛田武:リードフルート、ノイズドール 他
1977年パンクに衝撃を受けバンド活動開始。80年代前半地下音楽と交わる。サイケバンドでTV番組『イカ天』に出演するも94年に解散。サラリーマン生活の傍ら2005年にブログ「A Challenge To Fate」をスタートし、音楽サイトJazzTokyo等で執筆活動。著書『地下音楽への招待』(ロフトブックス2016年)。DJ NecronomiconとしてDJイベント『盤魔殿』および自主レーベル「Les Disques Du Daemonium」を主宰。2019年より演奏活動再開。

#バースト​​・ジェネレーション presents 「#BURST​​ #公開会議​​ #04 #酒井よし彦​​ 」#剛田武​ #ピスケン​ #釣崎清隆​ #ケロッピー前田​


BURSTの
音楽イベント
爆裂せよ

Keroppy Maeda x Takeshi Goda ケロッピー前田 x 剛田武 Electric Tjurunga(エレクトリック・チューリンガ)- Digest
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【出演DJが選ぶイチ推し盤紹介】5/28(金)開催『盤魔殿スピリチュアルラウンジ』@四谷三丁目 CON TON TON VIVO*開演時間変更あり

2021年05月25日 00時29分04秒 | 素晴らしき変態音楽


まったりと瞑想しながら意識を変革しチャクラを開くディープリスニング覚醒イベント

盤魔殿スピリチュアルラウンジ 
DISQUE DAEMONIUM SPIRITUAL LOUNGE


2021.5.28 fri
18:00 open/start (20:00終演)*開演時間が変更になりました。ご注意ください。
Charge 1000 Yen

アンビエント、ニューエイジ、スピリチュアルジャズ、トラッド、フォーク、民族音楽、劇伴音楽、サントラなど、ラウンジ的な音楽でリラックスしながらお店のラム酒など楽しんで頂けたら!
Ambient, New Age, Spiritual Jazz, Trad, Folk, Ethnic, Easy Listening, Theatrical, Soundtracks, Lounge etc...

出演DJ紹介【異端音楽イベント情報】盤魔殿スピリチュアルラウンジ、5月28日(金) 四谷三丁目CON TON TON VIVOにて開催

CON TON TON VIVO
tel 03-6274‐8383
〒160-0006 東京都新宿区舟町7番 舟町ビル 地下1階
予約https://www.contontonvivo.com/reservations



Time Table
18:00 - 18:30 DJ Necronomicon a.k.a.剛田武
18:30 - 19:00 DJ SubRosa a.k.a.由良瓏砂
19:00 - 19:30 DJ Aura Nor a.k.a.黒い瞳 
19:30 - 20:00 DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫



【出演DJが選ぶイチ推し盤】
●DJ Necronomicon a.k.a.剛田武


『松本清治 作品集第11集 / Seiji Matsumoto Original Part XI』
1970年代~80年代に京都で開業医をする傍らオリジナルの現代音楽のLPを自主制作で20数枚リリースし続けたピアニスト松本清治。日本の能に大きな影響を受け、ピアノを使っていかにして調性という西洋ヨーロッパ音楽の束縛を破れるかという挑戦を10年以上に亘って実践したにも関わらず、80年代後半に忽然と消息を絶った謎の地下音楽家である。音の流れ、間、ロマンチシズム、対立性、空間性といったファクターに基づいた独自の音楽理論を論じ、シェーンベルクを越える音階を考案しようと12微少全音階、微上昇性12平均律、上昇性12平均律などの特殊なピアノ調律を用いて200曲を優に超えるオリジナル曲を録音した。そのすべてが楽譜が存在しない作品、すなわち即興演奏に限りなく近い。あまりに独創的な音楽性と演奏法は、オリヴィエ・メシアンや武満徹をはじめとする伝統と権威に縛られた当時の現代音楽界から完全に無視され抹殺された。これほど多作でありながらプロフィールや消息に関する情報はネット上に全く存在しない。Vanity RecordsやDD.Recordsといった80年代地下音楽を先取りした稀有な存在を今こそ世に問いたい。その他ピアノを中心とした安らぎのBGMをお届けします。


●DJ SubRosa a.k.a.由良瓏砂


『LIBIDO / 低く飛んでゆく』
盤魔殿では今まで幻想的な女性ヴォーカルものを中心に流してきましたが、今回「スピリチュアルラウンジ」では、東洋思想と西洋思想の対比をテーマに選曲しようと思います。
東洋サイドの一曲は、故・成田弥宇氏率いるLIBIDOの『低く飛んでゆく』。民族音楽的なメロディとリズムに、深淵から響いてくるような、成田氏の歌声。寺の住職でもあった成田氏の死生感が、色濃く表れているように思います。29歳で亡くなった成田氏とはお会いできず仕舞いでしたが、やはり住職である弟の昌彌さんとバンドを組み、何回忌かの追悼イベントに出演させて頂きました。
西洋サイドの一曲は、手前味噌ですが、横浜のゴシックバー・プラシーボのマスター天探大介&由良瓏砂のユニット「ヰタ・スピリチュアリス」の曲『King Solomon』を初披露予定です。録音が間に合うか…。


●DJ Aura Nor a.k.a.黒い瞳


『L'arpeggiata Etc / La Tarantella-antidotum Tarantulae: Pluhar』
タランテッラータランチュラに刺されたその毒を治癒するための音楽、あるいはその毒により踊り狂って死に至る様を表現した音楽という説(タランティスモ)。リスト、チャイコフスキー、ショパンなどもタランテッラを作曲している。この一枚は、南イタリアの伝統として伝わるタランテッラを、 L'arpeggiata、Marco Beasley、歌はLucilla Galeazzi、Marco Beasleyらが現代に再構築した、タランテッラの集大成とも言える作品。
実際にタランチュラには毒がほとんど無く、タランティスモはただの伝承だとしても、力強くも生々しい南イタリアの歌声と美しくも時に狂気的な打楽器の熱狂は、それを信じてしまうほどの魅力を孕んでいる。


●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫


『日本暗黒演劇音楽史 J.A.シーザー』 
風の旅団 水族館劇場 山谷初夫 森田童子 状況劇場 東京キッドブラザース 曲馬舘 など アングラ演劇の劇中歌・劇伴音楽で 昭和の新宿にタイムスリップさせます。 一押しの盤はいろいろありますが、『J.A.シーザーリサイタル 国境巡礼歌 完全版』が収録されたJ.A.シーザー60年代末期のサイケデリックカルチャーの影響を受けて若きシーザーが作り上げたジャパニーズサイケデリアの名曲が、森岳史のファズをきかせた泣きのギターによってパワーを注入されて爆発する、聞かずには逝けない名盤です。レコードに収録しきれなかった『山に上りて告げよ』はイントロの録音状態が良くはないのですが、新高恵子のナレーション、そしてボーカル、歌詞、森岳史のギターのフレーズと、すべてがあの時代にしかなかった貴重なアトモスフェアを伝えてくれる。

まったりと
瞑想できる
盤魔殿

J・A・シーザーと悪魔の家『ライブ&ヒストリー螽蟖歌』 「越後つついし親不知」
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【過去レビュー 2013年6月15日記】『.es/darkness』~「この音を聴け!」と叫ぶかの如き圧倒的な存在感

2021年05月21日 01時08分45秒 | 素晴らしき変態音楽


書きべき原稿の筆が進まないので、過去のレビューを読み返して初期衝動を取り戻そうとしている。本稿は筆者が初めてJazzTokyoへ寄稿したレビュー2本の内の1本である。

『.es/darkness』
text by 剛田武 Takeshi Goda

Nomart Editions 番号無し 2,100円(税込)
.es(ドットエス):
橋本孝之 Takayuki Hashimoto(sax,g,harmonica, 改造尺八他)
sara(p,perc.,dance 他)

1.darkness 26:30

Live at Gallery Nomart, Osaka, November 3rd, 2012

Photo: 稲垣元則 Motonori Inagaki
Producer: 林聡 Satoshi Hayashi

2009年に大阪の現代美術ギャラリー「ギャラリーノマル」をホームに結成された.es(ドットエス)は、橋本孝之(サックス、ギター、ハーモニカ、改造尺八等)とsara(ピアノ、パーカッション、ダンス他)の二人の即興演奏家によるコンテンポラリー・ミュージック・ユニット。 現代美術ディレクター林聡がコンセプトをプロデュースしている。.esとはスペインに於ける.comや.jpのようなインターネットの国別ドメインで、当初アヴァンギャルド・フラメンコをコンセプトに結成されたためだという。saraはフラメンコ・ダンサーでカホンやパリージョ(カスタネット)も演奏する。

ギャラリーノマルで美術や映像とのコラボレーションを重ね、2作の限定CDを制作するが、現在のスタイルを確立し、大阪以外でも知られることになったのは2011年10月リリースの3作目『オトデイロヲツクル』だった。美術家の中原浩大とのコラボレーションによる、ビーズを印刷した透明フィルム仕様カバーに、コンパクトディスク盤とWAV盤(24bit 48kHz)の2枚が収められたパッケージは紛れもないアート作品だった。しかしパッケージ以上に衝撃的だったのは収録された演奏だった。激しい情念が噴き出すサックスの歪んだ音色が、奔放なピアノのフレーズと重なり合い、交感する魂のせめぎ合いは、否応無しに阿部薫を彷彿させた。

小杉武久、阿部薫、高柳昌行、灰野敬二にインスピレーションを受け、コムデギャルソンの川久保玲の美意識に強く共感するという橋本は、.es結成以前には表立って演奏活動を行うことはなく、15年以上に亘って、発表するあてもなく、何かに取り憑かれたように練習を続けていたという。「あれが練習だったのか、どうかも、今ではもうちょっとわかりませんが...やらずにはおれなかったのです」と語る橋本の静かな情熱が、.esという場を得たことで一気に噴出したのだろう。21世紀も10年過ぎてこれほど生々しく自己主張する激しい音の渦が生まれるとは、まさに驚異的である。

さらにこのエモーションの塊のような演奏が、薄暗くタバコ臭いジャズクラブやライヴハウスではなく、現代美術ギャラリーから生まれてきたという事実が興味深い。かつて小杉武久率いるタージマハル旅行団が美術館や博物館で演奏したことを思わせるが、磯端伸一もカフェに併設されたギャラリーを拠点に活動することを考えると、21世紀に於いて芸術表現を創造する場が、従来の演奏の場ではなく、ギャラリーや展示場に移行したとは言えないだろうか。

『オトデイロヲツクル』以来、藤本由紀夫とのコラボ作『Resonance』(2012年2月)、今村源とのコラボ作にして初の全国リリースとなった『void』(2013年1月)に続きリリースされた最新作が本作である。昨年11月ギャラリーノマルで開催された「稲垣元則展darkness」でのライヴ・セッションを収録。アルバムを重ねる毎に進化する演奏がさらにスケールアップし、ギャラリー空間の深い自然リバーヴの中で繰り広げられる情念の即興演奏は、ジャズやロックや現代音楽といったジャンル分け不要の「この音を聴け!」と叫ぶかの如き圧倒的な存在感を発している。特に情動的なカホンの連打の上に引き裂くような絶叫を聴かせるアルトの破壊力は、使い古された表現だが文字通り「魂の叫び」に他ならない。

稲垣元則の作品とその世界観をできるだけ表現できるように、ジャケットと盤面の表現、質感、見え方にこだわり、テーマのdarkness、稲垣元則の写真作品、そして.esの音のコラボレーションが印象的に浮かび上がるように制作されたコンセプチュアルなアート作品である。

彼らは昨年から様々な音楽家とセッションする機会が増えている。美川俊治(非常階段、インキャパシタンツ)、鈴木創士&ユン・ツボタジ(EP-4)、Pika(元あふりらんぽ)などロック系から、豊住芳三郎、ジョン・ラッセル、ジアンニ・ジェビアなどジャズ・即興系まで幅広い。橋本自身はいわゆるジャズよりも、美川俊治、佐藤薫(EP-4)、藤本由紀夫(現代美術家)などロック・アート寄りのアーティストから音楽だけではなく、物事に対する考え方、見方も含めて影響を受けているという。そんな柔軟な姿勢が新世代の即興音楽の先駆けとなることだろう。

良き先輩である磯端伸一とは公私ともに交流があり、同じステージに立つこともある。静的な磯端と、アグレッシヴな.esとは一見対照的ではあるが、どちらも大阪に根付いた独創性溢れる音楽家であり、同じくアートや他ジャンルとのコラボレーションを積極的に行っている。大都市であるが故に飽和・自家中毒の危険のある東京に比べ、独自性を育むローカル・シーンからの新時代を担う個性派の登場を大いに歓迎したい。(2013年6月15日記:剛田武)
*初出:Jazz Tokyo #187 :2013年6月30日

暗闇に
書いた筆致の
自家中毒

同時に寄稿した1本のレビューはこちら
『磯端伸一 ソロ&デュオ with 大友良英/EXISTENCE イグジスタンス』
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【地下アイドルへの招待】2021年5月 変容するアイドルたちのニュー・リリース~でんぱ組inc/キスエク/MANACLE/えいたそ☆成瀬瑛美

2021年05月19日 01時02分36秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2021年5月、昨年4月の緊急事態宣言発出から13か月過ぎた今、コロナ禍で変貌した我々の生活は依然として先行き不明だが、アイドルたちはそれぞれ新しい活動へと進化を続けている。コール(声出し)やモッシュ、リフトといったアイドルライブの重要な要素の多くが禁止された現場でも、最高のパフォーマンスを見せようとする努力と意志に溢れた姿は、自粛続きで意気消沈している我々に希望の光と癒しをもたらしてくれる救いの女神に違いない。自粛の1年間に大きく変容した3組の推しアイドルが揃って新作をリリースした2021年5月は、筆者のポジティブストーリーのはじまりの月と呼べるかもしれない。

●でんぱ組.inc


2021年2月にえいたそこと成瀬瑛美が卒業し、残った古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪に、愛川こずえ、小鳩りあ、天沢璃人、高咲陽菜、空野青空という5名の新メンバーを加え10人組になった新体制でんぱ組の初のCDシングル『プリンセスでんぱパワー! シャインオン!/千秋万歳!電波一座!』。えいたそ卒業ライブのアンコールで披露された「プリンセスでんぱパワー! シャインオン!」はミュージカル仕立ての豪華絢爛なナンバー。新メンバーを先輩メンバーが叱咤激励するストーリーが新たな門出に相応しい。そして3月下旬に開催された「でんぱ組.inc 公開ダンスリハーサル」で振り入れ過程を公開した「千秋万歳!電波一座!」は猛スピードで展開する電波ソング。でんぱ組の新たなスタイルを予感させる秀逸な2曲で、5月22日開催のONE-MAN LIVE『Dear☆Stageへようこそ2021』が楽しみでならない。

【字幕】でんぱ組.inc「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」Music Video/Dempagumi.inc " Princess Dempa Power ! Shine On ! " MV



●XOXO EXTREME


2019年9月にオリジナルメンバーの楠芽瑠が卒業して以降、一色萌、小嶋りん、浅水るりの3人組で活動していたプログレッシブアイドル、キスエクことXOXO EXTREME(キスアンドハグ・エクストリーム)は、2020年8月に現役東大生・真城奈央子が、11月に現役女子高生・星野瞳々(研修生)が加入して5人組になった。其の5人でレコーディングした2ndアルバム『Le carnaval des animux-動物学的大幻想曲- 』をリリース。全曲動物の名前がタイトルになっていて、3分強の英語詞ロックナンバー「Altair(孤高の荒鷲)」、10分超えのミュージカル風組曲「ねずみは沈む船を見捨てるか」、3人組時代に発表された「フェニキスの涙」など、バラエティに富んだ曲が満載。変拍子や複雑な展開の多い楽曲はプログレと呼ぶしかないが、それを見事に歌って踊る5人のパフォーマンスは、他のどんなプログレバンドにも真似できまい。個人的にはフルートをフィーチャーした「十影」と「Hibernation(冬の眠り)」のライブ・パフォーマンスを観るのが楽しみである。

Ride a Tiger / XOXO EXTREME



●MANACLE


2020年3月にネクロ魔ことNECRONOMIDOLを電撃脱退した柿崎李咲と今泉怜に、元ネクロ魔の高辻ひなと元AIBECKの茉音が加わり9月にデビューしたニュー・グループ。「手錠に繋がれた日常からの解放」がコンセプト。ダークなゴシックロック、アップテンポのエレポップ、激しいダンスナンバーといった多彩な音楽性と、キュートな振付と切れ味鋭いダンスは、地下アイドル・シーンで頭一つ抜けたクオリティを誇る。実は筆者はデビュー・アルバム『Liberation』をまだ入手していないが、全曲披露された3月の初ワンマンLIVE『〜始まりの晩餐〜』の感動は未だに心の中で輝いている。5月23日『ボクらの復活祭〜MANACLE 1st ALBUM Liberation リリースイベント〜』が待ちきれない。

MANACLE / Look at me!


5月病
それは推しへの
恋煩い

●えいたそ☆成瀬瑛美(でんぱ組.inc)


2021年2月16日チームスマイル・豊洲PIT『でんぱ組inc/ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜』映像DVD/BL+特典CD。卒業してもえいたそ愛は変わりません!

でんぱ組.inc「ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜」Trailer Movie


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【私のB級サイケ蒐集癖】第33夜:女子サイケの楽園三角形~フェミニン・コンプレックス/エース・オブ・カップス/フィメール・スペシーズ

2021年05月14日 00時51分54秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


この年にして女子地下アイドルにハマっている筆者だが、ロックを聴き始めた中坊の頃から女子ミュージシャンや女子バンドが好きだった。というか男子の禊として幼時から女子への興味は大いに芽生えていた(幼稚園の学級会で同級の女子から「○○君からキスされた」と名指しで糾弾された想い出あり)ので、好きな音楽に好きな女子を求めるのは当然の成り行きだろう。だから1980年代に60年代サイケに目覚めた筆者がサイケ女子に憧れたのも自然だった。しかし、ジャニス・ジョプリンやグレース・スリック(ジェファーソン・エアプレイン)をはじめとして女性ヴォーカリストは多数いるが、全員女子のサイケバンドはほとんど見つからない。コンピレーションLP『Girls In The Garage』が出て、やっとオールガールのガレージ/サイケバンドが存在することを確認したが、各バンド1曲2曲では物足りなかった。パンク/ニューウェイヴ以降オールガールバンドは珍しくなくなったが、60年代の男性上位社会の中では女子がロックバンドをやることなど、非常識なことと思われていたに違いない。そんな時代に女子だけでロックバンドを続けることはイバラの道だったかもしれない。そんな時代を生き抜いた不屈のサイケ女子バンドは尊い。

●フェミニン・コンプレックス The Feminine Complex


メンバー:Mindy Dalton (g,vo), Judi Griffith (tambourine, vo), Lana Napier (ds), Pame Stephens (key), Jean Williams (b)
ナッシュビル州テネシーのメイプルウッド・ハイスクールの女子高生が結成。1966年秋にガールズバンドを結成しようとNapierとWilliamsがDaltonとGriffithを誘って結成。4人とも高校の女子バスケットボールチーム部員でもあり、チーム名と同じThe Povitsをバンド名にした。1967年にStephensが加入しバンド名をFeminine Complexに変え、ナッシュビルのパーティやクラブでライヴ活動を行う。男性グループばかりのローカル・シーンで全員女子のバンドは人気を集め67~68年にかけてテネシー州内をツアーするニューヨークでNBCテレビショーに出演し、1910フルーツガム・カンパニーと共演したこともあった。ナッシュビルのベテランA&R、Dee Kilpatrickが設立した新レーベルAthena Records第1弾アーティストとして契約しアルバム『Livin’ Love』を制作。デモテープはバンドで演奏したが、アルバムはセッション・ミュージシャンによる演奏だった。しかし68年秋に新学期が始まると、大学に進学したStephensが脱退、NapierとWilliamsもバスケット部に復帰するために脱退。DaltonとGriffithはデュオでバンドを続けようとするが間もなく解散した。
1996年にTeenbeatレーベルが『Livin’ Love』とデモテープ集を再発し、広く世に知られるようになった。

Feminine Complex - Hide & Seek



●エース・オブ・カップス The Ace Of Cups


メンバー:Mary Gannon (b), Marla Hunt (org, p), Denise Kaufman (g, hca), Mary Ellen Simpson (g), Diane Vitalich (ds)
1967年にサンフランシスコで結成。バンド名はタロットカードの「カップのエース」から取られた。1967年春にデビュー、同年6月ジミ・ヘンドリックスのゴールデン・ゲート・パークでのフリー・コンサートのオープニングを務める。気に入ったジミはメロディ・メイカーのインタビューで名前を出して推薦した。サンフランシスコのマトリックスやアヴァロン・ボールルーム、フィルモアの常連バンドとしてジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッド、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービス、ザ・バンドなどと共演し注目を集める。レコード契約の話もあったが、条件的にマネージャーが同意せず決まらなかった。また70年代になるとメンバーの結婚・出産などで活動に支障をきたし、72年に活動を停止した。2003年にACEレコードがデモやライヴ音源の編集盤『It's Bad for You But Buy It!』をリリース。それぞれ別の道に進んだバンド・メンバーは折に触れて共演してきたが、2011年にフェスに出演したことをきっかけに再結成の話が進み、2018年に正式な1stアルバム『Ace of Cups』、2020年に2nd『Sing Your Dreams』をリリースした。70歳超えのロックバンドである。

"Stones" by the Ace of Cups band — Footage from Revolution, 1968



●フィメール・スペシーズ The Female Species


メンバー(60年代):Vicki Gossett (vo,g), Ronni Gossett (vo,b), Linda Peters (g), Dawna Uyeno Snow (key,vo), Michelle Molner (ds)
1966年カリフォルニア州ウィッターでヴィッキーとロニーのゴセット姉妹がビートルズに憧れて結成、ビーハイブヘアとミニスカートのガールズバンドになった。60’sヒット曲のカヴァーに他にゴセット姉妹のオリジナルナンバーも手掛けた。1966年にアセテート10インチレコードを制作。しかし正式なレコード契約を得ることなく初期メンバーは脱退し、70年代、ゴセット姉妹はメンバーを変えながらラスベガス、ロサンゼルス、ナッシュビルへと活動拠点を移しながら活動し、80~90年代はソングライターとしてナッシュビルの音楽出版社と契約して作曲活動を続けた。彼女たちの活動をまとめた編集アルバム『Tale Of My Lost Love』が2021年にリリースされた。前半は60年代ガレージロック/サイケデリック時代の録音、後半はポップス/フォーク/カントリーに移行した70年代の録音を収録。ガレージサイケ期のメランコリックなナンバーはレアサイケの傑作。70年代のカーペンターズに通じるポップセンスも悪くない。Spotifyの同アルバムにはCD2としてカバー曲を含むガレージナンバーが追加されていて、とてもいい。

Stop And Think It Over


オール女子
ガレージサイケに
萌えている

Ace of Cups – Feel Good [Official Video]
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【私のB級サイケ蒐集癖】第32夜:60年代ヒッピー映画サントラ盤『サンセット通りの暴動』『白昼の幻想』『嵐の青春』『ヒッピー革命』

2021年05月10日 22時54分40秒 | 映画やDVDのこと


90年代半ばまでは、海外の60年代のロックバンドの動く映像を観れるのは映画だけだった。有名なバンドであれば『モンタレーポップ』や『ウッドストック』のようなドキュメンタリー映画で観れたが、B級サイケやガレージパンクバンドは、ヒッピーやバイカーといったカウンターカルチャーをテーマにした映画にちょい役で出演した映像でしか観れなかった。名作とされる『イージー・ライダー』は時々名画座で上映されたが、それ以外のヒッピー映画は日本で上映されることはなく、ごくたまに昼か深夜のテレビの映画枠で無様に編集されて放送されることがあるくらいだった。しかも全く関係のない邦題になっていて、タイトルだけ見てもどんな映画か分からなかった。YouTubeはもちろんDVDもなくVHSビデオが主流だった80年代末~90年代に新宿にエアーズという海賊ビデオ店があって、明らかに違法コピーのヒッピー映画やガレージパンクの編集ビデオが販売されていた。粗悪な画像と音だったが、レコードでしか知らないB級サイケバンドが動く姿に興奮した覚えがある。それから30年余り経った今、自分の中では伝説となっているヒッピー映画の数々がYouTubeで簡単に観れる時代になった。当時の自分が知ったら歓びのあまり失禁してしまうだろう。そんなヒッピー映画のサントラLPを久々に聴いて30歳若返った気分に浸るのも悪くなかろう。

●サンセット通りの暴動 / Riot on Sunset Strip (Tower ‎– DT 5065 / 1967)


1966年後半に実際に起こったサンセット通りの夜間外出禁止令に対する暴動が発生してから6週間後に撮影され、1967年に公開された。サンセット通りの暴動が起きた当時の様子を再現するとともに、主人公の少女と離婚した両親との関係が描かれている。ハイライトは彼女がLSDを投与されアシッド・トリップを体験する場面、後に警察の調べによって集団レイプの被害者であることを知らされる場面など。TV放映時の邦題は『青春の罠・性と反抗』。スタンデルズ The Standellsとチョコレート・ウォッチ・バンド The Chocolate watch Bandというロサンゼルス2大ガレージパンクバンドが出演している他、60年代B級映画の首領The Sidewalk Sound(Davie Allan &The Arrows)をはじめ無名のアーティストが参加。サイケ前夜のガレージ/サーフ・ロックを堪能できる。

Riot on Sunset Strip Arthur Dreifuss, 1967



●白昼の幻想 / The Trip (Sidewalk ‎– ST-5908 / 1968)


ジャック・ニコルソンの脚本を「マシンガン・シティ」のロジャー・コーマンが製作・監督した作品でLSDを服用した1人の青年が体験する“幻想の旅”をスクリーンに再現したもの。撮影はアーチ・R・ダルゼルで特殊モンタージュや特殊レンズ、オプティカル処理などを駆使し、妖しく美しい幻想の数々を映像化している。衣裳はリチャード・ブルーノ、特殊セットをディック・バーンとカール・ブレイナードが担当。出演はピーター・フォンダ、スーザン・ストラスバーグ、ブルース・ダーン、デニス・ホッパー、サリ・サッチスほか。音楽はマイク・ブルームフィールド(g)、バディ・マイルズ(ds)、バリー・ゴールドバーグ(key)等からなるバンド、エレクトリック・フラッグ The Electric Flagが担当。ホーンセクションを交えたブルース&ソウル・ロックに、モーグ・シンセとエレクトリック・ヴァイオリンを加えたサイケなサウンドを聴かせる。

The Trip (Trailer 1967)



●嵐の青春 / Psych-Out (Sidewalk – ST-5913 / 1968)


主演はジャック・ニコルソン、スーザン・ストラスバーグ、ブルース・ダーン。文字通りの青春映画であり、LSD文化発祥の地・サンフランシスコのヘイトアシュベリーを舞台に、ドラッグ・カルチャーにのめり込む若者達の生態を描いた映画。旧ビデオ邦題『ジャック・ニコルソンの嵐の青春』、TV放映時の邦題『都会の中の俺達の城』。ロサンゼルスのサイケバンド、ストロベリー・アラーム・クロック The Strawberry Alarm Clockとザ・シーズ The Seedsが出演、他にコーラスグループThe StorybookやスタジオセッションバンドBoenzee Cyyque(ジミヘンの「紫の煙」のパクリ)が参加。『サンセット通りの暴動』に比べてアシッド度数は桁違いに高い。

Psych-Out 1968 (Director's Cut 2015 Blu-Ray Edition) [HD] 1080p



●ヒッピー革命 / Revolution (United Artists Records ‎– UAS 5185 / 1968)


ジャック・オコネルが製作・監督し、1967年にサンフランシスコで撮影されたドキュメンタリー映画。当時のヒッピーたちのインタビューに加え、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ Country Joe & The Fish、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス Quicksilver Messenger Service 、スティーヴ・ミラー・バンド Steve Miller Band、ダン・ヒックス Dan Hicks(シャーラタンズ The Charlatans)、オールガールズバンドのエース・オブ・カップス Ace Of Cupsなどの演奏が収録されている。1996年に再編集され『The Hippie Revolution』というタイトルで劇場公開された。サントラ盤にはQuicksilver Messenger Service, Steve Miller Band マザー・アース Mother Earthの3バンドが収録されているが、映画で使われたライヴ音源とは異なるスタジオ録音となっている。

Revolution (1968) - Documentary 1968 (Gonzo) Summer of Love


ヒッピーに
憧れていた
パンク少年

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【私のポストパンク禁断症状#12】『パイナップル / YAWA YAWA』/『NISHIN / DAI DAI』~札幌80年代ニューウェイヴの秘宝

2021年05月07日 01時10分01秒 | 素晴らしき変態音楽


小学校に入る前北海道の函館に住んでいた。幼少期の記憶だが冬の根雪や路面電車が走る街並み、五稜郭公園の大砲、函館山のロープウェー、青函連絡船、保育園のテレビで観たアポロ11号の月面着陸などが記憶に残っている。1970年に仙台へ引っ越して以来、現在まで函館に行ったことはない。札幌へは就職してから出張で何度か行ったことはあるが、ほとんど日帰りや1泊程度。2019年2月に遠征で爆裂女子の札幌公演でカウンターアクションというライヴハウスへ行ったのが唯一の音楽体験。そんなわけだから、80年代の札幌のライヴハウス・シーンのことはまったく知らないのだが、最近入手したレコードがとても面白くて、札幌インディーズに興味が湧いてきた。

●パイナップル / YAWA YAWA


1st 10inch『パイナップル4.9』(83)のジャケットは昔レコード店で見た覚えがあるが、コミックバンドみたいで聴く気になれなかった。こちらは2nd LPだが、やはりジャケットだけでは音楽性が想像できない。しかし裏ジャケのコラージュを見るとシュールなアート感があって、ただのコミックバンドじゃない凄みがある気がする。札幌のライヴハウスでは大人気だったという。本作は1986年10月~87年2月録音、1987年リリース。メンバーは新江一志(vo,b,ds)、阿部幸弘(key,b,tp)、今野俊則(ds,key,pianica)、鳴海徹(g)。メンバーそれぞれいろんな楽器を持ち替えて演奏している。変拍子のプログレポップ、レゲエ/ダブ、とぼけたフォーク調、タイトなファンクビートといった雑食性の高いサウンドは、何でもありの80年代ニューウェイヴの到達点を示している。バンドで言えばヒカシュー、Qujia、Mute Beat、Melonといった名前が頭に浮かぶが、もっと自然に近い発想で作れられたような解放感と自由度が感じられ、個人的に好感度が高い。
1~2年前に1st,2ndにオムニバスLP『Case of Telegraph』(83)収録のライヴトラックを追加したCD『パイナップル / YAWA YAWA ~パイナップルcomplete collection~』がリリースされた。詳細な解説書が付いているので、それを読めば札幌ニューウェイヴ・シーンのことがもっとわかるだろう。

PINEAPPLE - YAWA YAWA (1987) [alternative rock japan]



●NISHIN / DAI DAI


中古レコード屋で見つけてアートっぽいジャケットが気になり、値段も手ごろだったので購入。NISHINとDAI DAIのどちらがバンド名かも分からなかった。1986年3月~11月録音、1987年リリース。メンバーは、吉田こうじ(vo, g, key)、ORA(g, calimbaguiter)、クメヤスシ(b)、津わき貢(ds, perc)。Special Thanksにパイナップルの阿部幸弘の名前があるので交流があったはずだが、遊びの要素があるパイナップルと違って、NISHINは独特の美意識に貫かれた真面目な音楽性を持つ。80年代King CrimsonのエスノプログレとBauhausのゴシックパンクの影響を受けた退廃的なサウンドと、P-Modelを思わせる和風のメロディが近未来ポップを奏でる。イケメン風のメンバー写真から察するに、カリスマ的な雰囲気がアピールしたのではないだろうか。ネットで調べたところでは「テンプラ」という曲の人気が高いようだ。残念ながらヴォーカルの吉田は急性骨髄性白血病のため91年に30歳の若さで早逝したという。

dai dai - nishin


万象館 1988-8-21 吉田コウジ


パイナップル(果物)とニシン(魚)。北国バンドのネーミングセンスも興味深い。

北の国
おもろい音楽
埋もれてる

【その他の札幌インディーズ音源】
札幌自主制作80s -SAPPORO INDIES 80s-
80年代の札幌を中心とした自主制作音源。Karma(1986-990),CASE BY CASE(1984-1986),パラフレーズ(1979-1989),ライナスの毛布(1984-2008),OUT(2012-活動中 )


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【Ungra Jazz Disc Review】Chris Pitsiokos / Carny Cant~The Album Revealed Body & Soul of True Self

2021年05月05日 00時00分38秒 | 素晴らしき変態音楽


text by Takeshi Goda for JazzTokyo

Chris Pitsiokos / Carny Cant
DL/LP : Eleatic Records ELEA005

Chris Pitsiokos: alto saxophone, baritone saxophone, harmonica, electric bass, electronic drums, voice, all electronic/midi instruments, and electric guitar on track 6.
Rick Eye: electric guitar on tracks 2-5
Jason Nazary: drums on tracks 2, 3, 5

1. Invocation
2. Journal: The Burden of Solidity
3. Go Ahead Rick
4. Lapsarian
5. Journal: The Burden of Memory
6. Question Mark

All music composed, produced and mixed by Chris Pitsiokos.
All words by Chris Pitsiokos
Album Art by Katharina Huber

Bandcamp

Embodying true self revealed in pandemic.

Since the pandemic last Spring, Chris Pitsiokos and I have been in touch via email several times. In March 2020, when the state of emergency was declared in New York, he evacuated to Virginia where his mother lives and stayed in the countryside for a month. In April, he returned to Brooklyn and was forced to refrain from performing. The time he had to endure, not being able to perform or even meet with friends and other musicians, turned out to be a meaningful time for him.

"I have decided to go the other way and take this time to re-evaluate my life, values, and the reasons why I started making music in the first place. I have been practicing more than I have in a long time, my focus has increased and I have also been teaching myself how to repair saxophones, which is an immense rabbit hole to go down. I have decided to shift my focus to being more self-sufficient--economically, emotionally, and creatively, by focusing on myself, my own label, and the series I co-produce... " (newsletter, May 22, 2020).

The material he recorded during the self-restraint period was released digitally on Bandcamp as two mini-albums, "Aswoon" (November 2020) and "Milquetoast" (January 2021). Both were basically improvisational pieces by alto sax with some overdubs. On the other hand, he was also working on more produced project.

"I have been spending a lot of time with books and with visual art during the pandemic, and the creative processes of those kinds of artists has been influencing me more than music lately. In particular, I have been thinking about sitting with a work for longer, and slowly crafting it through recording, reshaping, mixing, producing, mastering. Really creating a world and slowly getting inside of it. Something deeply personal, and unique to me. " (personal mail, September 5, 2020).

Written, recorded, and produced between January and October 2020, Carny Cant features Jason Nagy (member of CP-Unit) on drums and a multi-instrumentalist Rick Eye from Denton, Texas (Gay Cum Daddies, Flesh Narc, Bukkake Moms, etc.) on guitar and all other instruments, harmonica, electric bass, alto sax, baritone sax, and many electronic instruments were played by Pitsiokos himself. The title of the album means "Carnival specific language = secret language among friends that outsiders don't understand". I guess it means that if you listen to it normally, you don't know what it means, but if you are one of us, you can understand the meaning of the secret music. You may be surprised with the different feel of this album from his previous music. Furthermore, considering the meaning of the axe on the album cover, I can feel his determination to break away from the past and move on to a new phase.

"The album is a departure from my past music, to say the least.
For me it was a meditation on everything happening in the world at the time, and my own personal journey through it all. " (newsletter, February 6, 2021).

M1 "Invocation" is a multi-recorded baritone and alto saxes which purify the air and summon Pistiokos' new music. M2 "Journal: The Burden of Solidity". The industrial beat surprises me. It is said to be a rhythm generated using irrational numbers (real numbers that cannot be expressed in fractions, e.g. √2, pi). Pitsiokos raps, or rather, speaks words (poetry reading), while improvised saxophones cut through the air. M3 "Go Ahead Rick" is a heavy rock number featuring Rick Eye's guitar as the main instrument. The harmonica played by Pitsiokos creates a strangely bright pastoral atmosphere. The mismatch of heaviness and emptiness leads to the emptiness of an unrealistic self-restrained life. M4 "Lapsarian (The World After the Fall of Adam and Eve)" is an abstract song with break beats, to be called a saxophone version of rap. M5 "Journal: The Burden of Memory" is a spoken word number that is a counterpart to M2. The harmonica again creates a sentimental mood. As Jason Nagy's drumming continues its unhurried improvisation in the background, Pitsiokos' spoken word becomes a downer murmur that morphs into Eye's distorted guitar. The album's final track, M6, "Question Mark," is a folk song sung by Pitsiokos on guitar. To be honest, he is not a very good guitarist nor a very good singer, but I felt that he had reached a state of enlightenment, saying "this is me" in a vague floating feeling.

Although there are guitarists and drummers on this album, what is depicted on this album is definitely the soul and body of one man, Chris Pitsiokos. A year of extraordinary living is never a waste of time for this artist, but become the most useful period of transformation in his lifetime.
(April 27, 2021)

Journal: The Burden of Memory

★日本語レビューはこちら⇒https://jazztokyo.org/reviews/cd-dvd-review/post-64854/

Move to
The Next Level
With Pandemic

Strictly Missionary (Chris Pitsiokos, Wendy Eisenberg, Richard Lenz, Kevin Murray, Nick Neuberg)


Chris Pitsiokos - alto saxophone
Wendy Eisenberg - guitar
Richard Lenz - bass
Kevin Murray - drums
Nick Neuberg - percussion
at Valentino Pier - Red Hook Brooklyn - Mar 27 2021
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