以前インパルス・レコードからのデビューにあたるライヴ盤を紹介した菊地成孔氏率いるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN改めDCPRGの5年ぶりのスタジオ・アルバムがリリースされた。まずは何よりジャケットが優れものだ。気鋭のイラストレイターDragon76のライヴペイティング(動画参照)による90年代SF漫画風のイラスト、カヴァーカードの裏はジャズの名門インパルスの昔のアナログ盤の裏面のデザインそのままに"THE NEW WAVE OF JAZZ IS ON IMPILSE!"というキャッチフレーズ。「アメリカの鉄の山からの第2の報告書」という意味のタイトルにスロッビング・グリッスルのデビュー・アルバム「The Second Annual Report Of Throbbing Gristle」を思い出すのは私だけだろうが、菊地氏らしい深読みしたくなる晦渋なネーミングである。
[4/1追記:読者の方からの指摘でこのタイトルがレナード・C・リュインの著作「アイアンマウンテン報告書」に由来することを知った。不勉強を反省したい。]
1980年代から藤川義明イースタシアオーケストラ、富樫雅彦グループ、大友良英のグラウンドゼロ、渋さ知らズ、P.O.N.、ステレオドローム、A Paragon Of Beautyと数々のユニットに参加してきたテナー・サックス奏者広瀬淳二さんとは1年前ライヴの時にお話しして知己の間柄になり、以来お会いする度に何故か恐縮して挨拶してくださる関係に。その割にはスケジュールが合わず演奏を観ることが出来ず、約10カ月ぶりの観戦となった。今回は井野信義さん(b/元ブルーベル・シンガーズ、1970年代から高柳昌行、日野元彦等と共演する日本ジャズ界の重鎮)と芳垣安洋氏(ds/山下洋輔、坂田明、板橋文夫、梅津和時、片山広明、巻上公一、ホッピー神山、菊地成孔等数多くのアーティストと共演、ROVO、大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ、アルタード・ステイツ等のメンバーとして活躍中)からなるレギュラー・トリオに新進気鋭の“フリージャズ”ピアニスト、スガダイロー氏を加えたカルテットでピットイン出演。トリオでは観たことがあるが、ライヴハウスの店長に“東洋一のフリージャズ・トリオ”と紹介され、「何故東洋なんだろう」とメンバーも苦笑した演奏は卓越したテクニックと自己統制に裏打ちされた素晴らしいものだった。スガ氏は「山下洋輔」という曲を作曲・演奏しており以前から興味があったがなかなか観れずにいたアーティスト。その両者が共演するのだから絶好の機会だ。
『BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2012』というイベント。
昨年末から「坂本龍一vs大友良英」というフライヤーが配布されtwitterなどで話題になっていた。これは「音楽による異種格闘技戦」というコンセプトのCD+DVD作品「BOYCOTT RHYTHM MACHINE II VERSUS」が2006年に発表されたのをきっかけに、そのライヴ・バージョンとしてこれまで2009年と2010年に行われたイベントである。ダイジェスト・ビデオと今回のイベントのCMビデオをご覧いただきたい。
今回は「格闘技のメッカ」とも呼ばれ、ライヴ・イベントの開催は20数年ぶりとなる後楽園ホールのセンターステージにて実施された。坂本龍一vs大友良英、いとうせいこうvs Shing02、DJ KENTARO vs Open Reel Ensembleの3組の対決にゲストとして相対性理論のやくしまるえつこが出演。後楽園ホールは初めてだが、格闘技のポスターや歴代ボクサーの写真が飾ってあり、とてもライヴ会場とは思えない雰囲気。場内は真ん中にリングが設置してあり四方に客席がある。20年前両国国技館でスタイル・カウンシルのライヴを観たことがあるが、国技館の伝統的で落ち着いた雰囲気に比べ、より戦闘的で殺伐としたムードに満ちている。夜な夜な激しい格闘技戦が開催され熱狂した観客の怒号が飛び交うのだろう。