A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ完全コレクション#16】まもなくCの終わり:Count Five/Crazy Horse/CCR/Crome Syrcus/CS&N/Crayn' Shames/Cyrkle

2020年08月28日 00時00分00秒 | 素晴らしき変態音楽


AからCまでサイケレコード・コレクションを聴いてきたが、1968年発売のレコードが圧倒的に多いことに気が付いた。1967年6月に開催されたモンタレー・ポップ・フェスティバルにより「サマー・オブ・ラヴ」というヒッピー・ムーヴメントが全米に広がり、時代が最もサイケデリックに傾倒した結果が翌年68年に花開いたのだろう。雨後の竹の子のように次々登場した時代の徒花のようなバンドこそ、筆者が愛するB級サイケなのである。その一方で次の時代「70年代」を予感させる音にも触れていきたい。

●Count Five ‎/ Psychotic Reaction (And More)

1966 / Germany reissue 1986: Impact ‎– IMLP 4.00132 J / 1986.10.3 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,680

1964年にカリフォルニア州サンホセで結成。メンバーはKenn Ellner (vo,hca), John "Sean" Byrne (vo,g), John "Mouse" Michalski (g), Roy Chaney (b), Craig "Butch" Atkinson (ds)。1966年に全米Top5ヒットさせたPsychotic Reactionはチャートインした初のアシッド・ロック・ナンバーといわれ、テレヴィジョンをはじめ多くのバンドがカヴァーしている。唯一のアルバムにはザ・フーのMy GenerationとOut In The Streetsのカヴァーも収録。ハーモニカとワイルドなビートの典型的ガレージロックだが、ザ・フーのような切迫感ではなく、中産階級のガキの余裕を感じる。この再発盤はシングル曲7曲を追加したコンプリート盤。

THE COUNT FIVE-'PSYCHOTIC REACTION',(1966).wmv



●Crazy Horse ‎/ Crazy Horse

1971 / UK reissue 1986 Edsel Records ‎– ED 175 / 1987.6.23 渋谷ディスクポート西武 ¥1,480

ニール・ヤングのバックバンドとして知られる。元々はロサンゼルスのドゥーワップバンドDanny & The Memoriesのメンバーを中心に結成されたサイケデリック・ロックバンドThe Rockets。69年にNeil Young with Crazy Horseとして『Everybody Knows This Is Nowhere』をリリースし、一躍有名になる。メンバーはBilly Talbot (b,vo), Ralph Molina (ds,vo), Danny Whitten (g,vo), Jack Nitzsche key,vo)。本作は71年の単独1stアルバム。ゲストにNils Lofgren (g), Ry Cooder (g)などが参加。カントリーやサザンロックの色濃いアメリカンロックだが、A-3 Looking At All The ThingsのワンコードインプロやA-4 Beggars Dayのコーラスにサイケな香りが漂う。70年代アメリカンロックの幕開けを告げるアルバムである。

Downtown



●Creedence Clearwater Revival ‎/ Green River

1969 / Japan: Liberty ‎– LP-8816

1959年にカリフォルニアで結成されたBlue Velvetsを母体に結成、64年Fantasy Recordsと契約、the Golliwogsとしてデビュー。68年クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(CCR)に改名し、ヒットを連発、人気バンドとなる。メンバーはJohn Fogerty (vo,g), Tom Fogerty (g), Stu Cook (b), Doug "Cosmo" Clifford (ds)。3rdアルバムの本作ではアメリカ南部風のシンプルなロックを聴かせる。葉っぱの香り漂うレイドバック感はサイケを継承している時代の音。しかしながらTV出演時のシュールなマネキンは意味不明。72年に解散、ジョン・フォガティはソロで活躍。

Creedence Clearwater Revival "Green River" in Andy Williams Show (1969)



●The Crome Syrcus / Love Cycle

1968 / US: Command ‎– RS 925 SD / 1991.6.14 明大前モダーンミュージック ¥3,800

1966年シアトルにて結成。メンバーはJohn Gaborit (g), Lee Graham (vo,b,fl), Dick Powell (hca,key), Ted Shreffler (key), Rod Pilloud (ds)。サンフランシスコへ移りロック・シーンで活動するとともに演出家Robert Joffreyのバレエ音楽を担当したりもした。何枚かのシングルと1枚のアルバムをリリース。アシッドロック色の強いA面もいいが、B面すべてを使ったThe Love Cyleが画期的。讃美歌、ジャズセッション、サウンドエフェクト 、フリークアウト・ジャムで展開する一大サイケ組曲である。69年以降レコードはリリースはしていないが73年まで活動していたらしい。
https://www.cromesyrcus.com/main

The Crome Syrcus - Crystals (1968)



●Crosby, Stills & Nash ‎/ Crosby, Stills & Nash

1969 / Japan reissue 1971: Atlantic ‎– P-8035A

David Crosby (ex-The Byrds), Stephen Stills (ex-Buffalo Springfield), Graham Nash (ex-The Hollies)からなるフォークロックのスーパーバンド。69年のデビュー・アルバム。美しいコーラスのフォークロックが基本だが、テープ逆回転を取り入れたA-5 Pre-Road Downs、ジェファーソン・エアプレインがカヴァーしたB-1 Wooden Shipなどサイケ要素たっぷり。Neil Youngが参加して大ヒットするが、メンバー間のトラブルで何度も解散・再結成を繰り返している。70年のCrosby, Stills, Nash & Young『Déjà Vu』も持っていたはずだが見つからない。売ってしまったのかも。

Crosby, Stills & Nash (Live) - Suite: Judy Blue Eyes



●The Cryan' Shames / A Scratch In The Sky

1967 / US: Columbia ‎– CS 2786 / 1992.1.25 吉祥寺PARCO WAVE ¥1,500 

イリノイ州ハインズデールのガレージロックバンドThe Travelersが66年にThe Cryan' Shamesに改名。Columbiaレコードと契約しThe SearchersのSugar & Spiceをカヴァーして全米50ヒットさせた。オリジナル・メンバーはTom "Toad" Doody (vo), Lenny Kerlay (g,b), Denny Conroy (ds), Jim Fairs (g,b,fl), J.C. Hooke (vo,perc), Issac Guillory (g,b,key)。67年の2ndアルバムにはガレージ感覚のソフトロックが満載。ビートルズ風のA-2 The Sailing Ship、バグパイプやサウンドエフェクトを取り入れたA-4 Mr.Unreliable、ガレージサイケB-3 Sunshine Psalmなどが聴きどころ。買ってからモノラル盤だと気づいたが、今聴くとモノならではの厚い音が嬉しい。
http://www.cryanshames.com/

The Cryan Shames THE SAILING SHIP from 1967 Psychedelic Rock



●Cryan Shames / Synthesis

1968 / US: Columbia ‎– CS 9719 / 1988.6.9 神保町TONY ¥1,500

68年の3rdにしてラスト・アルバム。いきなりハードなロックで始まり、バロック風室内楽ポップや凝ったオーケストレーションが施されたストーリー性のあるソフトロックが聴ける。The Shadows Of KnightやH.P.Lovecraftを擁するシカゴのDunwich Productionが制作に関わっているためか、ゴシックな風格を感じさせる曲やプログレッシヴ路線の実験的な曲もあり、バラエティ豊かな作品。それゆえ焦点がぼけてしまった感も無きにしも非ず。バンドは69年に解散するが、90年代に再結成された。

the cryan shames - the painter



●The Cyrkle / Neon

1967 / US: Columbia ‎– CS 9432 / 1996.3.3.New York Green Flea Market $7.00

1961年にペンシルバニア州イーストンの学生バンドとして結成。The Rhondellsというバンド名で活動していたが、65年にビートルズのマネージャーBrian Epsteinに見いだされ、ビートルズの全米ツアーのサポートに抜擢される。The Cyrkleというスペルはジョン・レノンの命名。メンバーはTom Dawes (vo,g,b), Don Dannemann (vo.g), Marty Fried (ds,vo), Michael Losekamp (key,vo)。67年の2ndアルバムはビートルズ、モンキーズ、ミレニアム等に通じる良質なソフトロック。バンド演奏を中心としたシンプルなアレンジがいい。シタール入りのA-1 Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way、Taxman風のA-3 Weight Of Your Wordsなど全曲が聴きどころ。本作の後映画『Minx』のサントラを担当したが、Brian Epsteinの死去の影響で68年に解散。2016年に再結成し現在も活動を続けている。

The Cyrkle - 01 - Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way (by EarpJohn)


A級も
B・C級も
時代はサイケ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【何となく似ている?本日のサイケネタ2題】『爆裂女子』vs『裸のラリーズ』/『LOWER THAN GOD』vs『PINK FLOYD』

2020年08月27日 02時15分13秒 | 素晴らしき変態音楽

爆裂女子-BURST GIRL-

【配信ライブ】爆裂女子 | 2020.8.26(水)@DANCE SPACE BASSONTOP


裸のラリーズ Les Rallizes Denudes


裸のラリーズ / 夜、暗殺者の夜



【サイケデリック・ビデオ】
LOWER THAN GOD / We Advance Masked


LOWER THAN GOD / Devil May Care


Pink Floyd / The Piper At The Gates Of Dawn


Psychedelic Light show UFO 1967: Pink Floyd - Astronomy Domine Live 1967


サイケ好き
何でもサイケに
染めていく

Lower Than God / We Advance Masked


【ジャンルを蹂躙する即興IDM】Marc Lowe&剛田武による新ユニット『LOWER THAN GOD』デビュー!!!1st EP『We Advance Masked』無料配信中

M.LOWE + T.GODA = LOWER THAN GOD(神以下)
A new collaboration between Marc Lowe & Takeshi Goda. Dark, noisy, a bit of acid jazz, beats, some rather quiet moments as well, this is a 30-minute journey into lands you may have yet to explore.

アメリカ生まれのマルチ・プレイヤー、DJ malo23ことマーク・ロウと、地下音楽DJ兼ブロガーのDJ Necronomiconこと剛田武が、COVID-19の自粛期間の猛暑の夜に、発狂寸前の極限状態で結成したユニット「LOWER THAN GOD」のデビューEP。剛田/Godaの無軌道な即興プレイとロウ/Loweのエレクトロニクス・プロダクションの出会いが、Industrial, Noise, Ambient, Drone, IDM, Free Improvisation, Psychedelicとあらゆるジャンルを蹂躙し、前人未到・荒唐無稽・血沸肉踊の異形のサウンドを生み出した。新時代の"Improvised Intelligent Dance Music for the Mind & Body"の誕生である。

Tracklist:
1. Unmasked
2. Heatstroke
3. Louder Than Words
4. Devil May Care
5. A Day in the Park

Marc Lowe : piano and synth, electronics/programming, noise box, vocals on “Unmasked”
Takeshi Goda : reed-flute, noise dolls, guitar, field recording

Recorded August 15-21, 2020
Mixed and mastered by Marc Lowe.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【レコード盤を凌辱する異常なレコ愛】Naoki Kasugai(春日井直樹)/ Vinyl Masochism 3

2020年08月26日 01時41分19秒 | 素晴らしき変態音楽


Naoki Kasugai(春日井直樹) - Vinyl Masochism 3
(カセット+ハンドメイド・コラージュジャケ+破壊レコード付。 )

番号<DTR-CA009> 30本限定 全2曲
定価¥1500(税込)
46分カセットテープ+ハンドメイドコラージュジャケ+破壊レコード付。(コラージュジャケはそれぞれ全て違う1点モノ)
2020年8月22日リリース

春日井宅の近所のトンネルにレコード盤(歌謡曲、クラシックなど)を30枚持って行きコンクリートの上にそのレコード盤を擦りつけ叩きつけてライブ録音した音源。さらにそのキズだらけのレコードをコラージュジャケに入れ音源カセットを送付した作品。キズだらけのレコードとカセットを同時再生して一つの音源として完成する。

Tracklist
A1 Vinyl Masochism3
B1 Vinyl Masochism3

Action point: Kanie interchange lower tunnel
Action day: 2020/7/28
Collage art & Photography: Naoki Kasugai
Field recording usung 30 records
Limites 30



筆者は『盤魔殿』というDJイベントを企画しDJと自称してアナログ・レコード盤をメインに人前でプレイしている。しかし世間一般のイメージのDJとは、レコード盤をスクラッチしながらチェキラ!などと叫んで観客を煽る派手なパフォーマーを想像するらしい。それは極端な例だとしてもクラブDJと呼ばれる者の多くはレコード盤を指でつかみ、プレイヤーのセンターホールに擦りつけ、盤面を削るようにレコード針で摩擦する。使い終わったレコードは乱雑にまき散らされ、傷がつこうが歪もうが気にしない。つまり完全に音を出す道具として扱っている。いくらMIXが面白くても、レコードを粗雑に扱う様を見ると興覚めというか居たたまれない気持ちになる。貴重であろうがなかろうが、一枚一枚音の溝が刻まれたレコード盤には、コンテンツの音楽同様にリスペクトをもって接するべきだ、という信仰にも似た概念が筆者の心の中に根付いているのである。

Otomo Yoshihide - Vinyls


2019年9月14日のカセットテープ作品『Vinyl Masochism』ではナイフで徹底的に傷つけバーナーで燃やしムチ打ち最後に小便をぶっかけたレコードを再生し録音。2020年2月21日にリリースされた『Vinyl Masochism 2』では既製の中古レコード盤(歌謡曲)にヤスリをかけて麻縄で緊縛した。そしてこの最新作『Vinyl Masochism 3』は暗いトンネル内でレコード盤をコンクリートに擦りつけ叩きつける残虐行為を録音するとともに、レコードの残骸を丁寧にコラージュ・ジャケットに納棺して記録カセットと同封する。作者の春日井直樹氏はレコード盤によほど恨みがあるのだろうか。



いや、実際はその真逆である。レコードが好きで好きでたまらないのである。90年代に中古レコード店を経営していたこともあるという春日井氏は、好きが高じて自主制作のレコードのジャケットをすべてハンドメイドのコラージュで作ってしまうアウトサイダー・アーティストである。コラージュアートは既に4000作を超えて増え続けるばかりだという。現在Twitterの専用アカウントに続々コラージュ作品を投稿しているので是非フォローしてはいかがだろうか。そのうち世界がこの特殊アーティストを発見する日が来るに違いない。
COLLAGE: Naoki Kasugai@collagenaokika1



そう考えると一連の『Vinyl Masochism』シリーズは「可愛さ余って憎さ100倍」にも似た歪んだレコード愛の表出に違いない。ホントに好きなものを自らの手で汚したい。サディスティックな欲望と、傷つけられたレコード盤を見る苦しみを快感に感じるマゾヒスティックな劣情が相半ばするアンビバレンツは、普通の生活者では経験できない”合法的異常愛欲発散法”といえるだろう。一線を越えてしまった春日井氏の行く手に何が待ち構えているかわからないが、今年初めに名古屋で春日井氏と濃厚接触(散歩)し、コラボレーション作品を産み落としてしまった筆者にも感染したことは明らか。日々アウトサイダー気質が増幅しつつあるのを感じる。

Naoki Kasugai(春日井直樹) / Takeshi ‎ Goda(剛田武)– Walk 2020 / 1 / 30


実際に今目の前にある爆裂女子の7インチシングル『スリルジャンキー』を我が身に思い切り擦りつけたいという欲望と戦っている。戦いに負け欲望に身を任せた時、自分の中のパンドラの箱が開き、知らなかった自分の姿が明らかになるかもしれない。それは醜悪なモンスターか、はたまた清浄なエンジェルであろうか。。。

爆裂女子-BURST GIRL-/ スリルジャンキー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


レコ愛を
超えたところに
マゾヒズム






コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ジャンルを蹂躙する即興IDM】Marc Lowe&剛田武による新ユニット『LOWER THAN GOD』デビュー!!!1st EP『We Advance Masked』無料配信中

2020年08月24日 00時44分08秒 | 素晴らしき変態音楽



LOWER THAN GOD / We Advance Masked

M.LOWE + T.GODA = LOWER THAN GOD(神以下)
A new collaboration between Marc Lowe & Takeshi Goda. Dark, noisy, a bit of acid jazz, beats, some rather quiet moments as well, this is a 30-minute journey into lands you may have yet to explore.

アメリカ生まれのマルチ・プレイヤー、DJ malo23ことマーク・ロウと、地下音楽DJ兼ブロガーのDJ Necronomiconこと剛田武が、COVID-19の自粛期間の猛暑の夜に、発狂寸前の極限状態で結成したユニット「LOWER THAN GOD」のデビューEP。剛田/Godaの無軌道な即興プレイとロウ/Loweのエレクトロニクス・プロダクションの出会いが、Industrial, Noise, Ambient, Drone, IDM, Free Improvisation, Psychedelicとあらゆるジャンルを蹂躙し、前人未到・荒唐無稽・血沸肉踊の異形のサウンドを生み出した。新時代の"Improvised Intelligent Dance Music for the Mind & Body"の誕生である。

Tracklist:
1. Unmasked
2. Heatstroke
3. Louder Than Words
4. Devil May Care
5. A Day in the Park

Marc Lowe : piano and synth, electronics/programming, noise box, vocals on “Unmasked”
Takeshi Goda : reed-flute, noise dolls, guitar, field recording

Recorded August 15-21, 2020
Mixed and mastered by Marc Lowe.

プロモーションビデオ完成!

LOWER THAN GOD / Devil May Care



マーク・ロウ Marc Lowe

1973年アメリカ生まれ。作曲家、ボーカリスト、マルチプレヤー。自分のレーベルDark Shroud Recordsでソロやコラボアルバムを2019年よりストリーミングで40枚ぐらい激リリース。DJイベント『盤魔殿』をDJmalo23として参加中。新プロジェクトBlue Darknessも始め、ファーストアルバム「The Day After」が現在Bandcampなどで販売中。PVやライブ映像など(音楽活動に対してのドキュメンタリー「A Musical Journey」を含めて)はこちらでご覧ください。https://vimeo.com/darkshroudrecords

剛田 武 Takeshi Goda

1962年千葉県生まれ。77年中楽時代にパンクに衝撃を受けマイナー音楽に目覚めバンド活動開始。80年代前半即興ユニット「OTHER ROOM」等で吉祥寺GATTY、荻窪グッドマン等で地下音楽活動。89年サイケバンド「Flower Trip」でTV番組『イカ天』に出演するも94年に解散。サラリーマン生活の傍ら2005年にブログ「A Challenge To Fate」を始め、音楽サイト「JazzTokyo」等で執筆活動。2016年著書『地下音楽への招待』をロフトブックスより出版。DJイベント『盤魔殿』を主宰しDJ Necronomiconとして活動中。2020年5月名古屋在住の音楽家・春日井直樹とのコラボレーション・アルバム『Walk 2020/1/30』をアナログLPでリリース。

Lower Than God / We Advance Masked


●Bandcamp無料DL可能(有料で入手いただくと Bandcamp アプリでの無制限ストリーミングも可能になります)⇒Bandcamp:Lower Than God
●クラウド盤魔殿 第5弾⇒Disque Daemonium Soundcloud August 2020:Lower Than God
●Vamio⇒Lower Than God - “We Advance Masked” (Full EP - Audio only)

神よりも
低い位置から
音を撃つ

<参考音源>
I Advance Masked 1982 Andy Summers Robert Fripp LP


Durutti Column "Never Know"


Evan Parker - Solo Soprano Saxophone (1975)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラウド盤魔殿 第5弾(2020年8月)公開中!!】FREE ZINE『盤魔殿アマルガム』最新号公開!!!盤魔殿DJ今月の1枚!!!

2020年08月23日 00時11分08秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿DJ 今月の1枚  
盤魔殿DJ陣が毎月お気に入りの音源をご紹介。こだわりの選盤からどんな世界が広がるかお楽しみください。

●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
CABARET VOLTAIRE / Code (Parlopone) 1987


1987年といえばイビザやらそこらでエクスタシーが出回りセカンド・サマー・オブ・ラブ勃発の年として有名だが、世の中みんながエクスタシー食って「ハウス・ミュージック最高ー、やっぱ愛だよ愛」ってなってたかと言うともちろんそんなコトなくて、同じデジタル・ミュージックでも「ファック・エクスタシー!!俺たちコーク・イズ・イット」と鼻水&鼻血たらしながらガシガシ踊ってたのがエレクトロニック・ボディ・ミュージックEBMって印象(あくまでも個人の印象です)。まあハウスのラブいヒッピー感に抵抗あって、パンク/NWのダークな世界観をダンス・ミュージックに落とし込んだって感じ。現在EBMの定義は1988年Front242が「俺たちEBM」宣言したのが始まりとされているが、個人的記憶では1986年ミニストリーの”トウィッチ”が発火点。たぶんエイドリアン・シャーウッドの名前にひかれてここら辺聴き始めたんだと思う。なのでEBMもON-Uサウンドもあんまり区別してなかったな多分。で、そんなシャーウッドの87年の仕事といえばキャブスのコレ。心あるキャブス・ファンから完全シカトされがちなこの時期だが、デジタル・ファンクとインダストリアル、ダブ、サンプリング、NYディスコが絶妙なサジ加減でブチ混まれており、ミート・ビート・マニフェストあたりのEBM好きにこそ聴いて欲しいカッコ良さ。それにしても実験テープ音楽からインダストリアル、ファンク、EBM、ハウス、テクノへと時代の変化と共に自らをアップデートさせていくキャブスのしぶとさはマジで見習いたい。多くのポスト・パンク世代が結局は過去にしがみつくしかない現状をせせら笑いながらキャブスは未来をまなざす。もうすぐリリース予定の新アルバムも期待するしかない。未来へ!。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
Rupert & Bertrand Burgess meets Mixed Band Philanthropist / When Anti Meets Electronics It All Ends Up As Nothing (LP)


現在はTNBのRichard RupenusとStan Reed、Allan Zaneの3人で動いているMixed Band Philanthropistの2017年度リリースされた新録作品! 80年にカセットを一本だけ残している謎多きユニットDada DuoのRupert & Bertrand Burgessとのセッション1曲を含む全3曲からなり、厳つい感触のコンクレート、高速カットアップ、DJミックスの様な形まで妙に振り幅のあるコラージュワークスとなっています。このノーマルエディション(とは言え100部限定)の他に5部限定のCD-Rの付属したBOXセットや50部限定の片面7inch付属のスペシャルエディションなど、計5種類のヴァージョンがリリースされています。私が入手したノーマルエディションでさえもリリース時は定価(送料込み)で¥5,000弱だったので、購入に数分悩んでいたらソールドアウトとなってしまい自身の優柔不断さに恨みを感じていた時期もありましたが、今回目出度くたまたま立ち寄ったUnion某店にて超爆安価格で購入出来たのは、今のところ今年1番のラッキーかな?(笑)


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼
おとのわ - 光明 (2016) CD


「おとのわ」は出口はるひ(歌・祝詞・石笛・クリスタルフルート・鈴)と佐藤なーや(クリスタルボウル・ホーミー・シンギングボウル・オリンチャイム・勾玉シダーフルート)の二人による2013年結成の音楽ユニット。日本全国、そして国外でも精力的に音楽活動を行う「おとのわ」の特徴は、佐藤なーやの奏でるクリスタルボウルの静謐な倍音は勿論のこと、その音に共振するように紡がられる出口はるひの祝詞(のりと)の霊性にある。祝詞とは、一般的には神道の祭祀に奉仕する神職が神に対して唱える言葉であり、その言葉には霊力が宿り、口に出されて述べることにより、この霊力が発揮されると考えられている。また、正式な場で唱える祝詞には、こうした言霊に対する信仰が根底にあるため、一字一句に流麗で荘厳な言い回しを用いて、間違えることがないように慎重に奏上される。ただ、「おとのわ」のライブでの演奏や、今回紹介する録音作品『光明』に収められた祝詞は、古来の正式な祝詞と共に、それらを現代的に解釈した、ある意味でわかりやすく聴く事ができる歌として翻訳が為されている。これらの翻訳の根底にある安らぎとは、1898年(明治31年)に「出口なお」と女婿「出口王仁三郎」により創立された神道系新宗教「大本」が不敬罪として国家に弾圧までされた、神道本来の精神性に由来するのではないだろうか。
2016年出版のCD「光明」は出口王仁三郎の玄孫にあたる出口はるひの祝詞が、神と人が一体であることを前提に散りばめられ、その中に静かな狂気を孕ませているような、バランスに優れた不思議な作品。


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
Odes / Vangelis,(vo)lrene Papas


ギリシア生まれのシンセサイザー奏者/音楽家のヴァンゲリスが日本で有名になったきっかけは、テレビ番組のBGMに使われた事であったと記憶している。
元々、彼は60年代にはポップスのバンドでオルガンを弾いていた様で、若く親しみやすい風貌の動画は現在でも簡単に見つける事ができる。 
ここにある収録曲を初めて聴いたのは、深夜のラジオ番組だった。
何よりも驚くのは、あの多数の印象的なメロディを生み出したにも関わらず、音楽は独学(個人教授は付いていた様)であり、楽譜が読めない事。所謂天賦の才の持ち主なのだろう。
1979年リリースのこのアルバムでは、女優/歌手のイレーネ・パパスがあたかも太古の女神の如き崇高な声を聴かせている。
ヴァンゲリスの楽曲の作成方法には、ギリシアの古典的な音階が活用されているそうであるが、それでも他の作品に比べてもはるかに壮大であり、尚且つ素朴な味わいがある。彼らのルーツを体感出来る貴重な盤でもある。
ヴァンゲリスのオリジナル曲二曲と古い民謡で構成されており、重厚ながら深く包み込む様な快さに溢れている。
日本国内では廃盤であるが、その他の様々な方法で入手可能。ヴァンゲリスに興味があるなら、必ず聴いていただきたい名盤。現世の憂いを忘れる事が出来るはず。

イレーネ・パパス/その男、ゾルバより


●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
Yokoscum ”Last month's music"


kaniQkaiやdepthmen、necccのメンバーであり、DJ:YOKOSCUMとしても活動する
若き新鋭!YOKOSCUM(ヨコスカ)のカセットテープ作にして、録音は自身がハンディー
レコーダーを用いて行ったというDIY振りである。
聴こえてくるのは、氏自身の中心から現れる衝迫によって瞬間、瞬間に産まれる捻れた
インダストリアルビートであったり、魂より湧き上がるかのような音々の応酬や
幽体のように浮き上がるコラージュの狭間に揺れる波動…
そして、楽曲が次へと変わっても変わらずに"ありつづける"眩い音の輝度である…
あゝ聴くたびに意識を貫いては閃光するので
例えばつぎのように興奮を覚えてならないのである…

突如現れ、血管に流れ込むかのように脈動する得体の知れない熱量が胸を突いた…
熱量が収縮を続け、散光する中、堂からこだまする声が太陽へと放たれる…
強靭な刃がぶつかり合うかのようなインダストリアルビートは日常に咆哮し、
視界を真っ白に遷移させる白日夢コラージュの中、精神と結合する声と呪術的金属
ビートが絶大なインパクトを以って閃光し、魂を温め、陶酔へと向かう…

この度のクラウド盤魔殿でも一曲廻させていただいたので
聴いていただければ幸いです。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
risaripa / Parallel


女性シンセ奏者、risaripa (a.k.a. Risa Reaper) の最新アルバム。数年前Soundcloudで「発見」し、80年代初期の宅録音源、例えば大竹伸郎の19 JUKEや、Vanity Recordsや第五列、DD.Recordsの諸作を思わせるサウンドに興味を覚えたが、特に深く調べることなく放置していたアーティストだが、先日DD.Redords関係者のツイートでこのアルバムのことを知り、Bandcampで聴いてみたところ余りに素晴らしかったので即購入。本人曰く「ボクがかんがえたさいきょうのストレンジポップをモジュラーシンセと声ノイズで」制作したという。最近のモジュラーシンセは面白いと思うが、多くの音を使い過ぎて複雑にしすぎたり、ノイズ・ミュージックにしてしまう傾向が多く不満を持っていたのだが、risaripaのリズム主体のシンプルな使い方こそまさに自分が聴きたかったモジュラーシンセ。言語不明の奇妙なヴォイスがテクノ感を増幅し、言葉通りの「最強の地下テクノポップ」になっている。彼女のBandcampでは多くの音源が¥300から「Pay what you want」(最低無料でも)で購入できる。“どんぐりオーチャック”名義で5年前に制作した音源をコンパイルした『2015-2016』も必聴。
https://risaripa.bandcamp.com/music
昨年から再発が始まったVanity Recordsの諸作と同じように、時代に関係なく存在する地下音楽の原点と言える作風は、聴き続け語り続けてていきたい。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
地下音楽探訪 宇田川岳夫~森羅万象‐津軽 (織茂静子遺作) 自主製作(月見堂)


演奏 織茂静子 ベース、ヴォイス
   織茂敏夫 ピアノ、神楽鈴
録音 2017年5月8日 音の家月見堂
2019年9月にこの世を去った織茂静子の遺作となるアルバム。織茂静子の夫である織茂敏夫の経営する自宅兼交流スペースである「音の家月見堂」において、織茂夫妻による即興演奏を録音したものである。通常彼らの音源はライブ録音されることが多いが、この音源は観客を交えず二人だけで即興演奏したものを収録している。ピアノとベースのデュオというとキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンのエレン・デヴィッドを思い起こす。織茂夫妻の演奏はパンク、ノイズ、シャーマニックトランスと様々な要素が含まれているが、基本には彼らの年齢(70歳代)が最も直接に洗礼を受けたであろうフリー・ジャズやサイケデリック・ムーブメント、ヒッピー・カルチャーの要素が強い。遠い地平線から響く大地のうねり、草原に降り注ぐ穏やかな太陽の光、命を歌う鈴の音、祈りにも似た声、ピアノの響きは風になり、波になり、時と場所を変えて様々な情景の中に聞くものを旅立たせる。敏夫のピアノは自由奔放に舞い踊るかと思えば、静かに精神の内部に降り立つようでもある。静子のベースはやさしく敏夫の演奏をサポートしていく。エリック・ドルフィーの言葉に「音楽は終わると空中に消えてしまう。もう取り戻すことはできない」というものがあった。録音は残っているが、その時間は永遠に失われてしまい、我々は静子の姿を見ることはできない。しかしこの音楽を聴きながら想像力を鋭敏に研ぎ澄ますことで、失われた時間の残滓を永遠に求め続けることはできる。不可能に挑むとき人は永遠に触れることができるのだと思う。コロナ禍で毎年恒例の月見堂五月祭りも夏至祭も冬至祭も開催はできないが、Heidrun Hidefeind監督による月見堂の記録映画Time is Nowはウィーン、トロント、グラスゴー、モスクワで上映され、ラストアルバムIRO Anima Animusも発売中であることを付記しておく。本アルバムは月見堂で販売されているので興味のある方は私に問い合わせてほしい。

<―――――――――――----------------- INFORMATION-----------――――――――――――――>

ケロッピー前田 presents
狂気音楽 a.k.a. クレイジーミュージック探訪 ~ ダダとパンクとキャバレー・ヴォルテール 編

9月7日(月) 阿佐ヶ谷TABASA https://tabasaasagaya.tumblr.com/
19:30 - 22:00
チャージ1000円 ドリンク(キャッシュオン)
出演 ケロッピー前田 ゲスト 持田保

カウンターカルチャーの最先端・身体改造を日本に紹介してきたケロッピー前田が、『INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE!!!』の著者・持田保とともに、数々の音源を振り返りながら、クレイジーミュージックのカリスマたちの文化的な背景やカウンターカルチャーとのかかわりを読み解く!!
今回は、1910年代に起こった反芸術運動「ダダ」の活動拠点となった店の名をグループ名としたキャバレー・ヴォルテールに焦点を当てる。
1974年頃、のちにハフラー・トリオの創立メンバーにもなるクリス・ワトソンの自宅には、リチャード・H・カークとスティーブン・マリンダーが集まって、テープレコーダーを使って、実験的な音楽の制作を始めていた。1978年、彼らはキャバレー・ヴォルテール(以下キャブス)として、ラフ・トレードからデビュー。インダストリアル・ミュージックの騎手として名作「ボイス・オブ・アメリカ」(1980)などをリリースするが、翌年クリスは脱退する。その後、バンド形態で積極的にライブもこなし、82年には来日も果たしている。
 いち早くダンスビートを取り入れ、のちのボディミュージックやテクノの先駆者となってきたが、キャプスが特別な存在であり続けるのは、ダダ、ネオダダ、フルクサスなどの芸術運動のエッセンスをパンク/ポストパンクの音楽創作に活かしてきたことにある。
 いま改めて、キャバレー・ヴォルテールの数々の貴重音源を聴きながら、前衛的な芸術運動の系譜と音楽やカルチャーのかかわりを検証する!

FREE ZINE『盤魔殿アマルガム Vol.30』PDF版Download Link

お気に入り
ミックス見つけ
られるかな?

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【音楽はコロナや猛暑なんかに負けない】夏を乗り切る冷感DJ MIX『クラウド盤魔殿 第5弾 - Disque Daemonium Soundcloud August』公開+参加者募集中!

2020年08月22日 01時25分42秒 | 素晴らしき変態音楽


2020年8月はCOVID-19の第二派感染に加えこれまでにない猛暑で熱中症にも気をつけなければならないトンデモサマーになってしまった。それに加えて5か月にわたる営業自粛勧告や風評被害でライヴハウスや音楽スタジオといった音楽の場が閉店や営業停止を余儀なくされ廃業・撤退する事例も増える一方である。しかし音楽はこんなことでは滅びたりしない。人間が一人でも生き残る限り、音楽も永遠に生き続けるのである。だからこそ、埋もれた音楽たちを世の中へ解放することが重要なのだ。どうすれば音楽を解放できるか、その方法のひとつが『クラウド盤魔殿』である。さあ、あなたも盤魔殿に参加して、永遠の音楽の歴史に爪痕を残しませんか?参加者募集要項は一番下にあります。




●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫

DJ Qliphoth Forgotten Prog Rock and Folk music
1. Anneke Konings - Sprookje
2. SAMURAI - Give a Little Love
3. Raw Material - Time & Illusion (Single Ver.) (Bonus Track)
4. Skybird - Queen Magdelena
5. Catherine Ribeiro + Alpes - La Petite Fille Aux Fraises
6. Edip Akbayram - Zalim [Tyrant]
7. Alrunes Rod - Et Menneske
8. Spriguns Of Tolgus - Let No Man Steal Your Thyme



DJ Qliphoth Apocalypsis music
1. Maria Zerfall - Wohin
2. Opera Multi Steel - Empress
3. Steven Severin - Sleepercell
4. Flint Glass, Collapsar - The Anger of the Gods [Ah Cama Sotz Mix]
5. Rajna - Zaraqustro
6. Teatro Satanico - Una Ninna-Panna Per Mia Runa
7. Dive - Broken Meat
8. Tzolk'in - Xipe Totec
9. Apoptose - APOPTOSE : Nidstäng


●DJ Necronomicon a.k.a.剛田武

"私のB級サイケ完全コレクションMIX"
コロナ自粛期間に自分のレコード・コレクションをアルファベット順に全部聴き直そうと決心した。
まずはサイケデリック・ロックのアメリカ編からスタートして、2か月経ってやっとCまで来た。
その中からB級サイケの曲をミックスした。

My Psychedelic Record Collection Mix 1~A&B
1. Allen Ginsberg / Introduction - The Shepherd
2. Asylum Choir / Welcome To Hollywood
3. Aorta / Heart Attack
4. Aum / Mississippi Mud
5. Amanda Trees / Spirit
6. Autosalvage / Auto Salvage
7. Andy Zwerling / Sifting Around In A Haze
8. Banchee / The Night Is Calling
9. Bear / What Difference?
10. Bit' A Sweet / Speak Softly



My Psychedelic Record Collection Mix 2~B
1. Beast / Prelude For Today - Floating (Down By The River)
2. Beacon Street Union / Sadie Said No
3. Bob Smith / Indian Slumber
4. Boa Constrictor & Natural Vine / Little David
5. Bold / Free Fugue
6. Beaver & Krause / By Your Grace
7. Bodine / Short Time Woman
8. The Bubble Gum Machine / Wha'cha Gonna Do For Me Now
9. Buckwheat / Yes
10. Bruce MacKay / In The Misty-Eyed Shores of Morning
11. Buffy Saint-Marie / God Is Alive, Magic Is Afoot


●DJ Vaby a.k.a.大場弘則

今回は昨年4月の幡ヶ谷Forestlimitでの盤魔殿以来、1年4か月振りにTechnoise (テクノイズ)をチョイス!大御所のScott Sturgisのソロ名義でもあるConverterやDiveの Dirk IvensのサイドプロジェクトのSonarを始めとし、盤魔殿に相応しいマニアックなマテリアルもご用意させて頂きました(笑)。相も変わらぬご時世なれど激しいビートに身を委ねつつ皆様が少しでも心地好さを感じて頂ければ幸いでございます。

以下が今回のセットリストです。
1.Converter / Error
2.Hypnoskull / No Chance Left (Rmx)
3.Sonar / Shotgun Radio
4.Imminent · Synapscape / Eval
5.Seda E Marg / Our Empire 
6.Winterkälte / Rebound Effect
7.Roger Rotor / Drown Delay
8.Klangstabil / Gloomy Day


●浅倉玲音

浅倉玲音 bass drone 2
今回のソロベースもフレーズを削除した周波数帯のみのdrone作品にしました
機材はアンビエントソロベースで使用するディレイを使用しました
ベース本体のボリュームとトーン調整、ディレイの原音、加工音の調整でdroneスタイルにしてみました
次にもしも参加出来たらGoa trance mixかtape collage mixか電気GROOVE mixのどれか反応がありましたらMIXしようかな?


●DJ Bothis a.k.a.山田遼

「今回は全体的にキラキラして生きる希望に溢れたお花畑ソングを集めてみました。先が見えない世知辛い時代ではありますが、コロナに負けずに頑張りましょう。というのは冗談なんでさておき、私が今このようなパンデミックの暗い世界になぜ耐えられるかと言えば、若いうちからこのような真摯な音楽に触れていたため暗黒に対する免疫ができているからです。そういう意味ではデスインダストリアルには感謝してます。」

DJ Bothis Soundcloud版 盤魔殿 Set list
1.Nurse With Wound - Salt Marie Celeste
2.Korpses Katatonik - Kaltfleisch Corporor
3.Schloss Tegal - From The Light Into The Darkness
4.Nurse With Wound - Mutilés De Guerre
5.Nocturnal Emissions - Blalelalele
6.Stalnoy Pakt - Decima Mas
7.Con-Dom - I'm Human


●DJ Athmodeus a.k.a.持田保

DJ Athmodeus Mix 2020/08/21
Tapes / Gold Love VIP (Careless Whisper Mix)
Jah Wobble / Shinto Dub (Quiet Village Mix)
Bauhaus / Paranoia, Paranoia (テルマ湯mix)
Joh Wobble / K Dub 5
Zomby / Spaceman
Dum Dum TV / TV UPC

ダブと電波と陰謀論。かつて核戦争到来がマジで信じられていた冷戦時代に「パラノイアでいることこそ精神の健康!」と豪語したキャブスを思い出しながら(キャブスは全く使ってないけど


●DJ BEKATAROU a.k.a.伊藤元

1.灰野敬二 + SUMAC /
内部 内部 内部 
-空間-
おぞましい おぞましい おぞましい

2.Nu Creative Methods /Grand Hôtel Et Des Palme

3.Yokoscum / Untitle 1

4.Grifu / Unsinkable Sam

5.Deeat Palace / A1

6.SOFHESO / 572

この度は大御所、新進、旧作、新作を問わず
カセットテープ作品を特集し、廻させていただきました...

最初の楽曲は灰野敬二とSUMACとの2019 年作です…
お楽しみ下さいませ


●Lower Than God

Lower Than God / We Advance Masked
Marc LOWE + Takeshi GODA = LOWER THAN GOD(神以下)
1. Unmasked
2. Heatstroke
3. Louder Than Words
4. Devil May Care
5. A Day In The Park

盤魔殿
夏を乗り切る
霊感MIX

SoundCloud 盤魔殿 第5次募集(追加募集)のお知らせ。
酷暑の中皆さまお元気にお過ごしでしょうか。
8月初旬に以下の要領で募集しましたが、締め切りを8月23日まで伸ばします。参加お待ちしております。
コロナウィルス感染状況の激化に伴い、盤魔殿も実際の会場で開催を見合わせる状況が続いています。この閉塞的な状況で、関係者およびお客様方、お世話になっている会場関係者にはご心配をおかけしております。不安と焦燥感がつのる状況ですが、盤魔殿出演者ならびに愛好者の皆様に、また改めてのお願いです。現在の閉塞した状況に対する皆様の思いをDJプレイに込めて、以下の要領で参加していただければと思います。

Soundcloud版盤魔殿参加要項です。 各自以下の要領でファイルを送ってください。 
フォーマット MPEG-1 Audio Layer-3 いわゆるMP3 またはWAV または AIFF
サンプリング周波数 44.1kHz または48kHz 
ビットレート 192kbps以上 
チャンネル数 2チャンネル 
送付方法 Gigafile便, Wetransfer, Dropboxなど を利用 
収録時間 30分程度 

ファイル名は DJ名の後に拡張子(.mp3 , .aiff, .wav など)を追加 たとえばDJQLIPHOTH.mp3 といった具合に付けてください。 
なお、ファイルと別途にメールにて DJ,名義と セットリスト(必須)とジャケ写(あれば可 できるだけほしい…)と簡単な聞きどころを解説した文章(140字以内)もお願いします。 
送付期限(締め切り)8月23日

これらを私が持っているサウンドクラウドアカウント Disque_Daemoniumに アップします。
ご協力できる方はfacebookメッセージなどにてお返事ください。
現在届いたものから順次アップしていきます。
よろしくお願いいたします。
宇田川岳夫
https://www.facebook.com/takeo.udagawa



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラウド盤魔殿 公開前夜】DJ Necronomicon『私のB級サイケ完全コレクションMIX』音源紹介~アレン・ギンズバーグ/アサイラム・クワイア/ オールサルヴェージ他

2020年08月21日 00時04分22秒 | 素晴らしき変態音楽


まもなく完全公開になるオンラインDJイベント『クラウド盤魔殿』第5弾からサイケミックスを先行公開。

DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武 
"私のB級サイケ完全コレクションMIX"

コロナ自粛期間に自分のレコード・コレクションをアルファベット順に全部聴き直そうと決心した。まずはサイケデリック・ロックのアメリカ編からスタートして、2か月経ってやっとCまで来た。その中からB級サイケの曲をミックスした。

●My Psychedelic Record Collection Mix 1~A&B

1. Allen Ginsberg / Introduction - The Shepherd

taken from『Allen Ginsberg / William Blake / Songs Of Innocence And Experience』1970 / US: MGM Records ‎– FTS-3083

ビート詩人アレン・ギンズバーグが1948年自宅で18,9世紀のイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩集『無垢と経験の歌』を読んでいるとき、「ひまわりよ」(Ah! Sun-flower)、「病める薔薇」(The Sick Rose)、「迷子になった女の子」(The Little Girl Lost)を朗読するブレイクの声が外側から聞こえてくる幻聴体験をしたと言われている。その体験を音楽にした、牧歌的で朴訥とした歌にフルート、ハープシコード、ピアノ、ハーモニウム、オルガン、トランペット、パーカッション等様々な楽器が絡むファンタジックな音楽絵巻。今回クレジットをよく読んで気が付いたのだが、ドン・チェリーやエルヴィン・ジョーンズといった大物ジャズメンも参加している。ジャケットのイラストはブレイク自身による採飾画。文化財的価値の高いレコードである。

2. Asylum Choir / Welcome To Hollywood

taken from『Asylum Choir ‎/ Look Inside The Asylum Choir』1968 / UK: Mercury ‎– 6338049

Leon RussellとMarc Bennoのデュオユニットの1stアルバム。スタジオワークを駆使し、すべての楽器を二人で演奏して完成させたという。ビートルズ的なポップセンスあふれるサウンドは、カラフルなサイケ感と美しいメロディに溢れており、後にソロで大ヒットを飛ばす二人の才能を実感させる。トイレットペーパーが表紙のアメリカ盤の内ジャケを表紙にしたイギリス盤のカラフルさがサウンドにマッチしている。レオン・ラッセルはほとんど聴いたことはないが、このレコードは今後もっと聴くようにしたい。

3. Aorta / Heart Attack

taken from『Aorta ‎/ Aorta』1969 / US: Columbia ‎– CS 9785

イリノイ州ロックフォード出身のバンドThe Exceptionsが67年にAorta(エイオータ)に改名し、Shadows Of KnightsやH.P.Lovecraftを擁するシカゴのDunwich Productionと契約し、69年にリリースしたデビュー作。メンバーはJim Donlinger(key,vo), Jim Nyeholt(b), Billy Herman(ds), Bobby Jones(g,vo)。心音のサウンドエフェクトからスタートするギミック交じりのプログレッシヴなサウンドはかなり高水準。レントゲン写真のジャケはドイツのFaustの先を行っていた。

4. Aum / Mississippi Mud

taken from『AUM / Bluesvibes』1969 / UK: London Records ‎– HAK 8401

68年サンフランシスコで結成されたロック・トリオ。メンバーはWayne Ceballos(vo,g,p), Ken Newell(b), Larry Martin(ds)。69年1月フィルモア・ウェストの新人オーディションに合格し、フィルモアのレギュラーバンドとなる。 デビュー・アルバムの本作はストレートアヘッドなブルース・ロック。3ピースのシンプルな編成はクリームを彷彿させる。Wayne The Harpのサイケギターが冴えわたるA-2 Mississippi Mudをはじめ、これぞサイケデリック・ブルース!といえる会心作。ジャケットもかっこいい。所有しているのは英国モノラル盤だが、モノラルならでは密なサウンドが迫力たっぷり。

5. Amanda Trees / Spirit

taken from『Amanda Trees ‎/ Amanda』1972 / US: Poppy ‎– PP-LA003-F

アヘンの材料にもなるケシの花のレーベル面が飾られたPoppyレーベルは、それだけでサイケっぽいが、謎の女性シンガーソングライター、Amanda Treesの唯一のレコードは、サウンドを含めて幻想的な1枚。コケティッシュで天真爛漫なギター弾き語りが、深いリバーヴとフルートや鳴り物やエフェクトで彩られ、アシッドの香り漂う想像の花畑へ連れてってくれる。特にB-2 Rock Salt、B-3 Spiritの長尺ナンバーの呪術的な歌は、アシッドフォークという使い古された形容を吹き飛ばすオリジナリティ。現在もアンビエントなピアノと歌を作り続けている。

6. Autosalvage / Auto Salvage

taken from『Autosalvage ‎/ Autosalvage』1968 / US: RCA Victor ‎– LSP-3940

1966年夏にニューヨークで結成。メンバーはThomas Danaher (vo, g), Darius LaNoue Davenport (vo, oboe, p, ds, tb, g, b, krummhorn, recorder), Rick Turner (g, banjo, dulcimer), Skip Boone (b, p)。最初はThe Northern Lightsと名乗っていたが、フランク・ザッパの提案でAutosalvageに改名した。唯一のアルバムである本作は、捻くれたポップセンスとサイケなギターと適度なアヴァンギャルド性と洗練されたサウンド・プロダクションで時代性を全く感じさせない傑作であり、筆者のB級サイケTop5に入る。この1枚で解散後、BooneとDavenportは短命に終わったバンドBearで活動、その後セッション・ミュージシャンとしてTerence Boylan(Appletree Theatre)などのバックを務めた。2013年に再結成しSXSW 2013に出演したという。

7. Andy Zwerling / Sifting Around In A Haze

taken from『Andy Zwerling ‎/ Spiders In The Night』1971 / US: Kama Sutra ‎– KSBS 2036

ニューヨーク州ロングアイランドの高校生で、ローリング・ストーン誌のライターをしていたAndy Zwerlingが、Flaming Grooviesのレビューを書いた縁でプロデューサーのRichard Robinsonと知り合い、Kama Sutraからリリースしたソロ・アルバム。全曲当時17歳だったZwerlingの作品。バック・ミュージシャンはLenny Kaye (g,b,org,p), Richard Robinson (g,b), Anne Marie Micklo (cho), Lisa Robinson (cho)。孤独を感じさせる内省的な歌は、ティーンエイジャーにしては老成している気がするが、この暗さも十代特有のメランコリーの発露である。パティ・スミス・グループのギタリストとなるレニー・ケイの初の共同プロデュース作品でもある。Andy Zwerlingは法律家の道を進むが、80年と2008年にアルバムをリリースしている。

8. Banchee / The Night Is Calling

taken from『Banchee / Banchee』1969 / US: Atlantic ‎– SD 8240

60年代後半東海岸出身の4人組。 Jose Miguel DeJesus (g,vo), Michael Marino (B,vo), Peter Alongi (g,vo), Victor DiGilio (ds,vo)。CSN風のコーラスやジャズっぽいアドリブ、哀愁のメロディを交えた構成のはっきりしたプログレッシヴ・ハードロックだが、ヘヴィさは皆無。真のアートロックと呼べるだろう。A-5 Beautiful DayやB-4 Tom's Islandの凝った構成とポップセンスがかなり気に入っている。Top5には入らないが、Top10には入るかもしれない。ムード音楽かイージーリスニングジャズの企画盤っぽいジャケットも音の枯れ具合に相応しい。71年にPolydorから2ndアルバムを出している。

9. Bear / What Difference?

taken from『Bear / Greetings, Children Of Paradise』1968 / US: Verve Forecast ‎– FTS-3059

ニューヨーク出身のArtie Traum (g), Eric Kaz (key), Steven Soles (vo)のトリオ。同郷のサイケバンドAutosalvageのSkip Boone (b)とDarius Davenport (ds)がゲスト参加している。Eric Kazはサイケの名バンドBlues Magoosの後期メンバーだった。のちにソロで活躍するTraumとKazの才能が光るソフトロック~サイケポップ~プログレッシヴカントリーの隠れた名盤。ツインギターとオルガンのクロスプレイが印象的なA-5 What's Difference?、キャッチ―なB-1 It's Getting Very Cold Outsideを始め、地味だが名曲名演ばかり。

10. Bit' A Sweet / Speak Softly

taken from『Bit 'A Sweet /‎ Hypnotic I』1968 / US: ABC Records ‎– ABCS-640

NYロング・アイランド出身のガレージロック・バンドThe Satisfactionsが前身。メンバーはDennis DeRespino (vo, key, g), Russell Leslie (ds, vo), Mitch London (b, vo), Jack Mieczkowski (vo, g, sitar)。67年にシングル「Out of Sight, Out of Mind」でデビュー、映画『Blonde on a Bum Trip』に出演。本作は68年の唯一のアルバム。プロデューサーのSteve Duboffが曲の大半を作曲しており、アルバムタイトル『Hypnotic(催眠術)』に倣って奇妙な電子音やエフェクトやエレクトリック・シタールを取り入れているが、バンドのソフトロック/ガレージロック・サウンドとは乖離している。以前聴いたときの居心地の悪さは、今聴くとスプーキー・トゥース&ピエール・アンリ『セレモニー』に似た”勇気ある失敗作”と呼びたくなる。


●My Psychedelic Record Collection Mix 2~B

1. Beast / Prelude For Today - Floating (Down By The River)

taken from『Beast / Beast』1969 / US: Cotillion ‎– SD 9012

コロラド州デンヴァー出身の7人組。メンバーはDavid Raines (vo), Robert Yeazel (g), Gerry Fike (org), Larry Ferris (ds), Michael Kerns (fl, sax), Ken Passarelli (b, hca), Dominick Todero (tp)。枯れた味わいの哀愁ブラスロックはまさに通好みの極致。B面のシタール・インストも瞑想音楽で心地よい。『Woodstock』のサントラ盤やヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『Loaded』を出したAtlantic傘下のCotillionレーベルは、60年代末に無名のプログレッシヴ・バンドをリリースしている。そのどれもが激渋ながら味わい深いバンドばかりで、筆者のフェイヴァリット・レーベルである。70年にEvolutionから2ndアルバムをリリースし解散。Robert YeazelはSugarloafに参加する。

2. Beacon Street Union / Sadie Said No

taken from『Beacon Street Union / The Eyes Of The Beacon Street Union』1968 / US: MGM Records ‎– SE 4517

1966年にボストンで結成。メンバーはJohn Lincoln Wright (vo), Paul Tartachny (g), Richard Weisberg (ds), Robert Rhodes (key), Wayne Ulaky (b)。MGMレコードと契約、プロデューサーのAlan Lorberにより、サンフランシスコ・サウンドに対抗する”Bosstown Sound”として売り出され(他にUltimate Spinach、Orpheus等)ちょっとした成功を収めた。テープ早回しやサウンド・エフェクトを使用したトリッキーなサウンドは、バラエティありすぎて統一感に欠ける気がする。ハードな曲調がメインのB面が聴きどころ。

3. Bob Smith / Indian Slumber

taken from『Bob Smith / The Visit from Bob Smith』1970 / US: Kent ‎– KST-551

カリフォルニアのギタリスト&ヴォーカリストBob Smithが8人のミュージシャンと共に作り上げた幻のサイケ・アルバム。200円という余りの安さに逆に買うべきかどうか悩んだが、神懸った封入ポスター欲しさに買って正解。最初に聴いたときは普通のアメリカンロックに聴こえたが、Bob Smithという平凡な名前の男が全身全霊を籠めたサウンドにまつわる伝説を知るにつけ、奇跡の1枚として宝物になった。

4. Boa Constrictor & Natural Vine / Little David

taken from『Boa Constrictor & A Natural Vine ‎/ Boa Constrictor & A Natural Vine』1968 / US: Vanguard Apostolic ‎– VSD 6511

極彩色のイラストが素晴らしくサイケなGeorge FiggsとBen Syfuのヒッピー・フォーク・デュオの唯一の作品。このジャケで180円なら絶対買うでしょ。しかしフィールド・レコーディングや身内の会話、お遊びの乱痴気騒ぎを交えたユル過ぎる世界は、正直ついていけない。ラリッたヒッピー・ミュージックのドキュメントだが、その中に哀愁フォーク&電子音A-3 Devil & The Ace Of Spadesやヘヴィ・ブルースB-1 Time Is Moneyのような隠れた名曲があるので油断できない。 Vanguard Apostolicというレーベル自体が自然体のリラックス・ミュージックを追求していたようだ。

5. Bold / Free Fugue

taken from『Bold / Bold』1969 / US: ABC Records ‎– ABCS-705

65年にマサチューセッツで結成されたガレージバンドThe Esquiresを母体に60年代半ばに結成。メンバーはDick La Freniere (g), Michael Chmura (key), Robert La Palm (g), Steve Walker (vo,b), Timothy Griffin (ds)。68年にNY Playboy Clubのハウスバンドとして毎晩演奏していた。この唯一のアルバムは、プログレッシヴ・カントリーロックと呼べる内容。テープの逆回転、アンビエントなギター・ソロ、ストリングス、プログレ・オペラ等工夫を凝らしたプロダクションはレベルが高い。ボブ・ディランとバッファロー・スプリングフィールドのカヴァーは余計だったかもしれない。解散後La PalmとGriffinはカントリーロックバンドClean Livingを結成。

6. Beaver & Krause / By Your Grace

taken from『Beaver & Krause ‎/ Gandharva』1971 / US: Warner Bros. Records ‎– WS 1909

Paul BeaverとBernie Krauseからなる電子音楽デュオ。60年代半ばからデュオで音楽活動しつつ、西海岸地区のMoogシンセサイザー営業担当をしていた。ジョージ・ハリスンやザ・バーズ、ドアーズ、モンキーズなどにMoogを売ったという。71年の4thアルバムの本作はヒンドゥ教の神話をテーマとした作品で、マイク・ブルームフィールド(g)、ロニー・モントローズ(g), ジェリー・マリガン(sax), バド・シャンク(sax), ライ・ブラウン(b)など有名アーティストがゲスト参加。その割には凡庸なスムーズジャズやイージーリスニング風のサウンドで、サイケなジャケに期待した筆者は裏切られた思いがしたが、今聴くとニューエイジの先駆者のようで悪くない。

7. Bodine / Short Time Woman

taken from『Bodine / Bodine』1969 / US: MGM Records ‎– SE-4652

シアトルのガレージ・サイケ・バンドDaily Flashを母体に68年に結成された。最初はPopcornと名乗っていた。メンバーはDavid Brooks (key), Eric Karl (g), Jon Keliehor (ds), Steve Lalor (g), Kerry Magness (b)。西海岸を幅広くツアーしていた。メジャーのMGMからの唯一のアルバムはCCR風のアーシーなロックが中心だが、アコースティック・バラードA-5 It's Just My WayやソリッドなギターのB-4 Long Way Just To Go Home、ファンキー・ロックB-6 Disasterやしっとりしたバラードなど聴きどころは多い。何よりも鄙びたジャケット写真が味わい深い(特に右端のEric Karlのあどけなさ!)、個人的な贔屓名盤。のちにJon Keliehorはダンス・舞台音楽作曲家/パーカッション奏者として成功する。

8. The Bubble Gum Machine / Wha'cha Gonna Do For Me Now

taken from『The Bubble Gum Machine / The Bubble Gum Machine』1968 / US: Senate Record Corp. ‎– S-21002

名前と派手なジャケから流行に便乗した安上りのバブルガム・ポップかと思ったら、意外や意外、とても良質なフィメール・ヴォーカル・ソフトロックだった。メンバーはVicki Spencer (vo), Billy Spencer (vo), Danny Spencer (ds), George Peel (b), Danny Evans (key) 。音楽一家に育ったスペンサー3姉弟を中心とするファミリー・グループの唯一のアルバム。ビートルズ、ビージーズ、バッファロー・スプリングフィールドなどのカヴァーも収録。オルガンやギターが所々でサイケ味たっぷりのプレイを展開する。B-2 You Make Everything Rightのトレモロギターなど。B-5 SGT. Peppersのガレージロック・カヴァーも最高。

9. Buckwheat / Yes

taken from『Buckwheat / Pure Buckwheat Honey』1969 / US: Super K ‎– SKS 6004

テキサス州ヒューストンのバンドThe Cloudsを前身として、Timothy Harrison Dulaine (vo,g,key), Charlie Bell (vo, b), John Govro (vo, g), Danny Casey (ds)の4人で68年にニューヨークで結成。69年にブッダ・レコード傘下のSuper Kからリリースした唯一のアルバム。モンキーズ風のポップ、ビートルズ『サージェント・ペパーズ』風のノスタルジア、メリーゴーランドのようなボードビルなど、カラフルなサウンドが満載。郷愁のあるジャケを含めお気に入り盤だが、サイケというよりトッド・ラングレンやアレックス・チルトンに通じるハイクオリティのパワーポップである。

10. Bruce MacKay / In The Misty-Eyed Shores of Morning

taken from『Bruce Mackay / Bruce Mackay』1967 / US: ORO ‎– ORO-1

カナダ出身のシンガーソングライター、ブルース・マッケイがESP傘下のOROレーベルから67年にリリースしたソロ・アルバム。Discogsによれば66年にカナダで『Is』というデビュー・アルバムを出しているらしい。寂れた砂浜のジャケ、裸足でレンガに座るアーティスト写真から、孤独なアシッドフォークを想像したら、意外に熱のこもった声を張り上げるタイプのシンガーだった。フルートやハープシコードのヘヴンリーなバッキングも一緒に盛り上がる展開は、スコット・ウォーカーを思わせる。Warren Smith (ds)、Chuck Raney (b)といったジャズ・ミュージシャンやFugs、Holy Modal RoundersのLee Crabtree (org)が参加。

11. Buffy Saint-Marie / God Is Alive, Magic Is Afoot

taken from『Buffy Sainte-Marie / Illuminations』1969 / US: Vanguard ‎– VSD-79300

1941年生まれのネイティヴアメリカン系カナダ人シンガーソングライター、バフィ・セント・メリーの6thアルバム。素朴なアコギの弾き語りでフォーク・ムーヴメントの代表として知られるバフィが、エレクトロニクスとロック・サウンドを大胆に取り入れた意欲作。彼女の声を電子変調したエフェクトによるA1.God is alive, magic is afootは面白いが、大半の曲は基本フォークロックにちょっとだけエレクトロを塗した感じで、昔聴いたときはピンと来なかった。しかし現代音楽・電子音楽にどっぷりハマった今聴くと、60年代にポップと現音の融合を目指した先進性に感服する。A-4. Adamの多彩なバックサウンド、B-6. Poppiesのアンビエント・ヴォイスが素晴らしい。

サイケなり
インプロなりの
盤魔殿

*『クラウド盤魔殿8月分』まだ募集中です。新規参加者も歓迎しますのでよろしくお願いします。一人持ち時間30分程度。新規の方は詳細をお問い合わせください。Twitter@mirokristel

▼AUM


▼Bruce MacKay


▼My Instant DJ Set
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラシックの嗜好錯誤】第八回:出会いと遺品と自然体~カールハインツ・シュトックハウゼンへの回想

2020年08月20日 01時44分13秒 | 素晴らしき変態音楽


1975年に中学に進学した頃から軽音楽や洋楽ポップスに興味を持つようになった。情報源は雑誌や新聞もあったが、なんといってもラジオ、特にFMの音楽番組だった。その頃はまだローカルFM局があるのは東京、大阪、名古屋くらいで、筆者が住んでいた金沢にはNHK FMしかなかった。平日夕方の「軽音楽をあなたに」夜の「クロスオーバーイレブン」、週末の午後の湯川れい子のポップス番組などをよく聴いていた。決まった番組以外にも、適当な時間にラジオをつけて流れてくるクラシックやジャズや民俗音楽を聴くのも楽しみだった。ある日居間のステレオのラジオのスイッチを入れたら、突然いろんな電波が混ざり合った雑音が流れてきて、ステレオが壊れたかと思ってヴォリュームやチューナーのつまみをいじったが、雑音は消えないどころか、勝手にチューニングが変わるように様々な音楽の断片が聴こえたり消えたりを繰り返した。その状態が5分くらい続いたので「ラジオが狂った!」と興奮して、証拠のためにカセットテープで録音した。やっと雑音が終わった時、当然トラブルに関するお詫びのアナウンスがあるだろうと思っていたら、何事もなく次の番組が始まった。いったいこれは何?と戸惑うばかりだった。今のようにSNSがあれば「さっきNHK FMが狂ってなかった?」などとツイートして反応を調べられたかもしれないが、その頃は何が起きたのか確かめようはなかった。翌月のFM雑誌(FMラジオで放送した曲のリストが載っていた)で確かめたかどうかは覚えていない。その一方で放送事故の証拠のカセットでこの音源を聴くと、不思議に懐かしいような魅惑を感じた。

高校、大学へと進学し、アヴァンギャルドな音楽を聴くようになり、ノイズや騒音が音楽になることを知るにつれ、自分が聴いたのが現代音楽の作品だったことが分かってきた。電子音楽かミュージック・コンクレートだったのだろう。とはいえ当時録音したカセットもとっくに失われており、具体的に誰の何という作品だったのかは35年近く経っても謎のままだった。

●Karlheinz Stockhausen ‎/ Hymnen

1969 / Germany: Deutsche Grammophon ‎– 139 421/22

その謎が解けたのはつい最近、中古レコード店で視聴した1枚のレコードだった。カールハインツ・シュトックハウゼンの『Hymnen』。世界各国の国歌を素材にして、短波ラジオ、チューニング音、モールス信号、あらゆる電子雑音の中に断片としてメロディを埋め込んだ電子音楽作品である。2時間もある大作なのでどの部分がFMラジオで放送されたのかは分からないが、中学時代の筆者を震撼させたのは間違いなくこの音だった。

Karlheinz Stockhausen - HYMNEN (Elektronische und konkrete Musik) Region 1 + 2



●Karlheinz Stockhausen ‎/ Studie I / Studie II / Gesang Der Jünglinge

1961 / Japan: Deutsche Grammophon ‎– LG-40

シュトックハウゼンにまつわるもう一つの驚きは、今は亡き父のレコード・コレクションに『少年の詩、習作』の10インチ盤を見つけたことである。父はクラシック・ファンだったが、主にベートヴェンやモーツァルト、ワーグナーといった古典的なクラシックばかりで、近代音楽はストラヴィンスキーやバルトークくらいしか聴かなかった。遺品の中に初期電子音楽の名作といわれる『少年の詩』を見つけた時は意外な気がしたとともに、同時代的な音楽を聴こうとした若き父の姿が目に浮かび嬉しくなった。

Karlheinz Stockhausen - Gesang Der Jünglinge ("Song of the Youths")


90年代のサンプリング・ユニットStock, Hausen & Walkman(ストック・ハウゼン・アンド・ウォークマン)のネタ元であり、クラシック、現代音楽ファンにも名前が知られるシュトックハウゼンは非常に多作な作曲家であり、「点の音楽」「群の音楽」「モメント形式」「直観音楽」「フォルメル技法」など技法を発展させ、声楽、器楽曲、室内楽、交響曲、電子音楽など様々なスタイルの作品があるので、どの作品が好きかは個人の感性に頼るしかない。筆者的には『若人の歌』『ヒュムネン』『テレムジーク』などの電子音楽が一押しだったが、最近気に入っているのがこのアルバム。


●Karlheinz Stockhausen - The Negative Band ‎/ Short Wave

1975 / US: Finnadar Records ‎– SR 9009

高円寺Los Apson?でこのレコードを見つけた時、エクスペリメンタル・ノイズ・バンド”Negativland”によるシュトックハウゼン作品!と思って大興奮したが、カウンターに持っていく途中で”Negative Band”だと気が付いた。念のため試聴すると、生楽器とエレクトロニクスによる比較的起伏の少ないアブストラクトなフリー・インプロヴィゼーションのナイス・レコード。Ngativlandよりも面白いと即購入。Nagtive Bandはパーカッション2名、サックス、ピアノ、シンセ、フルートからなる6人組で、曲によって楽器を持ちかえる。74年5月ロアンゼルスでシュトックハウゼンの直観音楽作品を演奏したライヴ録音。テキストの形で提示された方向性に基づく即興演奏の「直観音楽」作品には、シュトックハウゼン本人が参加したレコードも多いが、本人が参加しない演奏のほうが客観的で作品の魅力が引き立つように感じる。特にアルトサックスの非ジャズ的演奏が、インプロに有りがちな過度の肉体性・精神性を回避し、自然体の即興音楽を生み出している。正直言って地味だが、活動的になれない今の気分にはピッタリくる。

カールハインツ
音楽迷宮
ストックハウス

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【本日の灰野敬二配信ライヴ】bugs cry what(吉本裕美子+狩俣道夫)× Keiji Haino 灰野敬二@成城学園前アトリエ第Q藝術 7:30pmスタート無料配信+投げ銭

2020年08月18日 10時32分42秒 | 灰野敬二さんのこと


8月18日(火)東京・成城学園前 アトリエ第Q藝術
bugs cry what × Keiji Haino
有観客&インターネット配信ライヴ

開演・配信スタート 7:30pm

bugs cry what:
吉本裕美子 Yumiko Yoshimoto (guitar, daxophone)
狩俣道夫 Michio Karimata (flute, sax, voice, etc.)

special guest 灰野敬二 Keiji Haino

7:00pm 開場 7:30pm 開演
入場料 2,500円 (定員20名)
予約:アトリエ第Q藝術 q.art.seijo@gmail.com
※COVID-19感染拡大状況により無観客になる可能性があります

※インターネット無料配信ライヴ

アトリエ第Q藝術YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCTLVwQs-NWWVOP2e0zGbECw

無料でご視聴いただけますが投げ銭によるご支援をいただければ幸いです
https://qartseijo.stores.jp/

照明:早川誠司
配信:アトリエ第Q藝術

アトリエ第Q藝術 1Fホール
https://www.seijoatelierq.com/
小田急線 成城学園前駅 南口・北口より徒歩3分
世田谷区成城2-38-16
Tel. 03-6874-7739
E-mail: q.art.seijo@gmail.com

海外でも
配信ライヴ
観られます

bugs cry what(吉本裕美子Yumiko Yoshimoto + 狩俣道夫Michio Karimata )
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【私のB級サイケ完全コレクション#15】訳ありレコードのC~Collectors/Colours/Comfortable Chair/Common People/Corporation

2020年08月15日 01時19分29秒 | 素晴らしき変態音楽


サイケに限らずレコード・コレクターの世界にはレア盤と呼ばれ高値で取引されるレコードがある。マイナーレーベルの少数プレスであれば発売された時点ですでに稀少価値が生じることは理解できる。しかしメジャーなレコード会社から全国リリースされたにもかかわらず、配給や宣伝に問題があり市場に並ぶこともなく、ほとんど売れずに廃盤になったレコードが、40年以上経ってレア盤とされ高い需要を生む状況は不幸という言うしかない。その一方で見落とされ評価されることなく廉価盤コーナーの隅で売れ残る盤もある。筆者の嗜好としては誰からも見向きもされない不幸なレコードに希望の光を灯すことが何よりの歓びではあるが、どちらも不幸な運命を辿った「訳あり盤」である。なぜかCにはそういった訳あり盤が少なくない。

●The Collectors / Grass And Wild Strawberries

1969 / Canada: New Syndrome Records ‎– WS 1774 / 1996.7.12 Los Angeles Aron's Records $9.98

カナダのヴァンクーヴァ―で1961年に結成。最初はThe Classicsと名乗り2枚のシングルをリリースし66年にThe Collectorsに改名した。メンバーはBill Henderson (g), Claire Lawrence (sax,org,fl), Glenn Miller (b), Ross Turney (ds), Howie Vickers (vo)。68年のデビュー・アルバム『The Collectors』に続く2ndアルバムが本作『Grass And Wild Strawberries』。すべての歌詞を劇作家のGeorge Rygaが手掛けたコンセプト・アルバム。すとーりーが分からなくても、サックス、フルートを取り入れフォークやジャズの要素を持つプログレッシヴ・サイケが魅力的。特にA-6 Seventheenth Summerのミニマルなサウンドが面白い。

The Collectors - Seventeenth Summer (Live on Canadian T.V.)



●The Collectors / Seventeenth Summer

1987 / UK compilation: Edsel Records ‎– ED 214 / 1988.10.30 渋谷Tower Records ¥1,390

シングルや1stアルバムの曲を含むベスト・アルバム。初期のガレージパンクからフルートを取り入れ複雑なサウンドに変化していく様子がよくわかる。B面はすべて2ndアルバムからの選曲。Edselの発掘盤は詳細な解説や写真がついているので嬉しい。69年にヴォーカルのHowie Vickersが脱退し、残ったメンバーは70年にChillwackに名前を変えて、88年までカナダを代表するロックバンドとして活動を続けた。
http://shadwell.tripod.com/colbiog.html

The Collectors "Lydia Purple" 1968



●Colours / Colours

1968 / US: Dot Records ‎– DLP 25854 / 1986.6.6 下北沢レコファン ¥1,550

1967年にロサンゼルスにて結成。メンバーはGary Montgomery (p), Rob Edwards (g), Jack Dalton (g), Carl Radle (b), Chuck Blackwell (ds)。68年の1stアルバムは、英国風にColoursと綴ったバンド名に相応しく、ビートルズなどブリティッシュ系の洗練されたサイケポップが満載。シタール、バグパイプ、室内楽、スパニッシュ・ギター、テープ逆回転などのギミックを適度に導入し、臭みのないヴォーカル・ハーモニーで作り出す世界は、ミレニウムやサジタリアスに負けない上質なドリームポップである。なぜか評価が低いが、ソングライティングの素晴らしさを含め、極上のサイケ・アルバムだと思う。シタールポップの名曲A-5 Rather Be Me、シカゴのAortaにカヴァーされたB-4 Catalepticなど素晴らしい。

Colours -[7]- Brother Lou's Love Colony



●Colours / Atmosphere

1969 / US: Dot Records ‎– DLP 25935 / 1986.12.2 下北沢レコファン ¥1,100

69年の2ndアルバムではまるで別のバンドのようなギター中心のアシッド・ロックに転身した。ホーンセクションを導入した70年代カントリーロック風もある。メンバー・クレジットはなく、作詞作曲にGary MontgomeryとJack Daltonが載っているだけ。もしかしたら前作はアレンジャーのDave Robertsの色の強くて、本作のほうがメンバー自身のサウンドなのかもしれない。そう思って聴けば、ツインギターが印象的なアーシーなロック1-4 I Tried To Make You Love Me Last Night、ドライヴィング・ナンバーB-6 You're Highなど聴きどころも少なくない。しかしセールス的には苦戦して69年に解散。その後ベースのCarl RadleはDelaney & Bonnie、Derek & the Dominoesに参加しエリック・クラプトンのバンドでも活躍。ドラムのChuck BlackwellはLeon Russell, Joe Cocker, Taj Mahal, Freddie Kingなどと活動した。

Colours - The Three Best Songs from ATMOSPHERE



●The Comfortable Chair / The Comfortable Chair

1968 / US: Ode Records ‎– Z12-44005 / 1991.7.12 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,280

60年代後半カリフォルニアで結成されたサンシャイン・ロック・サイケ・バンド。メンバーはBernie Schwartz (vo), Barbara Wallace (vo), Gene Garfin (woodwind,perc), Tad Baczek (g), Gary Davis (key), Greg Leroy (b,g), Warner Davis (ds)。メンバーのうち数人はマハリシ・ヨギの超越瞑想のメンバーで、バンド名は瞑想するための心地よい椅子に由来する。唯一のアルバムはザ・ドアーズのジョン・デンズモア、ロビー・クリーガーのプロデュース。男女ヴォーカル、オルガン、木管による美しいサイケ・フォークロックは、ジェファーソン・エアプレインに似ているが、よりバロック/マドリガル風のエレガントで瞑想的なサウンドを聴かせる。自然音をサンプリングしたA-1 Ain't No Good No More、ドラマティックなB-4 Stars In Heavenが特にいい。69年コメディ映画『How to Commit Marriage』にロックバンド役で出演、貴重な演奏シーンが観れる。しかしカリフォルニア以外では知られることもなく71年に解散した。
https://web.archive.org/web/20160901185238/http://comfortable-chair.com/default.htm

"How to commit marriage"~The Comfortable Chair - A Child's Garden



●The Common People / Of The People / By The People / For The People From The Common People

1969 / US: Capitol Records ‎– ST-266 / 1992.8.20 渋谷Disk Union 2 ¥6,000

カリフォルニア州Baldwin Parkで64年に結成されたハイスクール・バンドを前身とする。メンバーはDenny Robinett (vo,g), Jerrald Robinett (ds), John Bartley III (g), Michael McCarthy (b), William Fausto (p,org)。ローカルレーベルで2枚のシングルをリリースしたのち、The Seeds,Lollipop ShoppeのマネージャーだったTim Hudsonに見いだされCaptolと契約して69年にリリースした唯一のアルバム。Gandalf、Foodと並びCapitol三大メロウ・サイケと呼ばれるレア名盤である。ジャケット通りの薄明に漂うような幻想的なソフト・サイケは絶品。ファズギターやオーケストレーションも効果的。B面はコミカルなビートルズ風ナンバーやファンキーなホーンを配したガレージロックが飛び出し多く別の顔を見せる。しかしアルバムリリース直後にドラムのJerrald Robinettが溺死。アルバムもほとんどノープロモーションで売れず失意のうちにバンドは解散した。
http://www.terrascope.co.uk/Features/Common%20People.htm

THE COMMON PEOPLE - Take from you



●Copperhead / Copperhead

1973 / UK reissue 1984: Edsel Records ‎– ED 136 / 1985.12.20 下北沢レコファン ¥350

Quicksilver Messenger Serviceを脱退したギタリストJohn Cipollinaが70年に結成した。メンバーはJohn Cipollina (g), Gary Phillips (vo,g), Jim McPherson (vo,p,b), Hutch Hutchinson (vo,b), David Weber (ds)。73年にColumbiaからリリースされた唯一のアルバムは、シスコサウンドを継承するアメリカン・ロックで、シポリーナのドライヴィング・ギターがたっぷり楽しめる。不幸なことに彼らと契約したClive DavisがColumbiaを首になった煽りでCopperheadも契約も切られ、まもなく解散した。

Roller Derby Star - Copperhead



●The Corporation / The Corporation

1969 / US: Capitol Records ‎– ST 175 / 1991.9.14 ¥2,480

1968年にウィスコンシン州ミルウォーキーで結成。メンバーはKenneth Berdoll (b,vo), John Kondos (g,key,fl), Nick Kondos (ds,vo), Patrick McCarthy (key,tb), Daniel Vincent Peil (vo), Gerard Jon Smith (g,vo)。Capitolからの1stアルバム。A面はファズ・ギターのハードサイケからソウルフルなコーラスのゴスペルロックまで多才ぶりを発揮するが、画期的なのはB面すべてを使ったジョン・コルトレーン作曲のIndiaのヴァリエーションである。20分に亘るサイケデリック・ジャムは、ロックの壁を超えてジャズやインド音楽、現代音楽まで含む幅広い世界を目指す冒険である。ドラッグをキメたユルユルのジャム・セッションが多かった時代に、彼らの覚醒した集団即興は異彩を放つ。地元ではトップ3に入るヒットになったが、印税のことでCapitolと揉めて契約解除になった。

The Corporation - I Want To Get Out Of My Grave



●The Corporation / Hassels In My Mind

1970 / US: Age Of Aquarius ‎– KS-4250 / 1996.11.6 Boston Plant Records $7.99

ウィスコンシンのローカルレーベルCuca Records傘下のAge Of Aquariusからリリースされた3rdアルバム。1stのA面をさらに深く突き詰めたヘヴィサイケとソウルブルースが満載。特にファズギターの暴れっぷりが凄いB-1 Sky Facesは世の音楽がサイケデリックからハードロックへの移行する時期にサイケ側から放った報復の一撃と呼べるだろう。しかしバンドは70年に解散。その後メンバーは目立った音楽活動はしていない。

The Corporation - Sky Faces


訳ありの
サイケの行方
誰が知る

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする