A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ蒐集癖】第16夜:パタフィジックなサイケデリック求道者『OVERHANG PARTY』と『魔術の庭』★8/1(水)19:00 DOMMUNEにて特集!

2018年07月31日 01時57分23秒 | 素晴らしき変態音楽


90年代初頭自分のバンドFLOWER TRIPでサイケデリック・ロックを標榜していた頃、モダーンミュージック/PSFのコンピCD『Tokyo Flashback Vol.2』を聴いた。<東京Psychedelicシーンをリードする11アーティストを収めた、強力オムニバス>と題されたCDは言わずとしれた灰野敬二の不失者や工藤冬里のマヘル・シャラル・ハシュ・バズ、サイケデリック・スピード・フリーク=ハイライズをはじめ、初期のゆらゆら帝国まで曲者バンドばかりで、フリーフォームなアングラ臭は自分たちが対バンするのは畏れ多い気がした。その中で特に気に入ったのがOVERHANG PARTYというバンドだった。ブックレットの紹介ページが、他のバンドに比べ整然としていたことも一因だが、ハリのあるヴォーカルと上昇していく演奏が、ロックぽくてかっこよく聴こえた。しかし当時は自分のバンドに忙しくとて彼らのライヴを観に行くことはなかった。

OVERHANG PARTYのライヴを初めて観たのは、2000年代初頭にバンドを辞め仕事も落ち着き灰野敬二を始めとする東京地下音楽のライヴに通うようになってからである。会場は吉祥寺Sliver Elephant。当時も今もプログレッシヴ・ロックの聖地と言われるライヴハウスである。しかもほとんどが対バンなしのワンマンライヴ。思えば他の会場で彼らを観た覚えがない。筆者がたまたまシルエレにしか行かなかったのかもしれないが、OVERHANG PARTYはきちんとリハーサルしてたっぷり長時間ライヴを魅せるバンドという印象がある。当時のメンバーは福岡林嗣(vo.g)、山ノ内亮(g)、山崎巌(ds)、Sachiko(b)の4人。開演前のBGMは篠田昌已のコンポステラで「へえ、ロックだけじゃないんだ」と思った記憶がある。轟音ギターのアドリブもあるが、彼らの特徴はしっかりしたメロディと歌詞が聴き取れる凛としたヴォーカルだった。社会的なテーマを歌うことも多いが、説教臭さはなく、なぜかドストエフスキーやトルストイといったロシアの小説家を思い出した。
当時は光束夜や割礼、ザ・スターズ、マーブル・シープなどサイケデリック系のバンドが活動していたが、OVERHANG PARTYの反コマーシャリズムのポップ感覚は、筆者にとってひときわ魅力的だった。しかし、徐々に活動は散発的になり2007年に解散した。

ネット情報で福岡が諸橋茂樹(ds)と魔術の庭を結成したことを知ったがしばらく観る機会はなかった。2012年に新大久保EarthdomでUP-TIGHT、Los Droncosとの対バンで初めて観ることが出来た。OVERHANG時代からのヴォーカルは変わらないがサウンドがよりラウドになり、ハードドライヴな疾走感が増していた。それは2013年に山崎怠雅がギターで参加してから更に加速した。現在のメンバーは福岡林嗣(vo.g)、ルイス稲毛(b)、諸橋茂樹(ds)。


●OVERHANG PARTY『Live 1994.8.22 At Showboat』
Pataphysique Records ‎– 003-300 (1995)


福岡(vo.g)、西野公二(b)山崎(ds)、のトリオ時代の高円寺SshowBaotでのライヴ・アルバム。いずれも彼らの代表曲。スタジオ録音の入念なサウンドも素晴らしいが、ライヴならでは臨場感のある録音で迫ってくる本作は、色気のあるアートワークと共に筆者の一番のお気に入り。

OVERHANG PARTY 1995 August 4 Show Boat Tokyo



●魔術の庭『Sylvania 7027 Live』

8mm Records ‎– 8mm 049 (30 Nov 2011)


イタリアのレーベルからリリースされたライヴLP。メンバーは福岡(vo.g)、影山ヒロユキ(b)、諸橋(ds)。こちらも高円寺ShowBoatでのライヴ録音である。フィードバックを多用したギターロックはOVERHANGのエッセンスを別の時空へ解き放つようなエネルギーに溢れている。

魔術の庭 Majutsu no Niwa " SYLVANIA 7027 LIVE " light show with dbqp full ver movie



福岡は1994年Pataphysique Recordsを設立し、OVERHANG PARTYの作品に加え、白石民夫のソロ、工藤冬里のNOISE『天皇』の再発、コサカイフミオの宇宙エンジン、光束夜の金子寿徳と福岡のソロ、群、Dowserのアルバムをリリース。レーベルは2002年に活動を一旦停止するが、2015年に再始動した。

パタフィジック
メタフィジックの
裏返し

【緊急告知】
8月1日(水)19:00~ DOMMUNE
Pataphysique Records、Musik Atlach特集生中継!
出演:SACHIKO(Musik Atlach)、剛田武(地下音楽への招待、地下ブロガー)



2018/08/01 (水)
■19:00~23:30 zoo tapes presents
「Plateaux of NOISE23 / 現代ノイズ進化論23」
NEdS監修Pts.16 初期ノイズ・インダストリアル・ミュージック・アヴァンギャルド、セレクト。
1982年German New Wave特集Pts.2

TALK : 佐々木秀典(zoo tapes)、臼田文明(NEdS RECORDS)、
鶴田恵一、SACHIKO(Musik Atlach)、
剛田武(地下音楽への招待、地下ブロガー)
声の出演:宇川直宏(DOMMUNE)
~THE WIRTSCHAFTSWUNDER、DER MODERNE MAN、TOMMI STUMPFF、
SILVIA、FRIEDER BUTZMANN、SPRUNG AUS DEN WOLKEN、MALARIA!、
MOEBIUS - PLANK - NEUMEIER ZERO SET

■zoo tapes presents「Plateaux of NOISE23 / 現代ノイズ進化論23」
大好評の「現代ノイズ進化論」!今回は4時間半スペシャルとして、生放送をお届けしますので、お見逃し無く。 本題の進化論コーナーでは、前・第22回/5月30日の続編、1982年ドイツから選曲!初期ノイズ・インダストリアル・ニューウェーブ・アヴァンギャルド群を掘り出し、歴史時間軸に沿って解析する未曽有の永久保存版ノイズ番組です。これまで既に計15回=30時間以上かけて1982年German New Wave Pts.2に突入!今回、愈々ノイズ黄金時代が浮かび上がってきます。そう、世界中が1980年に潮流を生み出したサウンド達に刺激を受け、あらゆるジャンルが枠を超え逸脱し、表現が細分化され、隙間が埋まって行く….このプログラムを観て、そんな時代の趨勢が感じ取れるはず!UK・WAVEは凄まじい勢いを見せ、負けじと西ドイツ・WAVEの破壊力はポップテクノも巻き込んで、超個性的かつ普遍の祖として、世界市場に浮上してきます。今回も、 時間の 許す限りお聞かせ・紹介いたしますが、まだまだ未分化であったノイズ/AVANTの原液のような世界が当時其処には存在してたのです。今回も以前に増して真に見逃すべからず!二度と体験出来ないお宝音源群をお届けします。 番組前半はPSFレーベルのさらに奥の院、Pataphysique Records、Musik Atlach特集、SACHIKO(Musik Atlach)登壇!&現代ノイズコーナーはNEdS RECORDS2018年新譜特集!
(Text by NEdS RECORDS & DOMMUNE)

観覧予約 http://www.dommune.com/reserve/2018/0801/


LIVE SCHEDULE


●August 2018 3 days @ogikubo club DOCTOR
6bodies60minutes6months VOL.4


2018.8.14(TUE)
バラナンブ (藤井政英・南部輝久・山崎怠雅)
Green Flames (成田宗弘・田畑満・乾純)

2018.8.15(WED)
魔術の庭 (福岡林嗣・ルイス稲毛・諸橋茂樹)
ASTRO

2018.8.16(THU)
内田静男ソロ, 今井和雄ソロ
各日開場19:00 開演19:30 料金¥2000+D 3日間通し券¥3000

August 14, 2018
BANARAMP / Green Flames

August 15, 2018
Majutsu no Niwa / ASTRO

August 16, 2018
Shizuo Uchida / Kazuo Imai
企画:club Doctor / Pataphysique Records / Taiga Yamazaki / neconeco records
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【推しごと月報 6月23日~7月29日】でんぱ組/爆裂女子/ネクロ魔/969/ハミシス/ドッツ/ヤナミュー/花子さん/2&/サイバー/グールル/ゼアゼアetc.

2018年07月30日 00時07分42秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


6月23日(土)TOKYO DOME CITY HALL


でんぱ組.inc
コスモツアー 2018~惑星探査~

Open 16:00 / Start 17:00

座席はアリーナの最後尾だったが、アンコールでメンバーが客席に登場したとき間近で見れた。えいたそさんが気がついて爆レスくれてキュン死した。




6月24日(日)渋谷GARRET udagawa


Candye♡Syrup pre.
NON BIRTHDAY

OPEN 15:30 | START 16:30
ADV 2000yen | DOOR 2500yen | 女性 FREE (+1D)
Candye♡Syrup / SPARK SPEAKER / 終演後物販卍 / DEADLIFT LOLITA / 煩悩Paradox / 君と僕、どきどきメランコリック / 爆裂女子 / 部長 from「です。ラビッツ」

爆裂女子をはじめ盛り上がるアクトばかりだったが、解散が決まったキャンシロはいちごちゃんは不参加。後日解散~脱退が発表された。



●部長 from「です。ラビッツ」


●爆裂女子




6月26日(火)初台WALL



WALL presents
meets posse vol.1

OPEN 18:30/START 19:00
ADV \1.500/DOOR \2.000+1D ORDER
IRIS / SOLDIER WHO FIGHTS AGAINST PAIN / 爆裂女子

●爆裂女子



バンドと対バンだが動員厳しかった。爆女は都子ちゃん×KRYコラボのセーラー服でライヴでぶち上がった。


6月28日(木)新宿ANTIKNOCK


みんなのこどもちゃん 4th ワンマンライブ
【壁のない世界-結合-】

Open 19:00 / Start19:30
Advance 未定 / Day 2,500 yen
みんなのこどもちゃん

CD購入で入場無料。バンドセットで悪くなかったが、CDのほうが好きかも。今後バンドとして活動することを発表。




6月30日(土)阿佐ヶ谷ロフトA


【NECRONOMIDOL4周年記念】
〜藤和の闇、帰郷〜 ネクロ魔の歴史トーク&プチライブ&ヨーロッパツアー報告会

【出演】NECRONOMIDOL
OPEN 23:30 / START 24:00
前売¥2,500 / 当日¥3,000(ともに飲食代別・要1オーダー500円以上)

ネクロ魔久々のライヴは4周年+ヨーロッパ・ツアー報告会。オールナイトだったが多数魔ヲタが集まり盛り上がった。

●NECRONOMIDOL






7月4日(水)目黒鹿鳴館



「夜露ひなと東京の心地」夜露ひな生誕祭
開場19:00/開演19:30
前売¥3000/当日¥3500+1drink
NECRONOMIDOL(ネクロ魔BAND編成)

正式なライヴはじめはバンドセットの鹿鳴館。モッシュが起こりフラストレーション発散した。

●NECRONOMIDOL





7月7日(土)六本木VARIT


爆裂女子デビュー6ヶ月目の記念日なので河口湖へ行く前にライヴだけ参戦。赤いくらげもいいバンドだった。

Beat Happening!六本木R&R PANIC!
OPEN/START11:00 / 11:30
ADV./DOOR.¥2500 / ¥3000(共に1drink別途order)
LINE UP:爆裂女子 / 赤いくらげ / リンダ&マーヤ / NECRONOMIDOL

●赤いくらげ



●NECRONOMIDOL


●爆裂女子




7月7日(土)河口湖ステラシアター


でんぱ組.inc
コスモツアー 2018~七月七日は七夕まつり編~

17:00 開場 18:00 開演
料金 指定席 ¥7560 学生席 ¥6480

3年ぶりの河口湖は遠かったが、余裕で間に合いたっぷり楽しめた。お約束の花火も良かった。






7月14日(土)HOLIDAY SHINJUKU


君と僕、ときどきメランコリックりょん・もか卒業公演「remember」
OPEN 12:00/START 12:30(予定) ADV ¥2500/DAY ¥3000(D別)
出演:君と僕、ときどきメランコリック
ゲスト:2&/星名ふみみ/ディアブルボア/AIBECK/sugartrap/Bury/ワガママきいて??/絶叫する60度/爆音少女症候群Ø/+tic color/爆裂女子-BURST GIRL-/8princess/センチメンタルウインク/月と太陽/会心ノ一撃

新宿ホリデーは爆女に似合う。気になっていた僕君のピンクヘアーのりょんちゃんと最初で最後のチェキを撮っていたため爆女サイン会参加できず。

●爆裂女子-BURST GIRL-



7月17日(火)渋谷GARRET udagawa


BLACK WINDS OVER TOKYO
OPEN 19:00 | START 19:30
ADV 3000yen | DOOR 3300yen (+1D)
NECRONOMIDOL / 絶叫する60度 / 2&

イギリス~ヨーロッパツアー同行した3組の凱旋ライヴ。絶叫もSakiちゃんも良かったが、ネクロ魔の成長ぶりがすごい。スウェーデン人メタル少年ヲタクと邂逅。

●2&


●NECRONOMIDOL




7月19日(木)渋谷CLUB CRAWL


969主催 ”TONIGHT VOL.9″ – 3MAN FREE LIVE –
OPEN 19:00 / START 19:20
入場無料※2ドリンク代別
969 / A.N.otheЯ / Aphrodite

久しぶりの969現場。A.N.otheЯの曲の良さにびっくり。969の新曲が雰囲気違ってよかった。

●A.N.otheЯ


●969



7月20日(金)目黒鹿鳴館


零生誕「しばくぞ祭2018」
開場17:30/開演18:00
前売¥2500/当日¥3000
爆裂女子 / FIREBIRDGASS / 十四代目トイレの花子さん / ベニマルズ / 2& Saki / 零ちゃんとそこらへんのパンクス


祭りだわっしょい零ちゃん生誕、生誕委員が花子さんの生贄になり、神輿や樽酒や騎馬戦が出るわ、チンポも出るとはめでたい。

●十四代目トイレの花子さん



●2& Saki


●FIREBIRDGASS


●ベニマルズ


●零ちゃんとそこらへんのパンクス


●爆裂女子





7月21日(土)恵比寿LIQUIDROOM



CY8ER
#CY8ER夏の無銭耐久サイバー

OPEN 14:00 / START 15:00
VIPチケット:¥20000、SSチケット:¥10000、Sチケット:¥5000、一般:無料(すべて税込・ドリンクチャージ別)

くじ引きでセトリを決めるので同じ曲が何度も出る耐久ライヴ。可愛いけど流石に疲れる。魔ヲタ集会のため1部で離脱。

●CY8ER



7月25日(水)渋谷クロスFM



爆裂女子の爆裂トーーーク!vol.5
17:00-17:50

メンバーの私服が楽しいラジオ現場。都子ちゃんの眉毛が可愛すぎる。





 
7月25日(水)新宿LOFT


アイドルに学べ‼ Vol.5
OPEN 16:00 / START 17:00
ADV¥2900 / DOOR¥3500(DRINK代別¥600)
出演: ヤなことそっとミュート / 仮面女子 / 劇場版ゴキゲン帝国 / じゅじゅ / NECRONOMIDOL / RHYMEBERRY / HAMIDASYSTEM / WILL-O’/ 神使轟く、激情の如く。/ NEO JAPONISM / AIBECK / tipToe. / 969 /ゑんら

俺得なラインナップの対バンイベント。久々のヤナミュー、ハミシスにwktkだったが、平行物販は慌ただしくて好きじゃない。

●ヤなことそっとミュート



●HAMIDASYSTEM


●NECRONOMIDOL



7月27日(金)渋谷WWW X


ギュウ農フェス プレミアムフライデー
17:30 / 18:00
ADV./DOOR¥3,500 / ¥4,000 (税込 / オールスタンディング / ドリンク代別)
LINE UP:THERE THERE THERES / ・・・・・・・・・(ドッツトーキョー) / tipToe. / あそびダンジョン / グーグールル / HAMIDASYSTEM / 爆裂女子-BURST GIRL- / SPARK SPEAKER / THE BANANA MONKEYS

こちらも俺得イベント。会場が広いのでロフトより楽チン。爆女リストバンド購入、ドッツ牡丹海老、ハミシスFLAMEとチェキ。

●爆裂女子-BURST GIRL-


●グーグールル


●・・・・・・・・・(ドッツトーキョー)


●HAMIDASYSTEM



●THERE THERE THERES



7月29日(日)渋谷WWW


幽世テロルArchitect
ONEMAN LIVE「未定」

OPEN 16:30 / START 17:00
入場無料

気になっていた幽世を見るのは多分初めて。ロック風の曲がいい。アンコールで新メンバーが加わり5人のライヴ。新メン涙丸ちゃん推したいかも。




推し増しは
したいけれども
ほどほどに

爆裂女子 都子ちゃん生誕ライヴ「千秋万歳〜都子生誕祭二〇十八〜」10月12日(金)目黒鹿鳴館に決定!



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【私のB級サイケ蒐集癖】第15夜:吉祥寺で生まれた二枚の地下音楽ライヴ盤『OZ DAYS LIVE』『愛欲人民十字劇場』

2018年07月27日 02時24分50秒 | 素晴らしき変態音楽


筆者が裏日本の小京都と呼ばれた石川県金沢市から家族で東京に引っ越してきたのは1977年3月末中学3年に進級する年だった。練馬区関町の畑が残る町並みは、想像していた大都会東京のイメージとは異なり、金沢よりも田舎びて感じられた。しかし中学に編入し少し経つとロック好きの友人も出来て、一緒にレコード屋に遊びに行くようになった。最寄り駅の武蔵関にはレコード屋はなかったが、隣の上石神井には小さなレコード店があり、たまに足を運んだが、筆者が欲しかったドクター・フィールグッドやジョニー・ウィンターは置いていなかった。そこでバス通りを自転車で20分走って吉祥寺まで遠出することが増えた。当時はパルコもヨドバシカメラもなかったが、華やかなサンロード商店街や東急と近鉄の2つのデパートがあり、都会へ来た実感が湧いたものである。小遣いが少なくレコードはめったに買えなかったが、南口のレコード・プラントの2階の輸入盤コーナーでジョニー・ウィンターやセックス・ピストルズのLPを購入した。リスニング・ルームがあり、買ったレコードを高級なオーディオで試聴する事ができた。アメリカ盤の音は透明感と開放感があるように感じた。

高校に進学すると通学帰りや休日に吉祥寺でレコード屋廻りをするのが楽しみになった。西友裏のビルの地下にあるジョージアJr店はパンクやニューウェイヴが充実していたのでお気に入りだった。そのビルの向かい側に「赤毛とそばかす」というロック喫茶があった。ロックのレコード・ジャケットが飾られタバコの煙でよく見えない暗い店内には、いつも常連と思しき長髪にひげの男性グループがいて何やらボソボソ小声でおしゃべりしていたが、時折曲に合わせてテーブルを叩いたり大声で歌ったりして騒ぐこともあった。高校生の筆者はそれを見て、大人のロックマニアはこういう店に屯するものか、と思ったが自分がそうなれるとは思えなかった。だから次第に会話お断りのジャズ喫茶のほうが好きになった。

79年高校2年のときに『東京ロッカーズ』と『東京ニューウェイヴ』がリリースされ衝撃を受けた。フリクションやミラーズ、SEXが名前を変えたSYZEや自殺を観にライヴハウスへ通い始めた。最初に行った荻窪ロフトで観たSYZEがMCで「次のギグは吉祥寺マイナー」と言っていたので1週間後にマイナーへ観に行った。ビルの上ににある小さなスペースで、芝居小屋風のベンチが並ぶ店内はロフトに比べて質素な感じがした。開演間近になってもドリンクの注文を取りに来ないので、店員と思われるお姉さんにコカ・コーラを頼んだら、えっほんとにオーダーするの?と尋ねられた。今思えばその女性がオーナーの佐藤隆史氏の奥さんの渡辺敏子さんだったのかもしれない。その後数回マイナーに通った。フリクションとSYZEの対バンのときは、最初に出たフリクションのレックのヴォーカルが殆ど聞こえず残念だった。しかしトリのSYZEの伊藤耕の歌は歌詞まではっきり聞き取れた。今思えば東京ロッカーズを快く思っていなかったスタッフがわざとレックのマイクのヴォリュームをオフにしたのではないだろうか。山崎春美の話では「マイナーは東京ロッカーズと喧嘩しているから出演しない」と電話してきた関西NO WAVEの女性アーティストがいたという。

82年大学に進学してから吉祥寺ぎゃてい(GATTYと表記される場合もあるが、筆者が出入りしていた頃は「ぎゃてい」と平仮名表記が多かった)でバイトしつつライヴ出演をしていたが、次第に大学の方が忙しくなり吉祥寺のライヴハウスに足を運ぶ回数は減り、就職後のバンド活動は高円寺20000Vや下北沢屋根裏がホームになった。とは言っても89年に結婚してからも吉祥寺~三鷹周辺に住んでいて、昨年まで実家が吉祥寺にあったので、この街は常にホームタウンだった。若者に人気の街と言われて久しい吉祥寺は、実はディープな日本地下音楽のメッカでもあった。そんな吉祥寺でレコーディングされた知る人ぞ知る2枚のレコードは筆者が折に触れてターンテーブルに乗せる地下サイケのエヴァーグリーンである。

●OZ DAYS LIVE
OZ Records ‎– OZ-1,2 (Aug 1973)


1972年6月に開店し1973年9月に閉店したロックハウス「OZ」の閉店を前に店内で録音されたライヴLP2枚組3,000円で1,000セットの限定盤。。アシッドセブン、都落ち、南正人、タージ・マハル旅行団、裸のラリーズっを収録。日本のサイケデリック・ミュージック史に名高い裸のラリーズとタージ・マハル旅行団が一枚のLPの表と裏に収録されていることが奇跡。フィードバック・ギターからセンチメンタルなヴォーカル・ナンバーまで魅力を網羅したラリーズ・サイドの素晴らしさは、彼らの数少ない公式リリースの一つとして限りなく愛おしい。ロックンロールの都落ち、アメリカン・ロックのアシッドセブン、ヒッピー・フォークの南正人もそれぞれの在り方で当時の日本のサイケを象徴している。
無頼横町

●愛欲人民十字劇場
Pinakotheca ‎– PRL#1 (1980)


1978年3月開店し1980年9月に閉店したフリー・ミュージック・ボックス「マイナー」で通常営業のあと夜10時から開催されたライヴ・シリーズのライヴ録音(一部別の会場での音源あり)。収録アーティストは、
A1. 白石民夫、2. 佐藤隆史、ヤタスミ、石渡明広、篠田昌巳、3. ハネムーンズ(佳村+天鼓)、4. 横山宏+芝淳子、5. 板橋克郎+吉沢元治、6. ガセネタ
B1. 灰野敬二、2. ヴェッダ・ミュージック・ワークショップ、3. キノ / リュウチシンゾウ、4. 田中トシ+後飯塚遼+ニシャコフスキー、5. マシンガン・タンゴ(工藤冬里+菅波ゆり子+小沢靖+白石民夫+ヤタスミ+佐藤隆史)
70年代後半に出現した東京地下音楽の代表格が集結した異端の極地は、時代と意思が生んだ想念の奇跡を表している。参加アーティストの半数以上が現在も日本の地下音楽を担っている事実こそ、このアルバムの存在意義と言っても過言ではない。

気違ジョージ
地下精神の
サイキック

コメント (8)
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【ライヴ・レポート】灰野敬二エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ@高円寺HIGH 2018.7.23 (mon)

2018年07月26日 08時37分24秒 | 灰野敬二さんのこと


KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY
灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ

open/start 19:00/19:30
adv/door 4300円/4800円+1D
-Live-
灰野敬二

灼熱の日々が続く七月四週目の月曜日に日本のインド・高円寺の地下二階のホールで灰野敬二のソロ・コンサートを観ることは、音楽的に考えうる最良のクールな環境ではなかろうか。高い天井の客席は外の熱気が嘘のように空気が澄み渡り、空調の冷風が効きすぎるほど効いている。ステージ上には長いテーブルが設置されて二十個以上の電子機器がケーブルで繋がれている。しかしそれはモジュールシンセの蛇が絡み合うように混沌としたコードの迷路ではなく、一つの機材にIN/OUT二本のシールドが差し込まれただけの単純かつ統制された接続プロセスであった。とはいっても二十数個×2=約五十本の電線がどこにどう差し込まれているかは、素人目にはさっぱり分からぬ迷宮入りの案件である。そんなことを考えながら灰野ワンマンの定番のBGMのバイオリンの哀しげな調べとお香の香りに包まれていると、十五年前灰野のライヴに通い始めた頃に感じた、異界の扉を開けたら広がっていたノスタルジックなモノクロームの世界の記憶が脳裏に蘇ってきた。或いは生まれたところに還るような安心感。



10分押しで灰野がステージに現れ機材に触れると流れ出す電子音。ツマミを回すと別の音が加わり左右のスピーカーから別々の音が流れ出す。電子音の室内楽の厳かなハーモニー。やがて不協和音になり、更に音程を持たないホワイトノイズとブラックノイズ(というものはない)の鬩ぎ合いに近づく。テーブルの前を移動し別の機材に命を吹き込む。ドラムを模したシークエンスはとても人間的で気まぐれなリズムを語りだす。その左にはエアシンセが待っている。触れずに手を翳すだけで満足そうな叫びを漏らすテルミン式シンセサイザー。エアシンセの音は後ろに並んだギターアンプ&ベースアンプから放出される。次第にステージは秋の虫ならぬ夏のエレクトロニクスの大合唱に変幻する。



国も性別も人種も宗教も政治感もバラバラな世界人類が共に暮す地球の縮図のようなノイズ・コーラスのざわめきが最高潮に高まる直前、唐突にすべての音が遮られ、残されたのはブーンという電気の通奏低音。3つ並んだオシレーター(発振器)のツマミを0.1ミリずつ指先で動かす演奏者の信念と、リスナーの忍耐力が融和する試練に似た時間は、個人的にこの日の演奏のハイライトであった。発振器が発する変化の少ない中低音の持続音に、ハードロックの重厚なリフが溶け込み、実際にはない筈のドラムとベースを幻聴し、身体の奥から湧き上がるワイルドな鼓動に体中の毛細血管が伸縮を繰り返す自律神経ミニマリズムに耽溺した。



マイクに近づき朗々としたバリトンのハミング、神の非在を問う呪詛、生きるべき定めへの戒めを込めた歌声がクリアに鳴り響く。チャルメラの甲高い叫びは時代ではなく永遠へのアラート(警告)に聴こえた。空間が地割れし地滑りを繰り返す様は、避け得ない自然災害とは異なり、精神が飛んでいく危険に気をつけさえすれば、経験したことないスペクタクルを甘受できる優しい聴覚風景である。そのうちに効き過ぎの空調の冷気を意識することもなくなってきた。



一転して再びオシレーターの反復に回帰しフェードアウトした音の闇の中からハーディ・ガーディのかすれた摩擦音が溢れ出す。神経が軋む風の音が次第に形を定め、蛇行する旋律は悪魔の子守唄のように優しくそして邪悪に聴手の心に滲みながら染み込み、荒れ狂ったエレクトロニクスの傷跡を癒やす。豊穣な調べは決して瓦解することなく、心の闇の奥を愛撫する慈しみの時間だった。夢のような2時間半の宴は最後の最後に息を吹き返したエレクトロニクス・オーケストラのファンファーレで終焉を迎えた。あたかも音の余韻に浸り夢の世界に遊ぶリスナーの心をリセットし、現実世界に対峙する勇気を授けるようなチャルメラの独唱で旅は終わりを告げた。



ギターもパーカッションもなく、身体の動きはエアシンセを操るとき以外は最小限であったが、心に残ったイメージは、電気信号となって絶え間なくケーブルの中を流れ続ける思念のフローであった。今年観た灰野のライヴの中で最も濃厚なステージだった。

音の闇
心の闇に
滲み込む

新着ライヴ情報


9月7日(金)六本木SuperDeluxe
Keiji Haino + MUSQIS release party “NEUROGRYPH 34”

OPEN 19:30
ADV 3000JPY / DOOR 3500JPY(+DrinkOrder)
灰野敬二( Keiji Haino ) + MUSQIS
(野口英律 / Hidenori Noguchi , 安藤裕子 / Yuko Ando , Tsubatics , 永田健太郎 / Kentaro Nagata , 武田理沙/ Risa Takeda , 石原雄治/ Yuji Ishihara )
森田潤( Jun Morita , Omega f2;k )
VELTZ ( analog TV ) + 伊東篤宏( Atsuhiro Ito , Optron ) + カイライバンチ ( kairaibunch )
DJ 37A

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7月の地下音楽的邂逅二態~白石民夫+田中トシ@新宿カリヨン橋/多田正美+千葉博之@東小金井双ギャラリー

2018年07月25日 10時18分32秒 | 素晴らしき変態音楽


豪雨と猛暑に苦しむ2018年7月の日本列島で、地下音楽の猛者たちが密かに邂逅し限られた観客の前で異形のパフォーマンスを披露した。幸いにも其の現場に立ち会う恩恵に授かったものとしては、熱中症で記憶喪失に陥る事態に備えて、頭が正気なうちに文字に書き記しておこうと考えた。

7月9日(月)新宿カリヨン橋
白石民夫(as)+田中トシ(dance)



ニューヨークから帰国中のサックス奏者白石民夫は大阪、京都、東京で70年代後半からの知り合いのミュージシャン/パフォーマーたちとの共演を含むコンサートに出演した。帰国前日の7月9日22時から定番のストリート・パフォーマンスを新宿カリヨン橋にて行った。そこへ飛び入り参加したのは田中トシ。現在ブラジル・サンパウロ在住の田中は、70年代末東京地下音楽の中心地・吉祥寺マイナーでパフォーマーとして白石民夫 後飯塚僚らと共に「剰余価値分解工場」、竹田賢一ほか多数と「Veda Music Workshop」、山崎春美 大里俊晴らと「タコ」でライブ活動をしていた。24時間トイレに立てこもったパフォーマンスが一部で有名。



90年代にブラジルに移住して以来2012年に来日したが、ニューヨーク在住の白石と共演するのは30年ぶりだという。夜の新宿ビル街の静寂を突き刺すナイフのような白石のサックスのフリークトーンの足元で、歩道橋の上を滑るように移動し、柔らかな肉体の動きで通行人の足並みと同期する田中の舞踏は、十数人の観客の関心と通行人・路上生活者の無関心の狭間を縫合する結びの絲のようであった。




7月22日(日)東小金井 双ギャラリー
多田正美+千葉博之(cutupnoise)



70年代中期に即興演奏グループGAPで活動し、90年代にマージナル・コンソートを結成、現在も精力的に活動するアーティスト多田正美の展覧会「SOUND ENCOUNTER~七十二候から(地面部分)/ GAPから」が小金井市のギャラリーで開催されている。その一環で企画された全5回のLIVEパフォーマンスの3回目は「音は見えないものでなく、心波動を紡ぐ」と題され、ゲストに仙台在住のカットアップノイズ演奏家・千葉博之を招聘。実は多田は千葉と会うのも演奏を聴くのもこの日が初めてだという。2013年の大震災のあとからノイズ演奏を始めたというエピソードに惹かれたと語る。外は36℃超えの猛暑の日、フロアに70~80年代の多田の活動を写した写真が敷き詰められ、壁面と天井に近年取り組むプロジェクト「七十二候」の作品・写真・オブジェが飾られたギャラリーに集まった観客はスタッフ/カメラマンを含め8名。



前半は千葉のソロ演奏。エレクトロニクスの微かなリズムに乗せてフィジカルなサウンドを紡ぐスタイルは、着用しているTシャツのブルース・リーに相応しい肉体の鼓動を伝える。後半は多田と千葉の初コラボレーション。座り込んでフロアに並べたシンセやパーカッションを演奏していた多田がおもむろに立ち上がり、木炭で白い壁に絵を描き殴ったり、天井に張ったワイアーを細い棒で叩いたり、太い竹筒を立ててよじ登ろうとしたり、ハプニング的な身体パフォーマンスを見せた。「GAPを始めた頃の即興はサウンドもヴィジュアルもすべて一緒くただった」と多田が語った通り、音だけ取り出して即興を云々するのは後付の知識と言えるだろう。



夏の東京
音と行為の
出会いの場



多田正美展
SOUND ENCOUNTER

地面の写真(七十二候から)/GAPから
写真と場/即興-音そのものに向かう
2018年7月7日(土)〜8月5日(日)

金・土・日曜日のみのオープン
13:00〜18:00(日曜日は17:00まで)
公式サイト



SOUND ENCOUNTER(全5回)
7月7日(土) 16:00〜  多田正美solo 七十二候/小暑初候 温風至
7月14日(土) 14:00〜 無名性の音放たれ散っては消え行く  ゲスト:越川T+X ・・(マージナル現象とは)
7月22日(日) 14:00〜  音は見えないものでもなく心が形に生じ紡ぐ  ゲスト:千葉博之(cutupnoise)

(以上終了)
7月29日(日) 14:00〜  GAP 佐野清彦、曽我傑、多田正美による「瞬間に散逸せし音群の密度」即興集会
8月5日(日) 14:00〜 開かれた五感を覚ます即興(自由参加の方事前に申し込み)
LIVE入場料 1.000円(展覧会のみの観覧は無料。)


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【ディスコグラフィ】灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ・アルバム

2018年07月22日 20時19分28秒 | 灰野敬二さんのこと

Photo by Kazuyuki Funaki

2018年7月23日(月)東京・高円寺HIGHで『灰野敬二エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ』公演が開催される。膨大なエレクトロニクス機材と世界でもレアな楽器として知られるハーディ・ガーディによる長時間ライヴを体験できる機会はめったにない。その予習を兼ねて、100作を超えると言われる灰野関係作品の中からエレクトロニクス及びハーディ・ガーディによるソロ・アルバムをまとめてみた。筆者の所有するLP/CDに限るので、万が一抜けがあってもご容赦いただきたい。太字はCD帯/ブックレットの表記。

天乃川 1973 Live

CD: Mom 'N' Dad Productions ‎– MoM-019 (1993)
LP: Black Truffle ‎– BT026 (2016)

聖なる響の成就
こいつを ノイズミュージックと呼ぶのはふさわしくない
ハードロックの突然変異と名づけることにしよう

1973年の秘蔵音源。現DOMMUNE代表・映像アーティストの宇川直宏のレーベルMom 'N' Dadからリリースされた秘蔵音源。当時ロスト・アラーフで活動していた灰野が自作楽器や発振器を使って京都で行ったソロ・ライヴ・パフォーマンス。ホワイトノイズの中からリード楽器の甲高いサイレンが鳴り響く冒頭部は今でも時々ライヴで吹くチャルメラ演奏に通じる。粒子の荒い騒音で塗りつぶされた演奏は音楽と空間/時代の摩擦により、そうならざるを得なかった灰野の心情の現れかもしれない。


手風琴 The 21st Century Hard-Y-Guide-Y Man

CD: P.S.F. Records ‎– PSFD-68 (1995)

この古めかしくて派手な物に
出逢いしは20数年前の事なり
いまだに初めて私の中に入ってきたと同じように
私の脳髄を犯し続けてくれる響きなり


帯のコメント通りだとすると灰野がハーディ・ガーディと出会ったのは70年代初頭である。もしかしたら『天之川』を録音した頃かもしれない。爆弾を思わせる形とゴシック様式の装飾、手回し式のレトロ感。中世時代の謎の楽器から紡ぎ出される異界の旋律は、灰野の手にかかると無限の可能性に満ちた魔法の箱になる。これまで3作あるハーディ・ガーディ・ソロCDの第1作。「The 21st Century Hard-Y-Guide-Y Man(21世紀のハードな導きの男)」という英題は"魂の司祭"と呼ばれる灰野の全作品に共通する。


こんなになってもまだ考えている The 21st Century Hard-Y-Guide-Y Man - Even Now, Still I Think

CD: J-Factory ‎– TKCF-77023 (24 Jun 1998)

憂いを帯びている 紫の黄昏に
誘われて みようか
それとも 紡ぎ出される 沈黙(しじま)を
待つことに しようか


ハーディ・ガーディ・ソロ第2段。徳間ジャパンからのリリース。73分ノンストップのハーディ・ガーディ演奏は、筆者にとって灰野の全作品中もっとも聴き通すのに覚悟を要するCDと言える。かつて法政大学学生会館で觀た不失者の8時間ライヴの中盤の爆音ハーディ・ガーディ演奏中、朦朧とした意識の中で地獄絵図さながらの悪夢に襲われたトラウマが蘇る。しかしそれは同時に抵抗できない甘美な体験だったことも間違いない。


一度すべての言葉を捨てよう、祈るがあふれて来られるように Abandon All Words At A Stroke, So That Prayer Can Come Spilling Out

2CD: Alien8 Recordings ‎– ALIENCD27 (19 May 2001)
Disc 1: Hurdy-gurdy
Disc 2: Electronic percussion

終局という名のこの香しい響きをどこに投げ入れれば
あっち側からの目覚めを引き寄せることが出来るの?

Whereto Can I Cast Away This Fragrant Echo Called The End, So That I May Summon An Awakening From The Other Side?

君を引き裂くことに決めた
君が闇になってしまうか輝きになるかは君次第 君はどっちかな

I Have Decided To Tear You To Pieces. Whether You Become Light Or Darkness Depends On You. I Wonder, Which Shall You Choose?

前半(Disc1)がハーディ・ガーディ、後半(Disc2)がエレクトロニック・パーカッションによるライヴ録音。どちらも闇の中で囁くような気配の演奏で、タイトル通り「祈り」が溢れてくる。特に他ではDisc2はパーカッションの電気的波動に彩られた灰野ワールドが堪能できる唯一の音源である。


宇宙に 絡みついてる 我が痛み Uchu Ni Karami Tsuiteiru Waga Itami

P.S.F. Records ‎– PSFD-8020 (10 Mar 2005)

あやうく あっちに いってしまいそうだった
こぼれ落ちそうな 時の記憶を 胸に抱いたままで

ひとつと 呼ばれてしまっていることと
次の ひとつと 呼ばれてしまっていることとの 間に
たたずみ続けている こわがりの今

「もはや ここには もう二度と
全てが 生まれてくることのないことを 望む」と
彼等が祈り
それだけが 本当に たったひとつの 答えならば
『自爆する』 という行為は
此処の時間の内に 浮かび上がって来るだろう
---寓意的な誤解の章 より----


エアシンセのみによる唯一の作品。テレミンの原理をシンセサイザーに応用し手を翳すことでサウンドが変化するエアシンセこそ、灰野の司祭的イメージを最大限に発揮する。視覚的要素を廃した音だけのエアシンセは意外なほどダイナミズムを誇示せず魂の奥底に沈殿した気のわだかまりを撹乱し拡散する効能がある。


これが未だに誰にも知らされていない 
生きながらにして意識を消失してしまうやり方

Reveal'd To None As Yet - An Expedience To Utterly Vanish Consciousness While Still Alive

2CD: aRCHIVE ‎– archive14+15, Important Records ‎– imprec074 (01 Jan 2006)
CD1: Electronics
CD2: Hurdy-gurdy

深遠なる今の果てに宿る時間軸の一時的な凍結
A Temporary Freezing Of The Time Axis That Turns At The End Of This Profound Now

ここのこの香りを抱きしめながら
「この与えられた形を使い切る」と言って
宇宙に滲んでゆくもの
次はどこにどのような形になり
編み出されるものやら

That, Which While Enfolding This Now And Present Perfume, Speaks, "I Will Use To The Fullest Extent This Form Bestowed Upon Me" And Blurs Into The Firmament - Ah, Where And In What Form Will It Next Be Devised

2005年4月7日六本木スーパーデラックスでのエレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ライヴの完全録音盤。Disc1はエアシンセとエレクトロニクス、Disc2はハーディ・ガーディ。ライヴ空間のリヴァーブ効果を活かした広がりと深みのあるサウンドは、前作と異なり外部のあらゆる事象を混濁した体内に取り込むデトックス効果がある。


21st Feb.2008

DVD: Purple Trap ‎– PURPLE TRAP 001 (2008)

2008年2月21日小岩eM SEVENでのソロ・ライヴDVD。収録時間53分の前半がエアシンセ、後半がギターによる演奏。ジャケット通り暗闇にシルエットが浮かび上がり、髪の毛が雨のように光る神秘的な映像。手や身体の慄きや震えがそのままサウンド化する様子がダイレクトに伝わる映像は、2008年横浜トリエンナーレに出品され、2017年映画『サラバ静寂』で使われた。


こいつから 失せたいための はかりごと

P.S.F. Records ‎– PSFD-8029 (15 Oct 2008)

ハーディ・ガーディ・ソロ「The 21st Century Hard-Y-Guide-Y Man」第3弾。2017年11月7日中野Plan Bでの石原志保独舞「昭和の体重」其の六でのライヴ録音。冒頭で聴かれる風の中の摩擦音は、魂の奥底への侵入ではなく、聴覚細胞を再醒する自然音に聴こえる。起伏に飛んだモノローグは、舞踏の伴奏という背景もあるが、これまでの作品が邪神降臨の儀式だとしたら、本作で収穫祭の境地に至ったのではなかろうか。

電子楽器
伝統楽器
異能体験


Photo by Kazuyuki Funaki

明日開催!
7月23日(月)東京 KOENJI HIGH

KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY
灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ


KOENJI HIGH 10周年企画として、KOENJI HIGHで初の灰野敬二ソロ・ワンマン・ライヴを開催する。ソロ、グループ、コラボレーションなど多様な形態で国際的に活動を展開し、様々な楽器・機材の性能を独自の演奏技術で極限まで引き出す灰野のパフォーマンスの中でも、特異性が際立つエレクトロニクスと、楽器の特殊性ゆえに滅多に観ることの出来ないハーディ・ガーディを中心としたライヴは、音楽の秘密を露にする貴重な体験となるに違いない。

open/start 19:00/19:30
adv/door 4300円/4800円+1D

-Live-
灰野敬二

-チケット-
KOENJI HIGH電話予約 tel.03-5378-0382 (受付時間 17:00-22:00)
当日券あり

-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券
コメント (2)
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【完全セットリスト+MIX音源公開】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.15~日本一マニアックなDJイベント

2018年07月20日 01時32分49秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.15
Magie du début de l'été

2018.7.16 mon/hoilday
DJ Bar EdgeEnd Shibuya
18:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink



Time Table
18:00-19:00 DJ Battle 1 : FREE ZONE
19:00-19:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
19:30-20:00 DJ Paimon a.k.a. Moppy
20:00-20:30 DJ Mirage a.k.a. Shinkiro (from Toyama)
20:30-21:00 DJ Bothis a.k.a. MSS
21:00-21:30 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
21:30-22:00 DJ Lézard Noir (from France)
22:00-22:30 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武

●DJ Battle : FREE ZONE


DJ Vaby aka 大場弘規
1. Phurpa / Long Life
2. Étant Donnés / Untitled
3. Jorge Reyes / El Despedimento
4. Vasilisk / Photongnoul
5. Roberto Musci & Giovanni Venosta / Technowaltz
6. Current 93 Present Harry Oldfield / One
7. Divine / I'm So Beautiful
8. SAT Stoicizmo / Jačati Tijelo Sportom

DJゲーティアの悪魔 aka 吉峰佳
1. Gregorio Bardini/ Ezra Pound in Mantua
2. Barbarossa umtrunk/ L' effonrement du present
3. Allerseelen/ Santa Sangre
4. Barbarossa Umtrunk/ Kyffhauser:La Citadelle du Roi du Monde
5. Filippo Tmmaso Marinetti/ La Battaglia di Adrianopoli

DJ BEKATAROU aka 伊藤元
1. OVO/ombra nell ombra
2. S.O.B.階段/NOISE, VIOLENCE & DESTROY
3. ANIMA/Meeting in The Studio

DJ Qliphoth
1. Endless Dismal Moan / Kichigai
2. Troll Lullaby / Troll Lullaby


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


1 湯浅譲二個展LIVE RECORDING / インター・ポジ・プレイ・ション
2 Armande Altaï /Miroir Miroir Magique
3 三上寛 / おど
4 唐十郎 / 犬殺しの唄
5 沖雅也 / 季節が一つ
6 野坂昭如 / バイバイ・ベイビー
7 マジックランタンサイクル / 紅夜の都市
8 アーント・サリー / Aunt Sally
9 友川かずき / 泥棒猫夜走る
10 水族館劇場(山本紗由) / 紅い月を揺らして 
11 森田童子 / さよなら ぼくの ともだち (ライブ)
12 J・A・シーザー / 引力零年~大滅亡(シナの皇帝)
13 凡天太郎 / 人間賛歌




●DJ Paimon a.k.a. Moppy


1. Sheriff Lindo And The Hammer - Eastern Bloc
2. Stratis - Imprisoned Flesh
3. Delusion Men feat. Steaua de Mare - Călător
4. Renato din Sălaj + Ion din Dorobanți - Nu E Înjoseală
5.Σούπερ Μάριο - Moog Ρεμπέτης
6. Otto - Full Auto
7. Kalbata ‎– Al Shark


●DJ Mirage a.k.a. Shinkiro (from Toyama)


1. Treha Sektori-Vora Esyeh Konteriah (Seperah Teh 2)
2. Ricardo Donoso-Matutinum
3. Delerium-Certain Trust
4. Zoviet France-Ram
5. Talvihorros-Becoming Mechanical
6. ZK-Lady Lazarus
7. Shinkiro-One Part III
8. The Mystery School-Cantilare 13
9. Apócrýphos-Morphing Through Aether
10. Skrol-Absolution
11. Atomine Elektrine-In-Between Spaces
12. Fir§t Law-Bad Influence


●DJ Bothis a.k.a. MSS


1. Maurizio Bianchi - Fragment LW 268
2. Non Toxique Lost - Eigentlich Verstehen Wir Unsere Freunde Nicht
3. Bill Laswell - NOTHING
4. Viking Jews - Untitled(taken from “Viking Jews / Smycken” LP A-side)
5. Preoccupations - Memory
6. MONITOR - BEAK
7. Shoko Asahara - Lord Death’s Counting Song
8. apoptose - i say seven
9. Xao Seffcheque - Hinweise Zum Neuen Klang
10. Kunt - oi love you
11. Janeen Brady - I'm A Mormon




●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


1. JORGE REYES &SUSO SAIZ / Ahi O Hay Te Estas
2. AJIDA / Spcter * Festival (海童道Mix)
3. 弓神楽 / 手草祭文 (海童道Mix)
4. 大野松雄 / 鉄腕アトム音の世界
5. TEIJI ITO / Saranbande
6. 境石投げ踊り保存会 / 石投げ踊り
7. CUT HANDS / I Know What I Must Do
8. SANTERIA HAITIANA / Nago


●DJ Lézard Noir (from France)


1. Loren Nerell « Lilin Dewa » Irama
2. Sleep Chamber « Live At The Rat Club 12_18_85 » Side 1
3. Endvra « Black Eden » When God Was a Snake
4. Peter Christopherson « Time Machines 2 » track 1
5. Carl Matthews « Now & the compilation » As Above So Below
6. Ordo Eqvitvm Solis « Solstitii Temporis Sensvs » Le Crepuscule De La Vie
7. Tropic of Cancer « Restless Idylls » Wake The Night
8. Drew McDowall « Unnatural Channel » Unnatural Channel (Part 2)
9. Monks Of The Dip Tse Chok Ling Monastery « Ritual Music of Tibetan Bhudism and Tantric Hymns » The Offerings for General Protectors
10. Kangding Ray « Monad XI » Cercle



●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


1. Karlheinz Stockhausen / Ceylon
2. Timothy Leary / Tuen On, Tune In, Drop Out
3. Che SHIZU / I'm dancing in my heart ~祭歌
4. Don Cherry / "mu" second part
5. 19 / PIECES
6. HAMIDASYSTEM / 愛しみうらがえし(bandset)
7. 望月治孝 / Free Wind Mood
8. かざまきたかし・向井千恵 / どどど
9. Kenji Siratori / Body Omotya
10. NECRONOMIDOL / Sarnath
11. William Bolcom / Black Host
12. The Plastic People of the Universe / 20
13. Karelia / Engelska
14. Shigeo Roll Over / Foxy
15. 連続射殺摩 / Oh! CHILD...
16. Luciano Berio / Differences
17. Maher Shalal Hash Baz / マヘル・シャラル・ハシュ・バズのテーマ
18. xoxo(Kiss&Hug)EXTREME / 鬱。
19. MAGMA / Floe Essi
20. ふきのとう / 思い出通り雨


★全音源をSoundcloudで公開!!!!★期間限定(次回開催まで)
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.15 Part1 Free Zone~DJ Mirage


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.15 Part2 DJ Bothis~DJ Necronomicon


日本一
マニアックかな
盤魔殿

次回開催!
『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.16』
8月19日(日) 渋谷DJ BAR EdgeEnd

18:00 Open/Start  Charge \1,000 incl.1drink

当日会場にて盤魔殿の異端DJたちが出品する中古LP/CD/書籍など販売!
『中古盤魔市~Disque Daemonium Market~』
特価にて販売!!!詳細後日

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【地下アイドルへの招待】第8回 頭のネジをユルめる系女子~SAKA-SAMA(サカサマ)/nuance(ヌュアンス)/必殺エモモモモ‼(エモ4)

2018年07月19日 01時13分23秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待  
第9回: 頭のねじをユルめる系女子

DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)



昭和時代に「頭のねじがゆるんだ奴」と言われたら、赤塚不二夫『おそ松くん』のハタ坊のように、「ダジョー!」と言いながら、頭の上の旗をなびかせて町を行く、なんにも考えていないし、なんにも分らない、ただ漠然と生きるいじられキャラを指したが、平成初期のバブルやオカルトブームに浮かれた快楽の果てに辿り着いた大量殺戮未遂事件を経て、我武者羅に真面目一本で生きるだけが人生じゃない、回り道をしても迷子になってものんびりゆるく生きようよ、というオルタナティヴな選択肢を選ぶ老若男女が増えてきた。80年代お笑いブームは21世紀には「芸人」というジャンルとして定着し、ボケとツッコミの境界が曖昧になる[*]現象も観測されている。パンクやメタルが徐々に血の気の多い年配層の支持を集める一方で、90年代以降、ローファイや脱力系と呼ばれる非音楽家的スタイルが、人気を博す流れが生まれている。アイドル界では「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージをもったゆるめるモ!が象徴的だが、頭のネジをメルトダウンするためにもっとバラエティに富んだユルめ系女子が次々出現中。しかし注意が肝心。「ユルいアイドルを聴破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」とまことしやかに囁かれるほど中毒性の高いドープな世界なのであるからして。
*読者からのご指摘により「ボケ側に支持が集まる逆転」⇒「境界が曖昧になる」に修正しました。(2018/7/21)


SAKA-SAMA(サカサマ)


2016年12月に結成された4人組“Lo-Fiドリームポップアイドル。トラッシュ・カルチャー・マガジン『TRASH-UP!!』がプロデュースを手がけ、ドリーム・ポップ、パンク、ブレイクコア、カントリーなど様々なジャンルの楽曲が現代的なアイドル・ポップとして再構築された親しみやすいサウンドが魅力。メンバーは寿々木ここね、Dr.まひるん、あいうえまし子、に加え2018年6月加入の瀬戸まーな、ミ米ミ(みなみ)の5人。名前を含め、ヲタクの緊張感を一気にユルめてくれそうなメンバーの雰囲気は、ほのぼのを通り越してダラダラなMCやステージ進行に反映されている。それが嫌かと問われたら、嫌いどころか好き好き大好きですよと答えるしかない精神的不条理の轍は、夢野久作『ドグラマグラ』の主人公の隣の病室に入院している狂少女、呉モヨ子の生まれ変わりなのかもしれない。新メンバーの現場は未体験なので、逆さまエナジーが逆回転しているかもしれない。

SAKA-SAMA 新曲「物語はいつも」(2018.06.15 新宿Motion)



nuance(ヌュアンス)

 
2017年3月、横浜の商店街が企画するイベント「ガチでうまい横浜の商店街No.1◯◯決定戦」のテーマソングを歌うアイドルユニットとして一般公募で選出された「横浜の宝」と呼ばれる4人組。メンバーはmisaki、わか、珠理、みお。いわゆる《アイドル》とは一線を画した雰囲気のある楽曲と、歌詞の世界と質感を大事にしたクオリティの高いパフォーマンスが特徴、とのことだが、「ヌュ」という脱力ネームのイメージは、横浜アンダーグラウンドを象徴する自主レーベル「クラゲイルレコード」所属だとしても可笑しくない。同時に中井英夫『虚無への供物』の作中に登場するシャンソン歌手たち、シュザンヌ・デーリー、ジェルメエヌ・モンテロ、リーヌ・クレヴェールらへのオマージュとも解釈できる。サウンドやルックスはユルさよりも、名前に似合わぬ大人のポップス感があるが、横浜と聞けば吉野大作や陰猟腐厭やPTP’sを思い浮かべる地下音楽ヲタクにとっては、格好の妄想ネタと言えるだろう。

【nuance(ヌュアンス)】nuance × 絶対忘れるな『ぜっなシンドローム』



必殺エモモモモ‼(エモ4)


2017年8月20日デビュー「エモかわいい」がコンセプトのエンタメ系ロックアイドル、略称エモ4。メンバーは四ノ宮えんま、ゆい、みくる、みなせ。候補生制度があり、姉妹ユニット「バカは死ぬまでなおらない。」と兼任しているメンバーもいる。2018年6月24日に活動休止したが、7月29日に第二期メンバーで復活するらしい。実は筆者は2,3度観ただけなので事情はよくわからないが、運営が過激な発言で炎上する事が多く、メンバーの脱退や活休が茶飯事との噂がある。奇矯なグループ名で明らかなように「正しい」アイドル像を無視したとこころからスタートしている。ライヴでは名前の通り魔王チックなリーダー四ノ宮えんまのツンデレなパフォーマンスとヲタクを見下したMCに煽られて、自らのヲタクとしての存在の耐えられない軽さを実感してマゾヒスティックな快感に浸ることができる。ワクテカともカチアゲとも異なる弛緩した精神状態は「ユルめの緊縛」の美学に通じる。

【振りコピ】必殺エモモモモ‼本人がヤンデレボリューション踊ってみた【夜路死苦】



ユルユルと
あたまの空洞
ユルめます

ゆらゆら帝国 『空洞です』
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灰野敬二2デイズ~FOXPILL CULT主催@東高円寺UFO CLUB 2018.7.12(thu)/doubtmusic主催@秋葉原Club Goodman 2018.7.13(fri)

2018年07月17日 07時31分41秒 | 灰野敬二さんのこと


最近には珍しく灰野敬二が2日間連続でライヴ出演した。対バン/音楽性が大きく異なるイベントでどちらもギターによるソロ演奏を披露。高円寺と秋葉原、東京地下音楽の新旧の世代を象徴するムードを感じさせる二日間でもあった。

7月12日(木) 東高円寺U.F.O club


FOXPILL CULT自主企画
「ポトラッチデッド vol.29 -共感不可能!!ワンマン直前スペシャルvol.2!!!-」
前売2800円+1D 当日3200円+1D
開場19時 開演19時30分

出演
FOXPILL CULT
灰野敬二
純情マゼラン

劇団「廻天百眼」の音楽監督を務める西邑卓哲(vo,g)率いる4人組ロックバンドFOXPILL CULTの自主企画ライヴ。寺山修司やJ.A.シーザーなどアンダーグランド・カルチャーを好む西邑から灰野に熱心なオファーがあったという。ネクロ魔にも楽曲を提供していてライヴも数回観たことがあるが、まさか灰野とつながるとは思ってもいなかった。UFO CLUBは何度も来ているが、この日は特に若い女性客が多い。高円寺らしいレトロなファッションの姫カットの女子もチラホラ。数年前GEZANや八十八ヶ所巡礼を観た頃を思い出させる。

●純情マゼラン


2017年5月に山梨から上京してきたというGt.Vo.稲妻アキ、Ba.マッシュ琥珀、Dr.モッティーのトリオ(当初は女子キーボードがいたが脱退した模様)。いかにもUFO CLUBらしい長髪サイケロック。姫カット女子の目線の先で、鋭いカッティングのギターにぬめぬめしたヴォーカルを聴かせるスタイルに、いくつかのバンド名が頭に浮かぶが、先人の爪の垢を煎じて飲むのではなく、彼らの残した轍を破壊しながら蛇行突撃する傍若無人ぶりが発揮されれば、新たなサイケシーンの顔になるに違いない。

純情マゼラン MV『サイダー』



●灰野敬二


フレーズを放射しつつ言葉を紡ぐギターパフォーマンス。耳を圧する轟音ではなく包み込むような空間性を持ったギターのレイヤーは、音量よりも音の厚みで聴手の触感を振動させる。言葉はしばしばスピーカーのインピーダンスを超過して聞き取れないが、神や愛に関連する主題が語られているように思える。ソファに座って俯いたままスマホをいじる客の姿もあるが、魅せられたようにステージを凝視してスローモーションのように体を揺らす姿も見受けられた。


●FOXPILL CULT


昨年観たときは男子だったベーシストが女子に変わっていた。そのせいではないと思うが、以前感じたデジタル色は薄くなり、よりロックバンドらしいサウンドになっている。長身の西邑の歌とパフォーマンスがバンドを牽引し、ゴス/ヴィジュアル/メタル/テクノとスタイルが変わってもFOXPILL CULTらしいアート感覚が貫かれている。

FOXPILL CULT - アートサマージ 悪魔の人体時計版 (※2018年8月8日発売「死ぬ迄踊れ」より)







7月13日(金)東京 秋葉原 CLUB GOODMAN


doubtmusic 2018
13周年記念祭り!

18:00開場/18:30開演
前売:3,000円/当日:3,500円(1 DRINK別途)
・NMASTRO(沼田順+Hiroshi Hasegawa from ASTRO)with 沐 -Ara the taiko-(和太鼓トリオ)
・大友良英+DJ sniff ターンテーブル・デュオ
・saxophonedaxophone(内橋和久+広瀬淳二)
・ドラ美保(ドラびでお+若林美保)
・灰野敬二 ソロ

前日のUFO CLUBがアウェーだとしたら、この日はホームの地下ジャズ/地下ノイズ/地下ロックを13年間世の中に出し続けて来た稀有なレーベルdounbtmusicの周年イベント。出演者及び観客の平均年齢は確実に10歳以上高いが、ライヴに挑む心意気は勝るとも劣らないコアな空間だった。

●NMASTRO(沼田順+Hiroshi Hasegawa from ASTRO)with 沐 -Ara the taiko-(和太鼓トリオ)


レーベルオーナーの沼田順がギター、ASTROこと長谷川洋がエレクトロニクスのデュオはジャパノイズと即興の進化型だが、ステージを異空間にワープさせたのは和太鼓トリオ沐 -Ara the taiko-の肉体パフォーマンスだった。トライバルな野蛮ギャルドのビート感が電気ノイズを侵食し、音の出自が身体機能の末裔であることを高らかに歌い上げた。


●saxophonedaxophone(内橋和久+広瀬淳二)


ドイツの音楽家ハンス・ライヒェルが開発した不思議な楽器ダクソフォンはこれまで内橋和久の演奏で観たことはあるが、ダクソフォンだけのライヴは初めて。様々な形の木片を付け替えて弓で擦ったり叩いたりする奏法は、楽器演奏というよりコケシ職人の手作業のよう。出てくる音は想定外というか予想通りというか、意識のアンビヴァレンツを助長する。その意味では定型のない広瀬淳二のテナーと相性がいい。


●ドラ美保(ドラびでお+若林美保)


若林美保は客席真ん中の天井からロープを貼って場外パフォーマンス。ドラびでおが彼女に向けてレーザー投射するので、観客の瞳に直接突き刺さる。翻る羅紗布に描かれる幾何学模様が美しい。後半トップレスになった美保の肢体に眩しさに目を細めたのはレーザーのせいだけではない。


●大友良英+DJ sniff ターンテーブル・デュオ


左に大友、右にDJ sniffのターンテーブル対決。両者が張り合うわけでもなく、かといってお互い合わせるわけでもなく、自分の意思を貫くコラボレーションは、即興演奏の極意を知らなければできやしない。ジャンルやスタイルの異なる共演を重ねた二人ならではの、オルタナティブなレコードプレイのデモンストレーションだった。


●灰野敬二


前日のUFO. CLUBは立ってプレイしたがグッドマンでは椅子に座って演奏。だからといって力を抜かないのが灰野流。ボトムの効いた歪んだギターとディープな歌声はブルージーに染め上げる。『Born To Be Wild』など英語カヴァー曲を含め4〜5曲25分のコンパクトなライヴだったが、集中力の高さゆえ短さよりも充実感をしみじみ味わうことが出来た。



違う場所
違う人たち
違うギター



<灰野敬二次回ライヴ>

7月23日(月)東京 KOENJI HIGH



KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY
灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ


open/start 19:00/19:30
adv/door 4300円/4800円+1D

-Live-
灰野敬二

-チケット-
5/27~ KOENJI HIGH店頭、e+
予約

-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券
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【タイムテーブル&目次公開】海の日7/16(月)開催『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.15』@渋谷EdgeEnd

2018年07月13日 01時35分16秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.15
Magie du début de l'été

2018.7.16 mon/hoilday
DJ Bar EdgeEnd Shibuya
18:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink

異端音楽+映像 Outrageous DJ Music Party!
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!


Time Table
18:00-19:00 DJ Battle 1 : FREE ZONE
19:00-19:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
19:30-20:00 DJ Paimon a.k.a. Moppy
20:00-20:30 DJ Mirage a.k.a. Shinkiro (from Toyama)
20:30-21:00 DJ Bothis a.k.a. MSS
21:00-21:30 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
21:30-22:00 DJ Lézard Noir (from France)
22:00-22:30 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武

異端DJたちの聴かせどころ

【盤魔殿のここが嬉しい五大特長】
特長1. 来場者全員にZINE『盤魔殿AMALGAM』無料進呈
次号目次
地下アイドルへの招待 『第9回: 頭のねじをユルめる系ローファイ女子』
DJ Necronomicon ネクロノミコン

ターン・オン、チューン・イン、スピン・アウト!!!『西海岸ミクスチャー魔女宗フェリ・トラディション、そしてロックンロール!』
DJ Athmodeus アスモデウス

喪われた地下音楽家VOL.9 『秘められた地下音楽家 Shinkiro~蜃気楼の彼方へ』
DJ Qliphoth クリフォト

ナチスドイツの有機農業 (5)
DJ Bothis ボティス

!!!激情のライブ録!!! 盤魔殿 vol.14 @Edge End 2018/6/9
DJ BEKATAROU ベカタロウ

【Set List】 盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol. 14
etc.

特長2. 自由参加コーナーFREE ZONE
盤魔殿でDJデビュー!お好きなレコードやCDをお持ちください。オープン時間18:00から60分間、初心者でも大丈夫。

特長3. 遠方からゲストDJが参戦。世界のレアDJを体験できるのは盤魔殿だけ!
今回は北陸は富山県よりDJ Mirage、フランスからDJ Lézard Noirを招聘、さらにDJ Bothisが3ヶ月ぶりに現場復帰。

特長4. ジャケット開示
プレイ中の曲がすぐわかる。プレイ中の曲のレコード/CDジャケットを可能な限りお見せします。

特長5. 完全MIX音源公開
遠地のファンに大好評!当日のDJプレイを迅速に全編soundcloudにて期間限定公開。

レコード盤
見ても聴いても
楽しさ魔殿

▼参考(爆裂女子):頭の中の盤魔殿現場はこんな感じ!?
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