A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ完全コレクション#12】変態サイケの真打・牛心隊長登場~キャプテン・ビーフハート

2020年07月30日 02時08分00秒 | 素晴らしき変態音楽


キャプテン・ビーフハートのことを知ったのは音楽雑誌『Player』の1979年1月号からイラストレーター八木康夫(現ヤギヤスオ)が連載をはじめたコラム『PIPCO'S』だった。ザッパ・フリークとして知られた八木は第1回でFrank Zappaの『Studio Tan』を取り上げ、その中でビーフハートに言及している。5月号でThe Residents、9月号でThe Pop Groupと来て、10月号がCaptain Beefheart特集だった。当時高校2年生でレジデンツやポップ・グループにハマっていて、さらにアヴァンギャルドな音楽の深みへ足を踏み入れようとしていた筆者にとって、PIPCO'Sは最高の指南書のひとつだった。



まずはザッパの『Uncle Meat』を聴いて、そこいらのプログレよりも数万倍複雑怪奇な混沌ロックに感化された。当然ザッパの幼馴染のビーフハートにも興味を持ったが、当時は国内盤は出ておらず、輸入レコード店にはCaptain & Tennilleはあったが、Captain Beefheartのレコードは滅多になかった。80年10月に吉祥寺の中古盤店ジョージでやっと見つけたのがZappa/Beefheart/Mothersのライヴ盤『Bongo Fury』だった。ザッパとビーフハートの共演なら物凄いはず、と興奮しながら聴いたところ、ザッパの複雑な曲は面白いが、マザーズの演奏が達者すぎるせいか、ビーフハートのダミ声のシャウトが役柄を演じているように聴こえてしまって、牛心隊長の魅力がいまひとつわからなかった。しかし81年2月、京都大学受験の10日前に同じレコード店で見つけた鱒の仮面のジャケットが筆者の前衛精神を燃え上がらせた。

●Captain Beefheart & His Magic Band / Trout Mask Replica

1969 / US Reissue 1977: Reprise Records ‎– 2MS 2027 / 1981.2.23 吉祥寺ジョージ ¥2,500

キャプテン・ビーフハート&マジック・バンドの3rdアルバムにして、世界の前衛ロック屈指の名盤とされる2枚組。上手い下手を超えて気紛れに鳴り続けるような演奏が、実際はすべてビーフハートが作曲したフレーズを書き起こした譜面を基に、過酷なリハーサルを重ねたうえでたった2日間で全曲レコーディングされた、というような逸話の数々は、今ならネットで検索すればいくらでも出てくる。しかし購入した当時(81年)はほとんど情報がなく、PIPCO'Sの記事を頼りに想像を膨らませて聴くしかなかった。2枚組なので聴くたびに好きな曲が変わるスルメのようなアルバムだが、いま全曲通して聴いてみると、当時18歳の筆者を本当に魅了したのは、ヴォーカルやギターではなくて、ソプラノサックスやバスクラリネットだったのではないかと感じる。80年代以降のポストパンクやオルタナティヴロックには過激なヴォーカルや轟音、神経を逆なでするノイズ、破壊的な構成を持つ音楽が多数登場しているので、牛心隊長の吠え声やマジックバンドの解体的な演奏はむしろ保守的に聴こえるかもしれない。しかし今聴いても輝きを失わないのは、フリージャズ精神を誤用したまま吹きまくるリード楽器のご乱行である。サックスの新しい使い方を提示した作品が『トラウト・マスク・レプリカ』であり、サックス・プレイヤーこそこのアルバムに学ぶべきだと断言したい。その意味ではA-5 Hair Pie: Bake 1、C-4 When Big Joan Sets Up、C-7 Ant Man Bee、D-2 Wild Lifeといったサックスをフィーチャーした曲が目下のフェイヴァリット・トラックである。

Captain Beefheart - When Big Joan Sets Up



●Captain Beefheart And The Magic Band /‎ Shiny Beast (Bat Chain Puller)

1978 / JP Reissue 1981: ビクター音楽産業 ‎– VIP-4105 / 1981.5.28 吉祥寺Disk Inn 2 ¥2,000

10作目のアルバム。レコード会社とのトラブルやマジック・バンドの解散(メンバー脱退)で、70年代半ばを不遇に過ごした隊長が心機一転、新生マジック・バンドを結成し制作した、いわばカムバック作。実は76年に制作されるもお蔵入りになったアルバム『But Chain Puller』のリメイク盤である。81年にヴァージン・レコードの廉価版シリーズの1枚としてヘンリー・カウやロバート・ワイアット等欧米のプログレと一緒にどさくさに紛れて日本発売された。新編成のマジックバンドの手腕のおかげか『Trout~』よりもずっと聴きやすく、筆者が<オーネット・コールマンmeetsハウリング・ウルフ>と呼ぶスタイルを最も顕著に感じさせるアルバムである。James Chance & The Contortionsを思わせるA-2 Tropical Hot Dog Nightやソプラノサックスが吠えるB-5 Suction Printsが気に入った。

Captain Beefheart and the Magic Band - Tropical Hot Dog Night



●Captain Beefheart And The Magic Band ‎/ Doc At The Radar Station

1980 / US: Virgin ‎– VA 13148 /

11thアルバム。『シャイニー・ビースト』より前の80年に『美は乱調にあり』という邦題で日本盤がリリースされた。筆者は81年に吉祥寺レコード舎でアメリカ盤を購入したが、レコードに傷があったので良品と交換してもらおうと持っていったら、在庫がなかったため返金してもらった。そのお金で別のレコードを買ったかどうかは忘れたが、結局このレコードを再び買い直すことはなかった。一度ケチがつくとしらけてしまって興味を失う気持ちを、レコード蒐集家なら一度は経験したことがあるのでは? 今所有しているレコードは4,5年前に安く見つけて購入したもの。ニューウェイヴの影響でファンキーなダンス(とはいっても村祭り的)ナンバーが増え、ヌメヌメしたメロトロンが活躍する本作は、後期ビーフハートの最高傑作と言える。演劇的ポエトリーリーディングA-5 Sue Egyptからサックス&トロンボーン入プログレA-6 Brickbatsの流れがハイライト。しかし一日中隊長の灰汁の強いダミ声を聴いていると、さすがにお腹一杯でキツくなってくる。

CAPTAIN BEEFHEART & THE MAGIC BAND run paint run run 1980



●Captain Beefheart & The Magic Band ‎/ Ice Cream For Crow

1982 / UK: Virgin ‎– OVED 121 / 2016.6.4 吉祥寺Disk Union ¥1,028

12作目のスタジオ・アルバムにして、ビーフハート現役時代最後のアルバム。『烏と案山子とアイスクリーム』という邦題で日本盤も発売された。ジャケットのポートレートは遺影にピッタリだが、”最後の作品”と意識して制作したわけではない。最近まで聴いたことがなかったので耳馴染むほど聴いていないが、全体を通して何となくソフト&メロウな雰囲気を感じる。サックス・インストA-3 Semi-Multicoloured Caucasian、お祭りビートB-1 The Past Sure Is Tenseがいい。
牛心隊長はこのアルバムを最後に、87年に画家に専念するために音楽活動から引退し、2010年12月17日69歳で亡くなるまで音楽シーンに復帰することはなかった。

Captain Beefheart - Ice Cream for Crow (HIgh Resolution)


隊長に
敬意を表して
鱒被れ

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【クラウド盤魔殿第4弾】DJ Necronomicon『長谷川きよしのサイケな世界MIX』音源紹介~クセナキス/工藤冬里/エヴァン・パーカー/小杉武久/ポール・モーリア/井内賢吾etc.

2020年07月28日 00時04分48秒 | 素晴らしき変態音楽


DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
長谷川きよしのサイケな世界MIX



日本が誇るサイケデリック・シンガー・長谷川きよしの本質に迫るMIX。きよしに触れると虫や野鳥もお経もポール・モーリアもすべてサイケに染まる。それが「きよしマジック」である。
【100フォークスのススメ】第6回:いにしえの旅路の果てに辿り着く新たな世界~吟遊詩人・長谷川きよしの啓示

1. 長谷川きよし / ダリオ・ダリオ(海へ)


盲目のソウル・フォーク・シンガー長谷川きよしの通算5作目(スタジオ4thアルバム)『いにしえ坂』のB面1曲目の問題作。フリージャズ・ドラマー山崎弘率いるジャズ・セクステットが本領発揮の怪演でバックアップし、モーゼの十戒を唱えるようなきよしのテノールが響きわたるイラン歌謡。壮大な草原を渡る風は、隣国ギリシャまできよしの魂を届ける。

2. Iannis Xenakis / Persepolis


ギリシャ人現代音楽家ヤニス・クセナキスがイランの第5回シラズ・ペルセポリス国際芸術祭からの嘱託で1971年8月ダリウス王宮殿̪趾で初演された電子音響大作。ペルセポリスは古代文明の中心地でありペルシャ人とギリシャ人の戦場となった。きよしの唄がイランとギリシャの出会いを呼び起こした。

3. 長谷川きよし / ハイウェイ


『いにしえ坂』B面2曲目。「ダリオ・ダリオ(海へ)」から切れ目なくジプシー・ヴァイオリン・ソロで始まる「ハイウェイ」はきよしのイコライジングされたアンドロイド・ヴォイスによる早すぎたテクノ・フォーク。6年後にヒカシューが発表した「白いハイウェイ」のルーツに違いない。干からびた砂漠のハイウェイを進むきよしが夢見たのは森を流れる川のせせらぎはなかったか。

4. 虫・野鳥・せせらぎ / 森林の夜明け


自然が奏でる神秘的なファンタジーの世界のフィールドレコーディング。演奏は虫と野鳥とせせらぎ。喉の渇きで朦朧としたきよしの妄想の中では、虫の音も小鳥の囀りも川の流れも誇張されてノイズミュージックのように頭蓋を響かせる。

5. 小杉武久 / New York, August 14, 1991


フルクサスとも協働した現代音楽家小杉武久が91年にニューヨークの自宅アパートで独りきりで制作した電子コラージュ音源。イタリアでフィールドレコーディングした鳥の声、ラジオ放送、ペットボトルに仕込んだコンタクトマイク、発振器、ディレイ/ピッチシフターを使ったミュージックコンクレートは、大都会で自然環境を再創造する試みであった。

6. 井内賢吾 / 犬神と家畜


90年代に活動したノイズ・フォークシンガー。90代末に引退しシーンから消えた。猟奇的なテーマを狂気に満ちた悪声とローファイサウンドで歌う情念の世界は、きよしとは対照的に聴こえるかもしれないが、まっすぐな70年代と屈折した90年代という違った時代に生まれた純粋な魂の行き方の違いでしかない。きよしと賢吾は元々は双子のようにそっくりな心の色をしていた。どちらが幸せかは誰にもわからない。

7. 小林希史 / Delicious Art


現代アート界で注目される美術家小林希史が十代の頃にカセットテープに録音したインダストリアル音響を集めたアルバムから。ロックがやりたくて渡ったアメリカでアートに目覚め、美術の道に入った。大竹伸郎に似た行き方だが、ここに収められた音楽は、純粋な少年の生きる証を封じ込めたもの。幼くして視力を失ったきよしがギターに生きがいを見出したことに通じる。

8. 長谷川きよし / 黒の舟唄


作家・タレント・政治家でもあった野坂昭如の71年のヒット曲をきよしがカヴァー、75年にシングル・リリース。深い歌声で情念的な世界を暴き出し、彼の代表曲となった。シングル盤のジャケット写真のヌードモデルは作家・女優にしてフリージャズサックス奏者阿部薫の妻だった鈴木いづみ。きよし本人のアイデアではないと思うが、地下文化との繋がりの証明である。ジャケットにあるように、”プログレッシブ・レーベル”のヴァーティゴ・レコードの記念すべきシングル第一弾でもある。

9. 東本願寺門徒勤行 / 佛説 阿弥陀経


夜中の黒い河に舟を出す舟唄歌いの「ROW & ROW」という掛け声は、彼にとっては念仏とおなじ。筆者に深い信仰心や宗派の別があるわけではないが、念仏の詠唱はミニマルミュージックのルーツであり、そこらのヒーリング・ミュージックやニューエイジ・ミュージックよりも数百倍含蓄がある。癒されるよりも呪われたい異端音楽中毒者にお勧めします。

10. 電音琴 / 愛情多柑蜜


伝統というより風習というべき仏教音楽が盛んな台湾産の電音琴=エレクトーン演奏によるチープ&イージーリスニング。敬虔な仏舎利の儀式から、一歩外へ出たとたんに俗世に塗れる現代人の変わり身の素早さを、能天気な軽音楽で彩る。きよしに必要なのはこんなウキウキ音楽の歓びなのではないだろうか。

11. Calvin Hampton / Triple Play


アメリカの20世紀音楽の作曲家カルヴィン・ハンプトン作曲のオンド・マルトノと2台のピアノのための三重奏曲。微分音(クオータートーン)音楽の代表作である。シャープとフラットの間を四分割した不安定な音階で暴れまくる鍵盤楽器は、フリージャズ以上に乱調の美しさを放つ。すべて譜面に書かれたコンポジションであるが、傍若無人な即興演奏と聴覚的には違いはない。長谷川きよしのガットギターも時には傍若無人なフレーズを鳴らすこともあったに違いない。

12. 工藤冬里 / The last song of my life


80年代地下音楽を代表する異端音楽家工藤冬里の近年作。気紛れに繰り返される素人アンサンブルに聴こえるが、念入りなコンセプトの元ですべて意識的に演奏されていることを知る人はあまりいないだろう。自由気ままな音楽活動を40年近くやり続ける地下の吟遊詩人・工藤冬里も、アナザー・フェイス・オブ・長谷川きよしと呼べるだろう。

13. 長谷川きよし・加藤登紀子 / 灰色の瞳


70年代を代表する男女シンガーソングライターの夢の共演。74年のデュエット曲。フォルクローレの曲に加藤が日本語詞をつけ、哀愁を帯びたメロディーを二人が歌う。のちに森山良子もカヴァーしているが、なぜ同じフィリップスのレーベルメイトのきよしとのデュエットが実現しなかったのかちょっと不思議な気がする。なにか大人の事情があったのかもしれない。

14. ポール・モーリア / ポール・モーリアのR&B


そう考えると、やはり同じレーベル所属のモール・モーリアと長谷川きよしのコラボレーションが実現していれば世界的な話題になったのに、と悔やまれてならない。フィリップスには他に「恋はみずいろ」を最初にヒットさせた女性歌手ヴィッキーや、孤独なアイドル、スコット・ウォーカーも所属していた。ミュージックコンクレートの第一人者・ピエール・アンリもいたし、ヴァーティゴ・レコードにはキース・ティペットやジェントル・ジャイアントなどプログレアーティストも多数いた。それらをすべて巻き込んで、日英仏の長谷川きよしトリビュートを制作したら、世界のサイケ地図は全くちうものになっていたに違いない。

15. Evan Parker / four of six


アルバムの最後を締めるのは、イギリス・フリーミュージックの重鎮サックス奏者エヴァン・パーカーの循環呼吸エンドレス・ソプラノサックス・ソロしかない。鳥の囀り、ブレーキ音、雷鳴、豪雨、ヒステリーの叫び、猫の断末魔など様々な音像を想起させるストイックな演奏は、きよしの歌で沈殿した情念を攪拌して浄化するデトックス効果を発揮する。サイケな悪夢から、リスナーを現実世界に連れ戻してくれる。

長谷川きよし 黒の舟唄


100フォーク
聴けば世界は
丸くなる

長谷川きよし・椎名林檎 / 灰色の瞳
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【私のB級サイケ完全コレクション#11】Cのはじまり:The Cake/Calliope/C.A.Quintet/Cathy Young/The Carolyn Hester Coalition

2020年07月26日 00時59分21秒 | 素晴らしき変態音楽


5月25日の緊急事態宣言解除からちょうど2か月。感染者数は増加の一途で第2波感の危機が迫る中、6月19日からスタートした自分のコレクションをABC順に全部聴き倒す挑戦は1か月と1週間過ぎて、3番目の「C」の欄に来た。早いのか遅いのか前例がないので判断できないが、在宅勤務が徐々に解除されると仕事中に好きなレコードを聴く時間も次第に少なくなるに違いない。「Z」に到達する日が果たして来るかどうかわからないが、できる限り聴き続けて行こうと思う。

●The Cake / The Cake

1967 / US: Decca ‎– DL 74927 / 1994.11.29 Boston Nuggets $15

1966年ニューヨークで結成されたガールグループ。メンバーはJeanette Jacobs, Barbara Morillo, Eleanor Barooshian。ロネッツやシャングリラスの流れをくむコーラスグループだが、自作曲をレコーディングしたことが特徴。67年のデビュー・アルバムではA-3 Medieval Love、A-4 Fire Fly、A-5 Rainbow Woodの3曲をメンバーが書いており、いかにも60年代ガールズポップスの他曲とは趣の異なるクラシカルなバロック・ポップを聴かせる。68年に2nd『A Slice of Cake』をリリースして解散。ジャネットとエレノアはDJ.ジョンとスターした後イギリスヘ渡り、Ginger Baker's Air Forceに参加する。マネージャーとケンカしたジャネットが終始ふてくされているテレビ出演ビデオは、現代のツンデレアイドルを思わせて萌える。

Cake You Can Have Him Better Audio Mix 10011967 Smothers Brothers



●Calliope / Steamed

1968 / US: Buddah Records ‎– BDS-5023 / 1985.8.25 吉祥寺Disk Inn 2

ワシントン州シアトルのサイケデリックバンド。メンバーはPaul Goldsmith (g,vo), Danny O'Keefe (b,vo), John Simpson (ds), Clyde Heaton (key)。65年結成のシアトルのガレージバンドEmergency ExitのメンバーだったGoldsmithを中心に68年に結成された。ブッダ・レコードからの唯一のアルバムはグルーヴィなオルガンとファズギターが目立つ良質なサイケナンバーが満載。A-2 California DreamingやA-4 Hound Dog、A-5 Link A Rolling Stoneなど有名曲のサイケカヴァーがカッコいい。オリジナル曲が4曲しかないせいで見過ごされているが、ヘヴィサイケの名盤として再評価の価値あり。O'Keefeは70年代以降シンガーソングライターとして活躍、SimpsonはテキサスのサイケバンドChristopherの70年のアルバムにセッション・ドラマーとして参加した。

Calliope - California Dreamin



●C. A. Quintet ‎/ Trip Thru Hell

1969 / UK Reissue 1988: Psycho Records ‎– PSYCHO 12 / 1984.10.29 下北沢レコファン ¥1,250

82年に知られざるサイケのレア盤の再発をスタートした英Psychoレコードの初期カタログの中で、Music Emporiumと並んでマニアに衝撃を与えたのがC. A. Quintetだった。ミネソタ州ミネアポリスで60年代半ばに結成されたガレージサイケバンド。メンバーはDoug (Beaver) Reynolds (key,vo), Ken Erwin (tp,vo), Jimmy Erwin (b), Tom Pohling (g), Rick Patron (perc)。『Trip Thru Hell=地獄を通る旅』というタイトル通りの不気味なジャケットに偽りなしの謎めいたクレイジーファズサイケ曼荼羅を展開する。枯れたトランペットと亡霊のようなヴォーカルが迷宮に輪をかける。Psycho盤は海賊盤で、片チャンネルの音が入っていないらしく、95年の正規再発盤が完全な音源だという。しかしPsycho盤に馴染んだ耳には、不完全な状態の方が酩酊感が高いように感じられる。

SIDE ONE TRIP THRU HELL the C A Quintet with Extensive Information about the band



●Cathy Young /‎ A Spoonful Of Cathy Young (ニュー・フォークのスター キャシー・ヤングの世界)

1969 / Japan: 日本コロムビア Mainstream Records ‎– YS-2246-MS / 1991.12.24 渋谷レコファン ¥2,180

1951年カナダ・トロント生まれの女性シンガーソングライター。69年18歳でリリースした1stアルバムは、ジャケットだけでも心惹かれるがもちろん内容も「うたう呪術師」と紹介される通りのブルージーなアシッド・フォーク。A-1 Spoonfulのファズギターとオルガンに彩られた呪術的なヴォーカルは、キャシーの回想によれば、生まれて2回目のスタジオだったので、モニター・ヘッドフォンの音量を下げて、と言うことが出来ず、絶叫で歌うしかなかった結果だという。若過ぎて経験もなかったが情熱は本物だった。バックを務めるのはフォーク/ブルーグラスSSWのEric Weissberg (g, banjo)をはじめベテラン・スタジオ・ミュージシャン。Spooful以外は全曲キャシーの自作曲でドリームポップのB-2 Color That Lightningなど素晴らしい。

Cathy Young Spoonful Mainstream 69



●Cathy Young /‎ Travel Stained

1973 / Canada: GRT ‎– 9230-1035 / 2014.4.16 Discogs Jim Fewer, Canada $21.60

4年後にAOR/フュージョン系レーベルのGRTからリリースした2ndアルバム。ジャケットの変化をみれば王道ポップスに転身したことは明らか。ファンキーなポップ・ロック・アルバムになっている。しかしキャシーの歌声は地に足がついていない浮遊感があり、心の中では幻想の世界を彷徨っていることを想像させる。アコギの音色が瑞々しいB-2 ロッド・スチュワートのMaggie May、ホーンセクションとコーラス隊を配したウィルソン・ピケットのソウル・クラシックMidnight Hourと、カヴァー曲も面白い。このアルバムでカナダのグラミー賞と言われるJUNO Awardの最優秀新人賞を受賞。キャシーは現在もシンガー、TVタレントとしてカナダで活動している。

Cathy Young - Eagle



●The Carolyn Hester Coalition ‎/ The Carolyn Hester Coalition

1968 / US: Metromedia Records ‎– MD-1001 / 1994.4.30 New Orleans Record Ron's $15.00

Carolyn Hesterは1937年生まれのフォークシンガー。57年にレコード・デビューし、グリニッジヴィレッジのフォーク・リバイバルの中心的存在として活動。60年代後半に入りフォーク・シンガーとしての活動に限界を感じてサイケに転身して結成したThe Carolyn Hester Coalitionの1stアルバム。メンバーはCarolyn Hester (vo, g), Dave Blume (b,p,org,viv), Steve Wolfe (g)‎, Skeeter Camera (ds)。キャロリンの天使のようなハイトーン・ヴォイスとアコースティックなサイケサウンドが天上に遊ぶような美しさを持つ極上のアシッドロックを聴かせる。70年に2nd『Magazine』をリリースして解散。キャロリンはデイヴ・ブルームと結婚し、ソロシンガーとして活動を続ける。

the carolyn hester coalition - half the world (vinilo)


サイケ愛
ウルトラCを
目指します


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【第2波感染防止 巣ごもりサマー音楽の友】リアルイベントロスに効く癒しのMIX。『クラウド盤魔殿 第4弾 - Disque Daemonium Soundcloud Vol.4』公開中!

2020年07月23日 21時56分07秒 | 素晴らしき変態音楽


第2派感染の到来に備えて再び巣ごもりをはじめた地下音楽愛好家の皆さんへ朗報です。異端音楽DJイベント『盤魔殿』のSoundCloud版、『クラウド盤魔殿』の第4弾が公開されています。リアルイベント開催の目途が立たない現在、禁断の変態音楽のシャワーを心おきなく浴びられる場所はネットの中のみ。異端DJが全身全霊を籠めて送るMIX満載のラインナップで、Stay Home Summerを楽しくお過ごしください!




●DJ YONJU MIYAOKA

track list
1.光線願望 / 金子寿徳
2.My two kids / Mad Nanna
3.I'm Ready / Jandek
4.遡る雨 / 終古のオミット
5.夢のよう[+] / 分水嶺
6.In Ends / 工藤礼子
先月リリースの分水嶺、年末LPリリース予定の終古のオミットの音源を含むマイナーサイケデリックの自己紹介的な30分。


●DJ Hitch

いとおしい楽曲と自分の人生に所縁のあるノイジャンの作品とでミックスしました。
同じ曲を2回入れ込んでみたり。1度目の再生と2度目の再生とではきこえかたが変わったりと。
★セットリスト
Title / Artist
Cinque Sintesi Radiofoniche / Filippo Tommaso Marinetti
Auschwitz / MB
Opposites Attack / Ned Rothenberg
Dynasty / S.B.O.T.H.I
Titbit I / Freakowitz & Einstein
Titanic In The Rock Ice / Seed Mouth
Strugglediver / Robochanman
Study No. 3a / Conlon Nancarrow
9. intervalles bleus / Francois Bayle
Osmanthus Fragrans(Homemade Electrid Music) / Walter Marchetti
Titbit I / Freakowitz & Einstein
Far away inside / O
Tempo Furioso Pt.2 / Martin Davorin Jagodic
翳り VII-コンピュータ音楽演奏システムのために / 高橋悠治
echo-structures / oskar sala
9. intervalles bleus / Francois Bayle
Study No. 3a / Conlon Nancarrow


●DJ涅槃

--Set List--
1.Linx On - Rave Racer
2.Euphoria - Rave Racer
3.Drive U 2 Dancing - Ridge Racer 2
4.Mathemabeat - Rage Racer
5.Euro Fight - Sega Rally 2
6.Groovin´ Daylight - Scuad Race
7.Divas - R:Racing Evolution
8.Movin' In Circles - Rigde Racer Type 4
今回はレースゲーム特集です。多少ゲームを知っている方なら解るタイトルと思いますが、イケイケな気分で夏を乗り切って頂ければ幸甚です。


●ケロッピー前田

7月6日@阿佐ヶ谷TABASA
出演 ケロッピー前田
ゲスト 持田保
カウンターカルチャーの最先端・身体改造を日本に紹介してきたケロッピー前田が、『INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE!!!』の著者・持田保とともに、数々の音源を振り返りながら、クレイジーミュージックのカリスマたちの文化的な背景やカウンターカルチャーとのかかわりを読み解く!!
今回は、1978年にブライアン・イーノがプロデュースした、最も過激で実験的なバンドのコンピレーション『NO NEW YORK』に焦点を当てる。特に、アートスクール出身で早々に反音楽家を宣言していたイーノは、テープレコーダーの実験、クラウトロック(ジャーマンロック)との接近、NYパンクとのかかわり、Fourth World Music、さらにアンビエントミュージックなど、次々に斬新な音楽手法に挑んできた。また一方で、アンチ・ヒッピーとして登場した本物のパンク(NYのNO WAVE一派)は、最も"凶悪"な音楽を志向することで、ポストパンクやノイズ・インダストリアル・ミュージックを先取りしていた。
 いま改めて、イーノ& NO NEW YORKがカウンターカルチャーに及ぼした影響を数々の貴重音源を聴きながら振り返る!


●DJ Qliphoth

1. Harry Roesli Gang - Prolog
2. Iron Marshall - Goldenes Zeitalter
3. iszoloscope - all is immensity and chaos
4. Codex Empire - Mental Recession
5. SDH - Four Arms
6. Noire Antidote - ÆÆÆ
7. T.H. Industry - Unerwuenscht (Doch Erwuenscht Remix By e:o:nity)
8. Flint Glass, Collapsar - Olden Wrath of the Great Ones [Iszloloscope Mix]
9. Harry Roesli Gang - Sekar Jepun
世界が疫病に病み、抑圧に軋み、資本主義と都市文明が終焉を迎える時に黙示録の音楽


●Dj Vaby

前回に続きジャップインディーをチョイス!今回はSodom、Ybo2などTrans Recordsのマテリアル、しかも自然と身体が小刻みに震えちゃいそうなヤツ(笑)をメインとして攻めちゃいます!!再び不穏な空気が世の中に蔓延しつつある今日この頃、少しでも皆様が元気になれるのでは?と思えるアイテムを揃えましたので、是非是非楽しんで下さいまし。
以下がセットリストです。
1. Off Mask 00 / Virtual, Speed, X.T.C
2. Sodom / Art Of Lab
3. Ybo2 / Boys Of Bedlam
4. Ruins / Human Being
5. Sadie Sads / Angora
6. Zeitlich Vergelter / Schlagen
7. Z.O.A / Das Grab


●浅倉玲音 bass drone

今回のソロベースはフレーズを削除した周波数帯のみのdrone作品にしました
通常のDJ MIXでも特に気にする場所は周波数でラウンジでのジャズ、Goa trance、テープコラージュ、DUBでも耳に心地よくなるように選曲も抑えながらもイコライザーで調整してMIXしたり出力するようにしている
今回は以前から思考していたDrone作品にしました
ベースを始めたきっかけになったCDを改めて手にして作った作品です


●DJ カナブンa.k.a.平岡俊之

今回もカセットカルチャーの音源です。ノイズ、アンビエント、アバンギャルド、パンク、ニューウェーブ、フォーク、、、大量にリリースされましたが、多くの作品は埋もれてしまっています。今回発掘したのはこちらです。エネルギーと云うか、当時の雰囲気を味わっていただければ嬉しく思います。
1.Rambo’s Fist - Annilhate Descendants
2.Schaum Der Tage - Dance Of Feat
3.Nord - 04 Paramasukha
4.Dirty Husbands - Convictions
5.Toshiyuki Hiraoka – Cupl SSG
6.Neva - Frenezie
7.Red Combo - Lento
8.Ode Virale - Frieden
9.WeR7 - Untitled
10.Otre La Morte - Derwish


●DJ Guiggles(薔薇色の愚者船レギュラーDJ・Rose de Reficul et Guiggles劇中曲選曲者&パフォーマー)

盤魔殿mix Vol.4
セットリスト:
1.YBO2/パヴァーヌ
2.AKIRA SAKATA-NOBUYASU FURUYA/part1
3.goat/rhythm&sound
4.otim alpha/tongwen
5.nihiloxica/choir chops
6.damo suzuki&killer-bong/killer-damo
7.吉田達也/即興組曲「暗黒星雲」
8.jac berrocal/car havana mid
9.顔がない/little boy
聴かせどころ:
カセットのものも含むレアなインディーズ音源を入れたノイズ!ジャズ!アヴァンギャルドでフリーキーなMIXセレクトです。盤魔殿らしさという中では個人的に最高傑作が出来ました!
まだまだ巣篭もりがちに過ごさなければならない日々、狂気を内包した音を愉しみながら夏を過ごしましょう。


●DJ Ipetam

1.Devil got my woman / Skip james
2.展覧会の絵・プロムナード/ 冨田勲
3.展覧会の絵・バーバ・ヤーガの小屋 / 冨田勲
4.Kliks / Z'ev
5.Unchain my soul / Dark funeral
6.Golau / Z'ev
7.幻惑されて / 中森明菜
8.天に星、地に花 / 薬師丸ひろ子
9.雨の庭 / 冨田勲
10.Gebrechlichkeit Ⅱ / Burzum
11.展覧会の絵・プロムナード / 冨田勲
12.Bride of Rain dogs / Tom Waits


●DJ Bothis

今回も基本的にいつも通りのアンビエント・ドローンですが、なんとなく退廃的でエモーショナルな作品をピックアップしてみました。
Set list
1.Helios - Seeming
2.How To Disappear Completely - Neoma
3.Hakobune - Melting Reminiscence
4.Zeze Wakamatsu - Decay is the new fade
5.Kazuma Kubota - I Remember You
6.How To Disappear Completely - Seraphim IV
7.Axon Neuron / Vagwa - Untitled I(taken from”:Documents 1995-2005:”)


●DJ BEKATAROU

Setlist
1.ATA EBTEKAR AKA SOTE / Plain Song
2.SOTE / Dxtral
3.Asmus Tietchens / Kammer Music 1
4.ATA EBTEKAR AKA SOTE / Miniature tone
5.SCENES FROM SALAD / DALLAS INJECTION
6.sympathy nervous / Deaf Picture
7.Iannis Xenakis / S.709
8.大野松雄 / まんだらの宇宙
”この度はイランの電子音楽作家Soteを中心にXenakisや大野松雄、Sympathy Nervous、Asmus Tietchens、SCENES FROM SALADらの電子音楽やコラージュの圓盤を廻させていただきました…通して聴いていただければ時間や空間の感覚が希薄になるかもしれません


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


長谷川きよしのサイケな世界MIX
日本が誇るサイケデリック・シンガー・長谷川きよしの本質に迫るMIX。きよしに触れると虫や野鳥もお経もポール・モーリアもすべてサイケに染まる。それが「きよしマジック」である。
1. 長谷川きよし / ダリオ・ダリオ(海へ)
2. Iannis Xenakis / Persepolis
3. 長谷川きよし / ハイウェイ
4. 虫・野鳥・せせらぎ / 森林の夜明け
5. 小杉武久 / New York, August 14, 1991
6. 井内賢吾 / 犬神と家畜
7. 小林希史 / Delicious Art
8. 長谷川きよし / 黒の舟唄
9. 東本願寺門徒勤行 / 佛説 阿弥陀経
10. 電音琴 / 愛情多柑蜜
11. Calvin Hampton / Triple Play
12. 工藤冬里 / The last song of my life
13. 長谷川きよし・加藤登紀子 / 灰色の瞳
14. ポール・モーリア / ポール・モーリアのR&B
15. Evan Parker / four of six

巣ごもりの
お供にピッタリ
盤魔殿

FREE ZINE『盤魔殿アマルガム Vol.29』PDF版Download Link

人類にとってリアルイベントは必要不可欠だ。我々は音楽によって生きている。過酷な状況だが、音楽があれば生き残れる。辛抱しよう。
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【クラウド盤魔殿 第4弾 公開中!!】FREE ZINE『盤魔殿アマルガム』最新号公開!!!!

2020年07月23日 00時10分47秒 | 素晴らしき変態音楽


異端DJイベント『盤魔殿』のSoundcloud版『クラウド盤魔殿 第4弾 Disque Daemonium Soundcloud vol.4』は既にオープンしていますが、その告知の前に、Free Zine『盤魔殿アマルガム』最新号の一部を誌上公開(ダウンロード用電子版は明日掲載予定)。レアな音楽情報が満載です。

盤魔殿
Disque Daemonium
AMALGAM

Vol.29
“Infection de deuxième vague” issue


盤魔殿DJ 今月の1枚  
盤魔殿DJ陣が毎月お気に入りの音源をご紹介。こだわりの選盤からどんな世界が広がるかお楽しみください。

●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
PEOPLE’S TEMPLE CHOIR / He’s Able (Grey Matter)


一向に収束する気配ナッシングなコロナ騒動を受け「もはや元の世界に戻ることは不可能なのではないか?」「そもそもお前は元の世界に戻りたいのか??」なる想いが問われ続ける現在、人々が疑心暗鬼むき出しで揺られ続ける満員電車内で僕のスマホから爆音でプレイされているのがこの一枚だ。いわずもがな1978年11月18日、南米ガイアナの地に設立された宗教コミューン「人民寺院」で発生した914名集団自殺の実況録音作品である。そもそもは1973年カリフォルニアのクリスチャン・ゴスペル・レーベル”Brotherhood”からリリースされた人民寺院のソウル&ゴスペル音源に1993年英国のインチキ・レーベル”Grey Matter”が「偶然TEACレコーダーに録音されていた!」集団自殺音源を無理無理にニコイチ化したモノで、前半と後半の乖離によってもたらされる「天国と地獄」感がハンパない。女子供のリアルに泣き叫ぶ声をバックに「われわれがどんなに努力し、平和な生活を営もうと奴らはわれわれを自由にさせてはくれないのだ。奴らはわれわれを追いかけてきたし、嘘っぱちの証言をした。奴らはわれわれを根絶するまであきらめない。こんな苦痛を味わいながら生きるよりも、ここで安らかな眠りにつこうではないか!」とアジテートするジム・ジョーンズの叫びはあなたの心に何を訴えかけるだろうか。世界は暴力と妄想でできているし、時に人は暴力と妄想を愛と呼ぶ。スーサイドの無理心中バラッド”フランキー・ティアドロツプ”と同様に愛は惜しみなく奪う。


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼
Singular Cleansweep Operations - Final Service (2012) CD Japan : Teito Sound Company


「Singular Cleansweep Operations」は、ドイツのパワー・エレクトロニクス、デス・インダストリアルデュオ「Operation Cleansweep」のメンバーI.B.によるソロプロジェクトである。本作の全体的な世界観としては、陰鬱で澱んだ電子音を基調とした荒凉たる音像と共に、不明瞭でネガティブなボイス・サンプリングを散りばめる手法により、人間の本質的な愚かさと絶望を誠実に描き出すことに成功している労作であり、特に5曲目の「Death In Order」では、恐らくは旧日本軍の軍事演習の音声であろう「気をつけ!」「全体、進め!」という日本語が虚しく木霊し、7曲目の「Revolutionary Suicide Council」では、適度に歪んだ焦燥的エレクトロニクスの中で、信者の集団自殺でお馴染みの「人民寺院」教祖ジム・ジョーンズの演説が淡々と繰り広げられる。
なお、本作は全12曲収録のCDが通常盤として一般流通しているが、実はDiscogsにも掲載されていない13曲目「Funeral」が収録されたCD-Rがセットになった2枚組の限定盤が存在する。戦時中、多くの若者を戦地へと押し遣り、国家のための死を肯定する準国歌として機能した「海行かば」をサンプリングした「Funeral」は、デス・インダストリアル史に残る名曲である故、この辺りの終末的闘争音楽に関心があれば是非探してみることをお勧めする。なお、筆者はこの限定盤を版元である「帝都音社」の横山氏から直接購入した。


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
"そら" 白石民夫(2020)


風は少し湿り気を帯びていた。
日中に比べて気温も下がっており、上着を持って来なかったのを後悔した。
22時ぴったりに新宿のとある場所に行く、それだけの事が意外に難しくて、この日やっとだった。階段を登った先には誰もいない、どうしたら良いんだろう。。その時、少し離れた所から叫び声の様に聞こえた鋭い音。舞台は地上よりも高い所にある。ざわついた風に乗って聴こえて来る音は、都心の様々な雑音に混じりながらも決して埋もれず、恐ろしい主張を持って鳴り響く。
鳴らされているのはアルトサックス一本。
風と合奏している、そう感じた。ビル風か、気候のせいなのか、風が舞っていた。一本芯の通った力強い高音は、鋭い閃きを見せながらも高層ビル群と強い風に寄り添っていた。
ずっと疑問に感じていたが、歩道橋の上のあの場所を選ぶのは何か意味があるのだろうか。
聴いた感じでは、周囲の建物に反響し、自然なリバーブがかかるのではないかと思う。そして道路に沿って抜けて行く。この上ない心地よさである。街をステージにしたいのであれば、参考にすべきシチュエーションと思う。
二十分ほどであろうか。。演奏が終わり、その人はにこやかに周りを見渡した。
私は何も言えなかった。どんな称賛も陳腐になりそうで、余韻を台無しにしたくなくて、微笑みながらお金を差し出すしか、なかった。
何より録音が素晴らしく、カリヨン橋の上で聴いている印象そのままである。必聴。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
Ensemble Basiani / Georgia : Sacred and Secular Vocal Polyphony(CD)
 

かつては"グルジア"という名前で知られていた旧ソビエト連邦の構成国だった一つコーカサス地方の小さな国であるジョージア。4世紀にキリスト教を国教とした最初の国の1つであり、本作はその儀式や典礼で重要な役割を果たしてきたポリフォニー歌唱の記録である。本作に収録されているのはジョージアを代表する"アンサンブル・バシアニ"による録音で、オーストリアのチロルやアフリカの方でも聞けるファルセットと低音域を繰り返す土着の"ヨーデル"を軸とした驚くべきテクニックの歌唱を「これでもか!」と言うくらいに堪能出来ます。音色の変化、予期出来ない倍音の発生など、様々な手法をミックスしたこの国独特のポリフォニーは全人類全ての人々に聴いて頂きたい内容なのです。


●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
ザ・スートンズ "ライブ"


本作は"ザ・スートンズ"が2014年にFOREST LIMITで行ったライブの記録である。彼らは奇しくもローリング・ストーンズが来日していたのと同じ時期に結成。メンバーはGuitar/Vocal:工藤冬里、Bass:西村卓也、Drums:高橋幾郎 という重鎮で録音は福岡俊樹氏、マスタリングは宇波拓氏、レーベルはuramado_records。僕はこのライブを観ていなかったのでこのように音源化してくれたことは嬉しい限りである。

色濃く沈む影のように動くベースや気怠さと熱情の同居するボーカルがやたらと胸を締め付け、風のようにスネアやハイハットを渡るドラミング…序盤から中盤にかけて徐々に脈動が大きくなり、僕の心拍は高まる。おわりへと向かう中、ゆったりとした音の層に覆われた胸はやがて仄かな暖色に温まる…

アルバムを通して聴く中で彼らの表現力はやはり流石で息を飲むが、それでもリラックスして聴けるのは音々が緩急豊かに揺らいで聴く者に程よい弛緩と緊張をもたらすからだろう。そうした意味でも彼らの音楽は生き生きとしているのだ…そして、それぞれが特定の役割を担い、全体の空気を表すというよりも3人の呼吸が伝える最高のロックンロールであるという印象を受けた。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
長谷川きよし『いにしえ坂』


緊急事態宣言に伴う外出自粛期間中、ほとんど誰も外出せず自動車も走らない静かな世界で、もしこのまま死にゆくとすれば最後に聴く音楽は何がいいだろうか、と妄想した。世界の静寂を破るけたたましいノイズやフリージャズは言語道断、かといって静謐な讃美歌や中世音楽じゃ宗教的過ぎる。アンビエントやヒーリングミュージックは嘘臭いし、ポール(といえばモーリア)のラブサウンドでは甘ったるい。もっと優しく、世界の死滅に寄り添う音楽はないものか、と考えながらターンテーブルに乗せた100円レコードの第一音に筆者の死滅願望は凍りついた。それが1949年7月13日生まれの盲目のシンガーソングライター長谷川きよしの4thアルバムだった。バックを務めるのはフリージャズ・ドラマーとして高柳昌行や阿部薫らと共演する山崎弘を中心とするジャズ・セクステット。レーベルはBlack Sabbath、Gentle Giant、Affinity、Nucleus, Tudor Lodgeなど古き良きブリティッシュ・ヘヴィロックやプログレやフォークの宝庫Vertigo Records。一般的にフラメンコやボサボヴァのイメージの強い長谷川きよしだが、このアルバムのB面では放浪の吟遊詩人となり、世界の終末を弔う。壮大なイラン歌謡「ダリオ・ダリオ(海へ)」、早すぎたテクノフォーク「ハイウェイ」、伝説の女性ジャズシンガーPatty Watersの絶唱で知られる黒人哀歌「Black is the Colour of My True Love's Hair」、そしてどこにもない世界を目指して旅する放浪組曲「古(いにしえ)坂」。日本が誇るプログレッシヴ・フォークの金字塔であり、アフターCOVID-19の終末観が蔓延する現在にこそ再評価されるべき忘れられた傑作である。これほど豊潤な音楽作品が人知れず眠っている100円レコードコーナーこそ、音楽愛好家の心のオアシスに違いない。感染リスクを侵しても、毎日通うべきであろう。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
Harry Roesliの作品について


Harry Roesli(ハリー・ロースリ)は1951年に生まれ2004年に死亡したインドネシアの音楽家。本名はDjauhar Zaharsjah Fachruddin Roesli(ザハルシャ・ファクルディン・ロースリ)。祖父は「近代インドネシア小説の父」とされる高名な作家で獣医のMarah Roesli(マラ・ロースリ)、父は陸軍少将Roeshan Roesli(ローシャン・ロースリ)で、ハリーは4男で末っ子だった。恵まれた家庭に生まれた彼はバンドン工科大学で航空工学を学ぶが、在学中にボブ・ディランの影響を受けてロックバンドHarry Roesli Gang(ハリー・ロースリ・ギャング)を結成、航空工学と並行して音楽を学び、1973年にデビューアルバムHarry Roesli Gangを発表。その後ジャカルタ美術教育研究所で学び、オランダのロッテルダム音楽院に奨学金を得て2年間留学するなどして、その才能を音楽方面に延ばした。また作家である祖父の影響を受けて文学も志す。彼は多種多様な作品を発表しているが、その大きな特徴はインドネシア語の歌詞とインドネシアの民族音楽とロックを融合したところである。主な作品はデビュー作Harry Roesli Gangと本作Titik Api、そしてロックオペラKen Arokである。以上の作品は現在Bandcampで聞くことができる上にレコードやCDとしても復刻されている。

さて、Titik Apiだが1976年にカセットのみでリリースしていた作品であり、近年LPリイシューがなされた。ロック、サイケデリック、プログレッシブ、ファンク、フォーク、ボサノヴァなど、様々な要素を混淆させたアートロックを下地に、ガムランの要素を大胆に取り入れた大傑作となっている。分厚いガムランの響きや、リフを効果的に活かした催眠的な反復、変拍子や転調を取り入れたプログレテイスト、ファンキーなリズム、メロウなメロディとハーモニーなどさまざまなヴァラエティに富んだサウンドが楽しめる上に全体が一つの叙事詩のような展開となっている。使用楽器もギター、ベース、シンセ、ドラムなどに、ガムランのみならず、アラブの擦弦楽器ラバーブや竹製打楽器アンクルン等を使用することで、西洋と東洋の出会いともいうべきものになっている。それぞれの楽曲における演奏/アレンジも独特の美しさがあり、これはインドネシアのJ・A・シーザーではないかと思ってしまう。

もう一つの傑作がロックオペラKen Arok(ケン・アロック)。ケン・アロックはイスラム教伝来以前のインドネシア中世の王朝シンガサリ朝の創始者であり、シヴァ神の化身と言われた実在の人物であるが、その生涯は謎と伝説に包まれている。卑賎の身分であったケン・アロックは、その実力で武将としての戦功をあげ、地方の領主トゥングル・アメトンに仕える。そしてトゥングル・アメトンの妃で光り輝く子宮を持ち、「王を生み出す女」である絶世の美女デデスと道ならぬ恋に落ちる。やがてケン・アロックはトゥングル・アメトンを殺害し、王位につき、デデスを我が物とし、武力でジャワ島を統一する。しかしケン・アロックはデデスの産んだ子供の出自に疑念を抱き、最後はその息子に殺害される。以上のような物語がハリー・ロースリの分厚い音楽性によって展開していく。
スハルト体制の下でハリー・ロースリの活動は抑圧されたものであったが、その作品には風刺や政治批判が込められていて、音楽を通じての抵抗運動が継続されていた。日本でいえばPANTAやJ・A・シーザーのような存在であり、Titik Apiは『邪宗門』、Ken Arokは『身毒丸』、デビュー作Harry Roesli Gangは『頭脳警察1st』といったところだろう。今回の復刻を機会に多くのリスナーが日本でも現れることを祈る。

本当は
リアル盤魔殿
やりたいが

<―――――――――――---- INFORMATION――――――――――――――>



7.25 Sat at ZUBAR @zubar_shibuya
19:00 - 23:00
"The Third Mind"
1st drink 1000 yen

LIVE
Rie Fukuda @Rnennepepe

DJ
DJ Keroppy a.k.a. ケロッピー前田
DJ Athmodeus a.k.a. 持田保 @clearbody
DJ TKD @dj_tkd
脳BRAIN @toplessdeath


*8.15@中野サンプラザ13F まんだらけ ありあるで予定していた、持田保×宇田川岳夫「あなたの聴かない世界vs唸る語る、盤魔殿」は新型コロナウィルス感染防止のため延期になりました。ご了承ください。

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野村雅美+剛田武+鈴木和哉+Rie fukuda+後藤しゃあみん+河上喜之@阿佐ヶ谷Yellow Vision 2020.7.18(sat)

2020年07月21日 02時46分02秒 | 素晴らしき変態音楽


騒音天獄番外編・即興の夜
2020年7月18日(土) 阿佐ヶ谷Yellow Vision
開場19時開演19時半
チャージ 千五百円飲み物別※観覧のみの方は千円飲み物別
出演:
野村雅美 : g
剛田武 : reeds, electronics
鈴木和哉 : ds
Rie Fukuda : synth

観客:
河上喜之
後藤しゃあみん
レイラ

コロナ禍第2波感染の不安が高まる中、Rie Fukudaが主催するシリーズイベント「騒音天獄」の初めての即興セッションライヴが開催された。ノミネートされた4人の出演者に加え、後半のセッションでは観客も楽器を持って演奏する参加型イベント。剛田が二十歳前後の頃参加していた荻窪グッドマンの「即興道場」を思わせるが、目立ちたがりの音量バトルに陥りがちだった38年前(1982年)に比べ、年齢を経ただけでなく、社会経験も積んだ今現在は、闘争よりも調和を第一とする大人の演奏家が集う実り多き即興現場であった。

1. 剛田武+鈴木和哉


38年前にドラムとのコラボを望んでいたが、即興音楽のノウハウを持つドラマーと巡り合えず、楽器素人の同級生にドラムを叩かせフラストレーションを感じていた剛田にとって、初めて本当の即興ドラマーとのデュオ演奏ができることは、40年来の夢がかなった貴重な瞬間であった。微細な高周波を発する剛田のリードフルートの軋む囀りを、ドラムキットを無作為に撫でるように奏でる鈴木の打音が分断せずに接合する。いわば機織りのような演奏であった。剛田がステージと客席を遮る飛沫防止のビニールシートを共鳴版として演奏するシーンは、withコロナ環境を音楽表現に応用する試みだった。




2. 野村雅美+鈴木和哉+Rie Fukuda


出演者の中では最も即興演奏の経験が深い野村だが、エレキギターを演奏するのを観るのは始めて。Fukudaが幻想的なシンセサイザーで空間を歪めるのに対して、野村が繊細なアルペジオで現実世界との接点を保つ。鈴木はアトランダムなプレイで、ヒーリング音楽になりがちなアンビエント・セッションを、意志を持った交感解体へと導く。心と心と心が惑星となって公転する天体図を描き出した。




3. 剛田武+野村雅美+Rie Fukuda


リズムレスなのでより似非アンビエントに迷走する危険を持った組み合わせだったが、野村のギターが、シャープな音色の激したダウンストロークで、異世界へのワープへと導く。剛田はノイズドールの電子音を変調し、リズムボックスとシーケンサーに似たテクノサウンドでレトロに彩る。Fukudaの包み込むようなシンセとエレクトロの渦に、ギターの雷鳴とリードの嘶きが絡み合い、現世と来世の狭間の無間地獄の真空地帯を白日の下に晒した。




4. 野村雅美+後藤しゃあみん


元へたくそ/マリア観音、現ASYLUMの現役ミュージシャン、後藤しゃあみんがエレクトリックチェロで参加。野村とは何度もコラボしている仲。コロナ禍で3か月以上演奏できなかった苦しみを怒りではなく慈愛で癒す豊潤な即興演奏を展開した。即興とは「無」「ゼロ」から生まれるのではなく、経験知や共感能力を育んだ結果レベルアップするものである事をほんの10分間で証明した。二人の共同作業が成長・進化して果実となってリスナーの耳を潤す日が楽しみ。

5. 河上喜之+剛田武+鈴木和哉
グンジョーガクレヨンとのコラボ経験もある口琴奏者、川上喜之を交えたコラボ。人間の口と三本の金属の接触のみで奏でられる口琴から発せられる蛇行ドローンの極小音と対話するために、剛田はリードフルートの弱音演奏に挑む。プレイヤーとしての向上心に火がついた。鈴木の変幻自在なドラミングも、音量よりも音の心象表現に注力。三つ巴の弱音演奏は、個人的にはこの日最も興味深く、追求し甲斐がある即興セッションであった。

6. 全員セッション
ラストは野村雅美、剛田武、鈴木和哉、Rie Fukudaに加え後藤しゃあみん、河上喜之、さらに客席に残ったレイラがボディランゲージで参加したオールスターセッション。最もバトル率が高まりかねないセッション形態にもかかわらず、いかなる諍いも虚勢も発生する気配はなく、互いのシンパシーに基づいた平和主義者の美徳に倣った即興演奏の極意が感じられた。



求めあう
即興ライヴ
なによりも



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【緊急情報】7/19&20、灰野敬二が初の無観客配信ライヴを2日連続で開催!~7/19(sun)秋葉原グッドマン:with大友良英、7/20(mon)下北沢440:with角銅真実

2020年07月19日 01時05分26秒 | 灰野敬二さんのこと


新型コロナウィルス感染症の影響で4~7月のライヴ・コンサートがほとんど延期になる中、灰野敬二の初めての無観客配信ライヴが2日連続で開催されることになった。

1日目は大友良英、美川俊治、ドラびでお等エクストリームな対バンによる轟音ライヴ。
2日目は角銅真実との初コラボレーションによるアコースティックで静謐なライヴ。

世界的に活動する音楽家・灰野敬二の対照的な二つの面を配信で楽しめる二日間。これは見逃せない。


角銅真実コメント
灰野さんと、久しぶりに下北沢で待ち合わせ。
灰野さんの音楽から、私は沢山の "うた"と"よろこび"を知りました。
2人で音を出すのは今回はじめてで、
この日に起こることを秘密にしておきたいような、見ていただきたいような・・・そんな、大変にどきどきした心持ちで過ごしております。
どきどきしております!
よろしくお願いします!


灰野敬二 Keiji Haino
1952年、千葉県生まれ。1970年、エドガー・アラン・ポーの詩から名を取ったグループ「ロスト・アラーフ」にヴォーカリストとして加入。また、ソロで自宅録音による音源制作を開始、ギター、パーカッションを独習する。1978年にロックバンド「不失者」を結成、ハードロックに全く新しい強力で重層的な次元を切り開く。80年代後半からソロのほか不失者、滲有無、哀秘謡、静寂、Vajra、サンヘドリン、Nazoranai、Hardy Soulなどのユニット、Experimental Mixture名義でのDJやセッション、他ジャンルとのコラボレーションなど多様な形態で国際的に活動を展開。170点を超える音源を発表し、確認されただけでも1500回以上のライブ・パフォーマンスを行なっている。
http://www.fushitsusha.com/



【配信ライヴ・スケジュール】
7月19日(日)秋葉原グッドマン
< 秋葉原グッドマンに捧ぐ Dedicated to Akihabara Goodman >



配信開始 19:00 
※本公演のご視聴は無料となります。投げ銭でのご支援、ご協力何卒よろしくお願い致します。

【出演】灰野敬二+大友良英 / 美川俊治+ASTRO / ドラ☆美保(ドラびでお+若林美保)/ MIYA

【Time Table】
19:30 MIYA
20:05 美川俊治+ASTRO
20:40 ドラ☆美保 
21:15 灰野敬二+大友良英
22:00 魅惑のトークショー


配信ページ:https://youtu.be/XwlGjCzbs84
投げ銭:https://t.livepocket.jp/e/gh-7d
ピックアップページ:http://www.clubgoodman.com/blog/?p=17403

7月20日(月) 東京・下北沢440
にじのつきeden vol.1 灰野敬二×角銅真実



START 19:30
配信用チケット\2,000+投げ銭
出演:灰野敬二 角銅真実
詳細 http://440.tokyo/events/20200720/

【Time Table】
19:30 角銅真実 
20:20 灰野敬二  
21:10 セッション 


▼配信チケットのご購入はこちらから!
※配信開始後(72時間)もチケット購入とアーカイヴ視聴可
https://440-fourforty.zaiko.io/_item/327410

Twitter連携チャット:( #440_灰野敬二_角銅真実 )※生配信中のみ

▼投げ銭(Stickits)について
視聴中にStickitsを購入することで、アーティスト、ライブハウスへの支援をすることが可能です。
※ライブ配信中、アーカイブ視聴期間も可能。購入にはクレジットカード情報が必要となります。
配信チケットの購入、視聴、投げ銭の方法の詳細はこちらをご確認ください。
https://zaiko.io/support?cid=40

海外の
ファンはこの下
みてください

For Overseas Listeners:

Please be informed Haino-san will appear on live streaming shows on Sun. July 19th and Mon. July 20th.
I believe both shows will be available for overseas listeners.
Please see details below.

I hope you enjoy Haino-san's first performances in these four months of Covid-19 quarantine.


Sun. July 19th
19:00 Japan Time
[Live Streaming Only] <Dedicated to Akihabara Goodman>
doravideo, Keiji Haino, Yoshihide Otomo, Tosiharu Mikawa, ASTRO, Miho Wakabayashi, MIYA

https://youtu.be/XwlGjCzbs84

【Time Table】
19:30 MIYA
20:05 T. Mikawa+ASTRO
20:40 doravideo + Miho Wakabayashi 
21:15 Keiji Haino+Yoshihide Otomo
22:00 Talk session


*This event is live streaming only.
Dora Video (Yoshimitsu ICHIRAKU) has organised numerous independent events at club Goodman. This will be his final improvisation event held at Goodman. Enjoy on live stream. (Archive will be available for 1 week)
※Donations are very welcome. Thank you for supporting live music.
※Infection prevention measures http://www.clubgoodman.com/blog/?p=17173
【Performing】Dora Video, Keiji Haino, Yoshihide Otomo, Tosiharu Mikawa, ASTRO, Miho Wakabayashi, MIYA
Please download the YouTube App for watching from a smartphone.
Live comments will be open !
▼Live Streaming Date Sun 19th July 19:00~
Performance will be live streamed from the stage of CLUB GOODMAN
▼Please support the venue and artists. Donation tickets are available from ¥500〜. Ticked donations is optional and the streaming can be viewed for free. Also multiple ticket purchase is very welcome. Purchase can be done in advance too. For details please check the BUY TICKET Below.
The funding from the tickets will go to the venue and musicians.
Registration of livePocket-Ticket- and +ID will be required for purchase.
By registrating your credit card in advance the donation will proceed smoothly.
Please note that if you choose convenience store payment, it will be settled on the 18th July
According the system there might be some delay or trouble. If an emergency occurs we will announce on the CLUB GOODMAN Twitter.ID:@clubgoodman


Mon. July 20 
19:30 Japan Time 
Keiji Haino + Manami Kakudo

Pay per view Ticket: 2,000JPY

【Time Table】
19:30 Manami Kakudo 
20:20 Keiji Haino  
21:10 Kakudo + Haino Duo 


Ticket
https://440-fourforty.zaiko.io/_item/327410

Please select English language on above right corner.
Archive can be seen until until July 23.

Details (in Japanese)
http://440.tokyo/events/20200720/
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【私と即興演奏】7/18(土)阿佐ヶ谷Yellow Vision『騒音天獄番外編・即興の夜』へ向けて~出演:野村雅美・剛田武・鈴木和哉・Rie fukuda+自由参加セッション

2020年07月16日 00時10分32秒 | 素晴らしき変態音楽


●私と即興演奏
①1982年荻窪グッドマン『即興道場』
1982年大学に入学し、演奏の場を探していた筆者は、ニュー・ジャズ・シンジケートのサックス奏者だった鎌田雄一が店長を務めるライヴハウス、荻窪グッドマンの「即興道場」に参加した。楽器持参でドリンク代を払えば、誰でもセッションに参加できるイベントで、毎月一回程度開催されていたのである。非常階段のヒストリー本に、JOJO広重が非常階段を結成する直前、フリー・ミュージックのイベントに参加した際、ひと回り年上のジャズ系の音楽家たちから「適当にめちゃくちゃやっているだけなのでは」「覚悟が足りない」などとさんざんバカにされたというエピソードが書かれているが、やはり正統的フリー・ジャズ出身といえる鎌田が、参加者の音楽的キャリアを問わないイベントを開催してしたことは、振り返ってみると不思議でもあり、また貴重な体験の場を提供してくれたと思う。

1982年5月3日に初めて参加した即興道場では、ギターやヴァイオリンなどで非ジャズ的な演奏をする参加者が多かった。なかでも驚いたのは、弦に金属棒を挟んで振動させたり、金属缶を使って叫び声のような音を出したり、それまで見たこともない奏法で演奏する眼鏡のギタリストだった。その彼に刺激されたのかもしれない、筆者はサックスを吹きながら2台のギター・アンプを床に叩きつけてリヴァーブの爆音を響かせてみた。それを観て、参加していたもうひとりの『No New York』風のギタリストが、一緒に演奏しないか、と声をかけてきた。「アンプを叩くとリヴァーブの音が出ることを知っているからにはロック好きに違いない」と思ったそうだ。高島暁と言う仙台出身のそのギタリストとOTHER ROOMという即興デュオを結成し、吉祥寺GATTYで活動することになる。
(剛田武著・加藤彰編ロフトブックス刊 『地下音楽への招待』からの抜粋に修正・加筆)
川島誠+河崎純@高円寺グッドマン 2018.4.14 (sat)

②2012年6月16日 アルトー・ビーツ「即興ワークショップ」@荻窪ルースター
15分の休憩の後、ワークショップ参加者を交えての演奏。いよいよ私の出番だ。こんなブログ書いてるくらいだから基本的に目立ちたがりなので人前で緊張することはないが、逆にハイになってやり過ぎてしまうのが悪い癖。しかもどうやってお客さん(および演奏者)を驚かせるか、なんてことを考えてしまう。昼間のワークショップでユミさんが「即興と言ってもあくまでグループのアンサンブルだからひとり目立とうとしないように」と言っていたことなど頭から完全に飛んでいた。フルートの代わりにサックスのマウスピースをくわえる。そしてマイクに近づけて思い切り「ピーーーーーーーッ!」と吹き鳴らす。30年前にいつもやっていた得意技(芸?)だ。ふと見るとユミさんが両耳を塞いでいる。ハッと我に帰り「ヤバい」とばかりマイクを遠ざけるが始めてしまったものは止められない。ピーピー吹き続けてクリスが乗って来るのを期待する。案の定激しいフィルインで絡んできた。このままオーヴァーハング・パーティ(阿部薫+豊住芳三郎)状態に突入だ!と思ったところで、ユミさんが大らかなヴォーカルで牽制する。ひとり突っ走る訳に行かないのでタンバリンや鉄琴、おもちゃのラッパとひよこ(これはイマイチ失敗)、お経オルゴールと楽器を取っ替え引っ替えついて行くが、個人的には最初の3分で既に終わっていた、というのが本当のところ(汗。

最後は参加者全員に梅津さんと梅津さんのバンドの女性サックス奏者、多田葉子嬢を加え全員でセッション。「渋さ知らズみたいだな~」と客席から声が上がりウケる。図らずも梅津さんのすぐ隣で演奏することに。さっきの失敗を反省してフルートで勝負。「テクスチャーを大切に」というユミさんの指示通りに抑えめで演奏するが、盛り上がって来るとまたゾロ遊び心に火が付き、用意してきた最後の飛び道具のクラッカーを取り出して演奏者の方へ向けて「パーン」「パーン」と鳴らす。ユミさんがまたビックリして睨んでいる。ほどほどにして大セッション終了。
アルトー・ビーツ「即興ワークショップ」@荻窪ルースター 2012.6.16 (sat)

来る7月18日(土)即興演奏ライヴに出演することになりました。昨年から盤魔殿のイベントでDJ Necronomiconとして橋本孝之のサックスやRie fukudaのシンセとコラボすることはありましたが、DJ抜きのミュージシャンとして人前で演奏するのは8年ぶり。自由参加セッションもあるので38年前の即興道場を思い出すかもしれませんね。昔は音量対決みたいになることが多々ありましたが、年月を経た今は戦闘モードになることはおそらくないと思います。果たしてどのようなセッションになるか、当日まで誰にも分りません。10名限定、感染防止対策も実施されるので、ぜひとも安心して観に来てください。(剛田武)


騒音天獄番外編・即興の夜

7月18日(土曜日)  東京・阿佐ヶ谷Yellow Vision
開場19時開演19時半
チャージ 千五百円飲み物別
※観覧のみの方は千円飲み物別

出演:
野村雅美
剛田武
鈴木和哉
Rie fukuda
※2〜3セット出演者で演奏し、その後は自由参加のセッション予定です。

久しぶりの自主企画、騒音天獄を開催します。
ご存知の通り、"好きな音でなければ何でも騒音である"と言うスローガンを掲げたこの企画、通常はブッキングスタイルなのですが、良いタイミングで人が集まり、初めての即興セッションとなりました。二セットを出演者で演奏し、後はご来場いただいた方も参加出来るフリーセッションとします。ご希望の方は楽器をお持ちの上ご来場下さい。また観覧のみでも入場可能です。
十名までの来場制限がありますので、会場のイエロービジョンのイベントトピックに参加表明をいただくか、出演者までご連絡下さい。
是非、一緒に楽しみましょう。お待ちしております。(主宰:Rie fukuda)

Yellow Vision ライブのご予約はコチラ
当面の間は10名様までとさせていただきます。(要予約)
(ご予約はフェイスブックメッセンジャー、メール、お電話でお待ちいたしております)
https://www.facebook.com/jun.kobayashi.2020
yellow_vision@lake.ocn.ne.jp
03-6794-8814

【出演者プロフィール】
野村雅美(のむら まさよし)
音楽家・美術家。1964年4月2日生まれ。1986年よりセッション・ギタリストとして活動を開始数々のレコーディング及びツアーに参加。その後1994年より即興演奏及び作曲活動を開始継続。21世紀に入り独自のミニマリズムによる作曲及び演奏形式を確立。限界ともとれる極少音数での作曲は多方面で受入れられ毎年日本全国各所での演奏会や舞台作品や映像とのコラボレーションも頻繁に行なわれている。生粋の左利き。

野村雅美さんライブ録音 の一部 at ACY 2016/6/12



剛田 武 Takeshi Goda
1962年千葉県生まれ。77年パンクに衝撃を受けマイナー音楽に目覚め、バンド活動開始。80年代前半地下音楽と交わる。サイケバンドでTV番組『イカ天』に出演するも94年に解散。サラリーマン生活の傍ら2005年にブログ「A Challenge To Fate」を始め、音楽サイトJazzTokyo等で執筆活動。2016年著書『地下音楽への招待』をロフトブックスより出版。DJイベント『盤魔殿』を主宰しDJ Necronomiconとして活動中。2020年5月名古屋在住の地下音楽家・春日井直樹とのコラボレーション・アルバム『Walk 2020/1/30』をアナログLPでリリース。

Naoki Kasugai(春日井直樹) / Takeshi ‎ Goda(剛田武)– Walk 2020 / 1 / 30



鈴木和哉(スズキカズヤ)
ドラム奏者
1990年代 多摩美術大学在学中オリジナル楽曲のポップロックバンドのドラマーとして、同シンガー・ソングライターの自主アルバム制作、ライブにパーカッションとして参加。
令和を期に即興演奏の表現活動を再開。
現在、精力的に活動中。

SamuraiFreeSession83♮神無月Pt.⑦_2019.10.27/鈴木和哉 (スネアとシンバル)Solo



Rie fukuda
2009年2月、騒音天獄第一夜を開催。
2005年1月より、朗読家としての活動を開始。最初はソロ、その後なかおちさと、田畑満等、多くの演奏家とのユニットやセッションで活動。
数年前より朗読のSEをシンセサイザーで即興演奏するスタイルが定着する。
2018年田畑満とのデュオで"precog"をオースチンレコードよりリリース、2019年スウェーデンのskitnaste recordより、i,eternalとのスプリットをデジタルリリース。
またDJ Ipetam名義で主に盤魔殿に参加、と大層マイペース。

Rie fukuda/2020.1.28 EARTHDOM


即興は
感染リスクは
ありません(たぶん)

DJ Necronomicon + 橋本孝之(.es) Live at FORESTLIMIT
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【在り続ける即興音楽】橋本孝之 Takayuki Hashimoto・増渕顕史 Takashi Masubuchi@不動前Permian 2020.7.11 sat

2020年07月13日 02時08分35秒 | 素晴らしき変態音楽


新型コロナウィルス緊急事態宣言にともなう自粛期間のあいだ、一切のライヴコンサートが開催されず鬱々とした気分で2ヶ月以上過ごしたのは筆者だけではあるまい。宣言が解除されてもライヴハウスが通常営業を行うことは困難で、コロナ以前のライヴコンサートの楽しみ方が再びできるかどうかも怪しいものだ。一部の音楽関係者が些か自嘲気味に言うように、即興音楽や地下音楽の現場が「密」になることはコロナ云々に関わらずほとんどなく、いわゆる「無観客ライヴ」も決して珍しくはない、という事実も、世間一般の「ライヴハウス観」に照らせば何の説得力も同情の余地もなく「クラスター発生源」「危険地帯」というイメージしかないようだ。

そうした状況下でライヴ演奏に限定されない即興音楽の楽しみ方として、筆者は「リモート時代の即興音楽」というレポート記事をJazzTokyo Websiteに寄稿した。「無観客ライヴ/動画配信」、「リモートによるコラボレーション」、アメリカのギタリスト、ロス・ハモンドを例にとった「リモート即興音楽制作」、筆者自身による「バーチャルDJコラボレーション」という4つの形態の実例を示すことで、ポスト・コロナ時代の地下音楽の在り方を提言したものである。⇒JazzTokyo 特集『配信演奏とポスト・コロナ』 No. 266 リモート時代の即興音楽

しかしながら、これらリモート時代の方法論は「生のライヴ演奏」があるからこそ成り立つものであり、あくまで「生のライヴ現場」の存在を補完し拡張するメソッドである。すべての基本である「ライヴ現場」を体験したいという衝動は日々心の中で膨らんでいった。アイドル現場はネクロ魔&元ネクロ魔で、ソーシャル・ディスタンスやマスク着用、声出し禁止といった制限下ではあったが、三か月半ぶりに体験することが出来た。そしてついに、筆者のもう一つのホームである即興音楽のライヴ現場を体験できる日が訪れた。

duo
橋本孝之 Takayuki Hashimoto
増渕顕史 Takashi Masubuchi (guitar)


不動前Permain
7/11(Sat) 8pm


All concerts /
music for free improvisation.
Suggested admission between 1,000 to 3,000yen.
There are no refreshments.
Permain website



Permian(ペルミアン)は目黒線不動前駅から徒歩5分のビルの地下にあるコンクリートブロック壁の小さなスペース。2018年2月にオープンしたフリー・インプロヴィゼーション専門のライヴ会場である。オーナーはギタリストの大上流一と増渕顕史が共同で運営する。筆者が高円寺Fourth Floorで初めて増渕のライヴを観たのは2017年の12月だったが、その頃は会場の準備で忙しかったに違いない。その高円寺のコンサートで対バンしたサックス奏者橋本孝之と増渕のデュオが筆者の久々の即興ライヴ現場であった。⇒フローリアン・ヴァルター/橋本孝之/内田静男/川島誠/増渕顕史/SNH@高円寺Fourth Floor 2017.12.2(sat)

「no refreshments」とあるように、Permainにはドリンク販売はない。料金は1000~3000円の範囲で来場者の意思で入口の料金箱に投入する仕組みである。そういった付帯要因は最小限にして、とにかく観客も演奏者も「即興演奏」に集中することが出来る(求められる)超ストイックな「場」である。増渕はドブロギター、橋本はハーモニカとアルトサックス、どちらもアコースティックの楽器なので、アンプやPA、モニターは一切ない。ドアを閉めると外の世界と遮断される、二人の肉体と楽器(とケース)だけしか存在しないスペースは、即興演奏のためだけに存在する”密閉”空間であり、居合わせたたった3人の観客は、2人の即興演奏に世界で一番”密接”に受容できる特権を与えられた選ばれた民である。そして演奏が始まると二つの楽器の音が空間を満たし、”密集”する「音」と「間(無音)」に呼吸をする気配すら忘れて聴き惚れてしまう。間違いなく「三密」空間ではあるが、これほどCOVID-19感染リスクとは無関係な「三密」は他にはあるまい。

 

自粛中にロス・ハモンドのスチール&ドブロギター演奏にハマっていて、ライヴ前日にはデルタカントリーの歌姫ボビー・ジェントリーのレコードに聴き惚れていた筆者にとっては、増渕がアメリカのブルースやカントリーを連想させるドブロギターで即興演奏を聴かせた事実が、単なる偶然ではなく、筆者のコロナ禍体験と、ポストコロナの始まりを繋ぐ啓示のように思えて、敬虔な気持ちになった。⇒【私のB級サイケ完全コレクション#10】Bの最後はサイケじゃないかも~ Bobbie Gentry『Ode To Billie Joe』『The Delta Sweete』

1stセットのドブロとハーモニカのデュオは、明らかにブルースだった。ソロでは哀感の表出に聴こえるハーモニカが、ドブロが放つハーモニーの渦に鼓舞され、これまでにない生命感と祝祭感を奏でるさまは、久々の東京でのライヴに歓喜する橋本の魂の唄だった。

 

15分の換気休憩の後の2ndセットはドブロとアルトサックス。一転して鋭角的な音の応酬になる。NO NEW YORK、特にコントーションズを思わせるストイックな音の刃は、即興音楽が決して安全と安心だけに甘んじていない”危険行為”であることを改めて想起させた。延べ60分に満たない共演だったが、削ぎ落された真摯な演奏行為は、生ライヴ現場でしか味わえない充実感と疲労感をもたらした。この感覚を求めて、再びライヴハウスに足を運べる日々が訪れるに違いない。少なくともPermainという「場」が存在することが大きな希望である。

即興は
演奏行為
ただひとつ

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【私のB級サイケ完全コレクション#10】Bの最後はサイケじゃないかも~ Bobbie Gentry『Ode To Billie Joe』『The Delta Sweete』

2020年07月11日 02時02分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ボビー・ジェントリー Bobbie Gentry (本名Roberta Lee Streeter)は1942年7月27日ミシシッピー州チカソー・カウンティ生まれのシンガーソングライター。自分の曲を作曲しプロデュースした最初の女性アーティストと言われる。1967年に自作の南部ゴシック・ソング「Ode To Billie Joe ビリー・ジョーの唄」が全米No.1ヒットになり、翌年のグラミー賞の新人賞と女性ポップヴォーカル賞を受賞。11曲のビルボード100ヒットと7枚のアルバムをリリースしたが、1981年に芸能界を引退した後は、一切表舞台には登場せず隠遁生活を送っている。

日本ではせいぜい「ビリー・ジョーの唄」が60年代フォークのヒット曲として知られている程度だが、当時の排他的なアメリカ南部の生活を小説風に描く哲学的な歌と、女性の権利を勝ち取ろうとした生き様が、アメリカはもちろん、イギリスやヨーロッパでも高い人気を持っている。現在でも根強い支持があり、2018年に8枚組CDボックス『The Girl From Chickasaw County (The Complete Capitol Masters)』がリリースされた。また、2019年に米ロックバンドMercury Revがゲスト・ヴォーカルを迎えたトリビュート・アルバム『Bobbie Gentry's The Delta Sweete Revisited』をリリースしている。
MERCURY REV、2/8リリースの4年ぶりニュー・アルバム『Bobbie Gentry's The Delta Sweete Revisited』より「Okolona River Bottom Band Ft. Norah Jones」音源公開

筆者が聴いたきっかけは、シェリル・クロウが影響を受けたと語っていたことだったと記憶している。サイケデリックと呼ばれることは滅多にないが、アメリカ南部の泥臭いフォーキー・サウンドやシュールなストリング・アレンジは、十二分にサイケだと感じる。スワンプ・ロックやカントリー・ロックの先駆けともいえるし、引退後の隠遁生活は、森田童子を思わせる。なぜか彼女のレコードは全て海外で買ったということに気がづいた。日本で如何に過小評価されているかの証拠だろうか。あと2週間で彼女の78歳の誕生日だし、この機会にBobbie Gentryを見直してみてもいいだろう。
Bobbie Gentry Website
ボビー・ジェントリー:貧しい生い立ち、「ビリー・ジョーの唄」の秘密と音楽業界の女性の権利を勝ち得た先駆者

●Bobbie Gentry / Ode To Billie Joe

1967 / US: Capitol Records ‎– ST-2830 / 1994.11.30 Los Angeles Aron's Records $0.99

大ヒット曲「Ode To Billie Joe」を収録した1stアルバム。67年7月にリリース。A-1. Mississippi Deltaでスワンプロックに乗せて“M I double S I double S I double P I”つまりMISSISSIPPIと繰り返す老婆のようなダミ声はまさしくヴ―ドゥ―・サイケ。素朴なギターの弾き語りでも、美声というより妙に色っぽい艶声で歌われると不思議な浮遊感がある。もしボビーがBig Brother & The Holding Companyのようなサイケバンドと出会っていたらジャニスのライバルになっていたかもしれない。

Bobbie Gentry - Ode To Billie Joe



●Bobbie Gentry /‎ The Delta Sweete

1968 / UK: Capitol Records ‎– ST 2842 / 1996.1.16 London Reckless Records Berwick St. £8.99

●Bobbie Gentry /‎ Way Down South

1971 / UK reissue: Music For Pleasure ‎– MFP 50006 / 1995.11.12 London Music & Video Exchange £2

68年2月リリースの2ndアルバム。ボビー自身がギター、ピアノ、バンジョー、ベース、ヴァイブなど様々な楽器を演奏し、ストリングやホーンを使った実験的なアレンジを施したデルタカントリー版アビー・ロード(サージェントペパーズではなく)と呼べるアルバム。ガレージロックのスタンダード「Tobacco Road」「Parchman Farm」のスワンプ・カヴァーも聴きどころ。下の『Way Down South』は廉価再発盤。なんと7月31日にDeluxe VersionがCD/LP各2枚組でリリースされる。

Bing Crosby and Bobbie Gentry - Okolona River Bottom Band



●Bobbie Gentry & Glen Campbell ‎/ Bobbie Gentry & Glen Campbell

1968 / UK: Capitol Records ‎– ST 2928 / 1997.12.8 London Beat Records

68年8月の3rdアルバム『Local Girl』に続いて68年9月にリリースされたグレン・キャンベルとのデュエット・アルバム。キャピトル・レコードの2大カントリー・スターの共演という企画盤であり、保守的なカントリー・ナンバーばかりだが、グレンに寄り添うボビーの歌声に萌える向きには悪くはない。それにしてもジャケット写真はなぜ別々に撮影したソロ・ショットを並べたのだろう。

Glen Campbell Bobbie Gentry Jan 29, 1969 Little Green Apples



●Bobbie Gentry ‎/ Your No.1 Fan

1971 / US: Capitol Records ‎– SLAO-6715 / 1996.7.12 Los Angeles Aron's Records $0.99

67年~71年のキャピトル時代を総括するベスト盤。ソウルに挑戦したり、ラスヴェガスのスターに転身した後期の曲を聴けるのが嬉しい。正直言ってアルバムすべてを集める気はないので、このベスト盤で十分だと思っていたが、ボビーの別の顔も聴いてみたい気がしてきた。

Your Number One Fan



●Bobbie Gentry ‎/ Live At The BBC

2018 / UK: Capitol Records/UMC ‎– 6717729 / 2018.4.21 HMV Record Shop コピス吉祥寺 ¥3,240

2018年に出た8枚組CDボックスに収録されたBBC TV『Bobbie Gentry Show』収録音源が2019年RSD商品としてアナログ化された。当時ボビーのことはほとんど忘れかけていたが、RSDの魔術で聴いてみたくなった。バックをJohn Cameron (p), Alan Parker (g), Danny Thompson (b), Herbie Flowers (b), Tony Carr (ds)等ブリティッシュ・ジャズ界の名手が固めていて、アルバム・ヴァージョンよりもバンド感たっぷりで躍動的なボビーのヴォーカルが楽しめる。個人的にはこのアルバムが一番好きかも。番組ではドノヴァン等との共演もしているので、いつの日かコラボ音源がリリースされることを願っている。

"The Bobbie Gentry Show" UK TV Show 1968 (Full Episode) Part 1


ボビーさん
いしだあゆみに
似ているね

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