A Challenge To Fate

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【えいたそ文化論】その参『イエロー』後編~ビートルズ/初音ミク/ドノヴァン/桜田淳子/ザッパetc.

2014年05月01日 00時30分47秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


えいたそ文化論・その参『イエロー』前編の考察により、バンド名にイエローを冠するのは、 a)黄色人種(YMO、イエモン)、b)夢世界(バルーン、愛なき世界)、c)ドラッグ(マシンガン、ページ、イエロー)の象徴として黄色を身に纏うことで、自我(アイデンティティ)確立の武器とする為だと云うことが実証された。イエローは保護色ではなく警告色・警戒色・危険色であり、他者に譲れない「わたしだけ」の世界を守る要塞・甲冑なのである。つまり、イエローで武装した者は決して世間の波に流されること無く唯我独尊、我が道を行く自立精神を有する勇者なのだ。

それでは自らイエローを名乗りはしないものの、自己の創造物もしくは排泄物たる作品即ち楽曲に黄色を引用する行為の裏にどんな秘密が潜んでいるのか、精査してゆくことにしよう。

●イエロー・サブマリン/ザ・ビートルズ


73歳になっても精力的に演奏活動を続けるリンゴ・スター最大のヒットにしてコンサートのハイライト・ナンバー「イエロー・サブマリン」は、ファブ・フォー1966年の7thアルバム『リボルバー』に収録。ポール・マッカートニーが子供の歌として作ったナンバーで、歌詞の一部を後述するドノヴァンが手伝っている。2年後ビートルズ自身が主人公となるアニメ映画『イエロー・サブマリン』が計画され、サントラ盤も企画されるが、インドでの瞑想体験にハマっていた4人は当初乗り気ではなく、駄作を集めてサントラにしようと考えていたらしい。が、インドから帰国し試写を観て意識が変わった。『サージェント・ペパーズ』をモチーフに、おとぎ話やサイケデリックやシュールリアリズムなどがミックスされ "All You Need Is Love(愛こそはすべて)" のメッセージで統一された作品だったからである。一念発起して新曲を提供し、ラストシーンにカメオ出演したアニメ『イエロー・サブマリン』は映画作品自体が注目され、本国イギリスにましてアメリカでも好評を博し、マスコミから高く評価された。この作品のおかげで、テレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の失敗の汚名を返上したと言われている。黄色はファブ・フォーの起死回生の一撃だったのだ。また、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットではジョン・レノンが黄色であることにも注目したい。




●黄昏のレンガ路(グッバイ・イエロー・ブリック・ロード)/エルトン・ジョン


サー・エルトン・ハーキュリーズ・ジョン CBE(Sir Elton Hercules John CBE、旧名:レジナルド・ケネス・ドワイト/Reginald Kenneth Dwight、1947年3月25日 - )。ポール・マッカートニーと並ぶサー(勲爵士)であり、芸名は彼がソロ・デビュー前に参加したバンド、ブルーソロジーのメンバーだったソフト・マシーンのエルトン・ディーンとロング・ジョン・ボルドリーの二人の名前から取った。両性愛者としても知られるエルトンの最大のヒット作のひとつが2枚組LP『黄昏のレンガ路(Goodbye Yellow Brick Road)』(1973)。邦題は「黄昏の~」とあるが、「イエロー・ブリック・ロード」とは、LGBT=「女性同性愛者:レズビアン Lesbian」+「男性同性愛者:ゲイ Gay」+「両性愛者:バイセクシュアル Bisexuality」+「性転換者・異性装同性愛者:トランスジェンダー Transgender」のアイコンであるジュディ・ガーランド主演のミュージカル映画『オズの魔法使い』の中の、オズへ続く「黄色いレンガの道」を指している。イエローは黄金を意味しており、「イエロー・ブリック・ロード」とは黄金で舗装された芸能界の出世街道のことである。歌詞のほかの部分では、芸能プロモーターへの皮肉もこめられており、「さようならカネまみれの芸能界」と解釈することもできる。邦題や、曲調から想起されるような「黄昏の夕陽に黄色く染まったレンガ道」とは歌詞の内容は異なっていることを肝に銘じて欲しい。





●メロー・イエロー/ドノヴァン


ドノヴァン・フィリップス・レイッチ(Donovan Philips Leitch, 1946年5月10日 - )はスコットランド出身の吟遊詩人歌手。デビュー当時は”英国のボブ・ディラン”と呼ばれたが、1966年にジミー・ペイジがギターで参加した「サンシャイン・スーパーマン」が全米1位・全英2位の大ヒットとなり、”サイケの貴公子”、”フラワーチルドレンのアイドル”となる。続いて放った全米2位ヒットが「メロー・イエロー」。今度はジョン・ポール・ジョーンズがベースとブラス・アレンジで参加。ポール・マッカートニーも、ドノヴァンの「イエロー・サブマリン」への協力に対する返礼として、レコーディングに参加している。まさかレッド・ツェッペリンのLEDをREDと聞き違えて「赤い」飛行船と訳す愚か者がいるとは思えないが、黄色繋がりが生んだサイケの果実であることは間違いない。同名の柑橘系炭酸飲料の綴りは「Mello Yello」。





●ビッグ・イエロー・タクシー/ジョニ・ミッチェル


現在70歳のカナダ出身の女性SSW、本名はロバータ・ジョーン・アンダーソン。1968年にデビューし、69年『青春の光と影』の成功で世界的に知られるシンガーとなる。CSN&Yの「ウッドストック」や、ジュディ・コリンズの「青春の光と影」の作者としても評価が高い。「Big Yellow Taxi(大きな黄色いタクシー)」は、70年の3rdアルバム『レディ・オブ・ザ・キャニオン』に収録。カリフォルニアのローレル・キャニオンでCSN&Yと一緒に暮らしていた頃の作品で、「ウッドストック」や映画『イチゴ白書』の主題歌としてバフィー・セントメリーがカバーした「サークルゲーム」も収録。「ビッグ・イエロー・タクシー」はハワイのワイキキに旅行した経験から生まれたという。ワイキキでは美しい自然を破壊して、道路を舗装し、ホテルや駐車場やバーやレストランを建てていた。カリフォルニアに目をやればリンゴ農園は農薬塗れ。生物学者レイチェル・カーソンが1962年に発表した『沈黙の春』で描かれた現代工業社会による環境破壊を目の当たりにしたジョニの脳裏に、愛しい人を連れ去る故郷トロント警察の黄色いパトカーが浮かんだ。「失くしてから初めて大事だったと気づくもの」は自然だけじゃない。自由もまた同じだ。





●ドント・イート・ザ・イエロー・スノー/フランク・ザッパ


Frank Zappa 腐乱苦雑派の1974年のソロ名義アルバム『アポストロフィ (')』の一曲目が「黄色い雪を喰うな(Don' Eat The Yellow Snow)」。アメリカン・コメディの常套句であり「黄色い雪は犬がおしっこした後だから食べるな」という意味。70年代前半のザッパは、ジョージ・デューク、ジャン・リュック・ポンティ、エインズレー・ダンバー、ブルース&トム・ファウラー等実力派ミュージシャンと共に、最高にテクニカル且つスラップスティックな万物同サイズの音宇宙を創世した。セールス的に頂点を極めたのが『アポストロフィ (')』であり、全米10位のヒット作となった。おしっこ色のイエローにザッパが籠めた真意は米国人にも解らないという。ザッパは1993年に『イエロー・シャーク』というオーケストラ・アルバムも残している。マザーズ・オブ・インヴェンションの1968年の3rdアルバム『マザーズ・オブ・インヴェンションのおかしな世界(We're Only in It for the Money)』で『サージェント・ペパーズ』をパロった黄色ジャケを提示した変態ロック王だけに、イエローへの執着心は強い。





●イエロー・バナナ/ハング・オン・ザ・ボックス


1998年にデビューした北京の女子パンクバンド「挂在盒子上(Hang on the Box)」が2000年にロリータ18号を擁する弁天レーベルからリリースしたデビュー・アルバムが『黄色香蕉(黄色いバナナ)』。女子パンク界のバナナソングと言えば、元祖女子バン・少年ナイフの「バナナチップス」や「バナナフィッシュ」が有名。前編で黄色いバナナはアシッド・フルーツと書いたが、パンク以降はロケンロー女子のキュートなマスコットになった。HOTBは香港・米国・日本をツアーし、中国本土で最もポピュラーなバンドだったが、2005年に解散。ボーカルの王は現在GIRL KILL GIRLというバンドで活動中。






●黄色いリボン/桜田淳子


14歳でオーディション番組『スター誕生』最優秀賞を受賞、1973年にデビュー、3rdシングル「わたしの青い鳥」でレコード大賞新人賞を受賞、74年「三色すみれ」に続く6thシングル「黄色いリボン」で紅白初出場、と当初から色ソングで人気を伸ばした淳子ちゃん。92年の合同結婚式以降ほぼ隠遁状態で、ジュンコ界の首領の座をマル非JUNKOに譲ったが、デビュー当時小学生だった筆者の最初のアイドルだった。弟が推していた山口百恵とは「花の中三トリオ」仲間。実は百恵の方がお色使いが上手く、73年「青い果実」の『青い性路線』、74年から「赤い迷路」「赤い疑惑」「赤い運命」「赤い絆」等の『赤いシリーズ』といった色仕掛けでステップアップを果たし、ついには菩薩となった。結婚を機に人生が変わったのは両者とも同じだが、現在の待遇の格段の差の元凶は、もしかしたら百恵が触れなかった危険色の黄色を、淳子が蹂躙したからかもしれない。因みにお色気戦略に与しなかった中三トリオのもうひとり森昌子の健在な活躍ぶりから察するに、色と交わることは女子芸能人にとって諸刃の剣なのではなかろうか。




●Yellow/初音ミク


なぜ世界を変えたのか、と問われる通り、現代カルチャー革命の象徴が初音ミクであることは疑いない。ミクを起用して数多くのコンピュータプログラマーが「ボカロP」としてヒットチャートを賑わせることになるとは、ビートルズもザッパも想像だにしなかっただろう。ボカロシーンから生まれたアーティストの最右翼「livetune」のkzが2010年に手掛けたゲームタイアップヒットが「Yellow」と名付けられた事実こそ、サード・サマー・オブ・ラブのシンボルカラーが「イエロー(黄色)」であることの証明に他ならない。




イエローは
すげぇドリーミン
色だなあ

太陽」「マキシマム」「イエロー」について徹底的に分析した結果、成瀬瑛美さんの解析は大きく前進した。えいたそ文化論の最終章は、これまでの研究成果の科学的・哲学的・衒学的解析とともに、未確認要因の炙り出しが必要になるだろう。6日後に迫ったでんぱ組.inc「ワールドワイド☆でんぱツアー2014 in 日本武道館~夢で終わらんよっt!~」に備えて筆者はこれより臨戦態勢に突入する。5月6日まで毎晩ライヴ参戦し、ライヴWKTK指数のピークを日本武道館で迎える為の調整期間である。GWの行動は全てでんぱ組@日本武道館の予行演習に過ぎない。精神状態がマキシマムえいたそ化する場合もあるかと思われるがご容赦いただきたい。

●成瀬瑛美(えいたそ)(ノ∀`*)☆ドッヒャーーーン☆

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