私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

We Are The World

2023-12-20 21:00:36 | 日記
 このブログの前回の記事ではアレクサンドラ・バリエンテのA just world for allという言葉を紹介しましたが、それより前の記事に対して、yomodaliteさんから貴重なコメントを頂きました:


その一部に次の文章があります:

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マイケルは政治的な発言はしませんでしたが、誰よりも世界のことを考えていたと私は思っています。

何が本当に正しいのか、人間が判断することはできない。というのが彼の考えで、彼が1番嫌だったのは、人々が分断されること。そして最も大事にしたのは、傷ついた人々を癒すことと、声なき声を聞くこと。

しかし『Heal The World』は、米国では甘ったるい馬鹿げた曲として扱われ、その後発表した『They Don’t Care About Us』は、SWCからユダヤ差別だと激しく批判されました。

近年BLMのアンセムのように使われたこの曲には「黒人が黒人を脅して仲間を刑務所へぶち込む」という歌詞もあるのですが、BLMの支持者は黒人差別としか読み取りませんでした。

「彼ら」だけでなく、誰もがみんなのことを考えていませんでしたが、マイケルが911の直後発表したのは、『What More Can I Give』

米国が対テロ戦争へと向かおうとする時にまったく不適切だったこの曲は、大勢の一流アーティストが参加したにも関わらずリリースすることが出来ず、『We Are The World』の精神は完全に終わってしまいました。

新しい旗が振られると、いち早く共鳴するアーティストは大勢いますが、イスラエルやユダヤ批判は誰にも出来ず、誰もが平和を求めなくなったのは、マイケルがいかに痛めつけられたかを見てしまったからなのかもしれません。

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英語に a canary in a coal mine という言葉がありますが、優れた芸術家が人間世界の置かれた状況を透視する先見洞察力には驚くべきものが認められます。マイケル・ジャクソンはその特記すべき例だと私は思います。1985年3月7日にリリースされたこの曲『We Are The World』はアフリカ大陸の人々の飢餓の救済を目指した内容のもので、大変な評判を呼び、数百万ドルの救援基金を集めたとされています。現在もあらゆる種類の人々によって愛唱されている名曲であり、私ごときが改めて紹介するまでもありませんが、この曲に潜む預言的性格を、私なりに、敢えて、指摘強調したいと思い立ちました。
 このブログの前々回の記事でアレクサンドラ・バリエンテのA just world for allという言葉を紹介しましたが、「マイケル・ジャクソンのWe Are The WorldThe WorldがバリエンテのA Just World だ、40年近くも前に先取りしていたのだ」と私は言いたいのです。これこそが優れた芸術家の先見洞察性だと言いたいのです。歌詞に聴き入ってみれば同意してくださるに違いありません。我々が心を合わせれば、今の殺し合いの世界とは別の世界が実現できると訴えているのです。『Heal the world』も同じです。マイケル・ジャクソンが30代半ばを迎えた、今からほぼ30年前に制作された『Heal the world』のOfficial video がありますのでお聴きください:


このビデオに、1ヶ月前に寄せられたコメントの一つをコピーします(寄稿者たぶん日本人):

Today, images of people weeping after losing family members in bombings and children running for cover are being reported. People around the world are hurting. All we can do is pray for peace. At such times, Michael's singing voice heals the heart. And a feeling of hope for a better world is born. Thank you Michael.

 30年前のマイケル・ジャクソンの姿も次のビデオで観て下さい:


 2009年のマイケル・ジャクソンの死を想う時、私は洗礼者ヨハネのことを想起してしまいます。

藤永茂(2023年12月20日)

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1 コメント

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Unknown (山椒魚)
2024-01-01 00:37:39
ジヨン-ピルジャーがなくなったそうです

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