褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 テス(1979) 美人も辛いです

2019年03月06日 | 映画(た行)
 イギリスの文豪トーマス・ハーディの小説『ダーバヴィル家のテス』を原作とする映画が今回紹介するテス。美人だからと言って幸せになるとは限らないどころか、不条理なほど不幸のどん底に叩き落とされる女性主人公テスを当時まだ10代後半だったナスターシャ・キンスキーが演じる。しかし、彼女の本作の撮影時の年齢が18、9歳だったことに驚き。その美貌、演技は完成された大人の女優としての風格すら感じさせる。それにしても本作以降においてロクな主演作品が無いことが非常に残念だ。
 なぜこんな美人な女性に不幸な出来事が重なってしまうのか?と俺なんかは観ている最中はそのように感じた。実はそれこそが本作の大きなテーマ。例えば現代においても必ずしも法律が人間の役に立たないどころか、法律が足枷になって損をしている人生を送っている人もいたりする。さて本作の女性主人公であるテスをとことん苦しめるのは何なのか?

 それではナスターシャ・キンスキーを見ているだけでも楽しめるが、いかにも英国らしい映像が見られるストーリーの紹介を。
18世紀のイギリスが舞台。非常に貧しい暮らしをしていたジョン一家。ところがジョンは突然にも、実は自分の家系が貴族のダーバビル家に連なっていたことを知る。早速ジョンとその妻はまだ若くて美しいテス(ナスターシャ・キンスキー)を金銭目的のために、ダーバビル家の農場へ奉公に行かさせる。しかし、そこの女主人の息子であるアレック(リー・ロンソン)に強引に犯されてしまう。テスはダーバビル家から逃げるように去り、実家へ帰ってアレックとの間の子供を産むのだが、子供は直ぐに死んでしまう。
 再度テスは別の農場へ奉公に行くのだが、そこで金持ちの牧師の息子であるエンジェル(ピーター・ファース)と出会う。2人が恋に落ちるのは早かったが、テスは自分の過去をエンジェルに伝えることができなかった。そして、2人は結婚したその夜の事。エンジェルはテスに自分の過去の女性関係を告白する。テスはエンジェルを許し、テスもエンジェルに自分の過去を告白するのだが・・・

 本作でテスを苦しめるのは、古い因習、そして宗教。貴族としての家柄は何の役にも立たず、宗教は何の救いももたらさない。それどころかテスに不幸をもたらすばかり。しかし、俺に言わせると本作における美しい女性であるテスを苦しめる要因は他にもある。それは現在にも通じるが馬鹿男の存在。俺なんかはこの世の中が幸福な世界になるためには、女性の笑顔が必要だと感じているのだが、何時の世でも女性から笑顔を奪い去ってしまっているのが、ロクでもない男。とくに本作においては、エベレスト級の馬鹿男が登場する。我がまま、思い上がり、卑怯、・・・等など、こんな男がテスをとことん苦しめる。
 そんなバカ男と引っ付いたり、離れたりを繰り返すテスもどうなんだ?と思う人もいるかもしれない。しかし、テスの弱みに付け込む馬鹿男の狡賢い奴らを責めるべきだろう。まあ、女性の弱みに付け込む男が俺の周囲にもいるが本当にサイテーだな。そういう奴が、また人を騙すのが上手いし、特に良い人はコロッと騙されやすい。
 あんまりメンタルが弱っている時に観る映画でもないが、田園が広がる風景は綺麗だし、最後の方ではイギリスの観光名所を見せてくれるように映像面でも魅せてくれる映画。不幸などん底に叩き落とされても、決して美しさを失わない(ナスターシャ・キンスキー)に女性として誇りを感じさせるのが良いです。
 昔のヨーロッパを舞台にした映画が好きな人、ナスターシャ・キンスキーと聞いて心が躍るオジサン達、文芸作品の香りを感じたい人に今回はテスをお勧め映画として挙げておこう。

テス [DVD]
トマス・ハーディ
ハピネット・ピクチャーズ


 監督は名匠ロマン・ポランスキー。彼の長編デビュー作品となる水の中のナイフ、残酷なシーンを一切見せないホラー映画のローズマリーの赤ちゃん、ジャック・ニコルソンが私立探偵を好演するチャイナ・タウン、ジョニー・デップ主演のアカデミックな雰囲気とホラーを融合させたナインスゲート等お勧め映画がたくさんです。





 
 

 
 

  
 



コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 競馬 弥生賞予想(2019) | トップ | 競馬 中山牝馬S予想(2019)  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(た行)」カテゴリの最新記事