褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 泳ぐひと(1968) 海パン一丁で出ずっぱり

2017年03月17日 | 映画(あ行)
 変な奴を主人公にした映画は多いが、その中でもかなり突出しているのが今回紹介する映画泳ぐひと。この映画の主人公のオジサンは最初から海パン一丁の姿で登場し、最後までその格好で出ずっぱり。そりゃ~、タイトルが泳ぐひとだからと思いきや、確かにプールで泳ぐシーンは多いが、山の中や野原や自動車の通る道をその格好で走っているシーンが出てくる。一目変な奴だと感じるが、思いつきで言い出すことが更に周囲をドン引きさせる。さて、この主人公は海パン一丁で何をやらかそうとするのだろうか?

 さっそく単純ながらも非常にシニカルな内容に富んだストーリーの紹介を。
 ある夏の郊外にある高級別荘地において。海パン一丁の姿でネッド(バート・ランカスター)が林から現われる。そこはネッドの友人夫婦の別荘であり、夫婦は前夜のパーティーで疲れていて、夫の方はプールの側で横たわっていた。
 ネッドは友人夫婦と少しばかり会話をした後に、その場所から眼下に見渡せる景色を眺めて、アホらしくなるようなことを言い出す、「友人の家のプールを全て泳いで、自分の家に帰ろう」。自分の家にたどり着くまでに様々な人と出会うのだが・・・

 もっと簡単にストーリーの紹介をすると、知り合いの人の家に勝手に入って、勝手にプールを泳いで、自分の家まで帰るだけ。極めてシンプルなストーリーだが、隠されたテーマは非常に奥が深い。海パン一丁だけで現われる主人公が家に帰るまでに様々な人に出会うのだが、彼らの態度の様子が観ている我々になんだかおかしいぞ!と感じさせる。最初に出会った友人夫婦とは好意的に話しているのだが、後の方になるにつれて出会う人の態度が威圧的になってくる。この展開が意味するところは、欺瞞に満ちた今までの主人公の人生が音を立てて崩れていく様子だ。最後には恐ろしい現実を突きつけられるのだが、これが切ないというか、怖い。海パン一丁の姿でいるのが何を意味するか何となくわかる気がしてくるだろう。
 時々自らを成功者のように見せる人間を見かける。しかし、そういう人こそ案外幸せの仮面を被っているだけで、実際はボロボロだったということがバレている時が多い。実際に俺だって周りからは聖人君子のように思われているが、今までの人生を振り返るとまさに偽善者としての自分が浮かび上がってくる。まあ、最近は逆にアホなふりをして生きてる方が楽に感じているのだが。
 この主人公は年がいも無く女の子と一緒に走って嬉々としているのが気持ち悪く感じたり、どうでもいい様な目標を思いついて実行したり、偽りに満ちた人生を過ごしていたり、かなり痛い人間。しかし、コレって実は俺も大して変わらないじゃんと思い反省させられた。
 メンタルが弱っている時にお勧めできる映画ではないが、何時までも余韻に浸れる映画として今回は泳ぐひとをお勧めとして挙げておこう

泳ぐひと [DVD]
バート・ランカスター,ジャネット・ランドガード,ジャニス・ルール
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント





 
 
 
 
 

 











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1 コメント

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プール (PineWood)
2017-01-04 08:54:42
プールで泳ぐシーンは例えばヴィム・ヴェンダース監督作品(パレルモ・シューテング)等シンボリックに登場する…。人生の生き方同時に死生観に関わる行為として泳ぐ事が描かれるのだろう。本作でのバートランカスターのボデイが醸し出すのは時の経過或いは老いなのだろう。彼は最終目的地の理想の我が家或いは邸宅を目指すが漂流の果てにあるのは雨に濡れて打ち震える身体。アメリカン・ニューシネマの代表作の映画(明日に向かって撃て)が雨に濡れても陽気に自転車で突き進む中での悲劇であった様にー。
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