日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

犬を食す【平壌発9】

2017-08-02 10:00:00 | (理)のブログ

 7月中旬、「全国犬料理競演」が開催されました。犬料理のことを朝鮮ではよく「단고기(タンコギ)」といいます。
 競演は、選抜されたチームが自慢の犬料理を披露し優勝を決めるという、なんともシンプルで民族性に富んだイベントです。今年で3回目の開催。



 朝鮮では夏の一番暑い時期を「삼복(サンボク=三伏)」といいます。この期間は気力が落ちるため、保養料理として栄養価の高い犬肉を好んで食べるという習慣があります。
 特に暑くなる日を「초복(チョボク=初伏)」「중복(チュンボク=中伏)」「말복(マルボク=末伏)」と分けて、この日に犬料理を食べることが多いです。
 親しい間柄では삼복の日に「단고기 먹었어?(犬、食べた?)」が挨拶になるくらい、朝鮮では犬肉が愛されています。
 今年は7月22日が중복だったので、これに合わせて企画された競演だったようです。



 訪れたのは、黎明通りにある「料理祝典場」。朝鮮料理協会が主管する施設で、普段は食堂として利用できるほか、協会が主催する各種料理大会などの会場にもなります。朝鮮料理協会は、民族固有の料理を守り発展させながらも、人民たちの食生活を幅広い分野で向上させるためにさまざまな取り組みを行っている団体です。

 競演に参加したのは12チーム。平壌市部門と各道部門に分かれて行われました。平壌市部門では6チームが、各道部門では平安北道、平安南道、咸鏡北道、咸鏡南道、慈江道、江原道からそれぞれ1チームが参加。



 中に入ると競演の日程が貼り出されていました。なんと夜中の0時に競演開始。犬料理は事前準備や工程が多く、かなり手間がかかるそうですが、それにしても…。さすが、犬料理にかける並々ならぬ情熱が伝わってきます。



 私たちが行った時は、ちょうど審査の時間でした。会場では朝鮮料理の専門家たちがかなり真剣に吟味しています。




 隣の展示室では、各チームから出品された料理が並べられていました。「단고기장(タンコギジャン=犬肉のスープ)」「단고기내포볶음(タンコギネポポックム=犬の内臓炒め)」「단고기갈비찜(タンコギカルビチム=犬のカルビ蒸し)」「단고기다리찜(タンコギタリチム=犬の足肉蒸し)」と、決められた4種類の料理を見て評価されます。見た目やつけあわせなど、少しずつ違いがあって面白かったです。



 競演の結果は、その名も「평양단고기집(平壌犬料理店)」チームがダントツの特等。続いて咸鏡南道チームが1位を飾りました。

 お昼時、犬料理のフルコースをご馳走になりました。食べるのはこの日が人生で2度目でしたが、一流の料理師たちが腕を振るっただけあって、初めて食べた時よりもおいしく感じられました。



 味は牛肉に似ているような気がします。(理)