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❝日は又上る❞中国は失われた20年突入? 『世界が日本になる』

2017-10-30 09:02:19 | 日記

30年の時を経て、日本が資産バブルに突入しそうですが、それとは反対に成長し続けた大国中国経済が崩壊の危機にたたされているようです。昨日も書きましたが、バブルの発生と崩壊は「世の常」です。30年前、日本のバブル崩壊長期化を当時予想できた専門家は一握りですが、今回も、少子高齢化など引き合いに出し、長期凋落を予想する専門家ばかりです。日本経済の長期本格復活を予想する専門家は少数派です。しかし、私は世界がこれまで日本が先行して味わった「失われた20年」を経験している間、反対に日本経済は独自に復活の基礎を固めたと読んでいます。

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1989年、日本は熱かった。株価が高騰し不動産価格は暴騰した。東京・銀座の最高級飲食店は明け方まで人があふれた。日経指数は1985年のプラザ合意後の3年間で3倍、不動産は1年に70%ずつ上昇した。東京中心部を循環する山手線の内側の地価は米国全土の地価と同じという話まで出てきた。サラリーマンが東京に家を買うことは考えもできなかった。首都圏の新築マンション価格は日本のサラリーマンの平均年収の18倍に達した。

  1992年、宮沢喜一首相は住宅安定のために住宅価格を5年以内に年収の5倍水準に引き下げると公言した。野党はとんでもないと批判した。しかし宮沢首相の現実性がなさそうに見えたこの政策は嘘のように成功した。不動産バブルが消え住宅価格が崩壊したのだ。東京の一部地域は5年間に10分の1に落ちたりもした。「失われた20年」という日本経済の長い冬も一緒に訪れた。

  最近中国の不動産も30年前の日本のように異常過熱の様相を見せている。北京・上海・深センなど中国の大都市のマンション価格はこの1年6カ月間で30~50%上昇した。行き場のない資金が不動産に集まるからだ。中国国家統計局によると中国の3月の新規住宅売買金額は1兆元で前年同期比18%増加した。住宅価格が年俸の何倍なのかを示す年収倍率は北京が20倍、上海が25倍、深センが36倍だ。所得を考慮した相対的価格は1990年の東京よりも高いわけだ。北京に近い雄安特区の不動産価格が4月だけで2倍以上に上がるなど、不動産過熱が大都市周辺に広がっている。金融緩和期に成長率が減少すると資金は一般的に投資資産に集まる。1989年の改革・開放以降高止まりを続けてきた中国経済の最近の様子は30年前の日本と似た様相だ。中国経済が日本と同じ長期不況に陥るのではないかとの懸念が出てくる理由だ。

  ◇不動産過熱「異常信号」

  中国経済の異常信号の震源地は負債増加と成長率下落だ。国際格付け会社のムーディーズはこれを理由に5月24日に国債格付けをAa3からA1に降格した。ムーディーズが中国の格付けを下げたのは1989年から28年ぶりだ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も先月21日に「負債を通じた経済成長戦略から抜け出せるかがカギ。中国の格付け見通しを否定的に下げることもありえる」と警告した。

  中国の負債が増加したのは成長率が減少するからだ。2012年に経済成長率が7%台に落ちると中国政府は預金準備率を引き下げる一方、銀行の預貸率規定などを緩和した。この余波で中国の国内総生産(GDP)比の総負債は企業と地方政府を中心に5年間で60%急増した。80年代の日本のように資金があふれ投資先がないことから不動産価格が大きく上昇したのだ。

  モルガン・スタンレーの新興市場担当総括社長であるルチル・シャルマ氏は昨年末にCNBCとのインタビューで「5年間のGDP比負債増加率が40ポイント以上なら経済危機の可能性が大きい。中国は80年代の日本、90年代のタイとマレーシア、2008年の金融危機直前のギリシャと似た状況」と評価した。         

中国の投資家が海外投資に手を広げている点も80年代の日本を連想させる。1985年のプラザ合意で円が2倍に上がるとソニーがコロンビアピクチャーズを買収し、三菱がロックフェラーセンターを買収するなど先を争って世界に投資した。中国も人民元の価値が上がると中国CCランドが今年初めにロンドン名物であるリーデンホールビルディングを11億5000万ポンドで買収するなど海外資産取得に熱を上げている。中国のタクシードライバー出身の億万長者劉益謙はモディリアーニの傑作「横たわる裸婦」を1億7040万ドルで買い取った。中国商務部によると昨年中国企業の海外投資は2250億ドルで過去最も多かった。対米投資は450億ドルで2015年より3倍近くに増えた。

  もちろん30年前の日本と現在の中国はぴったり同じではない。当時円高は短期的で人為的な措置だったのに対し、中国は自ら金融市場と人民元価値を管理できるという立場だ。輸出主導型経済体制だった日本はバブルが崩壊した時にこれを克服する方法がなかったが、中国は2014年から内需主導経済に転換している。中国の負債の3分の2が国有企業と国有銀行が抱えているため、政府レベルの債務再整備が可能という点も90年代の日本と異なる点だ。中国は日本より状況が良いともみることができる。中国経済が依然として6%台の高成長を成し遂げており、まだ大丈夫だという評価も出ている。

  英財務次官とゴールドマンサックス資産運用会長を務めたジム・オニール氏は先月ブルームバーグとのインタビューで、「すべての国は特定の時点で危機を体験するが、中国は景気変動にともなう挑戦課題を数回克服してきた。中国危機論は水増しされている」と評価した。

  過去の日本の危機は当局の誤った対応も一役買った。当時日本銀行は1989~90年にかけて基準金利を3.5ポイントも上げ、貸出総量規制を実施した。経済のハードランディングにつながった理由だ。不動産価格は暴落し、金融市場は冷え込んだ。不動産の担保価値が下落し、銀行の融資がこげついた。金融会社が連鎖倒産し、大企業は資金難にあえいで倒産したり大規模構造調整をした。

  日本の先例を見た中国としては対応できる余力はもっと大きい。ひとまず下半期の共産党全国大会前までは基準金利引き上げの可能性は低くみえる。当分は緩和的基調を維持してこそ6%台の成長率を守れるという判断からだ。予告されていない緊縮は金融市場に衝撃を与えかねない。米連邦準備制度理事会(FRB)米連邦準備制度理事会(FRB)の緊縮基調に歩調をそろえ基準金利引き上げの可能性も出ているが当面はなさそうだ。

  みずほ銀行シニアエコノミストのビスヌン・バラタン氏は、「FRBが金利正常化を続けていくなら人民銀行もともに動くと予想する」としながらも「ただ即刻緊縮に出たりはしないだろう」と予想した。ただし人民元の急激な下落を防ぐために海外企業が500万ドル以上を本国に送金する場合に当局の承認を受けるようにするなどの制限措置を設けた。日本よりはミクロ的アプローチに出た格好だ。

  日本政府が大量失業などの事態を防ぐために2000年代半ばまで金融会社を通じて企業に資金を支援した点も中国としては避けなければならない。

  クレディスイスの白川浩道エコノミストは「中国はバブル崩壊後の日本の誤った対応から教訓を得なければならない。不健全化した銀行を果敢に整理しなければ金融のプロセスはまともに作動しないだろう」と話す。

  ◇日本型長期不況・高齢化…人類に投げかける憂鬱な警告状

  ホン・ソングク元未来アセット大宇代表が書いた『世界が日本になる』は、世界経済に向けた憂鬱な警告状だ。長期不況と高齢化社会、少子化深化、空き家問題など日本の問題を世界が同じように体験すると主張する。供給と負債増加、需要減少、低成長につながる「日本化」の姿はすでに世界各地で現れている。単独で世界経済の成長を牽引する中国もやはり日本化の罠に陥るだろうか。今後が気になる。         

コメント (1)
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