『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

❝激務で将来の医師余り❞開成高が東大“理三”合格者数を減らした理由

2022-06-30 07:57:54 | 日記
難関高校の大学合格者数の中で毎年注目を集めるのが東京大学理科三類(医学部医学科進学コース)の合格者数だ。国内最高難易度を誇る難関中の難関で、合格者は“天才”とも称される。しかし、今春の理三合格者数にある異変が起きていた。41年連続で東大合格者数トップに立った開成高。22年の合格者数は前年比34%増の193人と大躍進する一方で、最難関の東大理三合格者数は21年の10人から22年は6人と減少した。私学女子ナンバー1の桜蔭高の東大合格者数は全国6位の77人。そのうち理三は13人で、灘高の10人、筑波大学附属駒場の6人、開成の6人を抑えて圧倒的トップに立った。
開成はなぜ東大理三合格者数を減らしたのか? 有名予備校講師がこう言う。「22年の開成高の卒業者数は約400人で、桜蔭高は約230人。合格率では桜蔭高が圧倒しています。この数字だけを見れば、桜蔭の“すごさ”が分かりますが、開成高の成績トップクラスが必ずしも理三を目指すわけではありません。大学入試模試のトップクラスの中には理三合格圏内に入っていても東大の理科一類(工学部、理学部進学コース)を志望する学生もいます。激務で薄給の医師になるよりAI(人口知能)の分野に進んで将来の起業を目指す学生も増えていると聞きます」。
医学部離れが起きている理由の1つとして考えられているのが将来の医師余りだ。厚労省が今年1月に発表した「医師需給分科会第5次中間とりまとめ(案)」では、「令和11年頃に需給が均衡し、その後人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加のペースについては見直しが必要である」と報告している。こうしたことがこれまでの過剰なほどの医学部ブームに転換を迫っている。とは言え、難易度では東大理科一類、二類に並ぶ国公立大学の医学部志望者が一定数はいるようだ。開成進路委員会が5月に公開した大学入試結果によると、21年の東京医科歯科大医学部の合格者数は10人だったが、22年は13人に増えている。また、千葉大医学部も同様に10人から14人に増加。さらには21年は中国、九州地方の国立医学部合格者がいなかったが、22年は島根大医に2人、佐賀大医、熊本大医に1人ずつ合格者を出している。先の予備校講師は「22年の共通テストが難化したため、東大理三を目指していた層がランクを落とした可能性があります。共通テストで得点が思うように伸びなかった受験生が医学部合格を確実にするため地方の国公立大学医学部に回ったのでしょうが、島根大医学部の前期日程実質倍率は21年の5.4倍から22年は6.1倍へ、同じく熊本大は3.3倍から4.2倍とかえって狭き門になりました。選抜方法が複雑なので一概には言えませんが、当初の目標を変えない、という信念も大切かもしれません」
一方、激しい“早慶蹴り”で知られる開成高だが、22年はどうだったのか。早稲田大は244人(21年213人)が合格して進学者数は34人。看板の政経学部は54人が合格し進学したのは10人。慶応大は209人(同173人)が合格して46人が進学。超難関の医学部は18人が合格したが、進学者数はわずか3人だった。同校OBがこう話す。「学校側から東大を目指しなさいと言われたことは1度もありませんが、それでも学校全体の雰囲気が東大進学という風向きになっているのは確か。私学最難関の早慶を蹴って再度、東大を目指すという学生も多いのでは」。実際、21年の東大合格者数に占める同校OB(浪人生)は39人だったが、22年は56人と増えている。来年の東大合格者数と理三合格者数の行方が注目されますが、時代の変化に抗うことはないでしょう
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❝おーい王位戦❞藤井聡太五冠2度目の防衛?

2022-06-27 07:36:04 | 日記
2度目の防衛を目指す藤井聡太五冠が豊島将之九段の挑戦を受ける「お~いお茶杯第63期王位戦」七番勝負が6月28、29日愛知県犬山市のホテルインディゴ犬山有楽苑で立会小林健二九段の元 第1局を迎える。七番勝負で持ち時間8時間の2日制、1日目の終わりには封じ手を行う。 

この二人の将棋は、とにかく内容が高度、これが現代将棋の最高峰という戦いを見せてくれます。研究熱心な二人であるが故に、お互い対局を楽しみにしていたでしょう。昨年は、持ち時間4時間の叡王戦では先手番の2局ともに勝った豊島九段、中距離将棋では勝てるチャンスが十分あると思います。しかし持ち時間8時間の王位戦・竜王戦といった長距離将棋では、途中まで良い形で闘っていても、最後にスタミナの差が出てしまって、藤井王位に引き離されるパターンだったと思います。長距離将棋の終盤でも、全く集中力が落ちない藤井王位、豊島九段はどんな対策を見せてくれるでしょうか。

❷ 豊島九段とは今年はあまり対戦がないので、昨年までとは違った戦いになると思います」と警戒心をにじませた。
 現在、永瀬拓矢王座(29)との棋聖戦も1勝1敗で進行中。よりタイトな日程となるが、「シリーズを意識するよりも、目の前の一局に集中して臨む意識でやっていけたら」と自然体。東海出身棋士対決が昨年に続いて愛知で開幕することに喜びを語り「期待に応えられるシリーズにできれば」と気を引き締めた。


 庭園『有楽苑』にある国宝茶室で、”国宝三名席”のひとつ。

❸封じ手は☗3三桂成 ?
18時、小林健九段が封じ手の定刻になったことを告げると、豊島はすぐに封じる意思を示した。封じ手に使った時間は39分。1日目の消費時間は☗豊島2時間7分、☖藤井5時間4分。対局は29日の9時から指し継がれる。対局室に戻ってきた豊島が封じ手の入った封筒2通を藤井に渡し、藤井が署名を入れて豊島に返す。最後に豊島が封筒を小林健九段に預けて、1日目が終了した。 
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円安が引き金、『日本株の黄金時代』が来る

2022-06-26 05:25:11 | 日記
先週まで3週連続で下落し ていたNY市場は週末24日は大幅続伸。ダウ平均は823.32ドル高の31,500.68ドル、ナスダックは375.43 ポイント高の11,607.62で取引を終了した。6月ミシガン大消費者信頼感指数確定値の長 期期待インフレ率が14年ぶり高水準から下方修正され、インフレがピークに達した兆 候が示されたため投資家心理が一段と改善。只、景気が過熱している米国でのインフレ圧力は強い。
今後FRBの利上げ継続、企業業績への期待が剝がれ、株式市場は一度大きな調整が起こり、New Yorkダウが暴落し、その後米国FRBがタカ派からハト派に変更し、円安の恩恵で日本株にも大相場が来ると筆者は予想しています。日本では先駆して都心の平均マンション価格は現在バブル期を超えています。筆者にとって、日本株の最後の大相場は1986年に始まった昭和・平成バブルでしたが、大相場の前は非常に苦しい時を迎えていました。昭和・平成バブルの前は、3年間で為替相場が1ドル=100円以上の円高・ドル安になりました。円高不況で「これで日本経済は終わりだ」と新聞では連日掲載されたものです。 
今回は、コロナ、ウクライナ戦争がきっかけで、世界的な政治・地政学的リスクも加わりました。同じような戦争関連では、大正元年頃の諒闇(りょうあん=喪に服すの意味)不況の例があります。日清・日露戦争で日本経済が疲弊し、貧困のどん底にあった頃です。明治天皇が崩御した後の不況のため、諒闇不況と呼ばれました。しかし大正3年(1914年)に第1次世界大戦が勃発。欧州が戦禍にある間、日本は欧州企業の商圏に進出して景気が回復し、株価も上昇しました。
次に、昭和25年(1950年)には朝鮮戦争で景気が回復しました。その直前といえば、第2次世界大戦で日本が焼け野原になった頃です。上昇相場の前はいずれも苦しい時が来る。
又、大相場が来る前は、必ず海運株が上がります。上昇する理由は時代により違うようですが、今回も海運株が上昇しています。現在の不安定な相場は大相場前の苦しい時期で、この後、円安を利用して外国人のインバウンド需要が盛り上がり、景気拡大、大相場が来ると思います。そして上昇は3年続くのが通例です。一度大きな落ち込みがあり、チキン投資家が去り、スタート時期は分かりませんが、25~26年まで続く大相場になると思います。大正時代や朝鮮戦争時の大相場では、インフレが進みました。昭和・平成バブルでは資産価格は大幅に上昇しましたが、物価全般は大きく上昇してはいません。それは直前に円高・ドル安が進んだためです。100円も円高になれば物価を押し下げる。さらに円高対策で金融が緩和され、余ったお金が株と不動産に集中し資産インフレを引き起こしました。今回は前回とは異なり、足元でインフレが進みつつあり、大正時代や朝鮮戦争時と環境が似てきました。しかも、昭和・平成バブル時とは違って円安です。この条件がそろい、日本株は打たれ強い。円安が引き金の株高環境は整っています。
只、円安は一過性のものではなく、今以上の水準に円安が進み1㌦200円も覚悟しなければならないでしょう。昭和・平成バブルとは違って、円安・インフレが同時に進む時代がやって来る。そのため大相場が来ると思っていますが、いつ火が付くか分からないので、銘柄によっては今から、保有し続ける方がよいかもしれません。
2021年10月1日時点の総人口は前年比64万4,000人(0.51%)減の1億2,550万人。これは、鳥取県の人口57万3,000人が一年にして消滅したことに匹敵します。劇的な人口減少に歯止めがかかることは なく、 資産を自分自身で守るために投資に目を向けざるを得ません。大きな資産を保有していない方も、少額の資産を効率よく運用していく長期・積立が今求められているのです。 
これはあくまで筆者の個人的な意見です。
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二刀流スター大谷翔平「歴史的な2試合のショー。8打点、新記録の13奪三振」

2022-06-24 14:49:07 | スポーツ
エンゼルスの大谷翔平が全米メディアを震撼です。22日(日本時間23日)、本拠地エンゼルスタジアムで行われたロイヤルズ戦に「2番・投手兼DH」で今季12度目の“リアル二刀流”として先発出場し、今季最多となる108球を投げ8回を2安打13奪三振無失点に抑え5-0のスコアで6勝目を挙げた。13奪三振はメジャー自己最多。また初回に奪った、この日1つ目の三振がメジャー通算300個目の三振となり、244回3分の1での記録達成は、日本人選手としてパドレスのダルビッシュ有に次ぐスピード記録。全米メディアは連日にわたって大谷の活躍を大々的に取り上げた。
レビン監督代行「なんという一日。なんと凄いパフォーマンス」
 終わってみれば、ピンチらしいピンチは、立ち上がりだけだった。  1番のメリーフィールド、2番のベニンテンディに連打を許して無死一、二塁となったが、3番のウィットからストレートでスイングアウトを奪い、メジャー通算300奪三振を達成すると後続を断ちピンチを切り抜けた。そこからは1本のヒットも許さない圧巻ショー。2回、4回と3者連続三振。7回に追加点をもらい、3点差になると「余力があった」と8回も志願して続投し、三者凡退に抑えチームの連敗をストップした。打っては、5打席で3打数1安打2四球だった。  大谷が成し遂げた記録に注目したのはMLB公式サイトだ。 「歴史的な2試合のショー。8打点、新記録の13奪三振」との見出しを取り、「二刀流スターの大谷にとって素晴らしいアンコールだった。2本塁打を放ち、8打点のキャリアハイを作った一夜の後に8回無失点の投球で13三振を奪い、また新たなキャリアハイを作った」と伝えた。  大谷は前日のゲームで14、15号を含む8打点の大活躍を見せたが、1試合で8打点以上を記録した翌日に10三振以上を奪ったのは、メジャー史上初の記録だという。  同メディアによると、過去に元ブレーブス右腕のトニー・クロニンガーが、1966年の開幕戦で投手として12三振を奪い、その後、7月3日に投手として先発出場した際に2本の満塁本塁打を含む9打点を記録したことがあるが、連日で達成したものではなく、奪三振数は大谷の13に及ばなかった。また大谷の1試合13奪三振は、エンゼルスでは昨年7月24日のツインズ戦でパトリック・サンドバルが記録して以来、史上19人目の記録だという。

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❝名人位奪取前哨戦❞藤井聡太竜王、佐藤康光九段破りA級順位戦初勝利

2022-06-23 00:10:16 | 日記
将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=19)が22日、名古屋市の複合商業施設「ミッドランドスクエア」25階に新設された名古屋将棋対局場で指された第81期順位戦A級の初戦で、深夜までの熱戦の末、102手で佐藤康光九段(52)を破り、白星発進した。新設された地元の対局場で記念すべきA級初勝利となった。  名古屋将棋対局場のこけら落とし対局となった一戦は藤井の先手番で、戦型は後手向かい飛車の対抗形となった。夕食休憩後、本格的な戦いが始まり、藤井がリードを少しずつ広げる横綱相撲で寄せ切った。
 順位戦最上位のA級は10人が総当たりで、挑戦権を懸けて争う。今期、藤井が挑戦権を獲得し、来年4~6月に開催予定の名人戦で渡辺名人から名人位を奪取すれば、谷川浩司17世永世名人の21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新する。

A級順位表 ※1位が名人挑戦 下位2名B1降級
1-0  ①斎藤慎⑤広瀬⑥永瀬⑨藤井聡⑩稲葉
 0-1  ②糸谷③天彦④豊島⑦佐藤康光⑧菅井 

❷現在の日本の将棋は、400年の歴史を誇る。歳々年々、数え切れないほど多くの人々が、この世界一面白いゲームに親しみ、遊んできた。その間、9×9のます目の将棋盤の上では、40枚の駒によって、万華鏡のように数え切れないほどの局面が生じた。盤上も盤外も、つねに新しい何かが起こる。それが将棋界というところである。長い歴史の間に幾人かの天才が現れ、盤上、盤外で鮮烈な印象を残すとともに、数々の大記録が打ち立てられた。その中でも藤井聡太5冠の活躍は目を見張ります。早く名人位を取得してもらいたいですね。

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「円安・物価高」のデタラメ報道 GDPギャップにも言及せず

2022-06-22 08:22:37 | 日記
日銀の金融緩和がインフレを後押ししているとマスコミや一部の経済評論家は批判していますが、現在の日本経済にとっては日銀の金利引き上げは個人消費に多大な影響を与えます。0.5%の利上げはわずかに思えますが、住宅ローン利用者の7割が使っている変動ローンを使っている人たちにとっては支払金利が50%も上昇することなのです。足元の物価を押さえるべきか?回復途中の景気の腰を折るべきか?平成バブル以降、過去の日銀総裁が幾度となく犯した過ちにと比べ、黒田日銀総裁の政策が正しい気がします。

以下抜粋コピー

為替の円安をめぐっては、「輸入価格の上昇で家計や中小企業の負担が大きい」と強調する報道が目立つ。また、「米国が利上げしているのに、日銀は金融緩和を継続している」と批判したり、「以前に比べると円安メリットは限定的」といった報道や分析もみられる。
こうした論調には、経済全体をとらえるマクロ経済の視点がないものが多い。家計の負担が大きい、中小企業が大変というが、その一方、史上最高の収益を得ている大企業も多い。
米国は利上げしているので、円安是正のため日本も利上げすべきだというのも、マクロ経済の基本ができていない議論だ。金融政策にはインフレ目標がある。それはインフレ率(と表裏一体の失業率)のコントロールを目標とするもので、為替水準を目標とするものではない。
米国においてインフレ率が高くなっているのは、バイデン政権発足直後の大型財政出動によりGDPギャップ(総需要と総供給の差)が解消されたことによるものだ。
しかし、日本では依然大きなGDPギャップが残っている。そのため、エネルギー価格などは上昇しているが、物価の基調を示すエネルギー・生鮮食品を除く消費者物価指数は4月時点で対前年同月比0・8%上昇に過ぎない。ほとんどのマスコミの報道で、このGDPギャップについて言及されない。
また、日本の報道はエネルギー価格の上昇と円安を混同しているものばかりだ。米国はドル高なのに高いインフレで、日本は円安なのにそれほどインフレでない。エネルギー価格は国際要因なので共通だが、為替は国内物価への影響が少ないのだ。実際、消費者物価指数で、円安が押し上げ効果を持つとされる輸入競合品のウエートは25%程度しかない。
「円安メリットは限定的」との意見にも根拠がない。円高時に海外拠点に移行したからというが、輸出は減っても海外投資収益が増えているはずだ。円安で国内総生産(GDP)が減少するといった議論もあるというが、内閣府などの国内機関や経済協力開発機構(OECD)などの国際機関の経済モデルと真逆な結論だ。
自国通貨安は、自国経済にはプラスだが隣国はマイナスという意味で、古今東西「近隣窮乏化」として知られている。通貨安は輸出主導の国内エクセレントカンパニーに有利で、輸入主導の平均的な企業には不利だが全体としてプラスになるので、どんな国でも自国通貨安はGDPのプラス要因になる。もし国際経済常識を覆すなら世紀の大発見だ。いずれにしても、最近まで「通貨安戦争」とあおっていたマスコミが手のひら返しするのは滑稽だ。日本にとって、エネルギー価格の上昇はGDPのマイナス要因だが、円安はプラス要因だ。両者を峻別することが必要だ。
国際通貨基金(IMF)などの国際機関で、世界経済見通しが発表されているが、日本経済の落ち込みは軽微だ。それは円安になっているからだ。円安を不幸中の幸いとして、円安是正よりGDPプラスの効果を生かすべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一氏)
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物価上昇で年収500万世帯はほぼ壊滅「インフレに負ける年金」

2022-06-21 06:22:57 | 日記
政府が2004年に導入した「マクロ経済スライド」という支給抑制策で今後30年間、年金額はほとんど増えない 。
現役の平均収入(額面)は現在の月額「45.11万円」が54年度には「73.34万円」にまで上がる生涯(20~59歳)の平均年収500万円の会社員世帯(同い年の専業主婦と2人)が受給する年金は当初の月額「21.57万円」が「23.55万円」にしかならない。つまり、現役の収入は6割以上も増えるのに対して、年金額は1割弱しか上がらないのだ。年金額がどんどん「目減り」していき、その結果として「世の中の水準」に比べて高齢者が相対的に「貧乏」になっていく構図である。
■生活費増えるが年金額は横ばい
 生活費は標準的な家庭を想定し、総務省の家計調査なども参考にして「月額25万円」(年額300万円)とし、年金額は「マクロ経済スライド」の結果、30年間ほとんど上がらない。しかし、生活費は物価上昇(年間0.8%)に合わせて毎年少しずつだが着実に値上がりしていく。当初の300万円は32年度に「332万円」と約1割増になり、44年度には「365万円」に、そして54年度は「396万円」まで膨らむ。
 長い間のデフレ経済に慣れてしまったため、「モノの値段は上がらない」という先入観をお持ちの方も多い。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻などで原油を筆頭に各種商品の「値上げ」が相次いでいる今こそ、頭を切り替えてほしい。経済の成長に合わせて物価が適度に上がっていくことこそがノーマルな状態なのである。
 さて、増えていく「300万円」の生活費と増えない年金額を比べた結果はどうか。「年収500万円世帯」は、ほぼ壊滅状態だ。夫婦の年金額は月21.5万円がスタートだから当初から赤字、そして生活費は毎年増えるので赤字幅は年々膨らんでいく。最初のころは40万円台、50万円台だったのが50年には100万円を突破する。同様に「累計赤字額」も膨らみ、最終54年度は「2774万円」の赤字だ。
■物価に負けると「赤字」が膨らむ
 かつては「インフレに負けない」点が公的年金のメリットだったが、「マクロ経済スライド」で「インフレに負ける年金」になる結果だ。
 一方、「年収700万円世帯」は、年金額が月3万円ほど「500万円世帯」より高いのでここまでの赤字は出ない。年間赤字額は100万円以下で済み、累計赤字額も100歳で1200万円弱でおさまる。つまり、累計赤字額程度を100歳までに準備できればこの家計は成り立つ。
 ただし、700万円世帯はやや高給取りをイメージしていることを思い出してほしい。現役時に高収入だった家計はおのずと膨張する。支出が増え、それを減らせない家計が多いのだ。従ってむしろこのケースは、やや高給取りがリタイア後の生活費を「300万円」程度に抑えられた場合には、この程度の赤字額で済む、と解釈したほうがいいだろう。
 その証拠に、高給取りらしく旺盛な消費生活を続けるとみられる前半の20年間、つまり84歳までの生活費を2割増の「月30万円」として試算すると、85歳以降を今と同じ「月25万円」に抑えても累計赤字額は「2500万円」近くまで膨らんでしまった。
 逆に、「500万円世帯」が85歳以降の生活費を2割減の「月20万円」に抑えると、累計赤字額は「1600万円」程度でおさまった。
 
 今のお金の価値である「現在価値」から、変動率を使って将来のお金の価値を意味する「将来価値」を求める手法にも慣れてほしい。「将来価値」は計算式を使えば電卓で簡単に計算できる。「物価は上がる」を前提に、将来の費用も物価に合わせて値上がりしていくという思考習慣を、このさい思い出そう(デフレ前は、そうだったのだ)
「500万円世帯」の年金額はもらい始めの月額約21.5万円(年間259万円)が34年度には「同約25万円」(同300万円)を超え、最終54年度には「同約32万円」(同383万円)まで増える。しかし、生活費はもっと上昇ピッチが高く、当初300万円だったのが最終的には「約474万円」まで5割以上も膨らむ。結局、「家計の長期予想表」に数字を落とし込むと、累計赤字額は54年度で「2900万円」を超えてしまう。「マクロ経済スライド」は過去2015年しか発動されていないが、今後常態化すると貧困老人が飛躍的に増えるはずです。
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ヤクルト「のびのび野球」高津監督 球団史上最速63試合目貯金20でセリーグV確率86%

2022-06-19 09:18:24 | スポーツ
最短で26日に優勝マジックが点灯するヤクルトのベンチに壁はない。「のびのび野球」高津監督が掲げる野球を、ナインが体現し勝利を呼び込む。
 「覚悟を決めて、腹をくくって、グラウンドに立ったらのびのびやってくれた。それがスワローズの野球。交流戦は14勝4敗で18年以来、4年ぶり2度目の優勝。最後の試合だった12日のソフトバンク戦の試合後、指揮官はナインを集めた。「これから先が本当の正念場。この4日間でしっかり心も体もリフレッシュしてください」と2日間の休養日を含むリーグ戦再開までの過ごし方を指令。練習の虫である宮本には「明日(13日)はスイング禁止。これはもう監督命令だから」といじって和ませた。

根底にあるのは野村イズムだ。恩師である野村監督について高津監督は「野球は凄く難しくて奥が深いけど、グラウンドではのびのびやらせてくれた」と言う。だから自身も選手が萎縮するような雰囲気は絶対につくらない。この日も試合前に「ミスしたらお小言をもらうかもしれない。でも、そんなことを気にしてプレーすることは絶対にやめてください」と選手に伝えた。

 チームは野村監督が指揮してリーグ優勝と日本一に輝いた97年6月29日以来となる6月中の貯金20。日数も63試合目での到達も、ともに球団史上最速だ。今のチームには一体感、そして底力がある。

 ≪V率86%≫ヤクルトが今季最多の6連勝で41勝21敗1分けとし、両リーグ最速で貯金20に到達した。ヤクルトの貯金20到達は8度目で、6月17日、63試合目での達成は、97年の6月29日、66試合目を抜く球団最速になった。また、高津監督は昨年に続く大台到達。ヤクルトで2度も貯金20以上にチームを導いたのは93、95、97年と3度の野村克也監督以来2人目で、2年連続は初めてだ。なお、チームが貯金20をクリアした過去7シーズンのうち、優勝を逃したのは2位に終わった80年しかなく、V確率は86%だ。 セリーグは監督の能力の差が顕著です。高津監督は平成の名将野村監督越えの監督かも知れません。
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日銀『大規模な金融緩和策を維持』「ドル高・円安」が日経平均を支える

2022-06-18 07:08:31 | 日記
日銀は17日、金融政策決定会合を開き、国内景気を下支えするため、大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。利上げを進める米欧との金利差が一段と広がり、為替市場で円安が加速する可能性がある。 15日は米連邦準備制度理事(FRB)が0・75%の大幅利上げを決定。欧州中央銀行(ECB)も7月に0・25%の利上げに踏み切る方針を表明している。16日にはスイス中銀が予想外となる15年ぶりの利上げを発表。スイス・フランは対ユーロでの上限が撤廃された2015年1月以来の大幅高となる見通しだ。スイス中銀が07年来の利上げ、政策金利マイナス0.25%に- 
急速な円安の進行について、日銀の黒田東彦総裁は「経済にマイナスであり、望ましくない」としているが、日本の消費者物価上昇率は欧米に比べてまだ低いうえ、日本経済の回復もまだ途上だとして金融緩和の継続が適切と判断した模様だ。
約24年前の1998年、大蔵省(現在の財務省)の財務官として円安阻止のための「為替介入」を指揮し、“ミスター円”と呼ばれた榊原英資氏は24年ぶりの円安水準だが、現在の水準をどうみているか と聞かれ、「日本売り」で円安になっているわけではないので、あまり危機感は持ってないです。円安の原因ははっきりしていて、アメリカは金融引き締めをやっている、日本は金融緩和ですから、当然「ドル高・円安」になります。そういうことで円安になっているわけですから、非常にはっきりした理由があって円安になっているということ。只今までは、輸出産業にとって円安がプラスといわれてきたが 今回の円安は違うのか? と聞かれ、いま状況は相当違っています。日本企業が相当、海外に出て、実際に日本から輸出するのではなく、現地で生産することが非常に多くなっています。そうなると円安じゃなく「円高の方がプラス」なんです・・・かつてロバート・ルービンが「強いドルはアメリカの国益である」と言ったけど、「強い円は日本の国益」・・・そういう状況になってきています。と答えています。円安は輸入コストの増加につながり、家計には負担増となる。黒田氏はすでに6日の講演での発言が批判を浴び、撤回に追い込まれたばかり。緩和は続けたいが、円安の「主犯」として批判を浴びることも避けたい―。日銀への八つ当たり的な批判がさらに強まる恐れている。円安のマイナス面を強調する姿勢からは、そんな日銀の苦しい立場が透ける。他の国同様に利上げし、 円高に傾けば物価が安定し、産業界や年金暮らしにはプラスかもしれませんが、インバウンド需要は減り、株式市場には大幅にマイナスで、雇用不安も発生し、日銀の政策が正しいと証明された時には日本は既に不況入りですね。

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❝エンゼルス大谷翔平❞「ロジックに逆らう能力」で6回無失点に抑え5勝目、4打数2安打

2022-06-17 15:25:25 | スポーツ
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手が16日(日本時間17日)、敵地マリナーズ戦に「3番・投手兼DH」で先発出場。打っては4打数2安打、投げては6回3安打無失点の好投で今季5勝目をマークした。4-1で勝ったチームは連敗を3でストップ。米記者は、投手・大谷の隠れた好記録を紹介し「ロジックに逆らう能力だ」と指摘している。
 大谷は初回こそ2死一、二塁とされるも、その後は得点圏に走者を進ませず。落差の大きなスプリットも駆使してマリナーズ打線を散発3安打に封じ、6回を93球で無失点に封じた。最後は「オラァ!」と雄叫びをあげて投じた99.2マイル(159.6キロ)の剛速球で、この日6つ目の三振を奪った。
 チームの連敗を3で止めた大谷だが、試合中に米記者が興味深いデータを紹介していた。米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」などに寄稿していたブレント・マグワイア記者は「バリー・スポーツ・ウェストからの、このショウヘイ・オオタニのスタッツはワイルドだ。ショウヘイの、ロジックに逆らう能力だ」とツイッターに投稿。大谷の奪三振率に関するスタッツを画像で伝えた。
 試合を中継した米放送局「バリー・スポーツ・ウェスト」のデータによると、大谷は打者1巡目の奪三振率が26.7%、2巡目が34.8%なのに対し、3巡目が35.6%と最も高く、これはMLBで最高の数値なのだという。試合が疲れの出る終盤に近づくにつれ、奪三振が増える大谷の力が米メディアから注目されていた。奪三振率が3巡目35.6%「ロジックに逆らうスーパースター」の証明です。
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藤井聡太、棋聖戦5番勝負『銀捨ての絶妙手一撃』で形勢逆転、永瀬拓矢を倒し1勝1敗

2022-06-16 05:31:15 | 日記
9時に始まった将棋の「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局」 は19時21分に終局。結果は138手で藤井棋聖の勝ちとなりました。永瀬王座の逃げ道を塞ぐ116手目、△9七銀と打って、形勢逆転一気に永瀬王座を投了に追い込んだ。 五番勝負はこれで両者ともに1勝1敗(2千日手)となりました。第3局は7月4日、千葉県木更津市・龍宮城スパホテル三日月でおこなわれます。

藤井聡太棋聖 「(70手目)△3七とで桂を取ってから形勢を損ねてしまって。うーん、そうですね。基本なんか、中盤はずっと苦しいのかなと思っていたんですけど。そうですね。(120手目、相手の飛車の横筋を止める)△4八歩のあたりで(相手玉に)詰めろが続きそうな形になったのかなと思いました。(113手目、自玉に王手をかけられた)▲3二金にちょっと時間がなかったので(残り2分)。本譜はなんか勝負手のつもりでやっていました。(116手目、相手玉の逃げ道をふさぐ△9七銀と打ったあたりは)まったくわかってはいなかったんですけれど、なんか(相手に飛車を取らせて)△1三玉としたので、流れとしては仕方ないのかなとは思っていました。(本局を勝って1勝1敗、第3局の意気込みは)ここまで2局、内容的にはかなり押されてしまっていると思うので、第3局以降、内容をよくして戦えるようにしたいなと思います」

 
勝負の分かれ目となった午後3時のおやつは、両対局者とも注文は飲み物のみ。藤井棋聖はアイスティー(アールグレイ)とオレンジジュースを頼んだ。


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6/15「棋聖戦五番勝負・第2局」「将棋は体力」永瀬王座の毒に痺れた藤井棋聖

2022-06-15 03:48:37 | 日記
将棋の藤井聡太棋聖(19)=竜王・王位・叡王・王将=に永瀬拓矢王座(29)が挑戦している「第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第2局が本日15日、新潟市西蒲(にしかん)区の岩室温泉「高島屋」で始まりました。第1局は、異例の2度にわたる千日手指し直しの末、永瀬王座が先勝。藤井棋聖が巻き返してタイに持ち込むか、永瀬王座が初の棋聖奪取へ王手とするか。重要な一局となる。
第1局は藤井棋聖の先手で始まったが、夕方に同一局面が4回繰り返され、膠着状態となる千日手が成立。先後を入れ替えて行われた指し直し局も再び千日手となった。再指し直し局では、互いに指し手が速く、研究勝負とみられた。永瀬王座に比べ、持ち時間が少なくなっていた藤井棋聖が徐々に苦しくなり、永瀬王座が熱戦を制した。「千日手王子」とも呼ばれた永瀬は、10代の頃から千日手が多いことで知られた。最近ではその頻度も落ち着いていたように思われた。しかし大舞台で藤井を相手に、千日手を2回続けてやってのけるあたり、永瀬の面目躍如といったところだろう。 
藤井棋聖が開幕戦で黒星を喫するのは、昨年の王位戦七番勝負以来。相手は当時、対戦成績で圧倒されていた豊島将之九段だった。開幕戦で完敗したが、その後4連勝してタイトル防衛に成功した。今月3日の棋聖戦第1局で敗れた後も「第2局まで2週間弱あり、それに向けてしっかり取り組みたい」と話しており、どう立て直すか注目される。
一方、先勝した永瀬王座は藤井棋聖との対戦成績が4勝7敗で負け越してはいるが、直近で3連勝している。また、今年度の公式戦では、まだ黒星がなく、7連勝中で勢いもある。
「将棋は体力」というのは藤井の師匠の師匠にあたる板谷進九段(故人)の名言だ。永瀬は将棋盤の前に座り続けて疲れを見せないという点でも棋界トップクラスだ。両者の通算対戦成績は藤井7勝、永瀬4勝。直近では永瀬の3連勝中だ。
盛り上がりをみせる「第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第2局の始まりです。
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『FRB金融引き締め』もしも日本が世界的なインフレに巻き込まれたら・・・

2022-06-14 06:42:01 | 日記
世界の金融市場は予想以上のインフレ指数を受け大きく下落しています。昨日も米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に4日続落し、876.05ドル安の30516.74ドル昨年2月1日以来約1年4カ月ぶりの安値となった。高インフレ抑制のためFRBが積極的な金融引き締めを進めるとの警戒が強まり、幅広い銘柄に売りが集まった。午後に入り、米長期金利が上昇幅を拡大すると一時1000ドル超下落した。  ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に4日続落し、2020年9月以来約1年9カ月ぶりの安値で取引を終えた。
市場の大混乱から一瞬で、デフレに慣れ、乾ききった日本のインフレに火が付く可能性があります。インフレ対策としては定番は株や不動産、商品ですが、株や不動産、商品はいずれも最近は金融化され金融資産として似たような値動きをする。
インフレはお金の価値低下だから金融資産は低下する。要は現物として流通している不動産や商品に比べ金融化された不動産・商品はあまりにもロットが大きいのです。防衛策の一つとして下落する円を流動性が高い他の通貨に換える方法もあるのかもしれません。選ぶ通貨を間違えれば大損害ですし、もちろん他にもっと有効な方法もあるでしょう。日本にとっては為替の円安を放置した方が、経済復活が早まるのです。しかし、それまでの道のりは決して平たんではありません。日本人が嫌い避けてきたハードランディングです。自己防衛するには、具体的には高インフレ抑制のためFRBが積極的な金融引き締めをしているドルがいいかもしれません。今後1㌦180円以上の円安もあり得ます。今後予想されるのは混乱は、日銀による介入、マイナス金利解除、矢継ぎ早の公定歩合引き上げ、急激な金利上昇による多額の借金をしている企業、個人の破綻、株価暴落、不動産価格暴落、家賃の下落などです。借金で株や不動産に投資している投資家にとってはダブルで未曾有の被害を受ける可能性があるでしょう。

❷マイクロソフトはドル高が利益を圧迫するとし、四半期途中としては異例の利益見通し修正を発表。 こうした動きも直近のNYダウ下落に係わっているのかもしれませんが、反対に日本の輸出企業は利益見通しを上方修正する可能性がありますね。
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日本は「死の商人」の仲介でポルトガル領になる予定だった…

2022-06-12 09:21:47 | 日記
新興勢力、織田信長がなぜ短期間に「天下人」になれたのか?信長の大躍進にはイエズス会から軍事協力が大きかったのは事実です。しかし、海を渡って船舶だけで国を取れるのかは疑問です。日本が独立を堅持できたのはひとえに島国だったからです。
❷信長以外の戦国大名は、自らの領土の拡大を目指しはしたが、天下統一を考えることはなかった。名将といわれる武田信玄も上杉謙信もそういった存在であったし、秀吉や家康さえも、信長というお手本がいたからこそ「天下取り」を目指すことができたのである。
信長の登場がなければ、日本の戦国時代はその後も延々と続いていたかもしれないし、日本が統一されないままであれば、日本の一部がヨーロッパの植民地になっていた可能性さえ考えられる。

以下抜粋コピー

織田信長はなぜ「天下人」になれたのか。三重大学の藤田達生教授は「キリスト教を保護する見返りにイエズス会から軍事協力を得た。鉄炮や大砲といった新兵器に関わる技術支援や軍事物資の供給は、信長の天下統一の大きな支えになった」という――。
※本稿は、藤田達生『戦国日本の軍事革命』(中公新書)の一部を再編集したものです。
織田信長を勝たせるために兵站を支えた宣教師たち
近年の研究によって、信長がイエズス会を介して硝石や鉛を大量に確保していたことが指摘されている。イエズス会宣教師によって、タイ産鉛と中国産硝石がセットで輸入され、堺商人を経由して信長のもとに届けられたとみるのである。
その根拠は、メダイ(キリスト教聖品アクセサリー)や十字架や指輪といったキリシタン遺物に使われている鉛が、鉛同位体比分析によって、日本で使われた鉄砲玉の原料と同じタイのソントー鉱山産と判明したからだ。イエズス会と信長の親密さの背景には、キリスト教保護の見返りとしての軍事協力があったとわかる。
宣教師たちの鉛と硝石の入手ルートとしては、タイのアユタヤやパタニなどで鉛を積み、中国のマカオなどで硝石を購入、そこから九州そして土佐沖を通る南海路を経て、紀淡(きたん)海峡を通り抜けて堺に至る航路が想定されている。
信長は、土佐の長宗我部(ちょうそかべ)氏とは明智光秀を介して良好な関係を築いていたし、真鍋氏ら和泉水軍も麾下(きか)に組織して紀淡海峡の制海権を掌握していた。
宣教師たちは、軍事物資の輸入のほかにも、異教徒を対象とする人身売買や高級品である生糸の輸入にも関与したことがわかっている。布教資金の確保のためにはなんでもした、というのが現実だった。
特に、信長を勝たせるために「死の商人」を演じたのには、理由があった。
日本はポルトガル領となる予定だった
大航海時代のうねりが、ヨーロッパで始まった軍事革命を極東の島国日本にもたらした。
この時代の代表的人物として私たちが思い浮かべるのは、コロンブス、マゼラン、ヴァスコ・ダ・ガマといった航海者、探検家、商人たちだろう。彼らが活躍できたのは、ヨーロッパ諸国において、夜間航行すら可能な羅針盤を用いた航海技術が普及し、さらに向かい風を受けても前進可能な大型帆船・ガレオン船が造船されるようになったからだ。
スペインやポルトガルといった南欧諸国は、優秀な航海技術を武器に莫大な富を求めて海外征服をめざすことになる。彼らは、あらかじめ利権がぶつからないようにするために、ローマ教皇も交えてキリスト教以外の異教徒の世界を二分した。両国間における排他的な航海領域の設定と新発見地の領有や独占権については、一四九四年のトルデシリャス条約の締結によってルールが決定された。
すなわち、ベルデ岬諸島(アフリカ大陸最西端の岬西方の群島)の西沖の三七〇レグア(スペイン・ポルトガルで使用された距離単位、一レグアはポルトガルでは約六〇〇〇メートル)を通る経線を基準に、東側全域をポルトガル領、西側全域をスペイン領としたのである。今の常識からすればとんでもないことだが、両国によって勝手に未発見の諸国も含めて地球規模で領地が二分割されたのである。これをデマルカシオンとよぶ。
この条約によると、日本はポルトガル領となる予定だった。ポルトガル国王は、このような一方的な植民地化を正当化するために、ローマ教皇に働きかけて、新発見地に対するカトリック化を奨励し、保護する姿勢を示したのだ。
資金不足に悩むイエズス会と、織田信長の利害
イエズス会は、一五三四年にイグナチオ・デ・ロヨラらによって設立され、一五四〇年にローマ教皇パウルス三世の許可を得た、宗教改革に対するカトリック側の対応として生まれた教団である。イエズス会は精力的に布教地を求め、インドさらには中国、そして日本へと宣教師を派遣した。
ポルトガル国王は、植民地支配の正当化のために、イエズス会に対して海外渡航の便宜や経済的援助をおこなった。したがって、イエズス会の収入の第一は、ポルトガル国王からの給付金だった。次いでローマ教皇からの年金、篤志家(とくしか)からの喜捨(きしゃ)、インド国内の不動産からの収入、公認・非公認の貿易(斡旋や仲介も含む)などがあげられる。
ただし、日本は極東にあるため行き来がままならず、これらの収入はいずれも不定期で、なおかつ教団を維持するには少額といわざるをえなかった。イエズス会の世界教団化に伴う急速な拡大と国王給付金の遅配により、日本のイエズス会は常に資金不足に悩まされたという。
信長が天下統一の意志を明らかにしたのは、岐阜時代すなわち尾張・美濃・伊勢三ヶ国を本拠とした環伊勢海政権期(初期織田政権期)だった。
永禄十一(一五六八)年の足利義昭を奉じての上洛、元亀四(一五七三)年の槇(まき)島城合戦における将軍義昭の追放、天正三(一五七五)年の長篠の戦いでの武田氏に対する勝利、このような経緯のなかで、室町幕府にかわる政権を構想したのであるが、その背景には鉄炮隊を中心とした圧倒的な軍事力の獲得があった。
長篠古戦場で見つかった「タイ産の鉛玉」
信長方が使用した鉄炮玉のなかにタイ産鉛の玉が確認されたのは、長篠の戦いの古戦場で見つかったものである。発見された二十点のうち二・五(混合)点がそれに該当する。また朝鮮半島や中国産が三点だった。
これらの事実から、平尾良光氏は「信長は外国産の鉛と火薬を偶然でなく、意図して導入していたことを示唆する。(中略)反面、武田側では鉛を生産できたとしても、火薬の入手がかなり困難だったのではないだろうか」と指摘する。
長篠の発掘事例は、天正三年までに、つまり信長の岐阜時代にイエズス会を通じて硝石や鉛を大量に輸入するルートが確保されたことを暗示するものである。この時期のイエズス会は、長崎の要塞化を開始したばかりであり、まだまだ経済基盤は弱体だったから、珍しい贈答品を贈るなどして信長の歓心を買うことで利用しようとした。
特に、鉄炮や大砲といった新兵器に関わる技術支援や軍事物資の供給は、信長にとって魅力的だったことは確実である。
このように、国内におけるイエズス会勢力の急速な浸透は相当に生臭いものであって、背後にはデマルカシオンという世界政治が横たわっていた。この一成果として、天正八(一五八〇)年の安土(あづち)におけるセミナリヨ(イエズス会司祭・修道士育成のための初等教育機関)の建設があげられる。
信長の中国遠征計画の本気度
ここで、天正十年六月の本能寺の変の直前に、信長関係者から宣教師ルイス・フロイスにもたらされた情報を抜粋する(『フロイス日本史』)。
信長は(中略)毛利を平定し、日本六十六カ国の絶対君主となった暁には、一大艦隊を編成してシナを武力で征服し、諸国を自らの子息たちに分ち与える考えであった。
よく知られた信長の中国遠征計画の一節である。「諸国を自らの子息たちに分ち与える考え」と記されていることから、情報源は信長三男の信孝(のぶたか)周辺と推測される。この頃、彼はキリシタンになる願望をもっており、オルガンティーノ(安土セミナリヨ設立)ら宣教師たちと親しく交わっていたからである。
天下統一直前といってよいこの時期、信長は新たな政治段階に向けて画策していた。一門や近習を畿内近国に、懸案の四国地域を信孝を含む三好康長派閥に、平定予定の中国地域を秀吉(養子は信長五男秀勝)派閥に配置し、光秀ら宿老層に対して遠国への国替を断行しようとしていた。
そのような時に、次代を担う信孝らに「大陸出兵」が表明されたものと推測する。これを、信長の途方もない「野心」と一笑に付すわけにはいかないのではないか。
これには、イエズス会さらにはポルトガルの「世界戦略」との関わりを感じざるをえない。つまり、彼らに依存するほかなかった硝石や鉛を大量に確保するめどが立たなければ、このような意志表明などできるはずがなかったからである。
信長、秀吉と他の戦国大名の決定的な違い
本格的な鉄炮戦として知られる長篠の戦いに関する研究は、近年進展している。平山優氏は、従来のような三千挺の鉄炮隊(新戦法)対武田騎馬隊(伝統戦法)の図式は誤りだと断言する。すなわち、鉄炮の多寡がこの戦争の決定要因ではなく、『戦国日本の軍事革命』でもふれたように武田勢もそれなりの量を持参していたが、肝心の火薬や玉不足が大敗の要因だったと結論づけている。
武田氏のみならず関東に覇を唱えた北条氏も含めて、東国大名は玉の原料である鉛の入手に手を焼いた。領国内に鉱山が乏しく、多くを外国産に依存しており、畿内を制圧した織豊政権がそれを獲得するのが有利だったのに対して、東国の戦国大名は鉛の調達に奔走していたのであった。
不足を補う代替品として、武田氏は悪銭を、北条氏は梵鐘(ぼんしょう)の供出を領内から求め、それらを鋳(い)つぶして製造している。つまり、彼らは、銅玉や鉄玉を使用したのであるが、鉛玉と比較すると高価な割に破壊力は弱かった。
そもそも、鉄炮玉に鉛が使用されるメリットは三つあり、一つは安価で比重が大きいことにある。鉛は、地球上にある金属のなかでもトップレベルで比重が大きい物質で、密度は一一・三四、ちなみに銅は八・九六、鉄は七・八七である。火薬の爆発速度の上限が決まっているうえ、空気抵抗は速度が上昇すると増大するため、軽い玉を速く撃ち出しても失速して威力を失ってしまう。そのため玉は比重が大きいことが重要といわれるから、鉛玉が有利なことは明白である。
鉛玉が戦国大名の命運を分けた
次にあげられるメリットは、鉛の柔らかさだ。着弾した際、弾頭がキノコの傘のような形になることをマッシュルーミングとよんでいるが、そのような形で潰れることで、敵兵に大きなダメージを与えた。
最後のメリットとしては、融点が低いため兵士自らが鉄炮の口径に応じて簡単に大量に製造できたことである。戦場にインゴット(鋳塊(ちゅうかい))のまま持ち運び、必要に応じて鋳型を用いてつくることができた。これに対して鉄や銅は専門の鍛冶を必要とするから、あらかじめ口径に応じて製作し、戦場に持ち運ばねばならなかった。
また、鉄炮は何度も続けて発射すると、カルカ(鉄炮に附属し、銃身の掃除や筒口から銃身に弾丸を込めたりするのに用いる棒)で掃除をしても火薬の焼けかすが筒の内部に付着することから、口径の小さな玉を使用せざるをえなかった。その場合も、自由に製造できる鉛玉のほうが対応しやすかったのである。
たとえば、北条氏の山中城跡(静岡県三島市)や八王子城跡(東京都八王子市)から出土した鉄砲玉は、銅玉や鉄玉が圧倒的に多いという報告がある。その場で製造でき殺傷能力の高い鉛玉を大量に持ち込んだ豊臣方と、価格が高くあらかじめ製造しておかねばならず、しかも鉛玉よりも飛距離が短く殺傷能力が低い銅玉・鉄玉に頼らざるをえなかった北条方との戦力差は、戦前から明白だったのではあるまいか。
---------- 藤田 達生(ふじた・たつお)氏 三重大学教育学部教授 
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負債まみれのレバノン経済危機と政情不安が深刻化、カルロスゴーンは?

2022-06-11 08:07:13 | 日記
米国株式市場では、昨日ダウ工業株30種平均は大幅に3日続落。5月米CPIが約40年ぶりの伸び率を記録したことで、インフレ高進と景気減速懸念が高まり株式への売りが膨らんだ。市場では「FRBが秋以降も積極的な金融引き締めを続ける」との見方が強まった。6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値が予想を大きく下回り、統計開始以来最低となったことも投資家心理を冷やした。  ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に3日続落した。米国は景気が良すぎて、金利引き上げ懸念が強まり株価が大きく下落しています。米国はしばらく高値波乱が続くでしょう。一方の、日本はさほど引きずられないかもしれません。
話は変わり、中東のレバノン国内では病院で患者の受け入れができず、医薬品や医療機器の蓄えが1ヶ月で底をつくと予測されており、専門家らは「医療上の重大な危機」が迫っていると警告した。
この警告が出された前日には、信用格付け会社のムーディーズがレバノンの最大手3銀行(Audi、Bloom、及びByblos銀行)をより高いリスク水準を示すCaa2までを格下げしたことによって、危機的状況であるレバノン経済への信用が国際的に低下したばかりだ。
レバノンの病院、医師、及び医療機器ディーラーの団体は共同で「保証機関からの支払いの遅れによって金融流動性が不足したため、病院ではもはや患者の受け入れができない状況になっています」との声明を発表した。
「現時点での医薬品と医療機器の蓄えは1ヶ月で底をつきます。ディーラー用に資金を米ドルに換金する支援を行なって状況を直ちに改善しない限り、医療上の重大な危機が訪れる可能性があります。1週間以内に、病院では急患以外の患者受け入れができなくなります」と声明では付け加えられている。
エコノミストのイッサム・ジュルディ氏は『Arab News』に対し、「レバノンは病んで苦しんでいる状態です。国庫にも資金がなく、予算もありません。レバノン銀行(レバノンの中央銀行)は自由準備金を使い果たしています。リラ(レバノン・ポンド)を支えたり、燃料、炭水化物、医療機器、及び小麦などの戦略的に重要な品目に出資することもできなくなっています」と語った。
ムーディーズによって格下げされたことによって、レバノンは対外債権をこれまで通りの金利では取得できないことにもなると、同氏は説明する。
ジュルディ氏は次のように語った。「中央銀行は、レバノン市場で流通している米ドルを全て吸い上げ、同銀行の自由準備金であるかのように扱っています。しかし実際にはそれは、レバノン人の預金なのです。
「何が危険かというと、国からの金銭給付と預金には年度に紐づけられているものがあります。もし預金者が満期日に自身の米ドルを引き出そうと思えば、銀行からは米ドルを市場から確保するか預金を米ドルに換金して口座内に留め置くよう言われることになります。つまり20日前に、レバノンはバウンド経済に突入したわけです。
「この危機の原因は、国際収支が170億ドルの赤字になっていること、そしてレバノンのGDPの25%を占めると見られている貿易用の口座で貿易赤字が発生していることです。予算も2019年には7.6%の赤字とみられており、現在の危機が原因で2020年度の赤字額はさらに上昇するでしょう。とりわけ、レバノンでは2020年の予算を憲法で定められた期日までに確保できなかったわけですから」と同氏は付け加える。
「1970年代と1980年代の内戦中は、外国から戦闘用の資金提供があったので、レバノンでは財政黒字の状態でした。しかし今やレバノンは、湾岸諸国と国際社会に頼る他ありません。
「経済では奇跡は起きないので祈るほかありませんが、政治では奇跡は起きうるものです。国内外で救済策を練る必要があります」
レバノン経済危機によるガス、電気、ガソリンの供給不足、病院の機能不全、フランス当局の国際逮捕状 、レバノン通貨90%もの暴落などで日本から逃亡し、レバノン国外には出られないカルロスゴーンは国内に預けている㌦資産を取り崩して生活する、日本の拘置所以下の未曾有の窮地に陥っていることでしょう。
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