football smile

the days turn into months and years

カズ

2009-09-16 | football
J2第39節、湘南vs横浜FCを平塚競技場まで見に行った時のこと。試合終了のホイッスルが鳴ると、真っ先にベンチを飛び出したのはカズだった。ロスタイムでの失点で勝点を逃してしまった横浜FCにとっては、善戦していただけに悔やまれる敗戦である。結局この日、カズの出番はなかった。もしかしたら、DF早川の負傷交代でベンチのプランが変わってしまったのかもしれない。それでもカズは、うなだれる選手全員を握手で迎えた。そして先頭に立ってサポーターのもとへ挨拶に向かった。やはり、どんな時でもカズはキング・カズだった。

ピッチに姿を現すと、敵も味方も関係なくスタンドから声援が飛ぶ。みんなが手を振る。カズも手を振る。ハーフタイムにアップをする控え選手たち。みんなの視線の先にカズがいる。ボールボーイの少年達は、おそらく自分の父親より年上のカズをじっと見つめる。髪に白いものが目立ち始めても、その動きは衰えていない。プーマのスパイクはいつも通りだ。目の前で見ると本当にオーラが出ているのがわかる。わけもなく感動しちゃうよ。誰にとっても特別な存在なのだ。

浦和のサポーターなので、カズのことはずっと好きではなかった。ちょっと気になりだしたのは、フランスW杯メンバーから外れた時から。個人的には、今でもカズはW杯へ出るべきだったと思っている。戦力になるならないの問題ではない。魂の問題。その後、横浜FCでプレーをするようになってからは、わざわざ三ツ沢まで見に行ったりした。J1のトップに立って、海外でもプレーして、日本代表のエースとして活躍した選手が、J2でも決して強くないチームでプレーをするなんて、ずいぶんとかっこいいじゃないかと思った。

価値観というのは人それぞれで、別に何が正しいということではない。自分がかっこいいと思った方を選択すればそれでよい。早々に引退して旅人になるもよし。どんなカテゴリーでも、どんなチームでも、とにかくできる限りプレーを続けるもよし。さて、どっちを選ぶ?多分自分は、三ツ沢でカズを見た時に選んでしまったのだ。そして先週の日曜日、平塚でカズを見て、旅人にならなくてよかったなあと心底思った。ひとつ年上のカズがボールを蹴る姿を見ていたら、まだまだ絶対やめるわけにはいかないと思った。
コメント
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