おこの時期宵の南の空には代表的な春の星座であるしし座やおとめ座が眼前にドーンと見え
ています、この春の星座エリアには明るいのから暗いのまで銀河系外星雲が数多く見るこ
とが出来て星図で見ると星雲の記号がびっしりと描かれています、更に北に目を向けると
おおくま座辺りにも明るめの星雲が多くあり一晩に星雲星団を一気見しやすいエリアが一
晩中見えている季節になります、そんな春の新月に近い夜にメシエナンバーの付いた星雲
星団を一気見するメシエマラソンのまね事をしてみました
メシエ天体とは18世紀の彗星捜索者フランスの天文学者シャルル・メシエが彗星と区別
するため作成した星雲星団のカタログでM番号で表記される星雲星団のことです
メシアマラソンとはこのメシエ天体を一晩で何個見ることが出来るかのゲームをアメリカ
で始められてアマチュア天文家オクセンドル氏によって87年に日本の天文雑誌で紹介さ
れると日本でもちょっとしたブームとなりました、そのメシエ天体の星雲星団を一番効率
よく一筆書きの要領で順番に巡るのに最も条件が良い季節が春の春分の日前後の新月の頃
になると説いていました、当時の天文雑誌で良く話題になり観測レポートも結構ありまし
た、暗い星雲星団を見やすくするため少しでも大きな口径の20センチ30センチ級のド
ブソニアン望遠鏡が主流での低倍率での眼視で目を凝らして見るのですが一見簡単そうに
思える銀河星雲の導入がもともと暗いものが多く望遠鏡に付属した小さなファインダーで
周りの星の配列を手元の星図と照らし合わせる作業が非常に難しく似たような銀河が近く
に点在するような場所だと更に難しい眼視観測になりました
そんなメシエマラソンは自分の望遠鏡は写真専用みたいな使い方なので実施したことがな
く大口径の新機材を買ったら一度は挑戦してみたいと思い続けていました
そんな折、電視観望を目的とした天体の自動導入もできる最新機材の電視望遠鏡を友人が
購入したのでみんなでこれを使ってワイワイとメシエマラソンのまねごとをやってみよう
となりました
電視望遠鏡は最新デジタル技術によりGPSによる望遠鏡のセッティングから目的の天体
へ向けるのもスマホで指示すればその天体を視野真ん中へ自動で導入してくれますさらに
は暗い天体であってもスマホの操作でスタックすると淡い星雲を時間と共にどんどん浮か
び上がらせることが出来るという優れものです
自動導入がルールから外れるかもしれませんが今回はまね事という事で疑似的にメシエマ
ラソンのような電視観望会をしてみました
数多くのメシエ天体を見るには望遠鏡はなるべく空が暗く周りに障害物がない開けている
場所が理想です、今回も天体写真を本気モードで撮影するいつもの山の上の駐車場で陽が
沈むころに到着して準備開始しましたが雲が空のほとんど覆っていてどんどん流れていき
ます望遠鏡のセッティングもままならぬまま雲が切れるのを待つ間西の空に沈みかけてい
るポン・ブルックス彗星の写真を撮ろうとしてもなかなか見つけられないのと雲に阻まれ
満足な写真は撮れませんでした
ポン・ブルックス彗星
そんな状態で時間が進みすっかりと空も暗くなった頃に少しずつ晴れ間が見えてきてメシ
エマラソンを開始しました、既に時間は進んでいるので西の空低空のメシエ天体からとス
ケジュールしていましたが飛ばしてペルセウス座、カシオペア座、おおぐま座の順番で進
めました
撮影画像は今回は星雲星団を捉えたというエビデンスを残す目的のために短時間で処理し
て高画像よりも時間を優先して荒い画像でも良しとしました
M76 (ペルセウス座)惑星状星雲
M103(カシオペア座)開散星団
M81(おおくま座)渦巻銀河
M82(おおくま座)不規則銀河
北の空からいったん西の空へ大きく移動しましたがおうし座のM45プレアデス星団を見
落としてしまっていました(ただ対象が大きすぎ画面に入りきらないですが)
ぎょしゃ座にある散開星団は大きな対象なので双眼鏡で見るととても綺麗です
M38(ぎょしゃ座)散開星団
M36(ぎょしゃ座)散開星団
M37(ぎょしゃ座)散開星団
M35(ふたご座)散開星団
M1 カニ星雲(おうし座)超新星残骸
M65(しし座)渦巻銀河
M66(しし座)渦巻銀河
しし座の中心付近にトリオと言われる銀河があり2つはメシエ番号がありますが1つには
メシエ番号がなくNGC3628でハンバーガーのように見えます
NGC3628(しし座)非棒渦巻銀河
おおくま座のひしゃくの升の部分にある惑星状星雲で形がフクロウのように見え色も綺麗
です
M97 ふくろう星雲(おおくま座)惑星状星雲
M109(おおくま座)渦巻銀河
おおくま座の隣にあるりょうけん座の大型銀河です
M106(りょうけん座)渦巻銀河
M94(りょうけん座)渦巻銀河
ひまわり銀河との名称も付けられた銀河でひまわりの花の中の種状の粒粒が特徴です
M63 ひまわり銀河(りょうけん座)渦巻銀河
りょうけん座ですがおおくま座のすぐ近くにある大小の銀河が接近している子持ち銀河で
す銀河の中で一番写りが良く見栄えがあります
M51 子持ち銀河(りょうけん座)渦巻銀河
おおくま座にある大型の銀河ですが結構淡いので写真で浮かび上がらせるには露出時間を
掛けた方が良いです眼視では非常に淡いので見えにくいです
M101 回転花火銀河(おおくま座)渦巻銀河
M102 (りゅう座)レンズ状銀河
M3 (りょうけん座)球状星団
M53(りょうけん座)球状星団
銀河の中心部分にある暗黒星雲が黒眼のように見える銀河です
M64 黒眼銀河(かみのけ座)渦巻銀河
しし座とおとめ座の間にあるかみのけ座の銀河が集中するエリアにある大型のエッジオン
銀河でメシエ番号は付いていませんが大型の銀河なので順番に入れました
NGC4565 エッジオン銀河(かみのけ座)エッジオン銀河
このエリアは銀河が集中して同じような形の銀河が多いところなのでファインダーを覗き
ながらの手動での導入は非常難しいエリアですが流石最新電視望遠鏡の強みでなんの苦労
も無くスマホでピッとするだけで自動で視野の真ん中に入ってきて次々とメシエ天体を通
過していきます右の大きな銀河がM85、左の銀河がNGC4394です
M85(かみのけ座)レンズ状銀河
M100(かみのけ座)渦巻銀河
M99(かみのけ座)渦巻銀河
M98(かみのけ座)渦巻銀河
マルカリアン・チェーンと名付けられた銀河密集地帯にある銀河でチェーンのように連な
っていて写真でよく狙う対象です
M84(おとめ座)レンズ状銀河
大きな銀河がM86、上の小さな銀河はNGC4402、下右寄りガNGC4388
M86(おとめ座)レンズ状銀河
日本の学者チームが始めてブラックホールを撮影したという銀河
M87(おとめ座)楕円銀河
M88(かみのけ座)渦巻銀河
M91という番号が振られていますが当初カタログの座標が不正確だったため不明天体で
したが後にこの銀河であろうと言われています
M91(かみのけ座)渦巻銀河
M90(おとめ座)渦巻銀河
M89(おとめ座)楕円銀河
M58(おとめ座)渦巻銀河
M59(おとめ座)楕円銀河
南の低空に晴れ間出たので銀河集中エリアからいったん南の空に切り替えます
南の空には一風変わった形の銀河があって銀河を横から見た姿なのですがぼんやりした中
心のハローとエッジの暗黒星雲の組み合わせでソンブレロの帽子に見える銀河です
M104 ソンブレロ銀河(おとめ座)楕円銀河
またまた寄り道ですこの近くには変わった銀河が何個かあり折角ので巡りました二つの小
さな渦巻銀河が接近してお互いが絡み合っています
NGC4038 アンテナ銀河(からす座)渦巻銀河
M68(うみへび座)球状星団
南の低空に見える大型のフェイスオン渦巻銀河です
M83 フェイスオン銀河(うみへび座)渦巻銀河
低空にはこれも変わった形の特徴ある電波銀河です
NGC5128 電波銀河(ケンタウルス座)電波銀河
その更に低空ぎりぎりに全天位一大きなオメガ星団が見えてきます、低空すぎてフランス
のメシエでは地平線以下だったため見る事が出来ずこれだけ大きく明るい球状星団なのに
ナンバーは付いていません
日本からは低空のため黄色味を帯びて見えますがぐっと南のグアム島で見たときは高度は
凄く高くて真っ白で非常に細かいキラキラ輝く真珠の塊に見えとてもとても綺麗でしたあ
の美しさは一生忘れません
オメガ星団
春の星座からエリアは夏の星座に入り込んできます、M5は中学生のころに何気なく彗星
捜索のまねで望遠鏡を覗きながら水平方向に振って流していると突然に大きな星の塊が入
って来て彗星か?ってドキドキした思い出があります、まさかこんな大きな明るい星が誰
も見つけられず野放しなるはずも無いですが
M5(へび座)球状星団
北天でもっとも有名な球状星団で誰でも必ず一度望遠鏡を向けてみる対象です
M13(ヘルクレス座)球状星団
M13と対で有名な球状星団です
M92(ヘルクレス座)球状星団
いよいよ夏の天の川エリアに入ります
M57 リング状星雲(こと座)惑星状星雲
惑星状星雲で一番カラフルできれいな星雲です
M27 あれい星雲(こぎつね座)惑星状星雲
M4 (さそり座)球状星団
このあたりで再び雲が広がって来て満足いく観測が出来なくなったので早いですが終了と
しました、開始20時20分、終了深夜2時(26時)の5時間40分の間の観測したト
ータル数は
メシエ天体は(メシエ全体数108個) 44個
NGC天体(メシエ番号が付かない) 5個
いう結果となりました