(原題:The Tree of Life)
----この映画、スゴくヒットしてるとか。
でも、途中で退席する人も多いんだって?
「うん。
どうやらカンヌでパルム・ドール賞受賞ということと、
ブラッド・ピット、ショーン・ペンという
ふたつの要素で集客しているらしい。
でも、なにせあのテレンス・マリック監督作品。
まあ、ハートフルな感動映画と思って来た人たちは、
かなり面食らっただろうね。
先月、ある打ち合わせに行った時、
その人の言葉から出た言葉が、
『まあ、観てください。
のような映画ですから…』と意味ありげな笑い。
その人は、スゴく気に入られたようだけど、
別の知人からは、あまり好きではないとのメール。
これは期待が膨らむというモノ」。
----う~ん。想像つかないニャあ。
どんな映画だろう?
「基本は、
1950年代に、
『力こそが成功の道』を信念に生きる
厳格な父親(ブラピ)にスパルタ教育を受けた男(ショーン・ペン)の回想。
ただ、その描き方が、
彼の<記憶>というか<意識>というか、
物語を紡ぐというよりも、その流れを見せていく。
この父親と息子の<対立>という設定自体は、
アメリカ映画に昔からあるパターンで、
有名な例としては『エデンの東』が挙げられる。
ただ、この映画がユニークなのは、
そこに、地球というよりも宇宙の始原に発する
生命誕生から現代に至るまでの流れを
ナショナルジオグラフィックもかくやの
緻密な映像で見せていくこと。
ただ、それは人類の曙まではいかない。
せいぜい、恐竜の時代あたりまでなんだけどね」
----恐竜って、『ジュラシック・パーク』みたいなの?
「いやいや。
あんなのより、よっぽど存在感がある。
で、ちょっと『月刊シネマグランプリ』を覗いて見たんだけど、
この構成、映画を論じる人たちでも、
父と子の関係の方がいいという人もあれば、
その部分ではなく宇宙や大自然の映像パートが好きという人もいる。
それでいて、だれもが絶賛しているんだから、
ある意味、このテレンス・マリックという人は、
一時期のゴダールみたいな(いやそれ以上の存在)監督なんだろうな」
----まずは“認める”ことが前提にあるってこと?
「あわわわわ(汗)。
それは言いすぎだろうけど、
まあ、誰からも愛される幸せな監督であることは間違いないね」
----で、えいはどっちのパートが好きニャの?
「それは近年の作品(と言っても古いけど)『シン・レッド・ライン』でも『ニュー・ワールド』とも、
印象に残っているのは自然の切り取り方だし、
父と子のパートよりは、そっちの方に浸っていたい。
そうは言っても、
人が登場する部分も彼が並の監督じゃないことは
十二分に伝わるけどね。
少年時代の想い出の切り取り方、
下着を盗んだり、2B弾で小生物をいじめたり、DDT散布に群がったり…。
いずれも、現実的には問題を抱える過去なのに、
郷愁を感じさせる美しさがある。
その最たる例が赤ちゃんの誕生。
なぜか、日本映画では、体液まみれのぬめっとした赤ちゃんが
お母さんの両足の間から出てきて『おぎゃ~っ』。
ところが、この映画では出産の激痛の次のカットは
父親の両手にはさまれた愛らしい“あんよ”。
これひとつとっても、
この監督が特別なところにいるこまったく違う高みにいることは分かる。
テーマについては、それこそ人それぞれ感じ方が違っていいと
ぼくは思う。
これは“体験することに意味がある映画”だからね。
ぼくは『ブレードランナー』に通じるものを感じたけどね。
あの中でのレプリカントの苦悩。
『我々はどこから来てどこへ行くのか』?
でもなあ…」
----ん?
「こんな映画撮ったら、次は何を撮るんだろう?
『時計じかけのオレンジ』のようなわけには
いかないだろうし。
そっちが気になる」
----普通の監督じゃないんだから、
とんでもないこと考えているかもよ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「寝てしまう人も多いらしいのニャ。」
※「愛がなければ人生は瞬く間に過ぎ去る」度


こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。

「ラムの大通り」のツイッター

人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)

※画像はオフィシャル・ダウンロード・サイトより。
----この映画、スゴくヒットしてるとか。
でも、途中で退席する人も多いんだって?
「うん。
どうやらカンヌでパルム・ドール賞受賞ということと、
ブラッド・ピット、ショーン・ペンという
ふたつの要素で集客しているらしい。
でも、なにせあのテレンス・マリック監督作品。
まあ、ハートフルな感動映画と思って来た人たちは、
かなり面食らっただろうね。
先月、ある打ち合わせに行った時、
その人の言葉から出た言葉が、
『まあ、観てください。
のような映画ですから…』と意味ありげな笑い。
その人は、スゴく気に入られたようだけど、
別の知人からは、あまり好きではないとのメール。
これは期待が膨らむというモノ」。
----う~ん。想像つかないニャあ。
どんな映画だろう?
「基本は、
1950年代に、
『力こそが成功の道』を信念に生きる
厳格な父親(ブラピ)にスパルタ教育を受けた男(ショーン・ペン)の回想。
ただ、その描き方が、
彼の<記憶>というか<意識>というか、
物語を紡ぐというよりも、その流れを見せていく。
この父親と息子の<対立>という設定自体は、
アメリカ映画に昔からあるパターンで、
有名な例としては『エデンの東』が挙げられる。
ただ、この映画がユニークなのは、
そこに、地球というよりも宇宙の始原に発する
生命誕生から現代に至るまでの流れを
ナショナルジオグラフィックもかくやの
緻密な映像で見せていくこと。
ただ、それは人類の曙まではいかない。
せいぜい、恐竜の時代あたりまでなんだけどね」
----恐竜って、『ジュラシック・パーク』みたいなの?
「いやいや。
あんなのより、よっぽど存在感がある。
で、ちょっと『月刊シネマグランプリ』を覗いて見たんだけど、
この構成、映画を論じる人たちでも、
父と子の関係の方がいいという人もあれば、
その部分ではなく宇宙や大自然の映像パートが好きという人もいる。
それでいて、だれもが絶賛しているんだから、
ある意味、このテレンス・マリックという人は、
一時期のゴダールみたいな(いやそれ以上の存在)監督なんだろうな」
----まずは“認める”ことが前提にあるってこと?
「あわわわわ(汗)。
それは言いすぎだろうけど、
まあ、誰からも愛される幸せな監督であることは間違いないね」
----で、えいはどっちのパートが好きニャの?
「それは近年の作品(と言っても古いけど)『シン・レッド・ライン』でも『ニュー・ワールド』とも、
印象に残っているのは自然の切り取り方だし、
父と子のパートよりは、そっちの方に浸っていたい。
そうは言っても、
人が登場する部分も彼が並の監督じゃないことは
十二分に伝わるけどね。
少年時代の想い出の切り取り方、
下着を盗んだり、2B弾で小生物をいじめたり、DDT散布に群がったり…。
いずれも、現実的には問題を抱える過去なのに、
郷愁を感じさせる美しさがある。
その最たる例が赤ちゃんの誕生。
なぜか、日本映画では、体液まみれのぬめっとした赤ちゃんが
お母さんの両足の間から出てきて『おぎゃ~っ』。
ところが、この映画では出産の激痛の次のカットは
父親の両手にはさまれた愛らしい“あんよ”。
これひとつとっても、
この監督が特別なところにいるこまったく違う高みにいることは分かる。
テーマについては、それこそ人それぞれ感じ方が違っていいと
ぼくは思う。
これは“体験することに意味がある映画”だからね。
ぼくは『ブレードランナー』に通じるものを感じたけどね。
あの中でのレプリカントの苦悩。
『我々はどこから来てどこへ行くのか』?
でもなあ…」
----ん?
「こんな映画撮ったら、次は何を撮るんだろう?
『時計じかけのオレンジ』のようなわけには
いかないだろうし。
そっちが気になる」
----普通の監督じゃないんだから、
とんでもないこと考えているかもよ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「寝てしまう人も多いらしいのニャ。」

※「愛がなければ人生は瞬く間に過ぎ去る」度




こちらは噂のtwitter。

「ラムの大通り」のツイッター



☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)


※画像はオフィシャル・ダウンロード・サイトより。
それだけ、人それぞれに違う何かを静かに打つものや、
過去の出来事や思い出に重なるもの、
映像を観ながら突然思い至るもの・・・というようなことが、
たくさん盛り込まれた作品であったということなのでしょう。
これはかなり好きな作品でした。
コレ、私の近しい人たちには超不評です・・・。
私はハマッた人なのですが。
登場人物に共感する・しないというより、
ひとつのいのちの流れを見守ったような感覚でした。
水辺の2体の恐竜のシーンで、まず驚きたおしました。
「なんじゃこりゃ」となってもおかしくないのに、私には震えを感じる傑作でした!
しかし、それ以外は見事にマリック節が全開でした。
神はどこにいるのかと説いている映画の、一カット一カットの神々しさはどうでしょう。
まさに神はこの映画のディテールにいたと思います。
しかしまあこの神映像を大スクリーンで観られるのはありがたいのですけど、感動物と騙されて観に来るお客さんが、マリックと聞いただけで二度と映画館に足を運ばないであろう事は少々残念です。
個人的には好きな作品でした。
映画全体も好きでしたけど「モルダウ」の使い方がすごく好きでした。
まさかあそこで使われるとは・・・
その映像とあの音楽に感動して気づいたら泣いていました(笑)
ダメな人は多いだろうと思っていましたが、かなり多いですよね(笑)
逆に何がそんなにダメなんだろう?
でもテレンス・マリックという要素を無視して見に行った人は面食らうでしょうね。
日本に本帰国して、引越しやらリフォームやらの過酷な夏をすごしておりました。
やや落ち着いたのでまたよろしくお願いいたします~
さて、えいさんはこの映画気に入られたのですね。
私は忙しい最中にみたせいか、気持ちに余裕がなかったのでしょうね。
どうしても監督の世界に浸れませんでした。
亀レスとなりすみません。
この映画、おっしゃる通り、人によって捉え方が違ってくる作品。
そして、エピソードごとに自分に突き刺さるものが…。
ぼくも、遠い記憶を呼び起こされました。それには甘酸っぱいものもあれば、思い出したくないものも。
懐かしかったです。
超不評でしたか…。
ぼくはこういう、自分が映像に包み込まれる感覚は大好きなので、
嬉しかったです。
ただ『2001年宇宙の旅』の方が
宇宙という無限の世界がベースとなっていたこともあり
一貫性を感じてよかったです。
いま思うに、わずか二作作っただけで、彼を伝説の監督として『シン・レッド・ライン』で自ら名乗りをあげていった
ハリウッドの監督たちってスゴいですね。
あの映画にしろ、『ニューワールド』にしろ、
印象に残っているのは、
何があっても、ずっとそこにあり続ける草木や鳥。
彼の視点は人間を超越していますね。
この映画が受け入れられない人は
おそらく映画に、物語、
しかも言葉で説明できるものを求めているからではないでしょうか?
これは理解以前に体感する映画だと思います。