ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『埋もれ木』

2005-04-24 00:58:43 | 新作映画
------おや、頭抱えてるニャあ。
「う~ん、この小栗康平の新作は分からない。
ぼくには、ほとんどお手上げだ」

------どういうところが?
「うん。映画は、ある『山に近い小さな町』の
ちょっと変わったエピソードが
並行していくつも語られるわけだけど、
最後になって、『あれ?』って思ったわけだ」

------????
「果たしていままで自分が観てきた話って、
人間の物語だったんだろうかって。
ネタバレになるから、あまり詳しくは話さないけど、
そういう現実離れしたシーンで映画は終わる。
一緒に観た人が言うには、
『現実とフィクションが同居している』って.....。
で、家に帰ってプレスを見たら、なんとそれどころじゃなかった」

-----それどころじゃない!?
「監督の小栗康平が言うには
『「埋もれ木」では、見えていることと、
見ようとしていることが、ないまぜになっている』
んだって。
このプレスには各エピソードがさらに詳しく

『現実』『夢・希望』『説話』『現実+夢・希望』『夢・希望+説話』に分けてあり、
時間の流れと共に図解までしてある。
しかも、その時間も、ある場所では『固有の時間の流れを持つ』となっているんだ」

------そりゃ、大変だ。観ていてこんがらがったでしょ?
「そういうこと。映画では、それらのエピソードが
果たして『説話』なのかはたまた『現実+夢・希望』なのか、
説明は一切なされていない。
エレファントバードなんて言う巨大な鳥の卵や、
奈落にそれを動かす装置がある回り舞台、
そしてトンパ文字、ひき家、埋もれ木、空に浮かぶ馬の紙灯籠など、
それぞれスクリーンに映し出されるイメージは実に鮮烈なんだけど、
この前知識がなければ、何が何だか分からない。
で、ぼくにはその前知識がなかったわけ」

------にゃるほど。じゃあ、ここでこれを喋ったことは、
これから観る人の手助けになってるわけだ。
「と思いたいんだけどね。
プレスに詳しく絵解きしてあると言うことは、
ただ、観ただけじゃ分からないと思ってのこと。
おそらくパンフレットにもこれは載るんだろうけど、
でも買わなかった人には、まず分からないだろうね。
過去と現実、空想と現実が同居のレベルじゃないからね。
そう考えていくと、映画って何?まで突き当たってしまう。
ぼくは、この映画を観ているとき、
60~70年代、作家性が強く実験的だった頃のATG映画を思い出した。
意図的にアフレコであるということを強調した録音、
ゴダールを思わせる音楽の挿入法なんかも、
その思いを強くさせる。
でも、後で絵解きが必要な映画って.........
う~ん、よく分かんない」

------悩みは深そうだニャあ。
(byえいwithフォーン)

※悩みは深い度人気blogランキングもよろしく}

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー