気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Catch Me(Detective D.D Warren #6) by Lisa Gardner

2018-06-14 09:47:48 | 読書感想

精神に病を持つシングルマザーにより虐待を繰り返し受けていたCharlen Rosalind Carter Grant(Charlie)は電球の破片を食べさせられて病院に緊急搬送された後、山麓のリゾート地で民宿を経営している伯母に引き取られる。8歳の彼女は、そこでやっと人々の温かさと優しさを知り、そしてJackie KnowlesRandi Menke という二人の親友を得る。3人は常に一緒に青春時代を過ごすが高校卒業と共に別々への人生へと旅立っていく。彼女も都会へと旅立つがうまく都会に適合できず、数年後、夢破れて町に戻ってくる。そんな彼女を伯母も町の人々も温かく迎えてくれ、彼女は2度とこの町を去らないことを決意する。

しかし、2年前、Rhode Island州の州都Providenceに住むRandiが自宅で絞殺される事件が起きる。葬儀に出席したJackieと彼女は別れた夫の犯行と考えるが元夫が逮捕されることはなかった。そして、1年前、Atlantaに住むJackieが絞殺される事件が起きる。2年前にRandiが殺された同じ日、1月21日に。警察は1000マイルも離れて起きた殺人事件を関連付けることができず、事件はどちらも未解決のままになっていた。Jackieの葬儀に参加した彼女は同じ日に親友が殺されていることから、来年の1月21日は自分が殺される番だと確信する。

彼女は、二人を殺した犯人は無理やり家に押し入った形跡がないことから、彼女を殺しに来る犯人は彼女を知っている誰かであると考え、彼女を知っている人々から離れることが安全に繋がるとして伯母の住む町を去り、Bostonに移る。そして、22口径の銃を手に入れ、ボクシングを習い、1月21日に現れる犯人に備える。

アメリカ、ボストン市、厳冬期の1月17日、8週間の産休から復帰したBoston警察殺人課捜査主任D.D Warrenは、我が子Jackの世話で寝不足ながら、久しぶりの仕事に緊張感を持って殺害現場に向かう。現場は低家賃の長屋の2階で、被害者は頭部を銃で撃たれて殺された小児性愛者の白人の男。D.Dは4週間前にも変質者が殺される事件が起きていると教えられる。

二つの事件の関連性を見つけるよう指示して車に戻ったD.Dは車のワイパーに Everyone has to die sometime. Be braveと書かれたメモが挟まれているのを発見する。彼女は、周囲を見て、メモを残したと思われる人物が現場を去ろうとしているのを発見、追跡して捕まえるが、その人物が20代の女性だと知る。女性は名前をCharlieと名乗り、メモを置いたのは自分ではないと否定する。そして、自分は4日後に殺されると話し、自分が殺された事件を彼女が捜査してくれることを望んでいると話す。突拍子もない話に戸惑うD.DにCharlieは、彼女がそう信じる根拠を話す。彼女は21日の前日に 自分の部屋を徹底的に掃除しておくと話し、たとえ殺されたとしても、犯人に手傷を負わせて犯人に対する手がかりを残すから、犯人を逮捕してほしいと訴える。D.Dは彼女の真摯な態度から事件に興味を持つ。そして、Randiの事件を担当した刑事に電話し、自ら二つの殺人事件について捜査を始める。またD.Dは、Charlieが小児性愛者が殺された現場の様子を窺っていたことや犯人が使用した銃と同じ口径の銃を所有していることから、今取り組んでいる事件の容疑者としてCharlieを視野に入れていた。

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面白かった。母親と少女との異様な事態で始まる発端から物語に引き込まれてしまった。そして、その少女が成人になったと思われる女性Charlen Rosalind Carter Grant(この長い名前の意味もやがて分かる)の語り口が魅力的。自分は4日後の1月21日に殺されると信じて1年前から銃やボクシングのトレーニングをして殺人者との対決に備える。しかし、死は避けられないと思う彼女は、Boston警察の殺人課で一番優秀な刑事であると考えたDDに自分が殺されたら事件の捜査を担当してくれるよう直訴する。そのユニークなプロットに惹かれてしまう。また彼女は、殺されるその日までに、何か有意義なことをしたいと考えている。そんな彼女は、D.Dから彼女が捜査している連続殺人事件の犯人と疑われる、しかも徐々にその可能性が高まっていき、有意義な行動とは性犯罪者を社会のために殺すこと?彼女にシンパシーを持ち始めた僕を、ハラハラ不安にさせる。親友2人を殺した犯人からも警察からも狙われる彼女の運命が気になって読むペースを上げていった。

読んでいて感じたことは、最近、マスコミに取り上げられた親による少女への虐待、何故少女は虐待を受け続けなければならないのか、この物語の中でも繰り広げられる母親から少女への度を越した虐待、しかし、少女は逃げることができない、母親に頼らなければ生きていけないのだから。切ない現実に絶句。でも、Charlieはそこを耐え抜き、生き抜いた。今、何者かのために彼女の命が危機に瀕している時、少女時代に身に着けた生きるためのたくましさで、事態に冷静に対応していく彼女の姿がとても魅力的。


E-book(Kindle版)★★★★ 378ページ 2012年2月出版 133円(2018年6月購入)



The Fallen (Amos Decker #4) by David Baldacci

2018-06-05 14:57:42 | 読書感想

Pennsylvania 州、Ohio州との州境に近い町Baronville

休暇でパートナーAlex Jamisonの姉Amber の家に滞在しているFBI捜査官Amos Deckerは雷鳴が轟く夜、隣の家の様子に不審な点を抱き様子を見に行く。そこで彼は不可思議な状態で放置されている2人の死体を発見する。

1人の死体は首を吊った状態で発見されるが、首を吊った男の周りには血だまりがあるが男には外傷がない!もう一人は、死因は不明の警官の服装をした死体、だが駆けつけた警官は男が警官であることを否定する。血だまりは何処から、そして誰の血か?一方の男は警官でないにもかかわらず、何故、警官の服装をしていたのか?警察は男2人の身元も特定できない。

事件の謎に興味を持ったDeckerは、Alexの姉のAmberからこの町でここ3週間の間に未解決の殺人事件が2件起きていることを教えられる。

殺害現場 自動車修理工場 被害者2名

Michael Swanson. 黒人、30代、麻薬売人 頭部を銃で撃たれて殺される

Bradley Costa 白人、35歳、銀行の副支店長、 銃殺、額にギリシャの死神が刻印されていた


殺害現場 銀行所有の空き邸宅。被害者2名 ショットガンによる射殺

Joyce Tanner. 白人53歳  失業中

Toby Babott. 白人、40歳 作業中の怪我による障害者

殺人犯は壁に聖書の一節を書き残していった

他の現場で殺された被害者はもちろん同じ現場で殺された被害者同士も顔見知りではない。彼らが何故一緒に殺されたのか、警察は突き止めることができずにいた。

Deckerは、この事件を担当する刑事に捜査への助力を申し出て、彼らの了解の下、一連の事件の捜査に着手する。彼は この小さな町で連続に起きている殺人事件は関連性があると考えて、一見繋がりがなさそうな犠牲者の繋がりを探っていく。

捜査を進める彼は、かって鉱山町として繁栄した町が鉱山の廃業と共に寂れていく様子、それに連れて人々も坂道を駆け下りるように、堕落へ一直線に落ちていく状況を目にする。そして、聞き込みをかけた人々全てが、彼に嘘をついているように彼は感じる。

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彼が発見した遺体の身元を突き止める方法や続けざまに起こった殺人事件の一見繋がりがなさそうに見える人々のつながりを探し出す手腕にはワクワクする。

しかし、犯罪の動機となりそうなものが複数あって焦点がなにか分かりづらい、また犯人も複雑に絡みあって、ちょっとプロットが凝りすぎでそこまではやりすぎではと思わせる。


E-book(Kindle版)★★★ 432ページ 2018年4月出版 997円(2018年3月購入)