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家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Wrong Side of Goodbye (Harry Bosch #19) by Michael Connelly

2018-04-22 10:39:45 | 読書感想

私立探偵のHarry BoschはLAPDの元副署長でセキュリティ会社を経営するCreightonから会いたいという電話を受け彼に会いに行く。そこでBoschは彼から大企業のオーナーであるWhitney Vanceが彼に仕事を依頼したい、内容は会った時に話すと伝えられ前金として1万ドルのチェックを渡される。

VanceはBoschに依頼内容を明かさないという誓約書にサインさせた後、自分に子供がいるかどうか調べて欲しいと告げる。彼は10代のころ父親の意に反して映画監督を目指していたが、メキシコ人の女性と恋に落ち、女性は妊娠する。しかし、それを知った父親が赤ちゃんを堕ろすよう女性を説得するが、彼女は何処ともなく姿を消す。以来、彼は彼女の消息を知ることはなかった。彼は父親の言いなりになって彼女を諦めたことを85歳になった今、深く後悔していた。

Bosch は彼の傷みを理解し、仕事を引き受けることを承諾する。彼はコールドケースを扱った時の経験を活かし、名前Vibiana Duarteと彼女がカソリック信者であることしか分からない状況から徐々に彼女の身元、そして子供を産んだかどうかの真相に迫っていく。

一方、彼がLAPDから半ば強制的に退職に追い込まれたことを知ったSan Fernand警察の署長は、無給という条件ながら彼に刑事の職を提供する。彼はその要請を受け、彼を除くと二人の刑事しかいない小さな警察署のパートタイムの刑事になる。彼は未解決事件の捜査ファイルを見直し、ここ4年間で4回のレイプ事件を起こしている犯人の存在に気づく。彼は、侵入手段が窓のスクリーンをナイフで切り裂いて侵入することから、レイプ犯をScreen Cutterと名付けて彼を逮捕することに全力をあげていた。彼は、Screen Cutterが次の犯行を計画していることを確信して、次なる犯行時にこの男を逮捕することを決意する。そして予測したように犯人が行動を起こし、Boschは直ちに現場に向かい、残された証拠品や現場の状況から犯人を特定すべく捜査を進めていく。

そんな中、Vanceに依頼された件で思いがけない出来事が起き、彼はレイプ犯と相続人探しの件、どちらを優先させるのかの選択を迫られることになる。

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一気に読みたいというほどの面白さはなかった。パートタイム無給の刑事という身分がイマイチわからなかった。ただ、パートタイムという身分が容疑者を取り調べるときの枷になって、Boschが自ら容疑者を尋問することができず、取り調べ室を追い出されて歯噛みするところにその身分の不安定さを感じさせる。私立探偵でもある彼は、情報を得るためにこっそり警察のデータベースを利用している。どちらの仕事を優先するかは彼が決めていいようで、その点で彼は大失敗をする。

貧しい暮らしをしている女性のところに黒塗りの車に乗った男がやってきて実はあなたは大金持ちのお父さんの娘さんです、というシンデレラストーリーを読むのは大好きで、父親と子供との感動的な出会いを期待したのだが…まあ作者はロマンス作家ではなくミステリー作家だから仕方ないのかもしれない。でも最後はしんみりする終わり方で良かった。

普通見落してしまうようなことから見事に犯人へと迫って行くBosch の推理はいつもながら見事で感心してしまう。たとえば、犯人が逃げる時の様子から手がかりを得る推理、我々も成る程なと思わせるほど論理的で素晴らしい。

余談だけれど、カリフォルニア州で刑事をやるにはスペイン語を話せることが必須になってきそうだ。


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