シークレットサービスの護衛チームのリーダーMichelle Maxwellは、護衛中の大統領候補John Brunoが予定外の病死した友人の葬儀への参列を主張し、さらに葬儀場で未亡人と二人にして欲しいという要望を渋々受け入れるが、彼女が目を放したその葬儀場で未亡人に扮した女によって彼を誘拐されてしまう。彼女はBrunoを護衛の監視外に置いてしまったことを厳しく叱責され、公的休暇を命じられる。誘拐の捜査はFBIが行うと上司から厳命されていたが、彼女は独自に事件の捜査を行う決心をする。彼女はBrunoは彼の友人の葬儀に参列しなかったら誘拐されなかったことに着目、友人はBrunoの遊説に併せて殺されたのではと推測し、Brunoの側近に内通者がいると考えていた。テレビのニュースで事件の経過を追っていた彼女は、合間に入り込んできたWrightsburgで起きた殺人事件のニュースに興味を惹かれる。事件について記者たちからインタビューされている男が、8年前、護衛の任務中に大統領候補を暗殺された元シークレットサービスのSean Kingであることに気づいて。Michelleは、自分と同じような過ちを犯したと思われる大統領候補暗殺事件に興味を持ち、また自宅待機に退屈していた彼女はこの事件についても捜査を始める。
当時の事件の捜査資料やビデオを調べた彼女は、ある出来事によってSeanが、一瞬、大統領候補の周囲から目を逸らせた事実を発見する。彼女はSeanもその現場にいたと思われる人々もその出来事を捜査官に話していないことに疑問を持ち、彼女の推理が正しいことを確認するため、今は廃墟となっている事件現場のホテルに向かう。現場を検証した彼女は自分の推理が正しいことを確信し、ホテルに残されていた従業員名簿から今も近くに住む従業員を調べ、従業員たちから当時の様子を聴きだそうとする。そして従業員だった女性の証言からSeanがある事実を隠し続けていることを突き止める。彼女は、自分の事件と同じように、暗殺は単独で行われたのではなく大統領側近に協力者がいたと考え、自分が突き止めた事実、推理を確認するためSeanに会いに行くことを決意する。
ヴァージニア州、CharlottesvilleとLynchburgの間にある小さな町Wrightsburgに住む、Sean Kingは、護衛をしていた大統領候補が暗殺された後責任を取ってシークレットサービスをやめ、弁護士の仕事をしている。しかし、つい最近、自分が雇っている調査員が彼の事務所で殺される事件が起き、しかも殺しに使われた銃は彼の所有するものと鑑識され、警察は一応彼のアリバイを認めているが、逮捕されるかどうかの微妙な立場に置かれていた。
そんな時、Michelleが8年前の暗殺事件について彼の行動に疑念を持ってやってくる。彼は彼女を一目見た瞬間、今、話題になっている大統領候補誘拐事件の責任者として彼と同じように後悔の重荷を負っているだろう彼女に親近感を抱く。彼は彼女が調べた事実を教えることを条件に彼女の疑念に正直に答えていく。そして二人が情報交換している最中、彼女が証言を得た女性が殺されたという知らせが入ってくる。Seanは女性はなぜ殺されたのか、8年前の事件と関係しているのか興味を持ち、直ちに女性の家に向かうことを主張し、8年前に自分の人生が終えた現場にMichelleと共にもどり、暗殺の背後に隠された真実を突き止める決心をする。
Seanと共に女性が殺害された現場に戻ったMichelleは、そこで思いがけずBrunoを誘拐した男を目撃する。彼女は現場にいた警官に彼を追跡するよう要求するが一瞬しか見ていない彼女の証言を警官は信ぜず、男は逃走してしまう。しかし、Seanはシークレットサービスは一度見た顔は決して忘れないよう訓練されているとして彼女の言葉を信じる。やがて、二人は8年前の事件と今回の大統領候補誘拐事件とは繋がりがあると確信していく。
二人はそれぞれの事件の関係者に事情を聞きに行くが、それを知った犯人はSeanとMichelleの命を狙って行動を起こす。
大統領候補が絡んでいる事件をテーマにしているわりに明らかになる動機が、そんなものかとガッカリさせる。
やがて、二つの事件に繋がりが見えてくるのだが、その背後に潜む首謀者がなかなか特定できず、8年前の事件の関係者、現在の誘拐事件の関係者が片っ端から調べられていくので、2人が調べる人物がどちらに関係していたか出て来る関係者が多くて混乱してしまう。
静のSeanと動のMichelle、二人のキャラクターは魅力的。Michelleが事件についてあれこれ動き回ることによって、Seanもそして犯人も振り回される。最後のクライマックス、Seanに危機が迫ったとき、Michelleが助けに現れる。⇒ふつう、男女コンビのとき 女性がピンチになって男が助けに現れるというパターンが多いけど この本では逆になっていておもしろい。
Paperback 481ページ ★★★ 2003年出版