気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

1st to Die (Women's Murder Club) by James Patterson

2014-06-29 08:20:47 | 読書感想

サンフランシスコ市警殺人課でただ一人の女性警部Lindsay Boxerは健康診断を受けた医師から出勤前に立ち寄るように言われる。軽い気持ちで病院に立ち寄った彼女は血液中の赤血球が異常に少ない病気、再生不能性貧血(Negli's aplastic)の症状が診られると言われる。そして、このまま赤血球が減り続けると命の危険があり、輸血の必要性を医師から告げられる。自分がかなり深刻な病気にかかっていることに呆然とするLindsayに部下の刑事から高級ホテルでの殺人事件の報告が入る。

被害者は結婚式をあげたばかりの新郎新婦だった。新郎はナイフの一突きで殺されていたが新婦は三回も胸を刺され、さらに性的な虐待を受けていた。新婦の眠っているような死に顔を見たLindsayは、この先に待ち受けている夢と希望を新婦から奪った殺人犯に怒りを覚える。また 同僚の男達の事件に対する扱いの軽さに・・

殺人者は新郎にドアを開けさせるために用意した祝い用の高級シャンペーンと新郎の返り血がついた自らが着ていたタキシードを殺害現場に残していった。

殺人者がタキシードを着ていたことからLindsayは結婚式の参加者を疑い、一人一人調べていく。また、性犯罪者のデータベースで同じ手口の有無を調べる。しかし、めぼしい手がかりが得られないままに一週間が過ぎた土曜日、またも新婚のカップルが犠牲になる。

Lindsayは、被害者の女性の苦痛、痛み、無念に心から共感できるのは同じ女性だけであると確信し、女性が被害者となった事件を解決する女性だけの独自の組織の必要性を痛感する。Lindsayは長年の友である検視官Claireと、この事件を通して知り合った新聞記者Cindyをメンバーとして秘密の組織The Women's Murder Clubを結成する。そして、各々が職務で得た情報を持ち寄り検討し事件を解決していくことを提案する。

3人で会合を重ねる中、現場に残された遺留品から殺人犯は顎髭をつけた男であること、犯人と新婚カップルの接点として花嫁衣装を買った店の可能性が検討される。その可能性をもとにLindsayが捜査を進めた結果、殺された二人の新婦が同じ店で花嫁衣装を買ったことが分かる。また、その店の店員が顎髭の男を目撃していたことをつきとめる。

そんな中、同一犯と思われる犯行の知らせがLindsayに入る。しかし、犯行の行われた場所はカリフォルニア州から数千キロ離れたOhio州のCleveland。模倣犯では、と疑ったLindsayだったが 新婦に対する残虐な手口と式場の監視カメラに顎髭を生やした男が映っているのを発見し、同一犯だと確信する。
何故、殺人犯は州外に犯行を移したのかLindsayは、疑問を感じる。そして、殺された新婦が花嫁衣装を二人の被害者と別の店で買っていたことを聞き出したとき、Lindsayは探していた解決の糸口を見つけたと感じる。殺人犯は、今までの2件の被害者はブティックに来た客からランダムに選んでいたが、今回の被害者は殺人犯が新婦を知っていたために選ばれたとLindsayは推測する。やがて被害者である新婦がかってサンフランシスコに住んでいたことがわかる。そして、新婦の友人から彼女は当時付き合っていた恋人の性的虐待から逃れるためにサンフランシスコを去ったという事実を知る。次いで、渋る新婦の家族から彼女の恋人だった男の名前を聞き出す。

現場に残された遺留品、男の異常な性的嗜好、顔に生えている顎髭など、すべてがその男が犯人であることを示唆していた。

しかし、男は世間の誰もが知る有名人だった。警察上層部はLindsayに決定的な証拠が出るまで男との接触を禁じ、検事補のJillと密に連絡を取り合って慎重に捜査するように命令する。

この事件を担当しているJillは数年前、誰もが二の足を踏んでいた政界に暗躍する大物ブローカーを起訴し刑務所に送り込んだことで勇名を轟かせていた。
彼女はLindsayの持ち出した証拠では裁判を維持できないとしてLindsayの逮捕請求を拒否する。苛立つLindsayにJillはもっと決定的な証拠が見つけられない限り、彼に警察がマークしていることを知られてしまい、永遠に逮捕できないと話す。そして、彼が犯人であることにLindsayが絶対の自信を持っていることを確認すると 彼が犯人であるという前提で捜査をしていくことに合意する。そして起訴に持ち込むにはなにが足りないかを話しあう。LindsayはJillの口調に自分と同じ犯人に対する怒りを感じ、彼女をWomens Clubの仲間にすることを決断する。

Lindsayは、さらに悪化した血液の病いに苦しみながらも、この犯人を捕らえることが彼女の病気を克服することになると信じ、仲間とともに逮捕に向けて全力を挙げる。

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 ヒロインの難病、女性被害者に対する残虐な犯行、読んでいると気が重くなるようなストーリーだがさらさらと読める。
プロットも良くできていて、Lindsay達が一歩一歩犯人に近づいていく過程がテンポ良く描かれていて心地良い。しかし、犯人が特定されてからテンポががらりと変わって緊張感を持った激しい展開になり最後の最後まで息がつけないストーリーになっている。

Womens Clubという女性だけで独自に捜査を進めるという設定はおもしろい。4人が、お互いの得意とする分野を生かしあいながら犯人に肉薄していく。
要所要所で会合を開き、その結論を下にLindsayが捜査をしてほかのメンバーに結果を報告する。Lindsay以外の存在感がちょっと希薄。

いまも続いているシリーズなのでこれ以降各自の存在感が大きくなっていることを期待。

僕としてはこのプロットには無理があると思うがLindsayが作ったWomens Clubの魅力に引かれて☆4つ。

Kindle版 ¥ 797円     484ぺーじ(本の長さ)      ★★★★   


Now You See Me by S.J.Bolton

2014-06-15 12:46:23 | 読書感想

レイプ被害者に告訴するように説得するのに失敗して車に戻ってきたロンドン市警の刑事Lacey Flintは瀕死の女性が彼女の車にもたれているのを発見する。
女性は喉を切り裂かれ、腹部には凶器のナイフが突き刺さっていて、一言も発することもなくLaceyの腕の中で死亡する。
この事件を扱うことになったMIT(Major Investigation Team)の捜査責任者のDana Tullochは、殺人犯はLaceyを見て逃げたと考えて、Laceyが目撃者として狙われることを心配して、保護を目的に現在の部署からMITに彼女を異動させる。
刑事になって初めて遭遇した殺人事件に興味津々だったLaceyは捜査に加わることに興奮する。

そして、捜査本部から自宅に戻ったLaceyをEmma Bostonと名乗る女性が待ち受けていた。Emmaは自分は新聞記者であると言い、殺人犯からLaceyに宛てた手紙を持っていると話す。その中で殺人犯は自らを「切り裂きJack」の再来と称しLaceyによろしくというメッセージを残していた。
Laceyは子供の頃からシリアルキラーについて興味を持っていて、特に「切り裂きJack」は最大の関心事だった。

Laceyは、殺人犯が自分の名前を知っていること、「切り裂きJack」の再来と名乗っていることが気になってネットで今回の事件と切り裂きJackの事件を比較する。

その結果、被害者が売春婦と中流家庭の主婦という違いがあるものの犯行の手口、犯行日などが一致していることから彼女は捜査主任のDanaに手紙の件を報告する。本部に呼び戻された彼女は 犯行に使われたナイフの柄に、「切り裂きJack」の最初の犠牲者の名前(Polly)が刻まれていたことを教えられる。
また、Emmaが持ってきた手紙には被害者Geraldineの血痕がついていることが鑑識の調べで分かる。
Laceyは捜査本部の中で 一番「切り裂きJack(Ripper)」に詳しいということで捜査員から一目置かれることになる。
ただ、彼女は遊軍として捜査に加わっているDanaと同期の警部Joesburyが彼女に向ける目に言いようのない不安を感じる。

 そして、Ripperが第2の犯行を行った9月8日、捜査本部は緊張してその日を過ごしたが、何事もなく終わりそうに見えた。しかし、夜9時、LaceyはEmmaから事件に関して緊急に会いたいというメールを受け取る。指定された場所に赴いた彼女は、それが模倣犯が仕掛けた罠だと知る。

そこにはEmmaの自宅から盗まれた携帯電話と、かってRipperが警察に送りつけてきたことを真似たプラスティクバッグに入れられた女性の臓器が置かれていた。そして、翌日、死体に関する情報の電話がLaceyあてにあり、それに基づいて捜査した結果、子宮を切除された女性の死体が発見される。

しかし、模倣犯は致命的なミスをしていた。Emmaから盗み、犯行現場に残した携帯電話から模倣犯の指紋が検出され、強盗、傷害などで前科のある男だと判明する。
犯人が特定でき事件の解決は時間の問題だと思われたが・・

** 切り裂きJackの被害者
  
  8/31 Polly Nichols
  9/8   Annie  Chapman
    9 /30  Elizabeth  Stride

  9 / 30 Catharine  Eddowes
    11 / 9  Mary  Kelly

******************************************************************

最後の捻りがすごい、ここまで捻られているとは思わなかった。この本はLaceyシリーズの1作目、この本を読む前にすでに3、4作目を読んでいる。そのため、犯人についてはわかっていると思っていたが、こんなにプロットが複雑に作られていたのには驚いた。

この本は切り裂きジャックを題材にしているが この題材を扱っているミステリーは多いように思う。日本の推理作家が3億円事件を扱うのが多いように、英国の推理作家にとって一度は取り上げてみたい事件なのだろう。

このLaceyという女性刑事のキャラもユニーク。元路上生活者、元麻薬常習者。金曜日の夜は一夜の相手を求めてバーに向かう。意外と弱い?犯人が潜んでいるかもしれない現場に踏み込むときに震えを押さえることができない。しかし、警察官は人を助けるのが仕事だという信念を持っていて怯えながらも救出に向かう。眼が悪いわけではないのに眼鏡をかけ、化粧はせず地味なかっこうをしている。

読み終わった後に 彼女が人目を引かないように生活している理由がわかる。また、模倣犯がLaceyに固執したわけも。思わずジーンとなる。

395ページ   ★★★★

Kindle版 188円 (安かった!!)


   


Now You See Me by S.J.Bolton

2014-06-15 12:46:23 | 読書感想

レイプ被害者に告訴するように説得するのに失敗して車に戻ってきたロンドン市警の刑事Lacey Flintは瀕死の女性が彼女の車にもたれているのを発見する。
女性は喉を切り裂かれ、腹部には凶器のナイフが突き刺さっていて、一言も発することもなくLaceyの腕の中で死亡する。
この事件を扱うことになったMIT(Major Investigation Team)の捜査責任者のDana Tullochは、殺人犯はLaceyを見て逃げたと考えて、Laceyが目撃者として狙われることを心配して、保護を目的に現在の部署からMITに彼女を異動させる。
刑事になって初めて遭遇した殺人事件に興味津々だったLaceyは捜査に加わることに興奮する。

そして、捜査本部から自宅に戻ったLaceyをEmma Bostonと名乗る女性が待ち受けていた。Emmaは自分は新聞記者であると言い、殺人犯からLaceyに宛てた手紙を持っていると話す。その中で殺人犯は自らを「切り裂きJack」の再来と称しLaceyによろしくというメッセージを残していた。
Laceyは子供の頃からシリアルキラーについて興味を持っていて、特に「切り裂きJack」は最大の関心事だった。

Laceyは、殺人犯が自分の名前を知っていること、「切り裂きJack」の再来と名乗っていることが気になってネットで今回の事件と切り裂きJackの事件を比較する。

その結果、被害者が売春婦と中流家庭の主婦という違いがあるものの犯行の手口、犯行日などが一致していることから彼女は捜査主任のDanaに手紙の件を報告する。本部に呼び戻された彼女は 犯行に使われたナイフの柄に、「切り裂きJack」の最初の犠牲者の名前(Polly)が刻まれていたことを教えられる。
また、Emmaが持ってきた手紙には被害者Geraldineの血痕がついていることが鑑識の調べで分かる。
Laceyは捜査本部の中で 一番「切り裂きJack(Ripper)」に詳しいということで捜査員から一目置かれることになる。
ただ、彼女は遊軍として捜査に加わっているDanaと同期の警部Joesburyが彼女に向ける目に言いようのない不安を感じる。

 そして、Ripperが第2の犯行を行った9月8日、捜査本部は緊張してその日を過ごしたが、何事もなく終わりそうに見えた。しかし、夜9時、LaceyはEmmaから事件に関して緊急に会いたいというメールを受け取る。指定された場所に赴いた彼女は、それが模倣犯が仕掛けた罠だと知る。

そこにはEmmaの自宅から盗まれた携帯電話と、かってRipperが警察に送りつけてきたことを真似たプラスティクバッグに入れられた女性の臓器が置かれていた。そして、翌日、死体に関する情報の電話がLaceyあてにあり、それに基づいて捜査した結果、子宮を切除された女性の死体が発見される。

しかし、模倣犯は致命的なミスをしていた。Emmaから盗み、犯行現場に残した携帯電話から模倣犯の指紋が検出され、強盗、傷害などで前科のある男だと判明する。
犯人が特定でき事件の解決は時間の問題だと思われたが・・

** 切り裂きJackの被害者
  
  8/31 Polly Nichols
  9/8   Annie  Chapman
    9 /30  Elizabeth  Stride

  9 / 30 Catharine  Eddowes
    11 / 9  Mary  Kelly

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最後の捻りがすごい、ここまで捻られているとは思わなかった。この本はLaceyシリーズの1作目、この本を読む前にすでに3、4作目を読んでいる。そのため、犯人についてはわかっていると思っていたが、こんなにプロットが複雑に作られていたのには驚いた。

この本は切り裂きジャックを題材にしているが この題材を扱っているミステリーは多いように思う。日本の推理作家が3億円事件を扱うのが多いように、英国の推理作家にとって一度は取り上げてみたい事件なのだろう。

このLaceyという女性刑事のキャラもユニーク。元路上生活者、元麻薬常習者。金曜日の夜は一夜の相手を求めてバーに向かう。意外と弱い?犯人が潜んでいるかもしれない現場に踏み込むときに震えを押さえることができない。しかし、警察官は人を助けるのが仕事だという信念を持っていて怯えながらも救出に向かう。眼が悪いわけではないのに眼鏡をかけ、化粧はせず地味なかっこうをしている。

読み終わった後に 彼女が人目を引かないように生活している理由がわかる。また、模倣犯がLaceyに固執したわけも。思わずジーンとなる。

395ページ   ★★★★

Kindle版 188円 (安かった!!)


   


Ordinary Grace by William Kent Krueger

2014-06-08 11:55:22 | 読書感想

1961年、人々がまだ貧しかった時代、人々は若きケネディ大統領の登場に自分達の明るい未来を期待する。
しかし、世界大戦、朝鮮戦争と続いた戦争の後、Minnesota州New Bremanという小さな町の大人達は、ある者は肉体的、ある者は精神的な戦争の後遺症をひきずっていた。

だが家族の絆は強かった時代。家族はお互いを愛し、また支えあっていた。
13歳の少年Frankも家族を愛し、家族も彼を愛していた。
戦争に行く前は弁護士になろうとしていた父親Nathanは、戦争で悲惨な体験を得た後、牧師になる。そんな彼の変節に不満ながらも妻として夫の仕事を支える美しい母親Ruth。秋には音楽家の登竜門Juilliardに入学が決まっていて、Frankが悩んでいると相談に乗り励ましてくれる姉Ariel、人前では、どもる癖があるため引っ込み思案、いつも自分の後をついてくる、しかし、時には大人を振り向かせるほどのコメントをする弟Jake
そんな家族を愛し、好奇心旺盛で、いつも大人の会話を盗み聞きするFrank。

1961年、Minnesota州New Bremanの夏はFrankと同じ歳のBobby Coleの死で始まった。町の人々が少年の死を悼む中、Frankは川辺でホームレスの死体を発見する。死の意味がまだよく理解できないFrankは仲間の少年達に発見したときのことを得々と話す。

しかし、第3の死体が発見されたとき、彼は、死とは何か、神とは何かという問題に直面することになる。そして Frankはこれらの死を通して大人の残酷さ、狡さ、そして人種差別を知る。また、今まで当たり前のように考えていた家族の絆が崩れバラバラになっていく危険が彼を襲う。

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MWA賞最優秀作品

この本はミステリーと言うよりは文学的な要素が強いと思う。MWA賞として、僕には物足りない。もっと、ミステリー色が強いものが受賞して欲しい。

少年の目を通じての町の様子や人々の様子、当時のテレビ人気番組や人気俳優の名前が次々と語られ、60年代を知る者にとって懐かしさと共感を感じる。

たんたんと物語が進み退屈な本だと思っていたが、物語の終わりになって登場人物のひとり一人がそれぞれ印象深く残っていることに気づいた。登場人物の後日談が最後に語られているのだが、その人達がその後どういう風に生きていったかそれぞれの性格を思い浮かべながら読んでいるうちにしんみりとしてしまった。

また このタイトル Ordinary Grace も納得。

308ページ Kindle版 ★★★


A Dark and Twisted Tide by Sharon Bolton

2014-06-01 10:14:35 | 読書感想

一連のおどろおどろしい事件から受けた精神的ショックから立ち直るためLaceyは自ら志願して、ロンドン市警の刑事から殺人事件などを扱うことがない水上警察部門(Marine Unit)の巡査に異動する。

6月の朝6時、Laceyは住まいであるヨットが係留してあるテムズ川を泳いでいるとき、白骨化した女性の遺体を発見する。遺体はミイラのように布でくるまれていた。死体は水中に錘をつけられて一ヶ月以上沈められていたのが錘を結んでいたロープが切れて水面に漂うようになったように見えた。

元部下であるLaceyから死体発見の報告を受けたロンドン市警犯罪捜査課(CID)捜査主任のDanaはLaceyに検視に立ち会うよう求め、さらに身元確認の協力を求める。

検視に立ち会ったLaceyは死体が10代か20代前半の中東、アジア系の若い女性であると教えられる。
Laceyは、市警のデータベースを通してテムズ川に落ちて行方不明になっている女性の中から死体と合致する女性を探すが該当者を見つけることはできなかった。

また、死体に巻き付いていたロープの切れ端から、死体は、たまたま川面に浮かんできたのではなく、何者かが死体を川底につなぎ止めていたロープを切ったため川面に浮かんできたことがわかる。

そのことから、犯人はLaceyが死体を発見するように彼女の行動を予測して死体を放置したと推測された。それを裏付けるかのように死体を発見した翌日、彼女のヨットのシャワーヘッドに死体をくるんでいたものと同じ布で包まれた蟹が吊り下げられていた。
犯人はなぜかLaceyに固執していた。

彼女に起きた出来事について相談された唯一無二の親友であるTocは犯人は彼女の知っている奴か、彼女を知っている奴だと断言する。

Laceyは彼女が発見した死体が若い中東、アジア系の移民女性であったことから、テムズ川を経由して若い女性の密入国を行っている人身売買組織がこの事件の背後に動いていると推測する。彼女は去年、人身売買組織が不法入国させようとした中東系の若い女性が溺れているのを助けたことがあった。

Laceyは1年前、上司のWilsonが川から身元不明の若い女性の死体を引き上げたという話を聞き、他にも類似の若い女性の死体があるはずと確信し、過去5年間に川で発見された身元不明の女性の資料の調査を行う。

その結果、彼女は類似のケースが2件あるのを探し出す。発見当時の捜査資料の写真を検討した彼女は、そのうち一人の足に今回の殺人で使われたものと同じ布が絡みついているのを発見する。

事件が連続殺人事件と発展する中、Laceyは勝手の上司で恋人と慕うJoesburyが警官殺しで指名手配されたという知らせを聞き呆然とする。

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登場人物ごとに章が変わっていく、また、時間の流れが前後して、物語の流れを把握するのに戸惑ってしまった。
そのせいか、最後まで明らかにならない謎の解明がいまいちわかりづらかった。

ただ 最後のほうに思いがけない展開があって読むのを止められなくなる。

ヒロインのLaceyについても謎があるようで、ある女性が彼女に向かって問いかけた衝撃的な言葉、そして、最後にLaceyが言う一言。冒頭の "I am Lacey Flint."という書き出しはこの謎を暗示しているのか。答えは 僕が読んでいないシリーズの1、2で語られているのか、それともこれから語られていくのか気になる。

彼女の捜査に対する姿勢は好感が持てる。気になることがあると粘り強く調査を進めていく。そして 一人で捜査に赴くときも必ずバックアップを要請している。もっとも それが上手くいかないでハラハラするのだけど。

この本で教えられたことは中東(イスラム教?)での女性の地位の低さ、男の子を産まない妻に対する仕打ちなど、女性たちが自由を求めて(騙されて)欧州へ密入国したい気持ちがよく理解できる。

Kindle版 ★★★ 449ページ 1205円