気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Mr.Mercedes by Stephen King

2015-06-07 09:02:51 | 読書感想

WIINNWER OF THE 2015 EDGAR AWARD FOR BEST NOVEL

2009年4月、リーマンショックで不況にあえぐアメリカ中東部の都市。職を求めて市役所が開くのを徹夜で並んで待つ人々がいる。
その人々の中に、後に盗難車と分かる一台のMercedesベンツが意図的に何度も突っ込み、8人がひき殺され、多数のけが人が出る事件が発生する。Mercedes Killerと名付けられた犯人は車を残し,現場から逃走する。

この事件の捜査責任者だった刑事Bill Hodgesは犯人を逮捕することなく定年を迎える。
定年から6ヶ月、凶悪犯の逮捕ということが生き甲斐だった彼は、人生に目的を失い、テレビのワイドショーを観ながら酒を飲むという自堕落な生活を送りながら、自殺を考えていた。そんな彼のもとに、Mercedes Killerは自分だという男から手紙が届く。

男は、二度とこのような事件は起こさないと言いながら、車で人を殺したときの快感を滔々とまくしたて、多くの人が自分の起こした事件をテレビやネットで観て楽しんでいると語る。また、シリアルキラーの逮捕に失敗した刑事が自殺した映画の話をし、暗にHodgesに自殺を勧めているようにみえた。さらに男は、男と接触する手段としてネットのUnder Debbie's Blue Umbrellaというチャットルームを指定し、そのサイトに彼がメッセージを残すことを求めていた。

Hodgesは手紙の内容から、男は、彼が常に酒と銃を手元に置いて、時には銃口を口に入れているのを窓越しに目撃していると推測する。また、二度と事件は起こさないと言っているが、男は再び世間の脚光を浴びることを望んでいることが文面から窺われた。
彼は、この手紙を警察に届けたならば、刑事の一人から手紙の内容がマスコミに漏れ、この事件が再び世間の注目を浴びることが男の望みと考え、自分一人で事件の再捜査に取り組んでいく決心をする。彼は、酒もテレビも見るのを止め、手元に置いていた銃も金庫にしまう。そして手紙の内容から、男が真犯人だと断定し、文体、使われている単語などから犯人像を探ろうとする。さらに、ネットでMercedes Killerの事件の新聞記事を調べる。さらに、かってのパートナーで、今、この事件を担当している刑事Peteから、彼に悟られることなく、事件の最新情報を得ようとする。Hodgesは、刑事時代の自分に戻ったように、彼が行動していることに満足し、久しぶりに精神が高揚するのを感じる。

小学校が終わる2時ぐらいまではPCの修理屋として、2時からは子供相手のアイスクリーム屋として、車でHodgesの住む周辺を巡回しているMercedes KillerことBrady Hartsfieldは、Hodgesに手紙を書く。彼の退屈しきった顔を見て、彼がその手紙を警察には届けず、自分で動くと考えて。彼は手紙に次の犯行は無いと書いたが、次なる犯行に備えて、自宅の地下室に多量のプラスティック爆弾を保管していた。
しかし、その犯行の前に彼はやるべき仕事をもっていた、Hodgesを自殺させるという仕事を。彼は、Hodgesの退職記念パーティーが盛大に行われたという報道記事に激怒していた。市の歴史上、最悪の惨事を引き起こしたMercedes Killer事件の犯人の逮捕に失敗したにもかかわらず、Hodgesが、優秀な刑事だったとして、退職パーティを開いてもらったことが、彼には許せなかった。Hodgesは負け犬で、勝ったのは自分なのだから。彼はHodgesを自殺に追い込む手段を準備して、Hodgesがチャットルームにログインするのを待っていた。

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序盤は犯人BradyとHodgesとの心理ゲームのようだ。Mercedes Killerを捕まえるという目的ができ、再び、人生に生き甲斐を感じはじめるHodgesと、その生き甲斐を挫折させて自殺に導こうとするBrady。ネットへのメッセージを通して、相手の意図を判読し、自分の意図する方向に相手を引き込んでいこうとする。その駆け引きが面白い。

中盤からは、二人の駆け引きが伯仲して、読むのが止められなくなるほど緊迫した場面が続き、どきどきしながら最後まで読み切った。

キングは、SF作家、スリラー作家だと思っていた。彼のMWA受賞におやっと思ったが反省してます。
手紙の内容を分析して犯人像に迫ったりするのは、シャーロック・ホームズのミステリーを連想させたし、車のKeyの問題は密室殺人を解くようで、キングはミステリーもすごいんだと実感した。

ただ、身勝手なHodgesという男は、あまり好きになれないキャラクターだった。
僕のお気に入りのキャラはある女性。普通、女性は命の危険に迫られるとパニックに陥り為すすべもなく男の助けを待つが・・この女性がたくましく成長する姿は、読んでいて心地よかった。

 ★★★★ Kindle版 紙の本の長さ 449ページ


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