気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

This Thing of Darkness (Fiona Griffiths #4) by Harry Bingham

2018-01-22 19:04:14 | 読書感想

3月、イギリス、ウェールズ、South Wales署の刑事Fiona Griffiths(Fi)は巡査部長の試験に備えて上司DCI Jacksonの計らいで現場から離れて迷宮入りとなった事件の書類整理を行っていた。与えられた事件のほとんどは退屈なものだったが、その中で2つの事件が彼女の興味をひいた。

ひとつは18か月前、酒に酔った電話架設工事会社の警備員Derek Moonが誤ってGowerの崖から落ちて死んだ事件、男はその道をよく知っており誤って崖を踏み外したとは考えづらい、致命傷となった頭部の打撲は落ちた時の岩で受けた傷というより、誰かが鉄棒で正確に狙って殴ったように見える。頭部の傷が崖から落ちた時に岩によって受けた傷とするなら、捜査資料ではその岩を特定できていなかった。

もう一つは4年前に起こった美術品窃盗事件。Plas Duと呼ばれる豪邸、ピカソやマチスの作品等40万ポンド相当の美術品が盗まれる。窃盗犯は2階の窓を割って侵入したと思われた。しかし、窓のある壁は真っ平で梯子などを使わない限り侵入することは不可能であり、窓の下の地面にはそのようなものを使った形跡はなかった。捜査担当した刑事は内部犯行を疑ったが犯人を特定することはできなかった。Fiは窓の下に落ちていた窓ガラスの破片の状況を鑑識課員に述べ彼の意見を求める。彼女は鑑識課員から窓ガラスは外から割られたと断言され、犯人は不可能と思われる窓から侵入したことを知る。また彼女は、屋敷の所有者Marianna Lockwoodが彼女が密かに捜査している犯罪シンジケートの一員Galton Evansの別居中の妻であることを知り、この事件に興味を惹かれる。

そんな中、Kirsty Emmettという女性が  Gabalfa地区で拉致されたあとレイプされ川の傍に放置される事件が発生する。証拠品担当の刑事Iforは、上司であるJackson を通して証拠品を整理分析する手助けをFiに求めて来る。以前彼らを手助けした経験からその仕事は退屈であることを知っている彼女は、迷宮入りとなった事件の再捜査をしたいと言って断ろうとするが、上司であるJackson が彼らを手助けするよう命令、しぶしぶその任につく。彼女は事件担当の刑事Owen Dunwoodyが無能なのも知っており、彼の下で働くことに苛立ちを感じる。

彼女はIforの許可を得ることなく仕事の合間を縫って、気になる2つの事件の現場に向かう。改めてMoonが事故に会ったと言われる崖を実況見分したFiは、崖の形状から下の岩の様子が見えないことを知り、Moonは誤って崖から落ちたのではなく、殴打されて殺されたと確信する。

また後日、侵入した手口が不可解と思われるPlas Duを訪れたFiは応対したMarianna  Lockwoodから絵は取り戻したから捜査の必要はないと告げられる。窃盗犯は、Mariannaが美術品の盗難保険をかけた会社、彼女の夫Galton Evansが経営する保険会社に盗んだ美術品を買い取るよう要求、彼女はGaltonに買い戻すよう頼み、会社が要求額を支払った数日後美術品は戻ってきたと、彼女はFiに話す。Fiは彼女を説得して捜査のために家への出入りの許可を得、表向きはレイプ事件の証拠品の整理が自分の仕事だと言い聞かせながら、未解決の不可解な事件の再捜査、そして彼女が投獄することを目標にしているGaltonが関与しているかもしれない事件の捜査に着手できることに興奮する。

Fiは窃盗犯についてある人物像を描いていて それはMoonの殺人事件とも関連性を持っていた。彼女はMoonが電話架設工事会社に勤めていたことから、殺害の動機を会社に関係したことではと考え、電話工事に関して他に何か犯罪か事故が起こってないか警察のデータベースで調べる。そして2か月前Ian Liveseyというアメリカ人の海洋技術者がBristolの自宅アパートで首を吊って死んでいる事件に注目する。玄関のドアには鍵がかかっており、部屋も荒らされたようすがないことから警察は自殺と断定していた。しかし、Fiは、死の直前、Liveseyと電話で話したという彼の恋人の証言から、彼は殺されたと確信する。たとえ、ドアがロックされていても部屋に侵入できる方法を彼女は捜査中の二つの事件と結びつけることによって知っていた。2つの殺人事件と不可解な窃盗事件とのつながりを発見した彼女は、事件の背後の巨大な陰謀に気づき始める。しかし、Galtonはこれらとどういう関係があるのかないのか?警察の捜査に限界を感じた彼女は元刑事のPenryを雇い、非合法な手段で情報を収集しようとする。そんな彼女を拉致しようと近づいてくるグループがあるとも知らずに・・・・

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長い!テンポが遅い、ちょっと読むのに疲れてしまう。もうちょっとコンパクトに物語をまとめて欲しかった。

レイプ事件、迷宮入りとなった事故死、自宅での首つり自殺、そして侵入不可能と思われる2階の窓から美術品の窃盗・・・事件を欲張りすぎている感じで名前や地名が出てきてもどの事件に関係しているのか戸惑ってしまう。

死者の写真を部屋に飾って心の安らぎを得たり、非合法なマリファナを吸ったり、相変わらずキャラクターはユニークで魅力的。推理力も抜群であるし、捜査の手法も警官という枠にはまらない翻弄さで痛快。

ただ、今回の犯罪の動機はスケールが大きすぎてどうもピンとこなかった。

E-book(Kindle版)★★★ 511ページ 2015年7月出版 551円(2017年購入)



The Good Daughter by Karin Slaughter

2018-01-15 19:21:59 | 読書感想

ジョージア州、Pikevilleという小さな町、刑事弁護士のRussell Quinn(Rusty)は凶悪犯の弁護を引き受けるため警察はもとより市民からも嫌われている。数週間前、彼を嫌悪する男によって、自宅を放火され家族は郊外の農家に引越す。そして今日、Rustyは担当したレイプ事件で無罪を勝ち取り、被告は釈放される。それに不満を持つ人々が家族に危害を加えることを心配した彼は家族に電話で警告のメッセージを送る。しかし、数分後、二人組が銃を持って家に侵入してくる。彼らは妻Gammaをその場で殺害し、15歳、13歳の娘たちはレイプしたうえ殺そうとして二人を近くの林に誘導する。姉妹は抵抗し、姉Samantha(Sam)は頭を撃たれて生き埋めにされるが、妹Charlieは隙を見て逃げて隣家に駆け込む。

28年後、妹Charlieは父親の法律事務所で弁護士として働くが、姉は二人とは絶縁してNYで特許関係の弁護士となる。そして今日、Charlieは後悔の念にさいなまれながら、バーで会い、一夜を共にした男のもとへ向かう。お互いが相手の携帯電話を取り違えてしまったために・・・一夜を共にした男はHuckabeeと名乗り、彼女が、昔、通っていた中学校の先生だと言い、彼女は携帯電話を取り戻すため久しぶりに学校へ行く。彼に会い、彼女が自己紹介した後、友好的だった彼の態度がよそよそしくなったことを彼女は感じる。彼は刑事弁護士である彼女の父親について知っているようで、すぐに出て行けと要求する。その場が気まずくなった時、彼女は4発の銃声を聴く。銃声の方へ向かったCharlieは校長室の前で、校長と少女が血を流して倒れていて、校長の夫人がヘルプと叫んでいる場に出会う。そして二人を撃ったと思われる少女Kelly Wilsonが銃を彼女自身に向けている様子が。Kellyは通報によって駆け付けた警官たちからの警告は無視するが彼女を知っているというHuckabeeの言葉に従い、銃を彼に渡し警察に逮捕される。事件は全国ニュースとなって町は騒然となる。事件を起こした少女は校長ばかりでなく少女を殺したことで非難が殺到し死刑を求める声が高くなる。当然のように少女の弁護はRustyが引き受け、その日のうちに少女に面会した彼は、Charlieに少女は無実の可能性が高いと告げ、彼女を驚かせる。彼女は事件現場にいてKellyが銃を持っているのを目撃していた。二人は捜査について意見を交換、Kellyが持っていた銃の所在が不明になっていること、学校の監視カメラには死角があること、Kellyは知的障害があり犯罪を犯す能力がないのでは等々・・・。Charlieが自宅で今日の出来事を振り返っている時、別居中の夫Benが彼女の様子を心配して訪ねて来る。そして、彼女は検事補であるBenにかかってきた電話から父親が刺されて重体だ知る。

母親のGammaと同じ44歳になった誕生日、NYで特許専門の弁護士として活躍するSamは、BenからCharlieが彼女を必要としているというメッセージを受け取り、急遽、二度と帰らないと誓ったPikevilleに帰る。彼女は亡くなった母親から妹を守ってあげるよう強く言われていた。彼女はCharlieが常に脅迫を受けている父親の法律事務所で弁護士業務をおこなうことは彼女の身に危険が及ぶことになると主張してCharlieの決断に強く反対したが、Charlieは忠告を無視する。以来、二人は何となく疎遠となっていた。しかし、彼女は一切返信することはなかったが、彼女の夫Benと父親は定期的に彼女にメールを送り続けていた。彼女が予期したようにBenと父親から送られてきた誕生日おめでとうのメッセージを読んだ後、事務所に着いた彼女は、Pikevilleの彼女が通っていた学校で18歳の少女が銃乱射事件を起こし、校長と8歳の少女が殺され、父親が彼女の弁護士となったというニュースに衝撃を受ける。ネットなどで事件の詳報を得ようとした彼女は、28年前の事件の関係者の名前を発見して呆然とする。そんな時、Benからの緊急のメールが送られてくる。Benからのメールを受けて、帰郷した彼女はICUから生還した父親から思いがけない提案を受ける。

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学校での銃乱射事件についてもさまざまな謎が提示されて興味深いのだが、ミステリーというよりは家族の絆の物語という感じだった。悲惨な事件の後、姉妹がどのように事件を受け止め、どのように生きて、今、過ごしているか、そこまで必要かと思うほど細かく描写されていく。そのためミステリー色が薄れている。理知聡明な母親と娘達との会話の楽しそうな様子、 弁護士となった娘の初公判の様子を秘かに傍聴して彼女の成長を喜ぶ父親。しんみり、ほのぼのとした気持ちになる。

ただ、映画『羅生門』のように姉妹それぞれの見方から悲惨な事件を語るというユニークなストーリー構成。読む方は悲惨な出来事を2度読みするのは辛い!

E-book(Kindle版)★★★★ 528ページ 2017年8月出版 500円(2018年1月購入)



The Wanted(Elvis Cole#17) by Robert Crais

2018-01-07 11:34:23 | 読書感想

カリフォルニア州ロスアンゼルス,白人中流階級が多くを占めるサンタモニカ山脈の北部に位置するEncino地区に住むDevon Connorは私立探偵のElvis Coleに息子Tysonの素行調査を依頼する。最近、彼が購入することができるはずのない高級な時計や衣服を身に着け始めたことに気づき、Tysonの部屋をチェックした彼女は多額の現金が隠されているのを発見し、彼がドラッグなどの何らかの犯罪に関わっていることを懸念する。そして彼女はTysonが犯罪に関与していても警察には通報しないことをColeに頼む。Coleは殺人などの重大な犯罪でない限り依頼人の秘密は守ることを約束する。

ColeはTysonが所有していた高級時計の登録ナンバーを知り合いの時計商に照会し所有者を調べてほしいと依頼する。彼は時計商の情報から時計が盗品であること、さらにTysonは多数の大金持ちから被害届が出されている窃盗犯罪に関与していることを知る。また盗難品を照会したことから盗難を捜査している刑事Cassettが彼に会いに来るが、彼は協力を拒否する。

Coleは息子が犯罪者であることに落胆しているDevonに、彼が留守宅を狙って犯行を重ねていることや初犯であること、まだ警察が彼らを実行犯と特定していないことから自首すればTysonは刑務所に行かないで済むと助言し、彼女も彼を自首させることを誓う。しかし、事件はこれで終わったと思った翌日、Devonから息子が失踪したと電話があり、Coleは彼女からTysonの行方を突き止めてほしいと依頼される。

ColeはDevonから情報を得て、Tysonの友人Carlに会いに行き、彼からTysonと窃盗仲間のAmberAlecが映っている写真を得る、そして彼らがフリーマーケットで盗品を売りさばいていることを教えられ、手掛かりをもとめてその場に赴く。彼はフリーマーケットの管理人から二人組の刑事が彼らについて聴きこみに来たことやフリーマーケット常連のLouise Augustが若者達と話していたという証言を得る。彼はLouiseに会って手掛かりを得ようとするが、彼女は先週、何者かによって殺害されていた。そして、彼は彼女が殺される前に二人の刑事らしき男たちが彼女を訪ねてきたことを突き止める。

再度管理事務所を訪れた彼は、Louiseを訪ねてきた二人組がフリーマーケットの管理事務所に聴きこみに来た二人組であることを確認する。また彼は、フリーマーケット管理会社の若い受付女性から有力な情報を得る。彼女は自称俳優というAlecから彼の自宅のパーティーに誘われたことがあると言い、彼にAlecの住所を教える。早速その住所を訪ねたColeはAlecが昨夜、路上で殺されたことを知る。そして、Louiseの家にやってきた刑事と名乗る二人組が彼の住いにやってきて自宅を捜索していることを発見する。彼らはAlecのルームメイトにAmberとTysonについて尋問していた。ColeはCassettに電話して、彼女がまだ3人組の名前を突き止めていないことを発見、彼は自分が重大な事実誤認をしていることに気が付く。彼は自分や警察以外に、刑事と偽り殺人を繰り返しながら、盗品の回収を目的としてTysonらの行方を追っている二人組の殺し屋の存在に気づき、彼らの無事を心配し始める。そして、二人組がAlecから押収したものによって、Tysonの家をつきとめてDevonを襲撃することを懸念したColeは相棒のJoe Pikeに電話する。

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Tysonと彼のガールフレンドAmberの2人をColeと二人組の殺し屋どちらが先に見つけるのか?一方は盗難品が売られたフリーマーケットから、もう一方はTysonの友人の情報から彼等に迫っていく。警察が彼らと盗難事件との結びつきを特定しないうちに3人組を見つけ出さなければいけないという、誘拐事件と同じように時間との競争で面白かった。単なる窃盗事件ではないことが徐々に明らかになっていくストーリー展開、当然そうなるとこちらも期待しているけど、それでも事件が大きくなっていく過程はワクワクさせてくれる。

キャラも個性的で面白かった、殺し屋の二人組、冷静に現状を分析して慌てない、粗暴な殺し屋というよりはインテリジェンスを持っているColeの好敵手という感じで、何時お互いが相手に気づくのか対決が楽しみになる。Amberというガールフレンドのキャラクターも良かった、事件の重大性など理解しないで、警察や殺し屋から隠れようとしない大胆さで奔放にふるまう、何時か世間の注目を集めるヒロインになることを夢見ている。そんな彼女に翻弄されてTysonも身動きがとれない。狂言回しとして面白かった。

そしてColeの優しさ、調査の結果が依頼人にとって良くない結果だと どうやってその結果を依頼人にとって良い方向にしていくのかを考えてあげる。また、依頼人との約束を守り、こちらがハラハラするほど頑固に刑事が訪ねてきても彼らの身元や知っていることを明かさない。

E-book(Kindle版)★★★★   400ページ 2017年12月出版 1210円(2017年12月購入)