風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『白鳥の湖』 K-BALLET COMPANY @オーチャードホール(10月31日)

2013-11-04 17:42:40 | バレエ




仕事が片付かずにバタバタで退社し(そもそもお休みの予定だったのに;;)、オーチャードホールのカフェで牛のたたき丼を10分で掻っ込み、開演3分前に着席。
しかしオーケストラがあの旋律を奏で始めると、ほぼ条件反射で『白鳥の湖』の世界へ――。

この演目を観るのは7月のロイヤルバレエ団に続き2回目ですが。
そうなの!!!私はこういうジークフリートが観たかったの!!!!
仁左さまと同じで、熊哲も「客が何を観たいか」をよ~くわかってくれているお人。古典への敬意を決して失わずに、客に最大限の満足をくれる。

『ジゼル』のときに「王子系も案外似合うな」と感じたけれど、今回のジークフリートを観たら、案外どころか、その気品は王子様そのもの
やんちゃで可愛いマザコン王子。熊哲が踊ると、どんな役でも誠実そうに見えるから嬉しい。
登場時のブルーの衣装も、とっても似合っていました。単なる立ち姿も、重心が安定しているから本当にキレイ。
そして第三幕のソロの素晴らしさ!!!!!!ブラボー!!!!!!×10000回でございます。
なんだかこのヒトって観る度に若くなっているような気がする。。
それと、これはご本人も「怪我をしてから踊り方が変わった」と仰っていますが、今はどの踊りにもとても心がこもっていて、明るい場面の踊りでもすごく伝わってくるものがあって、なんだかそれを観ているだけで涙が。。
今回は彼が「バレエの母」とも呼んでいる演目なだけに、あの旋律で舞台で踊っている姿を見ているだけでもう泣いた。。。

そんな熊哲の舞台の唯一の欠点は、どうしても彼から目が離せずに他のダンサーの鑑賞が疎かになってしまうことですが・・・
今回はちがいました!

なぜなら荒井さんのオデット/オディールが、熊哲のジークフリートに勝らずとも劣らず素晴らしかったからです
そうなの!!私はこういうオデットが観たかったの!!!
その儚さ、でも姫としての凛とした気品。
ジークフリートへの切ない愛情、でも絶妙な人間味の薄さ。
オディールの方も、妖艶で、だけどすぐにパパンに相談にいく少女らしさもよく出ていて、イメージどおりのオディール。
そして、そんな表現力もさることながら、踊りのテクニックも軸がしっかりしていて素晴らしい。少しだけふらつかれているときもありましたが、些細なレベル。32回フェッテ(数えたことないけれど)も、ほとんどぶれず、綺麗でした。
私的には文句なしのオデット/オディール。
熊川さんも安心して踊っているように見えました。

キャシディさんのロットバルト。
体格がいいので、この役がとてもお似合いでした。リアル梟っぽい動きが不気味でよかった。
そして白鳥達が曲の高まりとともにロットバルトを追い詰めていくフィナーレは、ゾクゾクしてやっぱり最高!白鳥達が美しいだけに、ほんとコワい・・笑。この場面に限らず、今回もコールドは大変綺麗に揃っていました。

井澤さんのベンノ。
『ジゼル』でも思いましたが、この方も本当にいいダンサーですね~。
ジャンプが高くキレもあって、観ていて楽しい♪

ラストの結末は、舟→階段の違いはあるものの、ロイヤルとほぼ同じなのですね。『白鳥』のラストは色々なバージョンがありますが、私はこの終わり方が一番好きです。
オデットはプロローグと同じ花摘みの娘姿で(人間らしい表情と仕草に戻っている荒井さん、お見事でした)、ジークフリートと再会し、二人手を取り合って天国への階段をのぼり、抱き合って幕。
ロイヤルと同じく、白鳥達と紗幕で隔てる演出は、あちらの世界ということが一目でわかって、うまいなぁと思います。

衣装も装置も、センスがよくて素敵でした。

今回の席からはオーケストラピットのハープとオーボエ奏者がよく見えたのも、嬉しかったです。オーボエにあの旋律を奏でさせたチャイコフスキーは、ほんと神だと思う。。。それにこの主題以外も、『白鳥の湖』の音楽ってどの曲も全部素晴らしいのですよね。つくづく、バレエは生オケに限る。多少音が外れようが私はテープより断然生の音が好き。これを書きながらあの音楽を思い出すだけで、胸がいっぱいになります。

劇場に足を運んだ人にはしっかり責任をもって夢を見させてくれる熊川さん。
桁外れに高いチケットも、熊哲値段も、劇場を出る時にはまったく高く感じなくなってしまう。
それは、それだけの舞台を見せてくれるから。
このご時世にチケットが完売になる理由が、よくわかります。

来年春の新作は『ラ・バヤデール』だとか。
この作品は昨年のマリインスキーでもう100%満足させてもらったのですが、ソロルは熊川さんでしょうか?
それなら絶対に参ります!
でも、実はオペラ座バレエ団もまだ諦めきれておらず、なのですよね。。。。お、お金が。。。。

ところでいつも思うんですが、バレエを好きな人って絶対に歌舞伎も好きだと思うのです。特に舞踊。
私、歌舞伎を観ていていつも、バレエに似てるなぁって思いますもの。
無駄のない美しい動き、緩急の迫力、動と静の鮮やかな転換、長い歴史が磨き上げてきた古典の味わいと美。
ストーリーその他の一見ハードルが高い部分も、バレエがイケる人なら全然イケますし。
バレエをお好きな方、歌舞伎もぜひ^^!


Tetsuya Kumakawa in Swan Lake


Tetsuya Kumakawa Swan Lake Act lll

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 松竹大歌舞伎 夜の部 @日... | TOP | A CHRISTMAS TREAT WITH THE ... »

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。