風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

読売日本交響楽団 第604回名曲シリーズ @東京芸術劇場(7月7日)

2017-07-08 02:16:39 | クラシック音楽



東京芸術劇場って初めて行きましたが、結構音がこもるんですね
火曜日は手を伸ばせば届くところにいたフレイレも、本日は3階正面席なので遠い人。

以下、普段クラシックを殆ど聴かないど素人の感想です。
自分用覚書として好きに書いているので、「ど素人のくせにエラそーなこと書くなよ」と言いたくなるタイプの方は以下は読まないでね。

【ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83】
飯守泰次郎さん、読売日本交響楽団。どちらも聴くのは初めてなのでどちらの個性なのかはわからないのですが、なんだかアグレッシブというか、ワーグナーのようなブラームスだな、と感じましたです。後半の練習をしすぎたのかしら しかしワーグナーとしても、あれはどうなのだろう?(ワーグナーは詳しくないけど)
ゴツゴツとした音で盛り上げるところはとことん盛り上げてくださるので、最初のうちは「おお!」と興奮するのだけれど、どうも私には微妙なニュアンスというか、音の表情の変化が乏しく感じられるため、ちょっと聴いてて飽きてくる、、、。ただああいう演奏が好みの方も多いであろうことは理解できます。

こういう種類の演奏と対比するとフレイレ(今夜も同じチャイナ風服。でも黒と赤がお似合いで素敵ですョ^^)がいかにアーティスティックで繊細な演奏をしているかがよくわかる。この前のリサイタルで十分にわかってはいたけれど、この人ってやっぱりすごいのだわ、と思った。こういうフレイレの面が際だったという意味では、読響に感謝です。
もっとも始めの辺りはオケとの対話がかみ合っていないような、ちぐはぐな印象でした。しかし次第に互いがかみ合うようになってゆき。
三楽章が・・・
ここは録音で聴いたときも良かったところだけど、なんてなんて……優しさと純粋さと、でもそれだけじゃない、フレイレだけが連れていってくれるあの眩暈がするような別世界に今夜も連れて行ってもらえました。これが聴けただけでも今夜来てよかったと三楽章が終わった時点で心から思いました。
遠藤真理さんのチェロも、情感豊かでとてもよかった。この方のチェロを聴くのは、ロパ様の「瀕死の白鳥」以来だなぁ。ああ、ロパ様・・・。

そして、四楽章
リサイタルのときと同様、一度ノリ始めたフレイレは加速していく一方。あの丸っこい音色の軽やかさだけでない開放感(この解放感は録音では感じることができなかった部分なんです。感涙)
もっともフレイレの演奏の熱って普通に聴いているとわかりにくいところがあると思うので、わかりやすい盛り上げ方をしてくれる飯守さん×読響とは意外と悪くないコンビなのかも、とも。ピアニストのああいう演奏を聴けたのは飯守さんと読響のおかげとも言えますし。カテコのフレイレさん、いい笑顔だった。

【グルック(スガンバーティ編)/精霊の踊り】
アンコールは今夜ももちろん「精霊の踊り」。フレイレがどういう気持ちでこの曲をアンコールで弾くのか、先日のリサイタルのときは客席ではなくノヴァエスに向けて弾いているように感じられたことは書きましたが、今夜の演奏は客席に向かって「私が今夜ここでこうして演奏できているのは全て彼女のおかげなんですよ」と言っているように感じられました。
フレイレさん、素晴しい2日間の演奏を本当にありがとうございました!あなたの演奏、大好きです。
来年8月の来日も心から楽しみに待っていますから、健康にお気をつけて、必ずいらしてくださいね

(15分間の休憩)

【ワーグナー:舞台神聖祭典劇「パルジファル」から第1幕への前奏曲】
【ワーグナー:舞台神聖祭典劇「パルジファル」から"聖金曜日の音楽"】
【ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」から"ワルキューレの騎行"】
【ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲】
そういうわけで飯守さん×読響はちょっと私の好みとは違っていて、「パルジファル」でももうちょい神聖な美しさを感じたいなあとか思ったりしていたのですが、「ワルキューレ」の頃にはなんだか笑えてきちゃって。だって本当に盛り上げることはとことん容赦なく盛り上げるのだもの。自信たっぷりに。
そんな飯守さん、東京シティフィルの名誉指揮者をされているとのことですが、合ってると思う。東京シティフィルのバレエ演奏でオーケストラピットに殴り込んでいきたくなるほどいつも腹が立つのは、とにかく音が自信なさげなところ。先日のボリショイのように、上手じゃなくてもいいから自信いっぱいに盛り上げてほしいといつも思ってしまう。ハンブルクバレエの「真夏の夜の夢」のとき、ようやくそういう演奏をしてくれた3日目はとてもよかったもの。飯守さんならシティフィルにそういう演奏をさせてくれそう。それにフレイレのスピードアップにもよく対応されてたし。今度NBSの招聘バレエを一度振ってみてくださらないかしら。こんなこと書くとクラシックファンに刺されるかしら。でもゲルギエフだってバレエ振ってるしぃ。バレエにワーグナーはないけど。

しかしこれだけぶ厚く盛り上げてくれているのに、どことなく演奏が立体的に聴こえないというか音が平たい?のはなぜなのだろう。会場がよくないのかしら。

今夜の客席のマナーはひどかったです。前半のピアノ協奏曲では最初から最後まで補聴器のハウリング音(周囲の人、本人に教えてあげられないのかな)、ピアノアンコールの前に奇声。後半は、携帯の着信音が鳴りまくり。音を鳴らして鼻をかむ人も(海外でもいますねこれ)。クラシック音楽を愛している人なら、普通は自然に気を付けると思うんですけどねえ。自分がオケの演奏をぶち壊しにするかもしれないなんて、考えるだけで恐ろしいですよ、私は。。。
ちなみに前の席のおば様は前半も後半もずっと爆睡しておられたけど(寝るのはOK)、あのワーグナーの爆音の中で眠れるとは強者だと思わず笑ってしまいました。



Brahms - Concerto nº 2 in B flat major, op 83 (III. Andante) - Nelson Freire

ドキュメンタリーより。フレイレの天上の3楽章。彼はこの楽章が好きなんでしょうか、幸せそうに演奏しますよね 難しい楽章の合間で一息つけるところでもあるのかな。

Nelson Freire plays Schumann/Liszt 'Widmung' for Martha Argerich

フレイレの「献呈」を優しい顔で聴くアルゲリッチ。そして1本のタバコをシェアする二人

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネルソン・フレイレ ピアノ... | TOP | 仁左衛門が語る『盟三五大切』 »

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。