風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部 @歌舞伎座(5月17日)

2014-05-17 19:42:42 | 歌舞伎






爽やかな五月晴れのなか、『魚屋宗五郎』を幕見してまいりました。今月はこれ一本です。
海老蔵の勧進帳も長兵衛も昨年観たばかりですし(富樫が愛之助だったら、また観たかったのですけれど)、昼の部が終わった時点で夜の部は既に立ち見だったので。

チケットを買った後、喫茶YOUでオムライスをいただきました。前回行ったのはちょうど一年前の5月で、吉田屋のときだったなぁ。美味しいのですけれどバターの味が少々重いので、これくらいのペースが私にはちょうどいいです。また数ヶ月か一年くらいたったら、食べたくなるのだろうなぁ。


【魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)

私の大っ好きなタイプの菊五郎さんだ!!!
ぽんぽん木魚を叩いている後姿だけで、なんだか可笑しい。
身替座禅に続き、菊五郎さんらしい芸の自由さ、可笑しみ。役者の大きさに負けない町人の風情、妹を失った悲しみ、幕切れの大らかさ。そして何より、思いっきりニンな“江戸っ子”な空気!
この先これ以上の宗五郎に出会えるかなぁ、と良い舞台を観たときにいつも思うことを、今回も思いました。
菊五郎さん曰く、「禁酒を破りお酒を飲んで酔っ払っていくところが見所だとは思いますが、私にとりまして難しいのは磯部屋敷玄関の場で恨み言を言う場面です」とのこと。この屋敷玄関の長台詞の場面、とりあえず何でも笑っとけ!なお客さんばかりの歌舞伎座で、役者が笑う場面で客が一人も笑わなかったのもすごいことです。台詞がわかりやすかったせいもあるでしょうが、心が泣いているのが伝わったのだと思う。
お酒を飲んで酔っ払っていく場面は、菊五郎さんの肌がほんのり上気して、本当にお酒に酔っているように見えました。
演技に全然あざとさがなくて自然なのに、見せる。聞かせる。
すごいなぁ。

周りの皆さんも、とてもよかった。同じメンバーばかりで固まって芝居をする歌舞伎が時々もどかしく感じるときがあるのだけれど(音羽屋系とか播磨屋系とかそういうの)、気心知れている役者さん同士ならではの良さというのは、やっぱりあるんですよねぇ。見事なチームワークでした。

時蔵さんのおはま。
菊五郎さんとの夫婦が、ホンモノの夫婦にしか見えなかったです。すんばらしい安定感。宗五郎を見る優しい表情に、じんわりしちゃいました。時蔵さんって基本的にクールな役者さんだと思うのですが、あんな表情もされるんですねぇ。

萬次郎さんと右近の茶屋母娘も、場にしっくり馴染んでいました。

宗五郎、おはま、團蔵さんの父親、橘太郎さんの三吉の4人のいる家を訪れる梅枝のおなぎが、またぴったりその空気にはまってて。相変わらず器用といいますか、上手いねぇ。「おたふく!」、笑。

錦之助さんのお殿様も、お役にぴったり。
お蔦が斬られたと知った宗五郎が「あの殿様が理由もなく斬るわけがない」と信じていた理由がよくわかるような殿様でした。結局、この殿様も酒癖が悪かったのね^^;。一介の魚屋に両手をついて謝って、いい殿様なのだなぁ。
家老(左團次さん)も、家臣たち(宗五郎にお水をあげたり)もいい人で、悪者は成敗されて。
亡くなったお蔦ちゃんも、こんな困った兄さんと殿様に、草葉の陰で苦笑しちゃっているのではないかしら。そんな風に感じる、とても後味のいい幕切れでした。
1時間20分、笑って泣けて、歌舞伎ならではの大らかさも味わえて、楽しかった。大大大満足。

しかしなんといってもやっぱり、菊五郎さんの至芸だなぁ。
これを観る事ができて1400円。こういうものを観ると、歌舞伎って高くないとつくづく思う。



ところで、新悟くんがブログで大絶賛している、このチラシ↓ですが――。

 

これ、新悟くん世代から見たらイケてるの・・・・・・・・・・?まじで?
私、これ見た瞬間、「うわダサっ!!!」って思ったんですけれど。買ったチケット本気で売ろうかと思ったんですけれど。
まぁ勘九と七の吉三に興味があるので(コクーンだけど)、行きますけど。
でもなぁ、うーん・・・・・このセンス・・・・・やっぱりダサい・・・・・・・・。てか古臭い・・・・・・・。バブル崩壊直前だった中学時代(私はリアルホットロード世代)を思い出す・・・・・・・・。せめて舞台の方はこのセンスじゃありませんように・・・・・・。

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