風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

9月文楽公演 『通し狂言 一谷嫰軍記』 『寿式三番叟』 @国立劇場(9月6、14日)

2016-09-24 07:54:05 | その他観劇、コンサートetc


第一部を6日に、第二部を14日に行ってきました。
国立劇場開場50周年記念公演で、初段から三段目まで東京で通しで上演されるのはなんと41年ぶりなのだそうです。もったいないなぁ。これ、通しで上演した方が絶対にいいのに。今回、陣門・組討、熊谷陣屋への流れがちゃんと理解できて本当によかったもの。
特に印象に残ったのは、林住家の段の簑助さん、脇ヶ浜宝引の段のチャリ場の衝撃、陣屋の迫力、かな。

以下、完全なる文楽初心者の自分用の覚書なので、どうぞ適当にお流しいただければ幸いですm(__)m

【第一部】
堀川御所の段は、人形太夫さんともに舞台がバタバタしていたような。亘太夫さんの叫ぶようなお声にちょっと疲れてしまいました。。。でも義経(幸助さん)から直実(勘十郎さん)に制札が渡される場面が見られたのはよかったな。これがあの熊谷陣屋の段へと繋がるのですね・・・ 一方で六弥太(玉志さん)へは桜の枝に付けた短冊が渡されます。こちらは林住家の段へと繋がります。
敦盛出陣の段希太夫さんで少し復活(私が)。文字久太夫さん(奥)の辺りでだいぶ落ち着いた気分で見られるように。この段、なかなかよくて。女性達も最強で楽しい笑。ただ和生さんの敦盛は、少年の颯爽とした雰囲気はあまり感じられなかった気も。
陣門の段、須磨浦の段、組討の段。楽しみにしていた組討は、咲甫太夫さんがどうも私は得意ではないみたいで(いいお声だとは思うのですが・・・)、気になっているうちに終わってしまった・・・。遠見の敦盛と熊谷は、人形だと話に集中できるのがいいなぁ。歌舞伎の方はどうしてもつい笑ってしまうから。まぁそれでいいのかもですけど。
林住家の段。この段の菊の前は簑助さん。いつも思うけど、簑助さんの人形だけ空気が違うのは一体なんなのだろう。生物の周りって何か”気”のようなものがあるじゃないですか。無機物にはそれがないですよね。でも簑助さんの人形の周りには、それが見える。そして人間が人形を遣ってるのではなく、人形の方が本体に見える。これ、映像で見た先代玉男さんの人形も同じでした。
し・か・し~~~~~。
私の今回のお席(9列目上手)、半袖を渡される場面の菊の前が全っっっ然見えない。忠度(玉男さん)のお馬さんが間に立ちはだかって、全く見えない~~~。床近の良席にこんな盲点があったとは・・・。忠度サン全然動かないし・・・。
ようやく忠度サンがぱっかぱっかと下手へ移動。縋りつく菊の前との別れの場面。
プログラムで仰っていた、忠度の背の桜を見る菊の前。う、わぁ・・・・・。なんなんだこの人形から溢れ出る恋情は!どうしてこんなに必死な感情が伝わってくるの?見ているだけで泣けてくる・・・・・。
そして幕切れのキメの鮮やかさ&華やかさ
はぁ・・・・・・・かっこいい・・・・・・・。これが見られただけで第一部はもう大満足でございます・・・・・・・。
この段も滅多にかからないんですね。ここ50年で3回だけとか。とてもいい話なのに。紛れもない武士ではあるけれど戦とは違うところに美を思う人達。人は死に、心は歌となって後世へと残る。こういう話、好きです この段の通称は「流しの枝」なんですね。素敵。

【第二部】
寿式三番叟。気楽に見るつもりが40分と思いのほか長く、文楽素人の私にはツラいものがありました(^_^;) まあ50周年のお祝いですしね。
弥陀六内の段三輪太夫さん。小雪ちゃん(紋臣さん)と女房お岩(玉誉さん)との掛け合い、楽しかった。いいねぇ、文楽のこういうオバチャン。ちょっと前段の林と被るけど。
続いて脇ヶ浜宝引の段咲太夫さんがまさかの屁尽くし・・・ すごいわ~、プロだわ~。敦盛ちゃん!?広島カープ~。簑助?勘十郎?玉男?玉織姫!死体の尻から煙出てるし!文楽ってやっぱり庶民の芸能なのだわ~とつくづく。声色の使い分けもお見事でした。でも時々テンポが間延びして感じられたところも(病後ゆえ?)。 そして隣にずっと控えてる〇寿太夫さんが眠そうで落ち着かなくて、かなり気になってしまった。。。(義太夫の世界ってもっと厳しいものかと思ってた。。。)
しかし咲太夫さんのお声は聞いていて落ちつくなぁ。力んでないのにちゃんと届く。
ここのツメ人形の百姓ズ、みんな個性的で可愛い
敦盛の石塔ってこんな形なのか。帰宅してからググってみたけど、須磨に実際にある石塔と同じ形にしてるのね。ほー。
熊谷桜の段。この段、歌舞伎でも陣屋とセットでやればいいのに。相模(清十郎さん)と藤の方(勘彌さん)が陣屋を訪れて出会う場面を見ておくと、後の展開がすごくわかりやすくなる。
熊谷陣屋の段呂勢太夫さん(&清治さん)から英太夫さん(&團七さん)に変わった辺りからしばらく眠くて眠くて仕方なかったのだけど(たぶん一瞬寝た・・・)、義経登場以降はパッチリ。これ以降はのめりこんで観てしまいました。
制札の見得のところの直実(勘十郎さん)は、相模の背中に片足乗っけて(?)藤の方の顔を制札で抑えて(首を見えないようにするためだけど)、歌舞伎より乱暴に見えたけど迫力でした。
相模が小次郎の首を抱くところ、ぐっときたなあ。人形ならではのものを感じた。人形って人間じゃない分、観ている側が自分の感情を入れ込みやすいのよね。想像力が高められるというか。
「十六年もひと昔、夢であったなァ」。ここも義太夫で語られる分さらりとしているようでじんわりきて、歌舞伎よりこちらの方が好きかもしれません。台詞としても「夢だ夢だ」よりしみじみと味わい深く感じられました。
最後は皆さん勢揃いで迫力。
私、陣屋は文楽の方が好きかも。
そうそう、清治さんの三味線、ピーンと張りつめた音が澄んでいて綺麗だった。呂勢太夫さんのお声とも合っているように感じました。って前にも書いたな。

十二月の仮名手本の通しもすっごく楽しみ

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