風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

向日葵

2017-08-15 23:48:33 | 日々いろいろ




先週訪れた、ひまわり畑の写真です
向日葵って本当に面白いくらいみんなが同じ方向に顔を向けて咲くんですね。そんななか100本に1本くらい真逆の方角を向いてるコもいたりして、人間みたいで見ていて楽しい笑。

向日葵は絵が好きだった祖父が好んで描いていた花でした。
祖父は戦前、画家になりたくて画家の家に住み込みで弟子入りしたのだけれど、掃除や洗濯など下働きばかりさせられて、絵の描き方は全く教えてもらえなかったのだそうです。やがて戦争が始まって出征。終戦は満州で迎え、そのままシベリアの捕虜収容所へ送られました。
帰国後は会社員になりましたが、絵はずっと描き続けていました。大きな描きかけの絵がいつも祖父の部屋の壁に立てかけてあって、それを見るのが子供の私は大好きで、祖父の家に行ったときはよくこっそりと覗きに行っては一人で飽きずに眺めていたものでした。
祖父は不思議なほど向日葵の絵を好んで描いていました。地平線まで続くような一面の向日葵畑も描いていました。描くとすぐに消してしまうことも多かったので、今手元に残っている祖父の絵は数えるほどしかありません。
向日葵は、祖父にとって特別な花のようでした。でも祖母や母がその理由を聞いても、ただ笑っているだけだったそうです。
戦後はマラリアの後遺症に長く苦しめられ、戦中の記憶はもちろん、シベリアの記憶も祖父にとって明るい記憶とは程遠いものだったはずですが(私が知っているだけでもその内容は壮絶です)、もしかしたら、決して暗く冷たく苦しいだけではない何かもそこにはあったのかな、とそんなことを祖父の描いたひまわりの絵に想像するのでした。
祖父はもう亡くなってしまったので、聞くことはできませんが。

祖父の描く向日葵は、花瓶に生けられた鑑賞用の向日葵ではなく、地面に咲く太陽のように力強い向日葵でした。
どんなに辛くても、あの向日葵のように大地にしっかり根を張って、太陽にまっすぐに顔を向けて、生きていけたらいいな、と思います。祖父はそんな私をきっと見守ってくれていると、信じてます。

そんなことを思ったりした、72回目の終戦記念日でした。

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