司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

債権者保護手続 その7

2009年08月07日 | その他会社法関連

電子公告が中断していることが判明し、ワタシは心臓がドキドキして、しばらくホケ~ッとしていましたが、そんな場合じゃありません。

ホントの担当者に電話で事情を訊いてもらったところ、会社では中断の事実をきちんと認識していたようです。まぁ何で中断したかは置いておきますが、それがマズイことだってことは知らなかったみたいです。

中断時間は確か半日程度だったと思います。全公告期間の10分の1には満たないので、公告自体はパーにはなりません。
じゃあ、中断してもそのままにしておいてよいかというと、そうではありません。法律上の要件を充たす場合に限り、公告は有効になることになっています(会社法第939条第3項)。

①公告の中断につき会社が善意で且つ重過失がないこと 又は 会社に正当事由があること。
②中断時間の合計が公告期間の10分の1を超えないこと。
③会社が公告の中断が生じたことを知った後速やかに(a)中断が生じたこと(b)中断が生じた時間(c)公告の中断の内容を当該公告に付して公告したこと。

これら全部の要件を充たせばモンダイはなかったのですが、ご想像のとおり、③(c)の追加公告はもちろんやっていませんでした。しかも、この追加公告というのは、本来の公告期間中に行わなければならないので、期間満了日の前日に中断が起こった本件では、追加公告することはそもそも出来なかったと思います。

ちなみに、追加公告というのは、 本来の公告と一緒に公告するものだそうです。そして、それ自体についても調査会社の調査を受ける必要がありますので、手配するにはそれなりの時間もかかるでしょうね。

追加公告は今さら出来ませんが、不幸中の幸いというべきか、追加公告する時間の余裕がなかったのですから、とにかく法務局を説得してみました。
その結果、こちらの熱意が伝わったのか(?)、中断事由についての正当事由を法務局に上申することによって、無事合併登記は完了いたしました。
あ~よかったです! こんなにヒヤヒヤしたことは滅多にありませんでした。

実際、それまでに電子公告で債権者保護手続をすることは何度かありましたが、中断なんてことが起こるハズはないと思っていた自分と、中断したら大変なことになるんですよというアナウンスを怠っていたことを反省した次第デス。

つまり、今回の中断は、会社の方がそれがマズイことだという認識をしていなかったことによって起こってしまったからなんです。しかも、法務の担当とIT系の担当は通常違いますから、社内的な連携だって必要でしょう。ぶっちゃけたハナシですが、ホントウに正当事由と言えたかどうか、ワタシ自身はギモンがありましたしね。

それ以降は、事前にきちんとご説明していますので、クライアントのみなさんは、中断時間ゼロできちんと調査を終えられています。

債権者保護手続が必要になる場合、特に公告はやり直しが出来ません。公告が無効ということになれば、手続全体をやり直さなければなりませんから、事前の準備は怠りなく、細心の注意を払いましょう~。

というわけで、週末前に何とか終わりましたねぇ。
長々お付き合いいただいてありがとうございました。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 債権者保護手続 その6 | トップ | 外国会社の合併と日本におけ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他会社法関連」カテゴリの最新記事