ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

帰って来た桜宮市~中学生医学生 青春医療小説シリーズ!

2021年07月19日 13時33分20秒 | 桜宮市を歩いてみたら
お帰りなさい! 海堂尊先生!
いや~、ここ数年キューバ革命のお話に傾倒されて
そちら方面の作品を書きまくっていらした(たぶん)海堂先生でしたが
久々に医療小説界に帰って来られましたね。

想えば・・・いわゆる桜宮サーガ一連の作品群は
「スカラムーシュムーン」で一応の完結を見ました。
が、医療小説も書きたくてうずうずしてらっしゃったのでしょうか。

作品群中結構初期に書かれた「医学のたまご」
その続編が次々に発表、刊行されました。
最初の「医学のたまご」は医療関係の雑誌に連載されたものの
その出版社が倒産したため、本書の増版は無理やろなあ~と言われていたあの頃。
ところがさすが天下の角川書店! 
出版権を買い取って文庫本化してくれてるじゃないですか!

随分と前に書きましたが、この作品はノリで各キャラの成長した姿を出したものの
決定的なミスをやらかしてたことがスタッフさんの調査により発覚し
そのミスを挽回してつじつまを合わせるため「モルフェウスの領域」と言う
半ばSF混じりの作品を書いた、と言うエピソードがあります。
いや、これはホンマの話、自称「つじつま合わせの天才」。

そしてこの度、その続編が「野生時代」に連載され、晴れて単行本化されました。
「医学のたまご」に続いて「医学のひよこ」そして「医学のつばさ」で堂々完結!!

内容はと言うと・・・ネタバレにならない程度に紹介しますと
元々のルーツは海堂先生の2作目「ナイチンゲールの沈黙」でしょうか。
この作品のメインキャラがのちのちこの
「中学生医学生 青春医療小説(そんなジャンル初めて聞いたけど)シリーズ」の
重要なファクターとなって再登場。
・・・ま、他作品でもみなさんちょくちょく登場し
サラリと重要なオシゴトをこなしてはくれてますが。
そして「ナイチンゲール」は結構・・・SF的だったりする。
「モルフェウス」はつじつま合わせの為に大胆に?SFシフトしていますが
その流れも汲んでいますからこのシリーズもハッキリ言ってSFです。
ていうか、ラノベだね。
「モルフェウス」の続編の「アクアマリンの神殿」ももはやラノベでしたもん。
それは「ナイチンゲール」で登場した佐々木アツシが主人公の青春物語でした。
今回は3作品通しての主人公:曾根崎薫の青春物語ですが完全にファンタジー。
もともと中高生向けに書かれたものだったので続編もそんなノリになってるのかしら。

そして、久しぶりの桜宮シリーズということもあってか、
これまでの作品群に関連した人物がガンガン出てきました。
田口先生はもちろん、白鳥さんや高階病院長と言ったお馴染みのレギュラーメンバーも登場。
が、それなりに完結してしまったキャラは出てきませんでした。
・・・例えば速水先生、世良先生、彦根先生など、
残念だけどあまりオールスター過ぎてもしんどいので、まあ、いい感じで収めたのでしょうか。
あと、時代設定が2023年だから、今の新型コロナ騒ぎもキッチリネタになさっている。

これまで隠されてきた・・・ていうか、作品群を読んで来た読者にはわかっているけど
登場人物、特に主人公たるカオルの出生の秘密が明らかになっていきます。
当人もそれを知ってしまうことになるのかどうか・・・は読んでみてのお楽しみ。

メインキャラの周りの人物のルーツ作品をちょこっと紹介。

カオルの親友の一人、
平沼くんのパパ・平介とお祖父ちゃん・豪介が活躍するのは「夢見る黄金地球儀」。
これは異色作といっていいでしょう、というのもこれは医療ミステリーではない。
愉快痛快コンゲーム、コミカルな冒険ちょっぴりサスペンスもの。
カオルが尊敬し頼りにする佐々木アツシは前述の通り初出は「ナイチンゲールの沈黙」。
それから「モルフェウスの領域」で辻褄合わせのために?再登場し、続編「アクアマリンの神殿」へ。
読者にとっていきなり登場といえる山咲忍は実は再登場・・・といっていいかどうか。
カオルのシッターの山咲みどりさんと同じく、元は「ジーン・ワルツ」「マドンナ・ヴェルテ」が初出・・・かな。
忍の母・理恵先生が同作品で主人公をつとめています。
オマケ情報、その理恵先生の務めるセント・マリアクリニックの院長・三枝先生、本人はほぼ出て来ないけど
すべての作品群を読んで来た読者には凄く嬉しい人物のはず!! 
この三枝先生はあの、極北シリーズ「極北クレイマー」「極北ラプソディー」で少し登場した
あの、極北市民病院の良心と言われた、あの先生に違いない! 良かった! 海堂先生ありがとう!
・・・意味がわからないという方はぜひそのシリーズお読みください。
謎のスナック「ブラック・ドア」のバーテンダー:牧村瑞人、そして歌手のSAYO
二人は4Sエージェンシーという裏の便利屋やっててちょくちょく他作品にも出て来てましたが
初出はやはり「ナイチンゲールの沈黙」。瑞人はアツシの兄貴分ですからね。
そしてカオルもアツシも・・・もしかしたら瑞人も頭が上がらない
東城大学医学部附属病院の看護師長のショコちゃんこと如月翔子も
もちろん「ナイチンゲールの沈黙」から出てくる長~いおつきあい。
・・・ショコちゃんと言えば、速水先生もアタマ上がらないんだっけ。・・・
教授になっちゃったよ、な田口公平先生は言わずもがなデビュー作「チーム・バチスタの栄光」。
一番最初の主人公、そして最後までなんとなく活躍する(のか?)重要人物。
イヤでもまさかここに至ってコンビの白鳥さんまで出てくるとはね~。
一瞬だけ出て来た三船事務長や垣谷教授も懐かしいお名前です。
今回は完全に敵キャラ?のHAHAHAことマサチューセッツ工科大の東堂教授、
カオルのパパである曾根崎伸一郎教授の同僚・・・みたいなもんですが
このカウボーイハットの似非ヤンキー教授は田口・白鳥コンビ作品の集大成「ケルベロスの肖像」で
物語全般をシッチャカメッチャカ(死語)にしてくれた偉大なる人物。まさかの再登場だよ。

物語の主人公はカオル達中学生チームではありますが
重要なファクターであるアツシの物語でもあるのかな、と思います。
そのアツシ、後半で兄貴分の瑞人と対峙しますが
その時、ずーっと読んで来た、全編読んだ読者はこう思ったのでありました。
「ああ、アツシはやっぱりアツシだったんだ~~~!!」と。
スーパー高校生医学生から、高卒後飛び級でいきなり東城大医学部4年生になったアツシは
何から何まで凄すぎて、クールでカッコよくてついでにすごい美青年になってて
コイツは化けたな~、だったのですが(何故化けたかはやっぱり「モルフェウス」必読!)
相手が瑞人だとね、たちまちあの、小児科愚痴外来で田口先生を困らせた?お子様に戻っちゃうのであります!
なんか、読者としてほっとしました。

とまあ、ざっくりご紹介いたしましたが、相変わらずの海堂節が堪能できました。

こっからは私見ですが、コロナ禍・・・というよりコロナ騒動の現在
先生の著書「ナニワ・モンスター」を今こそ読むべし、と私は思います。
10年前、新型インフルの大騒動は結局世間がから回りして
そのために罹患した患者が差別にあうという今とよく似た事態が起こりました。
この時はワクチンうんぬんや非常事態宣言などはなく1年ほどで収まりましたが
その後ではなく、騒動が起きる直前に書かれたのが本作で
架空の病気「インフルエンザ・キャメル」による騒動や利権まみれの社会の歪みを描いています。
掲載中に新型インフル騒ぎが起きたことについて海堂先生は
「書いたことが現実になった」とご自分でも驚いておられましたが
これはフィクションだけど今のリアル社会にも通じるような内容で
真理を的確についているのではないかと個人的に思うのです。

さて、海堂先生ご自身は今この新型コロナをどう見ていらっしゃるのか?
ちょっと意見をお伺いしたいな・・・なんて思います。

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