メタルの衝撃

新旧含め、メタルに対する自分の思いを書き綴るブログ。

SLAUGHTER

2016-06-29 22:22:19 | メタル検証
元VINNIE VINCENT INVASIONのボーカル、マーク・スローターとベーシストのデイナ・ストラムを中心に結成されたバンド。KISSはもとより、ヴィニーに関しても興味が無かったので聴いていないのだが、このバンドは直感的にこのデビューから購入。当たりであった。
2人が中心という事もあるが、ヴィニーが賞賛したと言われる2人の実力は正に本物。サウンド的にギターは味付け程度なのだが、それでも不足を感じさせない充実の楽曲。メロディはアメリカならではの明るさの中にも哀愁漂うスタイル。実はアメリカン・ハードではこのパターンが最も印象に残り易い。日本人にも好まれるパターンである。
前にネルソンを記事にしたが、デビュー・アルバムながら同等にヒットしているものの、一般的な評価は同等では無い。こちらはそのヒットに納得するだけの内容となっている。
ヘヴィなものを期待するには不足だが、楽曲の良さを求めるには損の無いアルバム。

SLAUGHTER/STICK IT TO YA
1990年発
入手:1990年、東芝EMI

メタル低迷の検証その5

2015-07-12 20:56:31 | メタル検証
少し間をおきましたが、メタル最盛期から現在までに何が変化し、何が減少したか、という所しか見て来なかった。

時間をおいて考えた、その逆を。メタル最盛期に最も影響を与えたものは何かを。

やはり、それはMTVだろう。特にライブ等で体験したバンドならいざ知らず、知らないバンドを映像で見る効果、主にプロモーションで曲のイメージを視覚化したものが多かっただけに英語に弱い日本人でも(笑)イメージが掴みやすかった。
そしてミュージック・ビデオの急速な普及は更に加速度を増し、音源の購入促進に多大な影響を及ぼしたと言えるのではないだろうか。

そして、もう一つ。あの時代の音源の予約特典だ。中には酷いものもあったが、概ねバンドのグッズ、例えばT-shirtやバンダナ、バックルとかバッジとかタオル等。ポスターやシールは普通に付いて来た。

この二つの要素、実はこれが大きく変化している。

最近の特典を確認して欲しい。大体が映像特典となっている。そして、以前にも書いたYouTubeの浸透。

人は不足しているものを何かで補おうとする。以前ならビデオやライブという限られた媒体であったものが、現在では多少の時間的ズレはあれど、ほぼリアルタイムで映像を見る事が出来る。アルバムやレンタルをしなくとも何時でも好きな音楽を聴く事が出来る。
つまり、その度数はあれど欲求がいつでも満たされるのである。

欲しいと思う対象に強さが無くなる。物の価値観が低くなってくる。

利便性と簡易な販売システム。広範な販売網と、確かに商業的には素晴らしいものかもしれないが、その事が及ぼす影響を考えていない、若しくは関係の無い部分の害悪なので無視しているか。

音源DL化をメタリカのラーズは推奨していた。レコード店が加速的に廃業していく事を考えなかったのか、自らの利だけしか考えなかったか。

日本ではCDに映像とは違った特典を付けて頑張っているアイドルも少なくない。海外のメタルバンドは同じようには出来ない。この状況を変えるのはバンド自身?それともレーベルの言うがまま?
我々に出来る事は何も無い?

一人一人考えて欲しい。何が出来るかを。

メタル低迷の検証その4

2015-06-21 21:33:40 | メタル検証
本日は個人的な感想を。

具体的にいつからか、と言われれば恐らくドリームシアターが支持を集める様になってからではないかと思うのだが、技術面だけが注目される傾向にあったのではないか。
その証拠にその後、出てきたバンドの殆どはテクニカルなものが多く、中には技術面のみが際立ち、その他があまりパッとしないものもあった。
当然、ユーザーは技術面の評価もある訳で、バンドメンバーなんかは真似もしたりする。それも一つの要素ではあるのだが、結局大半のユーザーは単なる一ファンが多く、テクニカルな面も着目はするものの、曲の印象だったり、曲から伝わってくるスピリットだったりするのでは無いだろうか。

例え、演奏が下手であろうと、伝わってくるものがあれば、いつまでも印象に残るのである。

その起因が全ての元凶かと言えば、そうでもなく、それを支持したユーザーにも責任があり、その傾向がこれからの主流だと決定したレーベルにも問題がある。
結局は一つのキッカケで低迷のスパイラルに入り込み、再起を計っても真のメタル好きしか残らなくなってしまったが為の結果であろうと思われる。

一応、以前の盛り上がりを基準に"低迷"としたが、個人的にはこの状態が普通。やや、停滞気味ではあるものの、俄ファンに騒がれるよりは現状のマトモな状態がおサイフにも優しい(笑)

メタル低迷の検証その3

2015-06-14 12:22:09 | メタル検証
最近の話題にもなっているアップル・ミュージックといい、ライン・ミュージックといい、音楽が作品であるという本来の意義はどんどん形骸化されている。

それも含めて、今回のテーマは音楽市場。

ご存知の通り、市場の中心はアメリカであり、大手レーベルが集中すると共に関連する企業の数、そして販売網を含めその規模は他国の追随を許さない。他国にあるレーベルですら、大手レーベルの系列であったり、子会社、出資会社であったりするのだから、余程急成長の企業が買収等で大手参入する様な事がなければ、現実は変わらない。

最も病むべき問題はアメリカを拠点とした場合、サウンドをアメリカ人好みにしなければならない事。しかも、そうしたからと言って必ずしも売上が上がる訳では無い。アメリカを拠点にせずとも世界制覇したバンドは多数あるのだから、"一発逆転"を狙わず、地道に人気を得ていけば、とも考えられるのだが、細かい事情を知っている訳でも無いので一概には言い切れない。
前回のデビュー多発化はそういう意味では元々のスタイルで活動する事が出来た事もメリットの一つではある。
理想としては各バンドが其々の持ち味で活動出来る場を分散化する事であろう。現状でもそういう環境になっている、と言われればそれまでだが、主要国だけでも独自の大手レーベルを創出して欲しい。その事で更に国々の特色も出やすくなり、全体の活性化にも繋がるのではないだろうか。

確かに簡単な事では無い。しかし、アメリカ主導の業界ではメタルの未来も希薄にならざるを得ない、と個人的には感じている。

メタル低迷の検証その2

2015-06-07 07:46:26 | メタル検証
今回はユーザー側から。

ユーザーは各々に拘りある方、ない方ともに需要が満たされればそれで良い。例えどの様な形態であろうと入手出来ればそれで良いのである。
但し、メタル全体から見れば、実は拘り無いユーザーが問題である。最近のユーザー等はメタルに限らず良いと思った音源をただ感覚的に選択している様で、良いと思われる音源が無ければ他のジャンルにあっさり乗り替える。特に日本人は昔から熱し易く冷め易いと言われている民族で、拘りを持つ者は少ない。

つまり、これはメタルに対する関係の深さを示すもので、例えば前回のデジタルコンテンツの発達は付随する情報が無い為にバンドそのものや、個々のメンバー、そしてバックボーンや繋がり迄興味をもたず、過去のアルバムや、ルーツとする音源を探してまで聴こうとはしない。広がりがあるとすれば、
検索したワードで羅列された他の音源からアクセス数の多いものや、表示された画像から興味を持った程度の範囲であろう。とても商業的に広がりがあるとは思えないのである。

ただ、近年はユーザーの需要に対するバンド若しくはミュージシャンの供給が合致してない様に思われる。これは、ユーザーの趣向が目まぐるしく変化するという事では無く、数年前より演奏技術や曲構成の複雑さ等を重視。一回りして昔のスタイルも見直され、古いカテゴリーの新バンドも続々出てきたが、メロディラインやリズム展開に新要素は無く、結局技術面が目立ったバンドが大半を占める様になり、聴き込みの深さは増したが、印象に残らなくなった。
中にはバンドの特質そのものを白紙にして、新たな手法に取り組む者も。

実は、その流れは周りによって作られている。有名な情報誌やメディア、そしてその流れを受けて各レーベルやマネジメントも積極的に発掘。一時、飽和状態を超え、過密じゃないかと思える程のバンドを扱っていた。

多様な情報の氾濫は、時に多くの支持があるかの様に受け止められる事がある。そして過剰な供給は分散化を促進する。全てに於いて、実はユーザーもバンドも関わっていない所で流れが作られ、展開されている。
これは音楽業界に限った事では無い。ファッションにしても話題のフードにしても、その流れを作っているのは各専門のメディア。悪い意味で言えば、ユーザーはこれらに操作されているのである。
現在のメタル低迷は、過剰供給により操作出来なくなった結果であり、逆に拘りを持たないユーザーの操作を誤った結果なのである。