東海林さだおさんは漫画家でありながら、名エッセイスト。特に食関係のエッセイに味がある。エッセイだけで何十冊も著書があって、私もファンの一人です。
韓国食関係のエッセイも散見されますが、実際に韓国に行ったことは少ないらしい。
私のもっている『ニッポン清貧旅行』の中に、初めての韓国食探訪記があります。
まずそのきっかけは……。
ぽくが近所の焼肉屋へ行くと,メニューは大体次ようになる。
まずカルビ。
それからキムチ。
この二つは迷うことなく注文する。
それからナムル。
ここでユッケ(牛刺し)かレバ刺しか,で少し迷い,どちらかを注文する。
それからライス,ぎんぎんに冷えたビール,最後は冷麺かクッパでしめくくる。
焼肉屋の料理は,どの店もそれほど当たりはずれがなく,大いに満足しつつ食べていると,
「本場の焼肉はこんなもんじゃないんだよな」
と言い出す奴が必ず出てくる。そうすると,
「そう。アッチはこんなもんじゃないよな」
と,あいづちを打つ奴が出てくる。
「キムチもアッチはこんなもんじゃないよな」
ということになり,
「キムチもこんなふうに日本人向けにしてしまってはおしまいだよな」
ということになっていく。
ぼくはまだ一度も韓国に行ったことがない。だから,これらの発言に一言も反論することができない。それまで大いに満足しつつ,元気一杯に食べていたのに,なんだか急にまがいものを食べているような気持ちになって,
(いいんだ。オレがいま食っているのはヘンな焼肉なんだ。どうせいいんだ。オレ田舎もんだし……)
と急に元気がなくなり,箸先に力がこもらなくなって,焼肉をポトリと取り落としたりする。
本場物と,日本物と,どこがどのように違うのか。本当に違うのか。反論できないところがくやしい。
よーし,確かめてくるかんな。
もし,違っていなかったら許さんかんな。
キムチをカメごと頭からかぶせるかんな。
と,ある日何だか急に激昂して,急に現地に乗りこむことになった。
……こうして「韓国B級グルメツアー」が始まるのですが,そこで東海林さだおさんの鋭くもユーモア溢れる焼肉への考察がどのように展開されるかは本書を読んでいただくとして…。
中に刺身丼(フェトッパプ 회덮밥 )とうな丼を扱ったところがあったので紹介します。
刺身丼というのがあった。
この食べ方がすごい。
酢入り唐辛子味噌をかけ、スプーンでもって上下左右徹底的にかき混ぜたうえにこねあげる。長い人だと一分以上かき混ぜているという。
ウナ丼というのもちゃんとあるが、食べ方がちがう。
丼の中のゴハン、その上にウナギの蒲焼きというスタイルは全く同じだが、これをですね、やはりですね、スプーンでグチャグチャにかき混ぜ、こねあげ、練りあげたやつをスプーンですくって食べる。
東海林さんの目にも、韓国のこの「混ぜる食文化」が新鮮に映ったようです。
最新の画像[もっと見る]
- 告白の使い方 3日前
- ウイスキー vs. ウォッカ 5日前
- ベトナム食材店 7日前
- 三国に載っている韓国料理 1週間前
- 妻は中症だったらしい 2週間前
- ベトナム技能実習生の物語 2週間前
- 総選挙の結果と大災害 2週間前
- 日本語教育能力検定試験 2週間前
- ワールドシリーズ観戦 3週間前
- 「違国日記」と朝ドラ「おむすび」 3週間前
今回のアシアナは“正調・ピビンパブ”は出なかったので貰えませんでしたが,前回の仁川~成田では,“How to enjoy 'BI-BIM-BAP'”という極小小冊子(英日中併記)とともに,ピビンパブが出てきました。
それによると,食すにあたり「ごはんを器に入れます。」「ごま油とコチュジャンを入れます。」「よく混ぜます。」「ビビンパをおかずとお吸物と一緒に召し上がってください。」とありました。
自分は,それこそ箸を両手に持って,これでもかって全体が赤くなるまで混ぜ合わせますが,日本人の場合,多くは数回チャッチャッと形だけ混ぜて食べ始めてしまう人が多いですね。あれじゃ,ホントの味はしないと思います……。
因みに,中文表記では「蔬菜拌飯」となっています。
日本では石焼ビビムバッが人気のようですが、石焼の歴史は浅いみたい。
なんでも、明洞の全州中央会館というお店が開発したそうです。