今年の年末年始は日本の秘境,島根県に来ています。
島根県には竹島(韓国名独島トクト)がある。2005年,島根県議会が2月22日を「竹島の日」とする条例を制定して以来,それまで比較的静かだった日本海(韓国名,東海)が荒立ち始めた。竹島は日本固有の領土ですから,あえてそんな日を作る必要もなかったのですが,韓国が不法占拠している状態が50年の長きにわたっているため,放っておくと既成事実化されかねない。そのような状況を打開するためだったようです。
これまで竹島問題について,一般教養書を何冊か読んでみたものの,一般向けとはいえ古文書の訓詁が中心なので,難解。ただ,日本が国際司法裁判所で白黒つけようと言っているのに,韓国はそれに応じようとしないところを見ると,どうやら日本に分が有るらしい。
とりあえず現地を見ておこうと思い立ったのが,今回の里帰りです(嘘)。レンタカーで,東名高速を一路島根に向かう道中,あるアイデアが浮かびました。この係争をなんとか解決できないものか。とはいえ戦争で勝負するのは穏やかでない。ここは,美味しんぼ風に,「日韓食対決」にしたらどうだろう。
よし!! さっそくこのアイデアを家族に諮ろうと思ったのですが,竹島がどこにあるのかも定かでない娘たち(ソウル日本人学校で習ったはずだが,たぶんきれいさっぱり忘れているでしょう)に言っても無駄と思い,やめておきました。
さて,大晦日といえば,年越しそば。
年越しそばといえば,出雲そば。
日本にそばは数多あれど,出雲そばは「日本三大そば」に数えられる名物です。出雲そばは,たとえば更級そばなどと違って,色がかなり黒っぽい。これはそばの実を殻ごとひくためだそうです。
そして,食べ方にも特徴がある。割子といわれる器にそばを盛り,分葱と鰹節をかけ,そこにかつおだしの濃い目のつゆを注ぎかける。ふつうのそばが,つゆにつけて食べるのとは反対です。洗練された味わいとはいえませんが,力強く純朴な味とでも申しましょうか。
ここで思い出すのは韓国のそば。私の歴代の上司の中に一人,韓国料理はからっきしダメ,韓国に駐在しないために生まれてきたような人がいて昼飯はいつも和食でした。
あるとき,出先でそばを食べた。専門店ではなく,ビビンバとかテンジャンチゲに混じってそばもある,というような韓食の店です。そばなら和食だからよかろうということで入ったのですね。
頼んだのはざるそば。
確かに見た目はそばです。しかし,その駐在員,つゆにそばを浸して勢いよくすすったとたんに顔をゆがめた。苦労して嚥下していましたが,「こりゃだめだ」と,一口食べたきり,後は残した。どうも,いりこ(にぼし)だしのつゆがだめだったようです。
そして麺。色は出雲そばよりもいちだんと黒い。そして,不気味な艶がある。私も食べてみました。
「こりゃ,冷麺だ」
たぶん,そば粉のつなぎとしてジャガイモの澱粉を使っているのでしょう。いわゆる「こし」という概念からはほど遠いむちむち感がある。私は,だしには抵抗がなかったのですが,どうもこの麺がいけない。
そばといえば,もう一つ,恐るべき思い出があります。
そばはそばでも「焼きそば」。10年前,ソウルの駐在員にとって,「焼きそば」問題は深刻でした。焼きそば用の中華麺を売っていないものだから,焼きそばが大好きな家族をもった駐在員は,日本出張の帰りにずっしり重いスーツケースを引いて帰るのが常でした。スーツケースの中は焼きそば麺がぎっしり。
ところで東部二村洞に,何軒か和食の店がありました。そのうちの一軒のメニューに「焼きうどん」があって,なかなかいい味を出していたので,うちの家族もときどき食べに行っていました。
あるとき,新しいメニューが加わったことに気づいた。「焼きそば」です。うちの家族は狂喜しました。ところが,さっそく注文してみて驚いた。なんと,日本そばをソース味で焼いていたのです。焼きうどんからの類推で,「うどん」を「そば」に変えただけのようです。当然のことながら,まもなくそのメニューは姿を消しました。
ともかく,第一ラウンドの「そば勝負」はそもそも勝負にならない。日本の一勝です。
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