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弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

NHKスペシャル「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」

2012-06-24 18:34:42 | 歴史・社会
6月23日のNHKスペシャルは「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」でした。

今まで私は、「マル高出産」ということで、以前は30歳、最近は35歳を超えると出産が苦しくなる、ということは知っていました。
つい最近、新聞か何かで「35歳を過ぎると、受精卵の着床率が低下し、妊娠しづらくなる」という話を始めて聞きました。つまり、女性が高齢になると、出産に困難が伴うという以前に、妊娠が困難になる、ということです。

今回のNHKスペシャルはまさにその話題でした。
一言で言うと、「女性が持っている卵子は女性の年齢とともに劣化する。そのため、受精しても正常に育つ比率は、年齢とともに低下する。35歳を過ぎると劣化が進行し、40歳を過ぎると妊娠率は大きく低下する。」ということのようです。
不妊治療を行うにあたっても、不妊治療の成功率は女性の年齢とともに低下するのです。ですから、不妊治療を受けようと思うのであれば、できれば35歳前に受けるべきです。ところが、日本では、不妊治療に訪れる女性の年齢が35歳を超える比率が非常に高いのです。

問題は、日本人が「卵子は女性の年齢とともに劣化するので、不妊治療も35歳前に受けることが非常に重要」という事実を知らずにいることです。私は、そのような事実は最近になって明らかになったのかと思っていました。ところが実際は、
先進国の中で、卵子の劣化についての知識が国民に普及していないのは日本だけ
というのが実態だとのことです。私にとってはこのことが最大のショックでした。

日本では、「不妊治療の費用は一部のみが公的負担、年齢制限なし」です。
一方フランスでは、「不妊治療の費用は、女性が41歳以下であれば全額公費負担」という制度です。41歳を過ぎると公費でまかなってもらえません。また、夫婦で一緒に治療を受けることが公費負担の前提です。

以上のような制度の違いがあるので、フランスでは、不妊治療を受けるのであれば若いうちに受ける、ことが徹底しています。日本は逆に、35歳を過ぎてから不妊治療を始めるので、治療効果を上げることが困難なのです。

日本で女性の不妊治療開始年齢が高齢である理由が二つあがっていました。
第1は、働く女性が、自分のキャリアが軌道に乗ってから妊娠・出産しようと計画するため、どうしても高齢妊娠になってしまうという点があります。高齢になって妊娠を望んでも妊娠しないので、その時点で不妊治療の門を叩くことになります。
第2は、夫の無理解があります。不妊の原因が男性側にある場合が多いので、不妊治療は夫婦がともに受診しないと意味がありません。ところが、男性の側に勇気がなく、逡巡しているうちに何年かが経過してしまいます。男性側に不妊の原因があっても、体外受精で対応できる場合があります。ところが、やっと男性が決心したときには、女性の年齢が高齢化し、卵子が劣化しているため、体外受精の成功率が大幅に下がってしまうのです。
女性の年齢が40歳を過ぎると、体外受精の成功率は確か10%程度あるいはそれ以下でした。

少子高齢化が進む日本では、出生数の増加が急務です。私は特に、「優秀な夫婦が多くの子供を産み育ててほしい」と希求するものです。
しかし、優秀な女性ほど、働くことによって自分の存在意義を確かめたい要求を持っています。従って、私の希望を叶えようとしたら、「優秀な女性が若いうちに妊娠・出産できるような環境を整える」ことが必須となります。そのためには「優秀な女性が若いうちに妊娠・出産しても、その女性のキャリアに支障を来さないような制度が充実している」ことが必要です。
「男女機会均等」ではこのような条件は実現しません。私は、「男女で機会を不均等にし、女性を優遇しないと、今後の日本は立ち行かない」と思っている次第です。
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