弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

クラウド普及へ特区

2010-04-18 11:23:46 | サイエンス・パソコン
ちょっと古新聞ですが、4月10日の日経朝刊一面トップは、
『「クラウド」普及へ特区 総務省、データセンター誘致』
という記事です。

クラウドコンピューティングについては、去年11月にクラウドコンピューティングとは何かとしてここでも記事にしました。
クラウドとは、数万台とも数十万台ともいわれるサーバーを結合して大規模な分散処理システムを構築し、利用者が個別にサーバーを構築するのに比較して劇的に安価にしています。そして、大規模分散処理の技術が進歩し、利用者が、その数万台の大規模分散処理システムの一部を借り、あたかも数台~数十台のサーバーを構築して利用者のコンピュータ処理を行っているような形態を取ることが可能となりました。

利用者はインターネットを通じてクラウドにアクセスしますから、データセンターは地球上のどこにあってもいいわけで、地域を選びません。それがなぜ「特区」なのだろうか。

『米グーグルやマイクロソフトは建造費や電気代を低く抑えられるサーバーを格納したコンテナを並べる方法をいち早く採用し、米国やアジアに次々とデータセンターを建設した。』
『日本ではコンテナ型サーバーが建築基準法の対象になり、消防設備などが必要だ。データセンターの構築・運営費用は米国の2倍に上るとの試算もある。』

なるほど、そんな理由で、日本にデータセンターを建設することが不利になっているのですか。

『総務省はこうした規制を緩和する必要があるとみて、特区創設の方針を固めた。巨大な施設になるため、冷却に必要なエネルギーを節約できる北海道か東北を候補地にする。国内外の事業者を誘致し、最大でサーバー約10万台分のデータセンター構築を構想。』
『通信機器などを更新しやすくするため、11年度の税制改正でサーバーや通信機器の法定耐用年数の短縮も要望する。現在はサーバーなどが5年、通信機器などは10年程度で、3年程度の実利用年数とかけ離れている。法定耐用年数が短くなれば企業が減価償却で損金算入できる金額が増える。』

税制でも日本は不利な条件に置かれているのですね。
このような方向で政府が動くことは好ましいでしょう。しかし、ことは急を要します。クラウド先進企業は、続々と大規模データセンターを構築しているはずです。日本の企業がこの動きに後れを取らないためには、少なくとも今年中には規制を緩和できていないとならないでしょう。民主党連立政権には頑張ってもらいたいです。

しかし、日経の記事では
『総務省はこうした規制を緩和する必要があるとみて、クラウドサービス普及に向け、2011年春にも北海道か東北に特区を創設する。』
とあります。1年以上先の話ではないですか。

ネットで検索して週刊ビジネスガイド4月15日号を読んだところ、最近の日本企業がクラウドを採用する様子が書かれています。損保ジャパンはクラウド大手の米セールスフォース・ドットコムのサービスを利用します。年間の利用料は数億円、自前で開発・運用する場合と比べ、コストは7割減になる見込みでだそうです。またパナソニックは米IBMのクラウドサービスを使います。
『従来、社外にデータを預けることへの抵抗感が導入のハードルとなっていたが、今やクラウド会社は巨額の投資で頑丈・安全なデータセンターを有しており、自前のデータセンターより安全との認識が定着しつつある。』

クラウド化の流れは猛烈な勢いで進んでいるようです。どうか、行政がネックとなって日本が後れを取ることのないよう、お願いしますよ。
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