年金破綻の原因の第1が高齢化であり、原因の第2が少子化であることは間違いないでしょう。
単純には、このまま少子化傾向が持続するよりも、出生率が2.0の付近まで戻ってくれた方が良さそうに思います。そうだとしたら、出生率を戻すための政策にどれほどの税金をつぎ込むつもりが国民にあるのか。
中垣陽子著「社会保障を問いなおす」の中で、著者の中垣さんは、
「そもそも、少子化とはくいとめるべき課題なのかどうかという点を議論すべきことはもちろんだ。が、本書では、子どもが欲しいと思っているのにもかかわらず、もてずにいる人が増えている中、少なくとも子どもをもちたい人は子どもをもてるようにすべきだ、という立場に立つ。」としています。
従来からの子育て支援策は、保育所の整備に力が注がれています。保育所を整備するということは、働く女性が仕事と育児を両立できるようにするための「両立支援策」です。
ところで、子どもを持ちたいと思っている女性の中で、「子どもができたら専業主婦になる(グループ1)」「「結婚あるいは出産の機会にいったん退職し、子育て後に再び仕事を持ちたい(グループ2)」「結婚して子どもを持つが、仕事も一生続ける(グループ3)」は、現在同じような比率でいずれも存在します。
このような中、保育所の整備というのはグループ3の人たちのみへの支援となるわけで、グループ1、2の人たちが子どもを持てるようにする支援になっていないのではないか、というのが中垣さんの問題意識です。
《保育所の実態》
認可保育所入所児数は2003年で205万人、無認可保育所は18万人です。
認可保育所の保育コストは、一人あたり年額120万円、特にコストが高い0歳児は400万円です。そして認可保育所の運営費の8割は財政の負担であり、利用者が支払う保育料は2割に過ぎません。一方で無認可保育所には一切補助が入っていません。
この保育所コストがどの程度かというと、保育所の運営コスト全部を現金支給に回せば、3歳未満児全体に一人あたり年額50万円超を支給できることになる規模です。
そして、保育所に対する財政負担は、上記グループ3の母親の助けにはなっていますが、グループ1、2の母親たちは援助を受けていません。
《12歳までのすべての子どもに1人1年間百万円の子育て支援金を支給》
これが中垣さんの提案です。今までの保育所への財政負担はなくなります。
働き続けたい母親は、保育所などの育児サービスを購入することができます。基本的に自分で育児をしたい母親は育児というケアに対する対価として現金を受け取るとともに、必要に応じて一時預かりなどのサービスを利用できます。子育て中の女性は働き続けるべきか、育児に専念すべきか、といった問題もより弾力的に考えることができます。
年間の出生数を100万人としたら、この子育て支援金に要する費用は年間12兆円となります。しかし、現在の年金や医療の規模と比較すると、決して捻出できない規模ではありません。これによって、あまりに高齢者への給付にかたよったわが国の社会保障制度のバランスを回復することもできるでしょう。
中垣提案の「12歳まで1人1年百万円」は、今回の民主党提案である児童手当よりもはるかに大きな規模です。少子化が解決すべき課題であるとの共通認識ができるのであれば、この程度のインパクトのある案を一つのモデル案とし、国民の合意を形成していくことが重要であるように思います。
単純には、このまま少子化傾向が持続するよりも、出生率が2.0の付近まで戻ってくれた方が良さそうに思います。そうだとしたら、出生率を戻すための政策にどれほどの税金をつぎ込むつもりが国民にあるのか。
中垣陽子著「社会保障を問いなおす」の中で、著者の中垣さんは、
「そもそも、少子化とはくいとめるべき課題なのかどうかという点を議論すべきことはもちろんだ。が、本書では、子どもが欲しいと思っているのにもかかわらず、もてずにいる人が増えている中、少なくとも子どもをもちたい人は子どもをもてるようにすべきだ、という立場に立つ。」としています。
従来からの子育て支援策は、保育所の整備に力が注がれています。保育所を整備するということは、働く女性が仕事と育児を両立できるようにするための「両立支援策」です。
ところで、子どもを持ちたいと思っている女性の中で、「子どもができたら専業主婦になる(グループ1)」「「結婚あるいは出産の機会にいったん退職し、子育て後に再び仕事を持ちたい(グループ2)」「結婚して子どもを持つが、仕事も一生続ける(グループ3)」は、現在同じような比率でいずれも存在します。
このような中、保育所の整備というのはグループ3の人たちのみへの支援となるわけで、グループ1、2の人たちが子どもを持てるようにする支援になっていないのではないか、というのが中垣さんの問題意識です。
《保育所の実態》
認可保育所入所児数は2003年で205万人、無認可保育所は18万人です。
認可保育所の保育コストは、一人あたり年額120万円、特にコストが高い0歳児は400万円です。そして認可保育所の運営費の8割は財政の負担であり、利用者が支払う保育料は2割に過ぎません。一方で無認可保育所には一切補助が入っていません。
この保育所コストがどの程度かというと、保育所の運営コスト全部を現金支給に回せば、3歳未満児全体に一人あたり年額50万円超を支給できることになる規模です。
そして、保育所に対する財政負担は、上記グループ3の母親の助けにはなっていますが、グループ1、2の母親たちは援助を受けていません。
《12歳までのすべての子どもに1人1年間百万円の子育て支援金を支給》
これが中垣さんの提案です。今までの保育所への財政負担はなくなります。
働き続けたい母親は、保育所などの育児サービスを購入することができます。基本的に自分で育児をしたい母親は育児というケアに対する対価として現金を受け取るとともに、必要に応じて一時預かりなどのサービスを利用できます。子育て中の女性は働き続けるべきか、育児に専念すべきか、といった問題もより弾力的に考えることができます。
年間の出生数を100万人としたら、この子育て支援金に要する費用は年間12兆円となります。しかし、現在の年金や医療の規模と比較すると、決して捻出できない規模ではありません。これによって、あまりに高齢者への給付にかたよったわが国の社会保障制度のバランスを回復することもできるでしょう。
中垣提案の「12歳まで1人1年百万円」は、今回の民主党提案である児童手当よりもはるかに大きな規模です。少子化が解決すべき課題であるとの共通認識ができるのであれば、この程度のインパクトのある案を一つのモデル案とし、国民の合意を形成していくことが重要であるように思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます