弁理士の日々

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民間事故調報告書・日銀と円安の進行

2012-03-14 22:47:50 | 歴史・社会
《原発事故・民間事故調・報告書》
予約注文していた以下の本が昨日届きました。
福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書
クリエーター情報なし
ディスカヴァー・トゥエンティワン
読み始めているところですが、おもしろいです。「今回の原発事故を究明し、未来に向けて、世界に向けて、役に立つ情報を提供しよう」という意気込みが伝わってきます。そして最初の10ページほどを読んだところでは、その目論見は成功しているのではないかと予感させます。

原発事故の調査・検証については、政府事故調による中間報告がが、昨年末の2011.12.26に公表されています。この政府事故調も、「真相を究明しよう」という熱意が伝わってくる中間報告でした。

このブログで3月1日に報告したように、政府事故調と民間事故調は調査範囲やスタンスが異なっており、それぞれが特徴を有しています。この両方を読むと、お互いが補完しあっていろんなことが分かってきそうです。


《最近の日銀と円安の進行》
円安の進行が止まりません。本日3月14日22時にはとうとう83.5円/ドルを突破しました。
すべては2月14日、日銀が金融政策決定会合で、デフレ脱却に向けた中長期的な物価目標について、「当面は消費者物価の前年比上昇率で1%をめど(goal)とする」ことを決めた。目標の物価水準を明示し、事実上のインフレ目標を導入。長期国債買い入れのため、基金も10兆円増額し、65兆円に拡大する追加金融緩和を全員一致で決定した」ことがスタートでした(日銀の10兆円金融緩和で為替レートは?)。
10兆円の追加緩和では1~2円/ドルの円安?と予測しましたが、その予測をはるかに超える円安です。印象としては、世界の市場が「日銀は態度を改めた。デフレ脱却に向けて本気で金融緩和してくる」と認識したのではないでしょうか。そのため、当面の10兆円緩和効果を超える円安が誘導されているかのようです。

その後、2月29日にはバーナンキFRB議長が議会証言でQE3(量的金融緩和第3弾)について踏み込んだ発言をしなかったとして円安が進行し、3月13日14時に「日銀は追加緩和しない」と伝わるとあっという間に82.3円から82.0円に戻り、同日夕方に日銀白川総裁の記者会見が「デフレ脱却への取り組みを強化する姿勢を示した」と評価されてあっという間に82.7円まで円安です。その後、米景気回復と追加金融緩和の可能性が低くなったとの観測から、現在では83.5円/ドルだということです。

最近のドル円変動の解説では、「日銀が金融緩和したら円安」「FRBが金融緩和しなかったら円安」ということで、為替の動きが非常にはっきりしています。

年末にはドル90円が視野に、長期円高を終焉させたパラダイムシフト(2012.03.13(火))で武者陵司氏は、『今、世界の金融市場、ことに日本の市場は大きなパラダイムの転換期に差しかかっていると考えられるが、それは為替市場に端的に反映されていると思われる。』と解説しています。

つい最近まで、日銀の白川総裁は世界からまったく注目されていませんでした。
それが現在はどうでしょう。白川総裁の一言で世界の市場が動き、為替が変動しています。「日銀がデフレ脱却と円安へ向けてやっと本気になったのか」と世界が認識したのでしょうか。
このような状況が白川総裁にとって本意であったかどうかはわかりませんが、もう逃げられませんね。
エルピーダの破綻、パナソニック・ソニー・シャープの巨額の赤字を見るまでもなく、円高は日本企業に酷であり、円安が好ましいことは明らかです。円安とともに日経平均が上昇してとうとう1万円を突破したことからも、市場が円安を歓迎していることがわかります。
日銀は自らが持つ力を自認したのですから、その力を有効に発揮し続けてもらいたいものです。
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