11月2日朝、2号機で核分裂の可能性 キセノン検出、ホウ酸注入 福島第1原発というニュースが突然流れました。
産経新聞 11月2日(水)9時32分配信
『東京電力は2日、福島第1原発2号機で原子炉格納容器内の気体に半減期が短い放射性キセノン133、同135が含まれている可能性が判明、溶融した燃料で核分裂が起きている恐れが否定できないとして、核分裂を抑えるホウ酸水を原子炉に注水したと発表した。』
『放射性キセノンは核分裂に伴い発生する。東電は先月28日、2号機の格納容器内の気体を吸い出して放射性物質を除去する装置を設置しており、1日に採取した気体を分析したところ、キセノン133と135が含まれている可能性があることが明らかになった。このため、2日午前2時48分に原子炉への注水ラインからホウ酸水の注水を始めた。東電は、キセノンの検出が続くかどうか、状況を見極める。』
当初は、分析値が微量なので誤検出かどうか確認、ということでしたが、その後確かにキセノンが検出され、「いよいよ再臨界が起きたのか」と大騒動となりました。
ところが3日になって、
東電、「臨界でなく自発核分裂」…保安院は慎重
という話になりました。
読売新聞 11月3日(木)13時12分配信
『原子炉内では、運転時に生成した放射性物質キュリウムが単独で分裂する「自発核分裂」が散発的に起きており、極微量のキセノンはキュリウムの分裂で説明できるとした。
キセノン133とキセノン135は、1日に格納容器から採取したガスから検出された。濃度はともに1立方センチ当たり約10万分の1ベクレルと極微量だったが、それぞれの半減期は約5日、約9時間と短く、直近に核分裂反応が起きたとみられ、東電は2日、小規模な臨界が一時的にあった可能性もあるとの見方を示していた。
だが、詳しく解析したところ、小規模な臨界であっても検出量の1万倍のキセノンが発生することがわかった。臨界を防ぐホウ酸水を2日未明に注入した後もキセノンが検出されたことも、臨界が起きていない根拠として挙げた。』
「自発核分裂」とははじめて聞く言葉です。そこで調べてみました。ウィキには、自発核分裂について説明がされています。その上で、
『自発核分裂の確率 [編集]主な核種の自発核分裂の確率を以下に挙げる。
235U: 5.60 × 10-3 回/s-kg
238U: 6.93 回/s-kg
239Pu: 7.01 回/s-kg
240Pu: 489,000 回/s-kg(約 1,000,000 中性子/s-kg) 』
とのデータが掲載されていました。
ウランとプルトニウムの同位体の中では、プルトニウム240が圧倒的に高い確率で自発核分裂するようです。
そして、原子力発電所で生まれるプルトニウムのうち、核分裂するプルトニウムは70%というサイトでは、「原発のウラン燃料は、使い切った状態で、プルトニウムが1%生成しており、そのうちのプルトニウム240が24%を占めている」という情報が掲載されていました。
原発の原子炉の中では燃料棒中にプルトニウム240が順次生成しており、福島第1の2号機原子炉内の核燃料棒中にもプルトニウム240は生成していたはずです。そのプルトニウム240は自発核分裂の確率が非常に高いとあります。また、キセノンとは? ウランが核分裂する際にできる希ガスによると、『放射性同位体のキセノン133や135は、原発の燃料として使われるウランやプルトニウムが核分裂する際にできる。』とあり、プルトニウムの核分裂でもキセノン同位体は発生するようです。プルトニウム240の自発核分裂でも同じかどうかは不明ですが。
報道では、原子炉内の燃料棒中に核分裂で生成したキュリウムの自発核分裂が、今回のキセノンの原因であるとしています。プルトニウム240の自発核分裂についてはまったく触れていませんが、実態はどうなのでしょうか。
また、このように調べてみると、原子力の専門家にとって「自発核分裂」はごく初歩的な知識であり、非臨界にある原子炉内においても常時起こっている現象であることは当然の知識として保有しているべきものと思われます。今回、「東電でのキセノン分析 → 原子力安全保安院へ報告 → 官邸へ報告」という伝言ゲームの中で、どこかで専門家が「これは臨界ではなく自発核分裂の可能性が高い」と思いつかなかったのでしょうか。思いつけば、最初の報道発表、官邸への最初の報告においてその旨を説明できるでしょうから、ここまで大騒ぎすることにはならなかったと思われます。
ps 11/5 日本原子力学会による報告書
産経新聞 11月2日(水)9時32分配信
『東京電力は2日、福島第1原発2号機で原子炉格納容器内の気体に半減期が短い放射性キセノン133、同135が含まれている可能性が判明、溶融した燃料で核分裂が起きている恐れが否定できないとして、核分裂を抑えるホウ酸水を原子炉に注水したと発表した。』
『放射性キセノンは核分裂に伴い発生する。東電は先月28日、2号機の格納容器内の気体を吸い出して放射性物質を除去する装置を設置しており、1日に採取した気体を分析したところ、キセノン133と135が含まれている可能性があることが明らかになった。このため、2日午前2時48分に原子炉への注水ラインからホウ酸水の注水を始めた。東電は、キセノンの検出が続くかどうか、状況を見極める。』
当初は、分析値が微量なので誤検出かどうか確認、ということでしたが、その後確かにキセノンが検出され、「いよいよ再臨界が起きたのか」と大騒動となりました。
ところが3日になって、
東電、「臨界でなく自発核分裂」…保安院は慎重
という話になりました。
読売新聞 11月3日(木)13時12分配信
『原子炉内では、運転時に生成した放射性物質キュリウムが単独で分裂する「自発核分裂」が散発的に起きており、極微量のキセノンはキュリウムの分裂で説明できるとした。
キセノン133とキセノン135は、1日に格納容器から採取したガスから検出された。濃度はともに1立方センチ当たり約10万分の1ベクレルと極微量だったが、それぞれの半減期は約5日、約9時間と短く、直近に核分裂反応が起きたとみられ、東電は2日、小規模な臨界が一時的にあった可能性もあるとの見方を示していた。
だが、詳しく解析したところ、小規模な臨界であっても検出量の1万倍のキセノンが発生することがわかった。臨界を防ぐホウ酸水を2日未明に注入した後もキセノンが検出されたことも、臨界が起きていない根拠として挙げた。』
「自発核分裂」とははじめて聞く言葉です。そこで調べてみました。ウィキには、自発核分裂について説明がされています。その上で、
『自発核分裂の確率 [編集]主な核種の自発核分裂の確率を以下に挙げる。
235U: 5.60 × 10-3 回/s-kg
238U: 6.93 回/s-kg
239Pu: 7.01 回/s-kg
240Pu: 489,000 回/s-kg(約 1,000,000 中性子/s-kg) 』
とのデータが掲載されていました。
ウランとプルトニウムの同位体の中では、プルトニウム240が圧倒的に高い確率で自発核分裂するようです。
そして、原子力発電所で生まれるプルトニウムのうち、核分裂するプルトニウムは70%というサイトでは、「原発のウラン燃料は、使い切った状態で、プルトニウムが1%生成しており、そのうちのプルトニウム240が24%を占めている」という情報が掲載されていました。
原発の原子炉の中では燃料棒中にプルトニウム240が順次生成しており、福島第1の2号機原子炉内の核燃料棒中にもプルトニウム240は生成していたはずです。そのプルトニウム240は自発核分裂の確率が非常に高いとあります。また、キセノンとは? ウランが核分裂する際にできる希ガスによると、『放射性同位体のキセノン133や135は、原発の燃料として使われるウランやプルトニウムが核分裂する際にできる。』とあり、プルトニウムの核分裂でもキセノン同位体は発生するようです。プルトニウム240の自発核分裂でも同じかどうかは不明ですが。
報道では、原子炉内の燃料棒中に核分裂で生成したキュリウムの自発核分裂が、今回のキセノンの原因であるとしています。プルトニウム240の自発核分裂についてはまったく触れていませんが、実態はどうなのでしょうか。
また、このように調べてみると、原子力の専門家にとって「自発核分裂」はごく初歩的な知識であり、非臨界にある原子炉内においても常時起こっている現象であることは当然の知識として保有しているべきものと思われます。今回、「東電でのキセノン分析 → 原子力安全保安院へ報告 → 官邸へ報告」という伝言ゲームの中で、どこかで専門家が「これは臨界ではなく自発核分裂の可能性が高い」と思いつかなかったのでしょうか。思いつけば、最初の報道発表、官邸への最初の報告においてその旨を説明できるでしょうから、ここまで大騒ぎすることにはならなかったと思われます。
ps 11/5 日本原子力学会による報告書
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