弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

放射能拡散状況の実態

2011-03-27 12:03:38 | サイエンス・パソコン
事故を起こした原発の周囲で、放射能がどのように拡散しているかをコンピュータシミュレーションするソフトがあるらしい、という情報は断片的に聞いていました。しかし、実際に計算結果を見ることができずにいました。
それがやっと、23日に公表され、24日の朝刊に掲示されました。SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)システムという名称だそうです。ちっとも迅速でなかった点は皮肉ですが。
そしてその報道の半日後、24日の夕刊に、米軍機が測定した放射能汚染状況を示すマップが公表されたのです。
 
3月24日朝日朝刊                  3月24日朝日夕刊
上記二つのマップが、極めて似た傾向を示していることには驚かされます。

ただし、2つは対象が異なります。
SPEEDIの方は、「3月12日から24日までの12日間の積算ヨウ素被曝量(ミリシーベルト)」です。
米軍の方は、「17~19日に測定が行われ、数値は1時間当たりの放射線量(マイクロシーベルト)」です。
取り敢えず、「12日間の積算値は、現在の瞬間値と良く一致している」ということが言えると同時に、SPEEDI算出結果は実測値と良く一致している、と言えます。

自民党河野太郎議員のサイトによると、自民党が官邸、文科省、原子力安全委員会にそれぞれSPEEDIのデータを公表するように働きかけたにもかかわらず、23日14時までは「公開できません!?」の一点張りだったようです。それがなぜ、急遽公表する気になったのか。
うがった見方をすれば、「米国が実測マップを公表することが分かった以上、SPEEDIデータを隠しておいても無駄」という判断が働いたのかもしれません。

放射能の拡散は、なぜ同心円ではなく、北西方向と南南西方向に突出しているのでしょうか。下記新聞記事からも分かるように、原発からの放射線発生量は、突然爆発的に増加し、その後減衰する、という経過をたどっています。どの時点かで突然爆発的に増加した際に、たまたま南東の風が吹いており、その風に乗って大量の放射性物質が北西方向に飛ばされ、そちらの方向にある飯舘村、川俣町、浪江町、双葉町に降り注いだのでしょう。

3月24日朝日朝刊
テレビニュースでは、SPEEDIの計算結果の動画が放映されていました。各時刻における放射線量が算出されており、それが動画になっているようです。その動画を確かめれば、北西方向に大量に流れたのがいつなのかが分かっているはずです。

地域住民の方の中から初めて除染が必要になる方が生じた際、たしか双葉町だったと記憶していますが、「1号機が水素爆発した直後、空から塵が降ってきた」と発言されていました。多分そのようなタイミングであったのでしょう。

これからの放射能汚染拡大に関していえば、再度「爆発的な放射能の発生」が起こらなければ、事態の悪化が防げると思われます。そのような事態が発生しないことを祈るばかりです。
すでに汚染を受けている飯舘村などは今後どうなるのでしょうか。セシウムは水に溶けやすいと聞きました。とすると、時間の経過とともに水に溶けて地下に潜っていくでしょう。表面土壌を交換したのみでは除去できず、人が住めない環境になる可能性もあります。

米軍の測定結果については、米国エネルギー省のサイトで見るとこができます。March 25, 2011の記事で見られるデータは朝日の24日夕刊のデータと一緒です。さらにそれより前、March 22, 2011の記事にも測定結果が載っています。ということは、米国は24日よりも前にすでにデータを公表していたのですね。
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