弁理士の日々

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中国共産党の権力闘争と日中関係

2012-10-23 21:55:36 | 歴史・社会
中国権力闘争 共産党三大派閥のいま
宮崎正弘
文芸社

日中関係が危機に瀕している今、中国の中央がどのような構造になっていて、外交・軍事の意思決定がどのようになされているのかを知ることは重要であると考え、上の本を読みました。この9月15日発行です。

中国中央は、3つの派閥が熾烈な権力闘争を行っていると言います。
「太子党」:親が中国の高官だった
「団派」:共青団(共産主義青年団)の出身
「上海派」:江沢民の一派

それが現在では、「上海派と太子党主流の連立」と「団派+ポピュリスト+太子党民主派の連立」の二派の党争に集約されているとも言います。

胡錦涛現主席、温家宝現首相、李克強次期首相(予定)が団派、
習近平時期主席(予定)が太子党(上海派寄り)とのことです。

中国共産党を牛耳っているのは、政治局常務委員会の9人の委員です。11月に共産党大会を控え、この9人の中に自派の委員をどれだけ送り込むことができるか、それが当面の権力闘争です。胡錦涛は政治局常務委員会の定員を9人から7人に減らす画策もしています。自派の比率を増やすためです。

今年初めに薄煕来失脚事件がありました。薄煕来は、親が高官で太子党、親が江沢民に恩を売ったという意味で上海派寄りでした。その薄煕来を失脚に追い込んだということは、胡錦涛ら団派には有利に働いたはずです。

これからの10年の中国トップの政治権力は、政治局常務委員会の委員構成によって定まります。どの派閥が常務委員の多数を占めるか。その暗闘がここ半年繰り広げられており、決着が付かないがために、共産党大会を10月に開催することができず、11月に延期になったほどです。

その最中に、尖閣国有化を日本政府が打ち出しました。
全く今にして思えば、何とも外交センスのないやり方です。中国という国のトップがどのような勢力均衡と暗闘の中にあるのかを考慮していなかったとしか考えられません。
太子党vs団派vs上海派の血で血を洗う暗闘の中、日本としては、団派の胡錦涛を応援すべきはずです。日本政府は、その胡錦涛のメンツを台無しにしてしまいました。今では胡錦涛は、日本叩きの先頭に立っています。胡錦涛の指揮で中国海軍が尖閣を武力奪取するかもしれません。

私たち一般国民は今にして思うのですが、外務省を擁する政府中枢であれば、そんなことはすべて想定して政策決定してほしいです。
外務省の事務次官とアジア大洋州局長は、官邸が尖閣の国有化を検討しているとき、現地の駐中国日本大使の厳しい意見具申を受ける中、官邸に対してどのような働きをしていたのでしょうか。今後ぜひ明らかにしてほしいです。

そうそう、アジア大洋州局長の杉山晋輔氏については、駐ロ大使更迭と「闇権力の執行人」に書いたように、良からぬ印象しかありません。
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