駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

AI(人工頭脳)に学べるか

2017年10月24日 | 小考

            

 多くの人が気が付かないうちに、AI(人工頭脳)が人間社会に浸透し始めている。所詮機械とか人間が作ったものと高を括るのは、危険というか認識不足だと思う。特に、電子素子やコンピューターの知識がないのにそう思っておられる人には認識を新たにする必要があると申し上げたい。私も大した知識はないが、数冊AIを解説した本を読んで単に量や速度だけに優れているわけではないのを教えられた。AIは生物ではなく人間が作り出した機械ではあるが、鳶が鷹を生んだのかもしれない。気を付けないと人間の手を離れAIがAIを生み出す可能性が出てきている。

 自分が生きているうちにAIが支配する世界は出現しないだろうが、子や孫の時代には分からない。既にある程度AIに頼る世の中になっていることは自覚した方が良いと思う。

 生物は淘汰によって生き延びてきたと考えられているが、人間の場合は大脳の発達によって自覚と反省から学ぶ力を得て、他の生物を凌駕してきたとも思う。さて、では今の日本で、自覚と反省から学ぶことが十分できているかというと心許ない気がする。私ごときに言えることではないが、いくらか仕事から学んだ。自覚の有無が大きくその人の健康人生を左右すること、反省から学ぶことで未然に防げる病気が数多いことを目の当たりにしてきた。

 AIにどの程度自覚があるかは知らないが、反省から学ぶ能力も凄いことを多くの方に知っていただきたい。しかるに人間は自分の経験だけでなく過去の歴史からも僅かしか学んでいないように見える。過去の間違いや失敗を忘れずにそこから学ばないと、世の中はやがて行き詰まると思う。AIが優れているのは実は蓄積したデータの量や抜群の計算速度だけではなく、反省して学ぶ能力を持っているからなのだ。

 鷹を生んだ鳶は鷹から学んだ方が良い。負うた子に道を教えられる。

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