ふみさんの日々雑感

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あの胸にもう一度

2006-05-28 20:40:02 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
新聞を読んでいたら、懐かしい言葉が飛び込んで来た。青春時代に見たアラン・ドロン主役の映画の題名だ。ベッカム様やヨン様のように、当時の女性の憧れの王子様だった。美しくカッコいい本当の正統派の“美青年”だった。夢の世界の、そして銀幕の世界の王子様だった。

新聞に「初恋」という映画の宣伝が載っていた。あの“三億円事件”の犯人が女子高生だったというのである。そして、作家の高山文彦氏・映画評論家の四方田犬彦氏・映画監督の森達也氏があの時代の事を書いていた。60年代の頃の事を。

ずっと読んでいて、とっても懐かしかった。私にもそんな頃があったのだと。今は死語になってしまった感があるが、不良という人種がいた時代。皆、人生に、仲間に、大人に、世の中の不条理に、そして倦怠感にギラギラと生きていた時代。今の50代・60代のおじさんやおばさんが異性と歌い踊り、夜の公園を恋を語りながら手を繋ぎ、そぞろ歩いた時代。そして、携帯もメールもないから手紙を書き、会いたくて、声を聞きたくて恋焦がれて長い夜を過ごした時代。

四方田犬彦氏の欄に次の文章があった。

“まだヘルメットを被らずともオートバイに乗れた時代のことである。フランスはまだ手の届かない、遠いところにあったが、私のまわりでは誰もが「あの胸にもう一度」というフランス映画に憧れていた。そこでは、当時ミック・ジャガーの恋人だったマリアンヌ・フェイスフルが、黒い皮ジャンの下に何もつけず、長い髪を靡かせながら単車を乗り回して、夕暮れのパリを飛ばしていた。”

そう、いまでも覚えている。アラン・ドロンに会う為に髪の長い美しい女性が、素肌で黒の皮ジャンに腕をとおして、ツツツーーとファスナーを上げる。そして、美しく形のきれいな胸がスー――と隠れていく。髪を一振りしてバイクにまたがり、心を高ぶらせて走り去る・・・。映画の内容はほとんど忘れたが、最後のそのシーンだけは今でも覚えている。

男性が、美しい女性が自分の胸に飛び込んでくる事を夢想したように、私はその女性になって、好きな人の胸に飛び込んでいく事を空想していた。

今の映画は題名がほとんど、そのままをカタカナ表記している。でも、本当に映画が若者の生活だった頃は題名がステキだった。題名を聞くだけで、映画のワンシーンが浮かんでくる。でも、今の映画は2~3年経つと、どんな映画だったか題名を聞いてピンと来ない事がある。

アラン・ドロンの映画の「地下室のメロディー」と聞くとすぐに、プールにゆっくりとお札が浮かびあがり水の表面にたくさん広がって行くシーンを思いだす。昔の人は本当に映画に素晴らしい題名をつけたものだと尊敬する。

この「初恋」という映画、見てみようかな。

コメント
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